「昔々...一人の少女が居ました。名前はジル。彼女は友達欲しさの為に一人の悪魔を呼び出します。名前は...」
カランと鳴るはドアの音
コロンと鳴るはベルの音
悪魔の店には何でもあります
お客様の願いや要望を必ず叶えて差し上げます
さてさて、今日のお客様は?
~ep29 童話~
「本日はどういったご用件でございますか?お客様。」
「おとぎ話の世界に行きたいの!!」
「成る程。そういうことでしたら...少々お待ちを。」
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「こちらでございます。」
「指輪?」
「これをはめて本に触れていただければその本の世界に入ることが出来ます。」
「買います!それでいくらで...」
「お代は結構ですよ。忠告を聞いてさえくれれば。」
「忠告?」
「現実に戻りたくないなどと、心に思ったら駄目ですよ。」
Side C
「一度入ろうと思ってたんだ。『シンデレラ』。」
確かこれをはめて...
「これでよし!!」
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『気を付けて。魔法は12時に解けてしまうわ』
「わかってます。」
いいねいいね。ついさっきまでこき使われたけどオチを知ってる私にとってはへのカッパだもんね♪ドレスにしてもらったし、カボチャの馬車だし、もう最高!
「では、行ってきます!」
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こうして、シンデレラは無事王子様と結ばれることとなったのです。彼女は欲しいものがすべて手に入りました。綺麗なお洋服、美味しい食事、たくさんの富、そして優しい王子様。時々姉たちがおこぼれを貰おうと城に来るのですが、シンデレラは門前払い。最初は美しかった心もみるみる内に薄汚れてしまったのです。
「もう現実には戻りたくないな~。こんな幸せな生活だもん。何不自由なく暮らせるんだから、おとぎ話って最高だね。」
それはまさしく、姉たちが馬鹿にしていた灰かぶりの少女...シンデレラそのものだったのです。そして少女は後に...
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『こうして悪魔と少女はいつまでも幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし』
悪魔は本を閉じる
「人間は都合のいいことしか見ない生き物です。めでたしめでたしのその先に何があるのか...考えたことはありますか?」
今日も彼は店を営む
あらゆる商品が並ぶ悪魔の店を営む...