悪魔の店   作:執筆使い

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因みに

ノイマッド…黒いスーツを身にまとっていて、右手には黒い手袋、左目には黒い眼帯を付けている。

ミロク…青、黄色、白、赤、後はわかるな? (ノイマッド曰く、色んな所から怒られそうな姿)






劇場版;中編

 

 

 

「先ほどはありがとうございました!」

 

 

「礼はいらねぇ。それよりも...奴が言うぐらいなんだ。お前は随分なワケありなんだろ?」

 

 

ノイマッドは少女に確認を取る。長年共に旅をして来たため、彼がこういった勘に関しては優れているとわかっているのだ...そのせいで頭痛が絶えなかったりはするが。

 

 

「えっと...それは...その...」

 

 

「...」

 

 

彼女の容量を得ない喋りに、あからさまには出さないもののイライラを募らせるノイマッド。それは威圧として表に現れ、余計に彼女に言葉を言わせない様になってしまっている。

 

 

「早くしr「もうジャッ君ってば、君は一度女性との話し方を勉強すべきだと思うよ」...別に怒鳴っちゃいないだろうが」

 

 

「無言の圧力を掛けてる。君の悪い癖だ。人...特に女性と話す場合はこんな風に笑顔で相手を安心させるよう話しかけなきゃ」

 

 

見兼ねたミロクがノイマッドに指摘する。長年共に旅をして来たため、彼がこういった人付き合いが苦手なタイプだというのがわかるのだ...割と自分も人の事言える立場ではないが。

 

 

「出来るわけねぇだろうが。想像してみろ、俺が笑顔で、丁寧語で、人を安心させる風な雰囲気で話してる光景思い浮かb「うん、無理だね。聞いた僕が馬鹿だった」即答はやめろ!!」

 

 

粗暴なノイマッドをふざけた調子で和やかにするミロク、その様子を見て先程の陰りを少し晴らした少女はいつの間にか笑顔になっていた。

 

 

「お二人は仲良しなんですね」

 

 

「「勿論/違う!!」」

 

 

人気の少ない夜中の路地裏にて、二人の叫び声が木霊した。

 

 

..................................

 

....................

 

............

 

 

「まさかお二人が外からやって来た冒険者とは思いませんでした」

 

 

数十分後、3人は北西と西のメインストリートに挟まれた区画にある教会の隠し部屋にいた。というのもノイマッドとミロクはある者達に追われている身で、宿に泊まるのはリスクが高い可能性がある為野宿をしようと思ったが、少女が恩返しのつもりで自分が使っている住まいに匿って貰っているという訳である。因みに2人が教会に居て浄化とかされないのか? と思われるかもしれないが、余裕で大丈夫だったりする(ノイマッドに関しては仮に聖なる光を直で浴びても全く問題ない。寧ろ逆効果)

 

 

「...さっきは...その...あのだな...すまなかった」

 

 

教会に入って、ノイマッドは先程のことで謝る。戦闘においては血も涙もない冷酷な悪魔で通ってはいるが、その実かなりの不器用な性格の持ち主なのだ。

 

 

「いえ、私がもう少しはっきりと言えば良かったので...」

 

 

そして、少女もどちらかと言えば人付き合いが苦手なタイプである。初対面...ましてや恩人に対して、そうはっきりと礼が言えるほど肝が座っていなかった。

 

 

「はいはい。辛気臭いのは一旦ここらでやめにするよ」

 

 

パンパン! とない筈の手を(恐らく袖だと思われる)叩いたミロクは状況を整理する為今後のことについて話す。

 

 

「まず、ここがどういった場所なのかだけど...ごめん。説明をお願いしても良いかな? 僕たちはここに来たばかりで右も左もわからない状況で」

 

 

「ええ、基本的なものであれば...」

 

 

少女はここがどういった場所なのかを説明する。曰く、ここオラリオと呼ばれる町はモンスター達が巣食うダンジョンの上に建っていて、今から200年前に神々が降りたった事も関係して現在は多くの人が遥々やって来る程白熱した場所である。

 

