悪魔の店   作:執筆使い

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リクエストスペシャル。ですが、二重の意味でタイトル詐欺ですのでご注意を(というのも私、鷹の爪団を全く知らない現代っ子なものでして...仮面ノリダーは結構知ってるんですが、本当すいません)。


そんな訳で結構継ぎ接ぎな部分のある話ですので、「そういうのは嫌だ! 偶には原作ファンもびっくりするぐらい面白い内容書きやがれや作者!!」という方はお引き取りを。多分そんな日は一生訪れません。



「そういうのでも大丈夫だよ。作者がこうなのは今に始まったことじゃないし」という方は、どうか楽しんで下さい。気が楽になります。



※今更だと思いますが、一応念のため。ジェルマ66=店員をボスとしたヤベー組織という扱いでございます。





リクエストスペシャル『世界一優しい組織』

 

 

 

 

 

どうして正義だけが涙を流せると思い込んでいる?

どうして正義だけが赤い血を流せると思い込んでいる?

どうして正義だけが安心をもたらせると言い切れる?

 

 

 

 

 

悪だって涙を流す

悪だって赤い血を流す

悪だって自らの安寧の為に走っている

 

 

 

 

 

 

悪を知らない奴は、どうして自分が信じているものが正しいと言い切れる?

 

 

 

 

 

 

 

 

〜SP56 竜とツメと秘密結社〜

 

 

 

 

 

「総統」

 

 

「ああ、わかっとるわい」

 

 

竜の爪団と呼ばれる秘密結社の、如何にも特撮のラスボスが構える部屋にて、そのラスボスに目線を先程から向ける客人。普通であれば追い返すのであるが、今回の客人は特殊な事例である。故に、総統と呼ばれる人物(ラスボス)が直接面会に来たのだった。

 

 

「本日は、態々お忙しいところこの様な場所と時間を用意してくださり、ありがとうございます」

 

 

「...(まさか、儂の所に下っ端とはいえジェルマ66が来るとは...とりあえず威厳でも保たないといかん...)」

 

 

無言で何のリアクションも無いが、総統は内心物凄く動揺していた。何せ別の悪の組織が来るなんて初めての事だ。しかもジェルマ66というビッグネームが出てくれば、例え目の前の人物が使()()()()()()()()()()だと自己申告しようが緊張の1つ取れやしない。

 

 

「...あの、本題に入っても良いですか?」

 

 

余りの無言に思わず、ジェルマの客人も不安ながらに口を開いた。それを聞きハッとなった総統は少しどもりながらも、構わんよと一言彼に伝える。

 

 

「ご許可、ありがとうございます。今回訪れたのは、我々のボスが、こちらにご商談を持ち掛けたいとの事でして...」

 

 

「商談?」

 

 

聞き返す総統。何せ、こんな組織にそんな話題が、ましてやかの組織から来るとは予想外すぎて一瞬呆けたリアクションを取ってしまう。

 

 

「はい。何でも、ボスはそちらの理念である世界征服に感銘を受けたらしく、中々それを達成出来ない事実にいたく嘆いておりまして、こちらと所謂ビジネス的なお付き合いを以ってサポートをして頂きたいとの事です」

 

 

「...」

 

 

暫し黙る総統。成る程、確かに客人の言う通り自分達はいつも世界征服の計画を邪魔されている。とあるヒーローによって。そういうものだ。いつだって、悪の組織の前には正義のヒーローが立ちはだかる。だから世界征服が出来た試しなどない。

 

 

「...」

 

 

だが...

 

 

「...一つ、聞いても良いかね?」

 

 

「ええ」

 

 

故に、これだけは聞かなければならないと思った。例え相手が自分らより遥かに格上の組織であっても、彼は質問を投げ掛ける。

 

 

「お主らにとって、【世界征服】というのはどういうものだと考えているんじゃ?」

 

 

 

 

 

その理念は、嘗て、総統と呼ばれる人物が若かりし頃抱いたもの。国境を、差別をなくし、誰もが幸せな世界を作りたい。それが彼自身の原点(オリジン)であり、今もなおそれを胸に組織の長をしている。

 

 

 

 

 

「ボスの理念になりますが、恐怖で上に君臨する事ですかね。誰もがそれに怯え、誰もがただただそれから生き延びようとする。平等にして絶対的な悪が、頂点に立つ事で他の悪など存在を許さない。どんなに強い奴だろうと、決して敵わない悪。それが世界征服では?」

 

 

 

故に、

 

 

「...そうか。儂は...」

 

 

...............................

