悪魔の店   作:執筆使い

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リクエストスペシャル。今回はゾンビシューティングゲームから、とあるキャラの回想でお送りします。因みに回想なので地の文なし、全て台詞or独白or効果音の構成となっております。


それと、ある意味でコラボキャラ初の...であります。原作キャラ至上主義の方はどうかお引き取り下さい。






リクエストスペシャル『Dead men tell no tales』

 

 

 

 

 

 

「良いでしょう。契約はここに成立しました。後は、貴方が忠告を守る限りであれば研究の援助を行います」

 

 

「ああ、ありがとう...これで息子が助かる。私の研究で息子が...」

 

 

「ええ、私もお客様と同じ気持ちですよ。今のお客様と、ね」

 

 

 

 

 

 

 

 

カランと鳴るはドアの音

コロンと鳴るはベルの音

 

 

 

悪魔の店には何でもあります

お客様の願いや要望を必ず叶えて差し上げます

 

 

 

 

はてさて、今日のお客様は?

 

 

 

 

 

 

 

〜SP73 黄泉竈食ひ〜

 

 

 

「時間など残されていない! ああどうすれば良い? くそ!! 手を止める暇などないというのに!!」

 

 

「進展はどうですか? ドクター・キュリアン」

 

 

「む...貴様か。どうもこうもない、一歩も進めていない!! クソッ、賢者の石でも欲しいぐらいだ」

 

 

「はっは...大丈夫ですよ。何せお客様は、遺伝学と生物学にこの人ありと呼ばれたロイ・キュリアン博士です。私どもの援助もあります。矛先が別に向かいさえしない限り、貴方は大切なものを救えますよ」

 

 

「そう思いたいのは山々だが...ぬっ! 薬品が反応した!! これはいけるかもしれん!!」

 

 

「っと、どうやらお邪魔みたいなので私はとっととお暇させて頂きます。口座に振り込みは完了してますので、後で確認しておいて下さい」

 

 

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「愛しい息子よ。例え医者が見放しても、私は絶対に助けてやる。お前が望むなら、禁断の地へ...」

 

 

「お、父さん...」

 

 

 

 

 

 

 

...嗚呼、主よ。我々は貴方の理に背く者として、聞きたい。

 

 

 

 

 

 

 

何故限られた時間は平等ではないのだ? いっそのこと、短くとも平等であれば私は貴方に背くような事など...

 

 

 

 

 

...答える筈もないか

 

 

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「見つけた...見つけたぞ!! 息子よ、私は生と死の境界を崩すものを見つけた!! もう大丈夫だ!! 助かる! 助かるんだ!! この世には魔法のような奇跡も、幸運の到来も存在するんだ! 治ったら一緒に外へ出てそれから...」

 

 

「...」

 

 

「は...ははハハハハハ...それからだ。それから、どうしようか? ダニエル。今日はお前のワガママをなんだって聞いてやる。どんな事をしたい? お父さんがどんな事も叶えて...」

 

 

 

 

 

...応える筈もないか

 

 

 

 

「どうして否定する。どうして否定する!! 私はただ...ただ...」

 

 

 

 

...定めた運命を捻じ曲げようとしただけだ。世界を欺く様な手品をやるだけだ。

 

 

 

 

 

「あ、アアア...ダニ、エル、ウゥッ...息子よ...」

 

 

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「息子よ。ようやく出来たぞ! 今までの玩具と違う。今回のは2つとも特別製だ! 手品師(magician)と、チクタク時計(wheel of fate)...お前も好きだったろう? 今日はお前の誕生日だからな! これでお前をイジメていた奴等を──」

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうするつもりですか? 態々眠っている息子さんにベラベラと長話をして。その、私からくすねたであろうものを利用して作り上げた玩具とやらで。何をするつもりですか?

 

 

「っっっっ...クククくく...今更忠告なぞ知った事か? もう後戻りは出来ない」

 

 

「後戻り? 道を間違えているだけでしょうに」

 

 

「貴様に何がわかる? 子を持たぬ父であろう貴様に何がわかる? わからぬだろうな! 今のこの私の気持ちなぞ! 真にわかる筈もない!!」

 

 

「ですがこれだけはわかりますよ。貴方は父親ではない。ただの科学者らしい科学者だと...科学(アクマ)に取り憑かれた人間だって、ね」

 

 

「ふん! 脅しているつもりだろうが、アレがある限り私は死なない。何故なら、アレは私そのものなのだからな」

 

 

「...そうですか。死者の領域に手を出したものにはもう、現世に戻る資格などない。不死身だろうと、死ねる存在だろうと関係ない。

 

 

 

 

 

 

 

私の忠告を破ったものが天国や地獄に行けると思わない事だ。ドクター・キュリアン」

 

 

 

 

 

 

 

──嗚呼、何故だろうか。

 

 

 

死ぬ間際だというのに、私はこの場面が頭から離れなかった。走馬灯でも特に、あの悪魔の台詞がスロゥに、明確に聞こえてくる。

 

 

 

 

 

 

 

これが、私が崩そうとした死...嫌、違う。

 

 

 

 

 

 

そこには、何度も、何度も、何度も眠りにつく我が息子の姿。

 

 

ベッド、

道路、

病院、

燃えながら、

誰かと一緒に、

何も出来ず、

何をしても意味を成さず、

 

 

 

 

 

永遠の絶望が──────

 

 

 

 

 

 

 

 

ブツン──────

 

 

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「息子さんはどうなったかって? 息を吹き返させましたよ。誤解しないで欲しいのは、別に私は正義の味方でも何でもないです。何せ、彼はうわ言で【父を止めたい】と言った。そして父の方は【アレは私自身だ】と言った。だから息子さんの願いを叶える為、10年以上の孤独と引き換えに救ってやっただけです。バケモノが住んでいるであろう、自分の父親が作り出した地獄でひとりぼっちに」

 

 

悪魔は笑い出す

 

 

「皮肉なものですねぇ。科学に取り憑かれず、復讐に囚われなければ、自分の手で息子さんを助けたいという願いを叶えられた。ですが結果はこのザマ。私のはらわたで息子を永遠に救えないままでいる。しかも、よりによって息子さんは、悪魔である私の手で助かったのですから、事実上の無駄死に。これを滑稽と言わずに何と言うのでしょうか?」

 

 

今日も彼は店を営む

あらゆる商品が並ぶ悪魔の店を営む...

 

 

 

 


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