悪魔の店   作:執筆使い

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どうしても進みそうがないので順番が前後してすいません。先に3ヶ月程待たせて頂いているコラボスペシャルでございます。
本日のコラボ相手はケツアゴさんの「今をお嘆きのお客様へ」となります。今の所二話と少ないですが、質ははっきり言ってこちら以上。悪魔の店シリーズ以上の残酷テイストな作品となっております。どうしようもない絶望、込み上げてくる愉悦感。そう言ったものを味わいたい方にオススメの作品です。
ストレスが溜まった時に読んでみてはいかがでしょうか?

※注意:コラボ相手のキャラが出てくるのは後半に入ってからです。物凄く遅い登場ですので、そういうのがダメな方。また、コラボ先との口調や設定を比べて違和感を感じるタイプの方はあまりオススメできません。そういうのが許せる方、どうか楽しんでくださると幸いです。





コラボスペシャル「今をお嘆きのお客様へ」

 

 

 

私の願いは、この世界への復讐。

 

 

「さようなら、我が忠実なる僕」

 

 

右腕が、胴体を貫いた。

 

 

『ご主人...様...な...んで...』

 

 

最初に殺したのは、自分の助手だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

カランと鳴るはドアの音

コロンと鳴るはベルの音

 

 

 

悪魔の店には何でもあります

お客様の願いや要望を必ず叶えて差し上げます。

 

 

はてさ──────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はてさて、今回お嘆きのお客様は?

 

 

 

 

 

〜SP69 悪魔店員〜

 

 

次は、部下達。いとも容易く彼は消していく。抵抗しようが御構い無しに彼は消して行った。自分の仲間...否、人形だというのに彼は無表情で消していった。

 

 

「...次」

 

 

お客様。良い人間も悪い人間も、自分が守った人間も守れなかった人間も、全員消した。人形や、竜とは違い生暖かい感触だ。服に暫く纏わり付いたかと思えば、呆気なく冷える。どうやったところですぐさま冷えてしまう生暖かさに、ほんの少しだけ顔を歪めた。気持ち悪い。

 

 

 

 

「次」

 

 

 

神々。すぐさま行動に移す。というか一々躊躇う理由が無い。惜しい者、どうしようもない者、梃子摺る者が居たが平等に消していった。

 

 

...死神も、自分の師も、同様に消していった。笑いが込み上げてしまう。虚しくて、引き攣った笑いが。

 

 

 

 

 

 

「次」

 

 

 

仲間だ...嘗ての仲間。今はもう居ない仲間。だけどもう躊躇えない。堕ちている者が引き上がるなんて、虫の良すぎる話だ。幸いなことに、もう慣れた。方法は全く違えど、結果はあの時と同じだ。だから機械的に消した。目薬が欲しい。目が熱くて、冷えそうにないんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「最後...」

 

 

1人の少女。笑っている...嫌、悲しんでいる? 涙を流しながらこちらに近付いている。ああそうか、気持ち悪い赤い噴水に包まれているからだろう。今の◼️は化け物だからだろう。残念だが、これも世界への復讐の為だ。捨ててでも私は──

 

 

 

 

「...?」

 

 

包帯を巻かれた。私はどこも傷ついていないのに、包帯を巻かれた。どこも痛くない。どこも苦しくない。どうして笑顔でいる? 私は君を消した。何も出来なかった。どうして優しくする? わたしにはそれを受ける資格など...

 

 

「っ!」

 

 

左胸を右手が貫いていた。彼女は一層悲しそうな表情。悪いとは思っている。折角包帯で治そうとしているところに、また傷をつけたのだ。誰だって泣きたいと思う。

冷たいと思い込んでいた血は、暖かった。

 

 

「っつぅ...◼️は、俺は、もう二度と...」

 

 

痛いとは思わない。苦しくもない。だけど、これ以上、彼女の涙を見たくない。だから私は血を吐きながら言う。

 

 

「諦めない。例えその道筋で全てを失おうとも、俺はお前を...」

 

 

 

 

 

 

 

私の願いは、彼女をこの世界から救う事だ。

 

 

 

..............................

 

....................

 

...........

 

 

 

「お目覚めですか? 悪魔店員...嫌、敢えて嘗ての名前で呼びましょうか」

 

 

そう言いながら、仕立ての良い白いスーツを身に纏い、顔を大きな目玉が描かれた黒い布で隠した男は店員を見下ろしながら言う。

 

 

「久しぶりですねぇ...哀れな哀れな復讐者。神殺しの悪魔ジャッカル・D・グレイ。良い夢を見れましたか?」

 

 

瞬間、首元に剣を押し当てられる。見下ろしていたはずの店員がいつの間にか正体を現し後ろに回り込んでいた。だが、白いスーツを着ている男──従業員と呼ばれる者は領域外の笑みを黒い布の向こうで浮かべている。

 

 

「私が生きている事に対する驚きよりも、行動に移すのが先...相変わらずだ。そんなにも、私が気に入らないですか? 私がする事が、私がする親切が、そんなにも嫌いですか?」

 

 

「アレを見せたのは貴方ですか?」

 

 

