「噂の悪魔の店を営んでる奴がどんな野郎かと思ったら...こんな餓鬼かよ。」
そう言われた子供は喋る代わりにペンとスケッチブックを取り出す
カキカキ
『僕はご主人様の助手です。それに餓鬼じゃありません。これでもお客様より年上ですよ。』
こんにちは、皆さん
僕の名前はザイ
数百年もの間ご主人様の助手をやっています
本日ご主人様は別の世界へお出掛けしてますので、代わりに僕が依頼主の元へ行く事になりました
まだまだ未熟でありますが、どうかよろしくお願いします
腕前まだまだ半人前
それでも主の為頑張ります
ポケットの中をご覧あれ
願いや要望叶うでしょう
今日の依頼主は誰ですか?
~ep53 布切れ~
今日のお客様は病人です。どうやら僕を信用してないみたいですね...失礼な。
「で、例の物はあるんだろうな?見るからに胡散臭いチビ野郎。」
ムカッ
『ありますよ。だから慌てないで下さい。』
えーと確か...この辺に...
『ありました!こちらでございます。』
「ポケットの中から...カーテンだと。」
『買う気になりましたか?』
僕はポケットの中からご主人様の作った商品を取り出すことが出来るんだ。というより、店にあるもの全部と言った方が正しいけど。
「買う!?幾ら出せば良い?!」
漸く信じてくれたみたい。僕の場合、何故かこうしないと信じてもらえないんですよね...
『お代は結構ですよ。忠告を聞いてさえくれれば。』
「忠告?」
それにしても楽しみだな...
『外に出ようとしない様に』
お腹が減ってしょうがないよ...
Side C
「此処に取り付けカーテン窓とカーテンを閉めれば...」
嘗て、この屋敷は人が沢山いた。妻と使用人が沢山いた。けれどみんな俺を残して逝ってしまった...生まれてはじめて俺は空白を味わった。どんなものを得ても喜びを感じる事が出来なかった。
シャァァ!!
「だがそれも今日までだ。」
ああ、これだよ...今俺には孤独が感じられない。だって目の前には彼奴らが居るのだから。
「なぁ、お前ら!」
「ーーーー」
「ーーーー」
「...声は聞けないんだな。」
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「ーーーー」
「ハハハハハッ!そうか、そんな事があったのか...」
「ーーーー」
「ハハハハハッ!そうかそうか...」
「ーーーー」
「ハハハハ...」
「ーーーー」
「...ああ、わかってるよ。どうせこんな光景を見た所で心なんて一切満たされない。寧ろ辛くなるだけだって。」
だったらどうすれば良いんだよ...どうすればお前らに触れて、会話して、幸せを感じる事が出来るんだよ!!
「ねぇ貴方。こっちに来て...」
「...」
「そうですご主人様。そうすれば...」
ああ!そうだった。凄い簡単な事じゃないか。
「そっちに行けば会えるんだね。お前らに。」
きっと窓の向こうに行けば...
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『う〜ん...どうしてこうも簡単に忠告を破るんだろ、人間って。』
助手は正体を表す
『さて...魂はご主人様の為に残しておくとして...』
助手は両手を合わせる
『もう我慢出来ないや。』
黒い竜は口を開く
「イタダキマス」
ガジュ ブシッ
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『知らないって幸せって事なんでしょうね...ご主人様に何れ魂を食べられるまでの間は夢を見れるんだから。』
今日も助手はお客様の元へと向かう
あらゆる商品が詰まってるポケットを持ってお客様の元へと向かう...
キャラ紹介
ザイ
数百年間悪魔の助手を務めている子供。滅多に仕事に出る事がない、普段何処で何をしているか不明、店員と一緒にいる事が余り無い事からその姿を見る事はある意味幸運である。その正体は店員同様謎に包まれている。因みに本編初登場ではない模様。