「はー...他の作品が行き詰ったから息抜きにもう一つ書こうと思ったんだけど...なんかピンとこないなぁ...ん?あれ、俺いつの間にこんな所に...あそこに在るのは喫茶店か?部活帰りだけど...どうせ今日は親の帰りも遅いし、一服しますかね。」
カランと鳴るはドアの音
コロンと鳴るはベルの音
悪魔の店には何でもあります
お客様の願いや要望を必ず叶えて差し上げます
さてさて、今日のお客様は?
~ep25 執筆~
「いらっしゃいませ。今日はどういったご用件でございましょうか?お客様。」
「コーヒーを一杯、頼めますか?」
「成る程...少々お待ちを。」
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「お待たせしました。当店のオリジナルでございます。」
「ありがとうございます...」
「いかがですか?」
「...苦い。」
「そりゃあコーヒーですので。ひょっとしてお客様は...」
「まだ未成年です。今部活帰りって所で...」
「どおりで...何か武道でも...」
「まあそんな所です。はぁ...」
「おやおや、そんな溜息をついてどうしたのですか?」
「ちょっと愚痴...聞いて貰ってもいいですか?」
「いいですよ。」
「ありがとうございます。実は俺小説を書いてて...」
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「評価の一言欄にンゴwwwwなんて書かれた日にはもう...」
「それはそれは」
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「どんなに色んな作品を書いても無言で低評価する人ばかりで...」
「ふむふむ」
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「はぁ...結局俺って駄目な小説家なのかなぁ...って思っちゃうんですよ。」
「ふむ...お客様は小説が嫌い、或いは怖いと思ったことはありますか?」
「え?いやいや全然。寧ろこんな小説でも読んでくれている読者がいて嬉しいな...って思って書いてますよ。」
「それで十分ですよ。作者が小説を書くのは読者を喜ばせる為、それでいいじゃないですか。」
「そうですね...ありがとうございます。あ、もうこんな時間...とりあえずこの辺で」
「おっと、お客様。お代は結構ですよ。忠告を聞いてさえくれれば。」
「忠告ですか?」
「どんな事があっても、挫けないでください。」
「...はい!」
Side C
「良かったな...あの店と店員。」
店の雰囲気といい、こんな若者の愚痴を聞いてくれる優しさといい、忠告(アドバイス)といい...ほんといい人だな。
「...今なら何かもう一作品書けるかもな。」
バトルものばかりだから、ここは一転してホラーにするか。ミステリアスで、不条理で、それでいてどこか優しさのあるホラーを。
「あの喫茶店...決めた!この作品のタイトルは...」
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「まさかこの店に普通のお客様がやって来るとは思いませんでしたねぇ...」
悪魔は笑い出す
「ですが彼もまた、悩んでいたのでしょう。これからどうなるのやら...」
今日も彼は店を営む
あらゆる商品が並ぶ悪魔の店を営む...