悪魔の店   作:執筆使い

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第44話

カランと鳴るはドアの音

コロンと鳴るはベルの音

 

 

 

悪魔の店には何でもあります

お客様の願いや要望を必ず叶えて差し上げます

 

 

 

 

さてさて、今日のお客様は?

 

 

 

 

〜ep44 加速〜

 

「本日はどういったご用件でしょうか?お客様。」

 

 

「時間が欲しい!俺は何時も時間が足りないんだ!!」

 

 

「成る程。そういう事でしたら...少々お待ちを。」

 

 

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「此方でございます。」

 

 

「ヘルメット...ですか?」

 

 

「此方を付けるとあら不思議!貴方の周りの時間は遅くなるでしょう。しかも肉体に負担や衰えが発生しない親切設定。」

 

 

「衰えがない...という事は。」

 

 

「はい。良くある、使い過ぎて早く年老いてぽっくり...何てことが存在しません。」

 

 

「買った!!早くしてくれ!!」

 

 

「おっと、お代は結構ですが1つ忠告を守ってもらいます。」

 

 

「忠告?兎に角早くしてくれ。」

 

 

「適度な休憩も挟んで下さい。」

 

 

 

 

 

Side C

 

 

「良いぞ!本当に効果があるとは!!」

 

 

これを付けてから仕事は捗る。そして数ヶ月に一回の休日が毎日に増えていった。その上全くデメリットが存在しないっていうから気兼ねなく使える。

 

 

「あの店員は何か忠告してたけど...ま、いっか。」

 

 

別に老ける訳じゃないし、自宅にいる時はずっと付けても大丈夫だろ。

 

 

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「ふわ〜、あ。こんなにぐっすり寝てもまだ少ししか時間が経ってない。どうせだしヘルメット外してネットでも見てみるか〜。」

 

 

フラッ...

 

 

「ん?なんか...気のせいか。睡眠不足とは無縁だし。さーてネットネット。」

 

 

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「...はっ!?...あれ?俺今ボーっとしてたのか?」

 

 

可笑しいな。全く疲れてないんだけど

 

 

「一体ど...う...」

 

 

あ...れ...視界...

 

 

 

フラフラ...バタン

 

 

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男は人差し指を立てる

 

 

「まず一つ。実はこの商品は走馬灯を利用したものでございます。早い話が反応速度と反射運動を格段に上げる代物です。」

 

 

中指を立てる

 

 

「二つ。勿論ずっと走馬灯に近い現象を装着者の脳みそが発生させてますので当然そこの負担は馬鹿でかい。だから私は『肉体』の負担や衰えはないと言ったのです。」

 

 

薬指を立てる

 

 

「三つ。では何故気付かなかったか?実は多くの人が勘違いしていますが脳自体に痛覚神経といった代物は存在しません。ですから仮に脳みそだけ削れる(硬膜など除く)、なんて事があっても痛みを感じることはありません。」

 

 

悪魔は笑いだす

 

 

「まぁそもそも...こんな店に来て、しかも忠告を聞かなかったのが悪いのですが...流石にそれを言っては元も子もありませんねぇ。」

 

 

今日も彼は店を営む

ありとあらゆる商品が並ぶ悪魔の店を営む...

 

 


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