腕前は既に一人前
...全ては目的を果たす為
私の魔法をご覧あれ
どんな願いだろうと叶えて差し上げます
本日はどういったご用件ですか?
~ep56 マラソン~
長年私たちが住む【No War】という国はその名の通りずっとどことも争わず、平和を維持していました。ですがある日を境に他の国々から格好の標的にされてしまいました。何せここは平和の国ですから対抗できる武器がある筈もなく、ましてや長年続けた非暴力を破るわけにもいかなくて...渋々敵国の要求を呑むことで何とかこの国は滅ぼされずにはいますが...
「ふむ...そうですか。わかりました。少々お待ちを」
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「魔方陣は...これでよし」
パチン!!
ドォォォォォォォォォン!!
「巨大な...白い球体?」
「こちらは私が0から作り上げた物の中でも三本の指に入るであろう傑作でございます」
「これが...?」
「これは何よりも平和な兵器であり...何よりも凶悪な兵器であります。一応確認はしておきますが、よろしいのですね?」
「...わかりました。これが貴方の言うとおり何よりも平和な兵器というのならば...私どもは喜んで使わせていただきます」
「その言葉が聞きたかったのですよ」
悪魔は笑い出す
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「...」
悪魔が訪れていたのは、嘗て国があった場所
「...千年は持たなかった、さしずめ200年あたりですか」
嘗てここには平和な国が存在していた
彼らはとある旅人から譲り受けた巨大な白い球体を守り神として奉っていた
敵が矢を放てば守り神は数多の矢を放つ物体へとなり、銃を撃てば守り神はより強力な銃を無数に持つ物体へと変身し、強力な武器を使えばより強力な武器に...
いつしか国民の多くがそれを私利私欲に、この力を使って多くを得てやると考え始め行動に移した
それを聞いて黙っていないのが他の国々である
何よりも凶悪な兵器を持つ一つの国と
その他すべての国の戦争
それは全てを焼きつくし、最後に残っていたのは
バケモノとなっていた守り神だった
「恐らく今もどこかでアレは破壊か平和をもたらしているのでしょうねぇ...」
石碑を見やる
『
「平和を愛していた貴方の決断が生み出したものはマラソンでしたよ...どうしようもなく悲しく、血をたくさん流すマラソン」
悪魔は笑い出す
「終わりの見えない、全てを失うだけの無意味なマラソンでした」
今日も彼は職務を全うする
例え何が起ころうとも...