悪魔の店   作:執筆使い

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リクエストスペシャル。今回は、絶叫学級シリーズのあるキャラとのコラボ...ですが、まぁ、はい。


こんな事を言うとものすごい失礼なのですが、私少女漫画って小学生以降読んだ事が一切無いんですよね...ほら、乙女チックなシーンとか、恋愛シーンとか、甘酸っぱくて砂糖吐くような描写とか私全然書けませんし。
人間回収車とか、ショコラの魔法とか、少女漫画だけど本小説のネタとして面白そうなのはあるんですが、世間体が...と言う事なので全く読み込んでいないので矛盾設定や口調間違いがあるかもです。


もしファンの方がいたら本当すいません。ぶっちゃけありえねーよ。こんな御都合主義的な事現実じゃあねーよ。意味不明だよ。それでも許せる方のみお願いします。








リクエストスペシャル『乙女チックホラー(仮)』

 

 

 

コツン、コツン、と男は夜の廊下を歩く。

 

 

「...」

 

 

コツン、コツン

 

 

「...」

 

 

コツン、コツン

 

 

「...」

 

 

コツン、コツン...ピタ。男は教室の前に止まり、ドアの取っ手に手を掛ける。横に動かすとまず目に移ったのは何も書かれていない黒板と花の入った花瓶が置かれた教壇。そして、1番後ろに座っている少女の笑みだった。

 

 

「ふふ、お久しぶりですね。()()()()

 

 

「...呼んだのは、貴方ですか?」

 

 

男...悪魔店員は、一人の少女にそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜SP63 黄泉に咲くリナリア〜

 

 

昔々、といってもせいぜい十数年程前だったか。とあるセンセイが小学校にやって来た。何でも、新任らしく、一年の間だけ小学校6年の一組のクラスを担当するらしい。六年生相手だったのは、その時期の子供が1番大人しく、やりやすい生徒であるからという配慮だったのだろう。それに...新任であれば、下手に口出しは出来ないし、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()もあったと確信できる。

 

 

センセイは、誰にでも優しい人柄であった。時折ドジを見せたり、授業にて間違いを生徒に指摘されたり、かといって馬鹿で何も出来ない0能力者かといえばそうでもなく、優秀ではあったけど悪い人物ではない。赴任一か月にも関わらず、そういうのに敏感な時期である子供達でさえ大多数は好感を持つ程だった。

 

 

 

ある日の放課後、教師は女子生徒の一人と個人面談を行った。面談を持ちかけたのは教師。その生徒は言う。

 

 

「どうして、こんなにも私を気にかけるの...ですか?」

 

 

「目を背けるなんてことは出来なかった。それじゃあ理由にならないかな?」

 

 

気付いたのは赴任してすぐの事だった。センセイは女生徒に対しコトを行なっている生徒達を注意し、他の教師にもその事に対して意見を言った。だが返ってきたのは、親を引き合いに出した反抗、不干渉。だから、なんとしても助けようと、センセイはその生徒に手を何度も差し伸べた。バレない様に。しつこいと思われてもいい。本来の職務から逸脱した行為と思われてもいい。それでも少女以外に悟られない様に、彼は何度も手を差し伸べた。

 

 

「だって...どうせ、前の先生だって、何もしなかった。知っていたのに。友達だって、同じようになりたくないからって見捨てた。なのに来たばかりのセンセイは何で...」

 

 

そこまで言う少女に対して、センセイは右袖を捲って自分の腕を見せた。無数の傷跡。古いものばかりなのに、未だに残っているそれを見せながら彼は言う。

 

 

「僕も君ぐらいの時にいじめにあっていたんだ。怖くて、誰も味方になんかならなくて、1人だった。だからほっとけないんだ」

 

 

見苦しいものを見せて悪かったね、と一言付け加えて袖を元の形に戻す。少女は、目の前の男が自分と同じ、いやそれ以上の過去を持っていたことを知り憐れみや仲間意識、押し寄せて来た悲しみなどといった複雑な感情を表に出した顔でこちらに視線を向けた。

 

 

「ああ、駄目駄目。泣きそうな顔をしちゃあね」

 

 

そう言って両人差し指を頬に当て、上へ引き伸ばす──いつも見せている笑顔を彼女に向けた。優しく、安心するようで、胸がストンと軽くなる様な笑顔。

 

 

「でも...私には...」

 

 

「何、最初は全く出来なくても良い。だけど泣きそうな顔だけは駄目だ。幸せが逃げちゃう。最初はまだまだでも泣き顔をやめて、徐々に、徐々に、笑顔一杯になれば良い。大丈夫、僕が見守ってやろう。ドジだらけ弱点だらけの新任教師だけど、今度は絶対に見捨てたりはしない。ほったらかしにもね...」

 

 

そう言ってから時が経ち──

 

 

..............................

