悪魔の店   作:執筆使い

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久しぶりのコラボスペシャル!

今回はエイリアンマンさんの「とある少女の一人旅」という作品とのコラボとなっております!!

詳しい説明はネタバレになるので省きますが、万能アイテムと強い力を持った少女がある使命の為に様々な世界を旅して色々な問題を解決する話です。

原作では救いようの無い展開にせめてハッピーエンドを! 胸糞な世界及びキャラクターに鉄槌を!! という人にオススメです。ただ、一応R-18作品となっていますので読者の中で18歳に満たない方がいましたら...すいませんが大人になった時の楽しみとしてとっておいて下さい。この作品を楽しんでいる健全な読者の皆様を犯罪の道には走らせたくないので。

一つ注意です。他作者様の作品とコラボをする際、どシリアスになるかコラボして頂いている作品のキャラに(精神的な)大ダメージを与える事に定評のある悪魔の店ですが今回は特にその傾向が強いです。

早い話、アンチ+支離滅裂な内容となっておりますので先に全部言っておきます。


本当、すいませんでした!!!
そういうのが許せる方のみ読む事をオススメします!!
どうしても許せねぇぶっ◯してやる執筆使いという方はメッセージで私に直接怒りをぶつけちゃって構いません!!
それでは始めますので、下にスクロールお願いします!!!





コラボスペシャル「とある少女の一人旅」

 

 

 

 

 

【マスティマ】

ヨベル書に記された悪魔の一柱(厳密に言うならば悪魔を従えた天使)。神に意見した数少ない天使でもある。人を惑わし堕落へ落とそうとし、試練を与え祝福を齎す。皮肉と絶望と堕落しか与えないその在り方に、多くの人々は悪魔らしいと答えたに違いない。その悪魔は自分らに対して憎悪と憎しみを抱いているのだと、多くの人々は思ってたに違いない。

故に、マスティマはそう在り続ける。人々に()()()()幸福を与えようとしないその姿を、誰も正しいとは認めないとわかっていながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜SP78 外科医と内科医〜

 

 

此処は悪魔の店の数ある支店の一つ。見かけ上も内装も唯の喫茶店であるが、検知不可能拡大呪文を地下の一室にかけており予約した会員のみそこに行けるようになっているという知る人ぞ知る名店である。地中だというのに空が在り、山が在り、景色が在る。山の峡にて店員は客の応対をしているが、下の麓にはサイズ的な問題故か巨人らがそれなりの大きさの酒樽片手に乾杯をしている。頂上の方では食い気よりも景色優先の者共が夜空を眺めていた。本日はわりと珍しい貸切という事もあり、また客が客なので店員自らがこの店に出張って応対をしている。また本来であれば従業員(ジェルマ66)が多数居る筈なのだが、依頼が重なって誰も来れないという事で彼と助手のみで数百は下らない本日のお客様の応対している状況であった。

 

 

『6番テーブル、7番テーブルの分。あと10番、8番、3番、2番、っと』

 

 

魔術を使って調理器具を巧みに操り、二の腕も慌ただしく動いて料理を完成させる助手。完成させたそばから皿を浮かせてそれぞれのテーブルへ間違いなく運ぶ様はまさに悪魔の店の助手だ。

 

 

「おっと、すいません。ちょっと通させていただきますよ。本日の主役であろうミキ様とアインズ様にお会計の事をお伝えに行きたいので」

 

 

同様に皿を運びながら人混みを華麗に避けつつ目的地へ向かっていた。長年商売をやっているが故に慣れているのだろう。決して狭くないこの一室において迷いなく、止まる事なく進んでいるのだった。

 

 

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ライオンの群れに羊が近付かない様に、その場所に立ち入るのは相当の実力者でもなければ無理である。別に死ぬ訳ではないが、普通の人であればその雰囲気にのまれ泡を吹いて気絶するのが関の山だ。理由はそれ程の者たちがその場にいる為。別に彼らの誰かが不機嫌だからとか、警戒故に殺気立っているとかではなく素でこうなのだ。そんな場所だから、店員は肩をすぼめながら入り込みお辞儀をして一言。

 

 

「いやぁ、緊張しますねぇ。流石はナザリックの者達及びサノスの娘ですよ。思わず鳥肌が立ちました」

 

 

面々は、口にこそ出さないが彼の言葉が嘘であると看過している。ハイエナが一匹無理矢理にも入り込んだのだ。しかも、下手をすればこの場の面子全員を咬み殺せるほどのハイエナである。決してそんなつもりはないのはわかっているが、店員が貼り付けている作り笑顔に既に何人かは臨戦体勢に入っていた。

 

 

「お客様方、そう殺気立たなくとも私は何もしませんよ。どこの世界にお客様に理不尽に手をあげる従業員がいますか。ただ単にお会計の件で話があるだけなのですが...」

 

 

そう言われて、立ち上がったのは1人の少女。店員よりも背丈が低く、他の面々に比べれば普通の人間の姿をしている。彼女は見下ろしている店員に近付く。誰が見ても可愛らしい普通の人間の見てくれをした少女が、人に限りなく似せていて見れば見るほど引き込まれてしまうと感じるナニカに怯みなく近付いて口を開く。