悪魔は、珍しく笑みを浮かべていない。珍しく他人の話を聞いていない。珍しく殺すつもりの声色で喋っている。

 

 

「ええ、お気に召したようですねぇ。無表情で、残酷な笑みを浮かべながら殺す。正しく貴方が望んだ願いでしょう? 歪んでしまった貴方には」

 

 

従業員は、尚も調子を崩さず喋る。いつも通りに振る舞う。いつも通りに名状し難き表情を浮かべる。

 

 

「貴方は復讐者として、悪として、それを実行した。全員、全員、消していった...なのに」

 

 

だが、ピタッとそれをやめる。

 

 

「嗚呼! 貴方は止めた!! たった1人の少女に止められた!! 折角、貴方が嘆いているであろう願いを叶えて、夢を見せたというのに、あろう事か救おうとした!!」

 

 

唐突な大声。不安定な調子で響いたそれは店員の耳に入る。

 

 

「嫌、理想にすら成り立たない子供の戯れ言。そんなものの為に何故手放した? 誰もが持ち合わせるそれを何故手放した? そんなくだらないもの為に──」

 

 

首と胴体が離れた。それ以上喋らせない代わりに、悪魔は答える。

 

 

「私が望む世界の復讐は、そんなものじゃあない。ただ一つのシンプルなもの。今ある世界を否定する。それが全てを否定する事になっても、歪み堕ち果てても構わない。それで彼女が救えるなら、私は喜んで引き受ける」

 

 

その答えを聞いた胴体は悪魔を振りほどき、離れた頭をキャッチして頭にねじ込む。ねじ込んだ事で再生した従業員はプルプルと震えていた。

 

 

 

「ク──────クク、クク、あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!」

 

 

笑っていた。声からして口角は相当上がっているのだろう。腹を抱えて従業員は息苦しそうにしている。

 

 

 

「つまり、我々以上の悪に成り果てようと。つまり、世界の敵に成り果てようと。つまり、たった一つの為に全てを裏切るつもりと」

 

 

「少なくとも、貴方の話に乗るよりはマシですねぇ」

 

 

悪魔は笑い出す。

 

 

 

 

()()()()。愚かな愚かなピエロ。それが貴方の嘆きだというのならば、それが貴方の願いだというならば...喜ぶと良い。貴方は叶える事になる。醜くもがいて、脆弱に泣き喚き、最悪と化して、貴方の願いは叶うでしょう。我々は、その日が来るまで人々の絶望を喰らい眺めるとしましょう。世界が終わりを告げるその日までずっと...」

 

 

従業員は嘲笑う。

 

 

..............................

 

....................

 

...........

 

 

昔、昔、大きな戦いがあった。1人の僕と、1人の悪魔が戦っていた。

悪魔はまだまだ若く、未熟であった。力を使いこなせていなかった。僕らが圧倒的に勝てる筈だった。

だが、勝ったのは悪魔だった。負けた僕は顔を布で覆う事となった。

 

 

だが、その時彼は喜びに満ち溢れたのだ。自分らにすら打ち勝つその悪を、彼の持つ歪みを垣間見た。故に、見たいと思った。いずれ、問いたいと思った。何を求めて戦い、その果てに、何を得たのかを。

 

 

「酒というのは、思いの外化けるものですねぇ」

 

 

その問いが返ってくるまで待っている。真っ暗な世界にて、従業員が絶望(愉悦)に包まれていた。

 

 

 

to be continued...

 

 

 

 

 




本編に入れたかったボツ掛け合い

従業員
「私を畜生と蔑むが、絶望した人間共が、嘗てこの国に居た人間共が、外道でないとでも言うのか?」

店員
「だから滅びた。だから絶望した。国を思う事は出来ても、たった少しの優しさを持てなかったからこそ、貴方は滅ぼせた」





おもっくそオリジナル設定を入れたり、変な描写やらをしてしまい本当すいません!!

【コラボキャラ紹介(こちらでのオリジナル設定あり】


従業員
ネペンテスに属する者の1人。とある理由から顔を布で隠している。何処か社交的、何処か偽善的、何処か凄惨的な性格をしている。店員と似た口調、似た雰囲気、似た商売をやっているが、年齢は店員よりも遥かに上。彼の本質は店員とは真逆であり、自分ら以外に対しては何も思っていない。せいぜい絶望の混じった声を聞いてゾクゾクするぐらいである。
店員が反転してしまった存在だとすれば、()()は最初からそこにいた存在。愛だの、より良くしようなど、必要なる犠牲など、()()にとっては取るに足らない。この世の全てを嘲笑い、滅ぼそうとする意志を持った黒である。店員に対して執着してるそぶりがあるが、多分気のせい。エキセントリック過ぎてヤベェよと思うが、多分気のせい。少なくとも本家本元はこちらとは違い大分まともである。


因みに作者の予想では、彼の好物は死ぬレベルに激辛な麻婆豆腐だと思われる。



そんな物凄く似たり寄ったりな店員と従業員のわかりやすい見分け方を教えよう。
至って単純、店員がドラゴンボールで従業員が泥で汚れた聖杯だと思えば良い。大体合っている。
若しくは店員が笑うせぇるすまんで、従業員がまどマギでも可。ほぼほぼ合っている。


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