 

..................

 

...........

 

 

センセイ、私、泣かない様になりました。笑うのはまだまだだけど、それでも泣かなくなりました。一人でも寂しくて泣かない様にって...でも、卒業して、中学に行って、丁度、センセイはいなくなってしまいました。

 

 

会いたい。笑顔が見たい。だけど、私は決して願ったりしなかった。だって、まだ笑顔になってない。センセイに迷惑を掛けたくない。だから、頑張って弱みを見せないで...

 

 

...でも、この世界には、イジメるかイジメられるか二つしか道がないから。私は、こうするしかなかった。全部一人でやるの? まだ笑顔になってないよ? そう思ってももう、私には──

 

 

 

 

 

 

 

「──さようなら」

 

 

 

そして、ごめんなさい。センセイ。

 

 

..............................

 

..................

 

...........

 

 

 

「...私は、秋元さんに永劫憎まれ恨まれる事をしましたね。ですから呪われても仕方がない」

 

 

「ええ」

 

 

「貴女が願わなかった。職務を完了していた。そんなのは言い訳で、あの日あの場に居なかった、助け出そうとしなかった事が変わるわけじゃあない」

 

 

「ええ」

 

 

「...今この場で、絶好の場で、どうして貴女は何もしようとしないのですか? 秋元さん」

 

 

店員のその言葉を聞いて、少女は惚けた風に口を開いた。

 

 

「あら、私は黄泉。貴方の知る秋元優美とは別人ですよ、アクマさん」

 

 

「...では黄泉様。何故、私を呼んだのですか?」

 

 

「噂に聞く、何でも願いを叶える悪魔を一目見たかっただけ...あわよくば一つ、叶えたい願い(コトバ)があったけれど...やはりやめる事にしました」

 

 

「つまり、願いはないと?」

 

 

「ええ。私からの願いは、無意味ですから」

 

 

そう言って、人形の様な、それでいて優しみのある笑顔を少女を見せる。それを見て、店員は自分がもう居なくても大丈夫だと思ったのだろう。

 

 

 

 

「【素敵な笑顔が出来るようになったね】」

 

 

 

 

あの日の笑顔と共に、センセイはただ一言、そう告げて消えた。きっと、気付いてないのだろう。例えイジメに気付いた彼でも、この事には決して...

 

 

「【もっと早くに、見せたかった】」

 

 

だからこそ、黄泉と呼ばれた少女は消えた後に、小さく呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

渡しそびれたリナリアが、花瓶の中でゆらゆら揺れている。

 

小さな赤い金魚が、微かな月明りを水面にしてゆらゆらと揺れている。

 

けれど、それに気付いてくれる者は誰一人して居なかった。

 

綺麗に動こうとするそれに気付いける者は居なかった。

 

 

 

 

 

それでもリナリアは、気付いてもらえるその日まで、ゆらゆらゆらゆら揺れていた...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





解説

リナリアとは別名姫金魚草と呼ばれる花。所謂金魚草の一種であり(金魚っつても本当に生えてる訳じゃないよ。鬼灯の冷徹ジャナイヨ)、小さくて綺麗な花を咲かせる。

何でこの花をチョイスしたかって? いやほら、黄泉=あの世ですし、何となくあの世といえば彼岸花か金魚草じゃないですか。んで洒落た名前があったからコレにしただけです。それとサブタイトルに花の名前を入れたのは何となく少女漫画っぽいかなぁ、と考えたから。


因みに花言葉は...まぁ、はい。すんごくありがちなやつですし、シンプルなものです。ぶっちゃけ人によってはコレジャナイ感あるかもしれない言葉かも。
どんな感じの花言葉なのかは各自調べて下さい。そんでもって笑って下さい。


やっぱり作者は、乙女チックなものを書くのが下手くそだな!! って具合に。笑って許してください。

原作が少女漫画なのに、無理に寄せた結果それに似た形容し難いナニカになってしまい本当すいません。



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