そして、この街に住む際に切って離せない程重要なのが、ファミリアと呼ばれる神々の派閥である。

 

 

「有名なのですと最も巨大な勢力を持つゼウス・ファミリアとヘラ・ファミリア。その二つと小競り合いをしているロキ・ファミリアとフレイヤ・ファミリア」

 

 

「ジャッ君が殴り飛ばしたのはロキ・ファミリアの団員だね」

 

 

「『蹴り飛ばした』だ。それに進路上にいたあいつが悪い」

 

 

割と容赦のない事をいうノイマッド。まぁ、吹っ飛ばされた男はファミリアをかさに威張り散らしていた暴君なので(一応レベルは3なので、実力はあるにはある)別に気にする事でもないが。

 

 

「...」

 

 

「どうした?」

 

 

表情に陰りを見せた少女に、ノイマッドがそう聞く。

 

 

「そういった中でも非人道的な行為や違法がまかり通っているファミリアが闇派閥と呼ばれ...私はそこにいました」

 

 

「...」

 

 

生まれた時から彼女は1人だった。誰からも必要とされなかった彼女を拾ってくれたのは、自分の能力を利用しようと考えていた闇派閥。そこでも彼女は一人ぼっちだった。何度涙を流したかわからない。それでも彼等は自分や、他者に非道な行為を行なっていた。全ては自分の欲望を叶える為に...

 

 

「それで、命からがら逃げて、今に至るって訳か」

 

 

「はい...私は...私は...「それ以上は言うな」

 

 

ノイマッドは少女が言う前に手で制する

 

 

「ぐちぐち泣かれるのは気分が悪い。俺が聞きたいのは、お前の過去の愚痴じゃなくて、未来の願いだ。お前がクソみたいな場所から逃げて来たのはわかった。それで、これからどうしたいんだ?」

 

 

「...自由でいたい。一人ぼっちになりたくない!!」

 

 

少女は泣きながら自分の思いを吐き出した。その願いを聞き、笑みを浮かべるノイマッド。

 

 

「じゃあ約束だ。お前がぐちぐちと泣くのをやめて、どんよりした態度を改めれば俺と、この着ぐるみ野郎が願いを叶えてやる。それで良いな?」

 

 

「はい!!」

 

 

少女に笑顔が戻るのだった。

 

 

「別に僕は手伝っても構わないけど、当てはあるの? ジャッ君」

 

 

「...」

 

 

図星を突かれたノイマッド。何も言えずに押し黙ってしまった。

 

 

「全く、僕が居て良かったね〜」

 

 

「テメェは当てがあるのかよ?」

 

 

「昔から言うじゃ無い。餅は餅屋ってね」

 

 

着ぐるみ男はお腹のポケットから一枚の板を取り出す。『神様』と書かれているそれを見て、長年共にした相棒は今から彼が何をするのかを理解し、同時に物凄く嫌な予感がしてしまい頭痛を引き起こした。

 

 

..................................

 

....................

 

...........

 

 

「無事、ギルドに申請が通ったよ〜。これで666ファミリアの完成だ」えっへん

 

 

「神々に脅迫(それぞれの過去の痴態を晒した写真を見せ付けたり、恥ずかしい秘密を暴露しようとする)して血判状貰ってんじゃねぇよ!? あの後収拾させんの大変だったんだぞ!? 偶々その場にいたエルフや神々に『こんな上司を持って...大変ですね』みたいな憐れみの視線を向けられる俺の身にもなってみろ!!」

 

 

「...あの、一つ聞きたいんですが。確かファミリアの申請って神しかできない筈ですよね。それなのに何でミロクさんが「気にしなくて良い。これは先輩からのアドバイスだが、あいつのやることなす事をいちいち気にしてたらストレスで寿命が縮む」...成る程」

 

 

「これで堂々と他のファミリアから情報収拾出来る上に殴り込みに行けるよ。やったねジャッ君!「おい馬鹿やめろ」

 

 

前者は兎も角、後者に関してはファミリアにそんな権限など無いにであるが...そんな事は着ぐるみを纏った男には御構い無しだった。

 

 

 

To be continued...

 

 

 


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