 

 

「私が話そう。どうせ、貴様の事だ。()()だけで終わらないだろう?」

 

 

「そうですか...あー、会計に関しては場所を移して話したかったんですがねぇ。不細工な私が可愛らしい少女を連れて2人きりという絵面*1とかやっぱ駄目でしょう流石に。アインズ様と話をしたかったのですが...」

 

 

「あいつは仕事を終えたばかりで疲れている。見ればわかるだろう。これ以上奴の存在するのかどうかわからない胃を殺す気か?」

 

 

「...承知しました。では後で物凄いよく効く胃薬を沢山持って来ましょう。どういうわけかこの場にいるみなさん顔色が悪いみたいですしねぇ。酒の飲み過ぎですか?」

 

 

お前のせいだよ! と皆口々に言いたかったが、あえて全員心の中に押しとどめた。言ったところで目の前の男は絶対すっとぼけるだろうし。素人では絶対感知できないレベルの殺気に近い雰囲気を天然で出しながらキョトンと首を傾げられても笑えばいいのか怯えればいいのかわからないし。という理由からだ。

 

何も言わないので肯定と解釈した店員はどういうわけか感じる嫉妬の様な視線*2に疑問を抱きつつも、では早速と道を先に進みこれから話す場所へと案内する。少女──名前をミキと呼ぶ彼女はその道の後を付いて行き2人はその場を後にする。

 

 

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「さて、この辺でいいでしょうかねぇ」

 

 

複雑に入り組んだ道を抜けに抜けた先にあったのは、森の中の周囲に一つ佇んでいる小屋だった。ところどころ汚れがあったり、苔が生えていたり、まるでずっと昔からある小屋の様にそれはあった。だが、流石にそこまで汚れた場所に客を入れるわけにもいかないので店員は近くに椅子とテーブルを出現させ、腰掛ける様に施す。

 

 

「ここは...?」

 

 

「タイムカプセルの様なものです。申し訳ありません。別にこれを見せたいのではなく、ただ単にひと気のない場所がここしかなかったのですよ」

 

 

少女はそうか...と一言言って座った。それに続き店員も腰掛ける。どうやら何も仕掛けはないようだ。少女は目の前の男に対し警戒を解いた。

 

 

「さて、伝票を渡すその前に...どうも私に何か言いたい事があるようですが。一体何でしょうか?」

 

 

「...貴様は、何を考え、何の為に行動している?」

 

 

男は答える。

 

 

「それはお客様が良く知っているでしょう。私は多くの人から依頼を受けて、1人寂しく人間の魂を嘲笑いながら食べて生活している陰険悪魔ですよ。多くの人が抱く悪魔のイメージ通りの事をするのが貴女の目の前にいる男です」

 

 

「だとしたら何故ナザリックを、私をこの店に招き入れた? 余程の馬鹿なのか?」

 

 

馬鹿──その言葉を聞いた店員は、ただ笑っている。まるで子供の悪態を見て微笑ましく思っている大人の様な表情だ。流石にパンダに言われたら笑顔で一発殴るが、彼女に言われた所で店員に怒りなんぞ浮かばない。その姿を見たミキは、かなり不機嫌となる。舐められていると感じたからだ。

 

 

「ただ単に、お客様がこの店を選んだからですよ。私は昔から自発的に動けない体質でしてね。動こうとした時にはいつの間にか──」

 

 

それ以上の言葉を言えなかった。少女とはそれ程親しい訳でもなく、言ったところで決して意味のない事だとわかっているからだ。それに、客を沈ませる店員が何処にいようか。男は古き少女を掻き消して、心と顔に笑みを貼り付ける。そして全く別の、目の前の少女に都合が良く詮索されない言葉を理由として代用するのだ。

 

 

「お客様が来るものですから、いつも準備に遅れてしまうんですよ。ほんと」

 

 

「...」

 

 

「ああ、そうでした。それでお代の件ですが──」

 

 

そう言って、店員が取り出したのは伝票と一つの杯だった。このタイミングで何故杯を、というのもあるがその場で少女が感じた違和感はそれだけではない。世俗に疎めである少女も杯の本来の在り方を知っている。神事や約束事で使用するものであるから、どんな色であれ汚れ一つなく綺麗でなければならない。自分が潔白であるという証明に他ならないからだ。

 

 

「随分と、悍ましいものだ」

 

 

睨むのも無理はない。店員の笑みよりもそちらに目がいってしまう。人というのはどうしようもなく興味に惹かれる生き物だ。初めてのものであればなおさら。少女にとって、これ以上のものは知らないのだ。濁りきった杯が睨み返している気がした。それ程まじまじと見つめていたのだ。

 

 

「特別サービスです。こちらは、どんな願いも叶えてくれるという聖なる杯*3──を参考に私がゼロから作り上げたものです。ホワイトデーで仕返し、ゲフンゲフン、お返しにと作ったのですが渡せそうにもありませんでしたからねぇ」

