悪魔の店   作:執筆使い

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第58話

カランと鳴るはドアの音

コロンと鳴るはベルの音

 

 

 

 

悪魔の店には何でもあります

お客様願いや要望を必ず叶えて差し上げます

 

 

 

はてさて、今日のお客様は?

 

 

 

~ep58 減量~

 

 

「本日はどういったご用件ですか?お客様」

 

 

「痩せたいの...兎に角何でもいい!!痩せたいのよぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 

「そうですか...それでしたら丁度いいものがありますよ」

 

 

「本当ですか?!」

 

 

「ええ、お客様の要望を叶えるものなら何でもございますので」

 

 

「ありがとうございますぅぅぅぅ!!」

 

 

「それでは、少々お待ちを」

 

 

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「こちらでございます」

 

 

「薬瓶...?」

 

 

「こちらに入っている薬を飲めばあら不思議!どんなことがあっても絶対に痩せることが出来るでしょう」

 

 

「買います!お幾らなんですか?!」

 

 

「お代は結構ですよ。忠告を守ってさえくれれば」

 

 

「忠告、ですか?」

 

 

「一週間に一度、それも一粒だけの服用としてください」

 

 

 

 

 

 

 

 

Side C

 

 

「一粒でいいんだよね...」

 

 

痩せたい。私にそう言った欲求が出来始めたのは随分前の事だった。何度も私はダイエットを実行したが出来なかった。理由は簡単、精神力が弱いからだ。どんなに我慢しても結局食べてしまう。それでも痩せたい気持ちは変わらなかった。だから私は悪魔にすがるような思いであそこに来た。

 

 

ゴ...クン!

 

 

「...これでいいのかな?」

 

 

とりあえず外に出かけてみよう。家に居ても暇だし。

 

 

 

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「...ふぅ。とりあえず商店街まで来ちゃった」

 

 

美味しそうなお店がいくつもあるな...どんなことがあっても痩せることが出来るって言ってたから食べても大丈夫だよね?

 

 

「何にしよっかな~...良し!たまにはがっつりとしたものにしよう!!」

 

 

そうと決まれば...え?

 

 

『在庫切れ。本日の営業は終了しました』

 

 

「ごめんな姉ちゃん。丁度いま売り切れになっちまったんだよ」

 

 

「...そんなぁ~」

 

 

良く見ると他の店も同じようなタイミングで店じまいしているし...仕方ないから少し遠出するか

 

 

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............

 

 

「嘘...でしょ」

 

 

100件ぐらい回って全部店じまいって...コンビニは工事中で使えないっていうし、何の冗談よ。今日はあの薬一粒しか口に入れないし...あああああああああもう!!!

 

 

「仕方ない...家で何かありあわせのもの使って食べよう」

 

 

せっかくの休日が台無しよ...

 

 

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「ただいまー、さて...」

 

 

ガチャ

 

 

「...しまった!?そういえば今日は外にしてたから食材無いんだった!?」

 

 

...どうしようどうしようどうしよう。祭日だから恐らく近くのスーパーも閉まっているし...

 

 

「もうおなかがすいて限界だよぉ...」

 

 

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............

 

 

お...なか...すいて...

 

 

「何か口に入れたい...ひもじい...ダイエットなんてもう嫌だ...」

 

 

口に入れるもの...もの...!

 

 

「あの薬...この際何でもいいわ」

 

 

口に入れば何でもいい。ダイエットのための薬だけど食べなきゃ...食べなきゃ!!

 

 

ジャラララララララ

 

 

バリボリバリバリバリ

 

 

「これで...なんとか...」

 

 

もうダイエットなんてしない。人間食べなければ生きていけないことが解ったんだもの。食べることがこんなにも幸せな事だったなんて...

 

 

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「一粒食べればどんな事があってもその日一日は食事をとる事が出来ません。では複数のんだ場合はどうなるか?」

 

 

悪魔は笑い出す

 

 

「あの瓶には三十粒ほど入っていましたからねぇ。それにしても私にはわかりかねます、ダイエットをする女性の気持ちは。どうして無駄だと解っていながら女性というのは...」

 

 

突如、店が揺れ出す

 

 

「おっとっと...冗談ですよ。これでも一応女心は解っているつもりですので...嘘じゃありませんよ」

 

 

今日も彼は店を営む

あらゆる商品が並ぶ悪魔の店を営む...

 

 


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