 

.......................

 

.............

 

 

 

 

「やはり、断られてしまいましたね...」

 

 

 

 

遥か上空、ジェルマ66の下っ端は月を眺めながらその時の事を思い出す。

 

 

 

──儂は、誰もが幸せになれる世界征服を目指している。じゃから断らせてもらう!!

 

 

 

「...まさか啖呵を切られるとは...」

 

 

 

清々しい。どんなに甘い理想であっても、あそこまで自分に対してはっきり言ったのはそうそう無い事だった。

悪は、正義の敵であれ。自分だけの利益を考えるな。決して、見返りなぞ求めるな。自分の信念のまま進め。

 

 

 

 

 

あれが悪の本来の姿なのだろう。自分とは違う本来の...

 

 

 

 

 

 

 

「ん? 念話...しまった。バレましたか」

 

 

ふと、下っ端に念話が入る。それによって冷や汗を一掻く彼。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい...ザイですか? ああ、()()()()()()()。忙しい中ちょっと散歩が長引いてしまって、成る程、部下達が...分かりました。代わりましょう」

 

 

訂正しよう。ちょっとしたお忍びの為、下っ端に変装した店員に念話が入る。故に叫び声と叱り声(念話なので喋ってないが)に耳をふさぎながら念話の相手に謝罪をした後、彼は職務に戻ろうとしつつ、部下に指示を出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「財団Xの事ですが、暫くは泳がせておいて下さい。コソコソと嗅ぎ回っているという事は、未だ大したものを得ていない証拠です。何もしなければ何もするなの精神でお願いします。

 

 

行方不明...というか、そもそも裏切った仮面(エタルガー)の処遇ですが...どうやらその必要はなくなったみたいです。ですので手持ち無沙汰になった人員は座標:1972567、776432、8679034にそれぞれ行ってください。依頼の手紙は後程ザイが送り届けますので。

 

 

素材と在庫の不足...ふむ...確か試作品や失敗作がまだ倉庫に幾つかあったはずです。それを元に、錬金と投影で大量に増やして下さい。あとでそちらに向かいますのからそれまでに最低5万は増やして欲しいところですね。

 

 

 

...むっ? 負傷者、全く無茶をするから。確か貴方は発掘と探検の他に道具作りの技能がありましたね。丁度良いので私と一緒に在庫へ向かいます。足は動かせるでしょう?

 

 

 

遊園地? それぞれの信念のまま突き進むのは構いませんが、目立つ真似はするなとあれほど言いましたでしょう! 大方、ヘンダーランド制圧で調子に乗ったんですね? そういう悪癖があるからあれほど慎重にと...踊りは良いですから決して油断とか慢心とかアホみたいな死に方とかしないでくださいよ。今居なくなられてはより人員を割くのに忙しくなりますから。

 

 

 

...追い返して来なさい。パンダはお断りだと一言、例えどんな姿に化けようが絶対に立ち入らせないで下さい。仕事に多大なる支障が出るのはわかっていますね? 強引に突破される様でしたら前に作ったあれで場所もろとも吹き飛ばして空間転移して来なさい。あとで回収しつつお灸を据えますので」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この間数秒。一瞬の間に指示をしながら彼は現場へと向かう。

 

今日もありとあらゆる職務をこなし、休みなく働き、処理と指示をしながら現在進行形で彼は組織の長をやっている。

 

 

 

 

「...さて、また暇になったら今度は菓子折りの一つでも持って来ましょう。それまでに壊滅してなければの話ですが...竜の爪団」

 

 

過労死という概念が彼にあればとっくの昔に地獄に落ちてる程、彼はあらゆる事を営む...

 

 

 

 

 








途中変な話になってすいません!!





裏設定
実は本編での商売中も念話による部下への指示と同時進行で接客をやってたりする。店員が一度に10000以上の行動と分割並行思考が可能だから出来る荒技であり、常人であれば情報の多さと多忙さで即死ぬ。悪魔の店が見た目とは裏腹に超ホワイト企業なのは店員があらゆる世界で上位に位置する程優秀なのと、多忙だから。なので彼がお忍びとかで何処かへ羽休めしているときは、部下(ジェルマ66と助手)にとっては地獄と化す。



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