カランと鳴るはドアの音
コロンと鳴るはベルの音
悪魔の店には何でもあります
お客様の願いや要望を必ず叶えて差し上げます
さてさて、今日のお客様は?
〜ep30 未来ドロボウ〜
「いらっしゃいませ...おやおや、お客様。失礼ですがおいくつですか?見た目はお若いのに...」
「やはり気付いてましたか。流石は噂に名高い悪魔の店ですね。」
「貴方こそ、どうやらこの店の事を良く知っているようで。」
「長く生きていると色んな事が解ってしまうんですよ。」
「...流石は大脳生理学のスペシャリストですね。」
「そこまでお見通しでしたか。」
「長く生きてると色んな事が解ってしまうんですよ。」
「面白い人だ。貴方は。」
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「『少年老い易く 学成りがたし 一寸の光陰 かろんずべからず』この言葉をご存知ですか?」
「少年である時間は意外と短い...若いうちはまだ先があると思って勉強に必死になれないが、すぐに年月が過ぎて年をとり、何も学べないで終わってしまう、だから若いうちから勉学に励まなければならない。という諺ですね?」
「ええ...私の少年の頃からの座右の銘でした。それに従い、私はひたすら勉学に打ち込んだ。春も...夏も...秋も...冬も...気付かぬうちに通り過ぎてしまった。私は巨万の富を手に入れたが、それと引き換えに大事なものを失ったのです。」
「だから貴方は今その姿でいる。それでどうでしたか?貴方が失った大事なものを味わえたご感想は。」
「楽しかった。幸せだった...嫌、幸せすぎたというのが正しいかもしれない。不公平だったんです。私とあの少年が結んだ取引は。」
「...どうしたいのですか?」
「わかっているでしょう。」
「勿体ない。もう二度と味わえないものなのですよ。」
「だからこそ、元の持ち主に返すのですよ。それに、僅か数日であったが数十年にも当たる充実した毎日だった。もう思い残すことはありません。」
「...貴方はお強い人ですね。普通でしたら中々手放せないものです。」
「私は弱いですよ...どうしようもなく。それでは、この辺で。」
カランコロン
「真にありがとうございました。」
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「これからの毎日を一日一日大切に生きる...意外と難しいものです。ですが、やろうと思えばできるのもまた事実。彼は後になってそのことに気づきましたが、貴方達はどうでしょうか?」
今日も彼は店を営む
あらゆる商品が並ぶ悪魔の店を営む...
10月『31』日 何かが起こる!...かも。