 

 

「私が悩んでいると、貴様の目にはそう見えるのか?」

 

 

「見えなくとも、全ての存在はいつも悩んでいるものですよ」

 

 

「右腕のこれですら叶えきれない願いだとしても、それは叶える事が可能なのか?」

 

 

「ええ。これの凄いところはですね、普通の人が扱えば

『ふざけるな...ふざけるなッ! 馬鹿野郎ッ!!(cv:吉良吉影)』という結果になるでしょう。ですがお客様がそのままお使いになればあら不思議! 貴女にとって、父親(サノス)にとって、()()()()()()()()()()という事なんですよ」

 

 

最高の形、という言葉の意味を理解した少女は立ち上がり店員の胸倉を掴んだ。つまり男は少女に対してこう言いたいのだろう。

 

 

「貴様、父上の信念を悍ましいと言ったな...この杯でしか叶えられない程悍ましいものと蔑んだな!」

 

 

男は首をかしげる。それが可笑しいと言わんばかりに笑い出す。憎悪の象徴と言わんばかりにあざ笑う。

 

 

「だってそうでしょう? 貴女は、貴女の父は、一度でも他人の顔を見たことがありますか? 様々な旅を経て様々な問題を解決し、調和を齎す際に、人の顔を見た事はありますか? 覚えていますか?」

 

 

言葉に詰まる。目に映る事はあれど、自発的に見た事など無い。分析の時に観察はするが、顔では無い。言葉に詰まった。言い返す前に既に店員の口が開いている。

 

 

「例えるならば、どんな病気も切り落とす外科医といったところですか。カルテを見て、メスを持って、患部だけを見て、まるで機械の様だ。その気になれば、身内切りすら出来てしまう。そんな人物に誰が笑顔を見せるでしょう? 醜い醜いそいつの行き着く先は──孤独です」

 

 

「...っだ、まれ」

 

 

声が掠れる。上手く呼吸が出来ない。

 

 

「義理など要らないんですよ。それ程までに歪んでいるそいつの言う事など聞かなくとも良い。原因を取り除くことが出来たとして。便利なアイテムを持っていようが、多くの仲間に囲まれていようが、貴女が貴女でいる限り、何も救えやしません。父親さえもね。

 

 

 

 

せいぜい私がほくそ笑むだけだ

 

 

 

首がへし折れた。胸倉を強く掴まれた影響だろう。男はそれ以上を言うのをやめた。首の骨が折れても喋る事は出来るが、これ以上言っても無意味だと悟ったのだろう。少女が手を離しても咳一つせず無言だった。

 

 

「...父上が託したコレに応える為に私はいる。誰かに尊敬される為ではないし、仲良しごっこをする為でもない。1人になろうとも、私は旅を続ける。全てが敵に回ろうとも」

 

 

「...」

 

 

「父が果たせなかった願いは、いつか私が叶える。永遠に叶え続ける」

 

 

杯をガントレットで消す。白紙の伝票には目もくれず、男を通り過ぎて少女は仲間の元へと戻る。店員は笑みを浮かべたまま首の折れた節を空いた両手で無理矢理直した。軋む音と鈍い痛みがあったが、彼の表情は揺らがない。卓の上の伝票をそっと懐にしまい、少女の背中に向かって口を開く。

 

 

 

 

「でしたら、決して後悔をしない方がいい。戸惑わなければ尚いい。振り返る事は絶対にするな。それをした瞬間、待つのは永遠の地獄なのですから。その決意が一瞬でも揺らげばお客様は...

 

 

 

私の絶好の餌になりますからねぇ

 

 

 

悪魔は笑い出す。

 

 

 

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......................

 

.............

 

 

「歪んでいる。ええ、歪んでいますとも」

 

 

箒片手に店員はこちらを向く。

 

 

「警察も、消防士も、医者も、自衛隊も、ライトノベル及び小説に出てくる殆どの主人公でさえも、それにすら満たない私でさえも─────依頼(カルテ)台本(データ)しか見ない。困っている人の泣き顔も、助かった人の笑顔も、今まで食べたパンの枚数も、目を向けやしないで動いている」

 

 

憎悪を込めてこう言った。

 

 

「コレを機械と言わず何と言う? 人でなしと言わず何と言う? 歪んでいると言わず何と言う? 違う世界の生き物と言うしかないから、いつまでたっても尊敬されず、孤独なんですよ。所詮は」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ご主人様、何処に向かって喋っているのかはわかりかねますが手を動かして下さい。途中で放っぽり出したんですから』

 

 

「おっと、それは失礼しました。ザイ」

 

 

 

今日も男は店を営む

ありとあらゆる商品が並ぶ悪魔の店を営む...

 

 

 

*1
どちらかといえば見惚れる程端正な容姿の帽子屋が可愛らしいアリスをお茶会に誘う絵面である

*2
助手によるもの

*3
2004年まで冬木に存在していた曰く付きの願望器






あちらの作品のファンの方々及び、エイリアンマン様、散々待たせておいてこの様な内容になってしまい誠に申し訳ございません。

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