カランと鳴るはドアの音
コロンと鳴るはベルの音
悪魔の店には何でもあります
お客様の願いや要望を必ず叶えて差し上げます
はてさて、今日のお客様は？
～ep63 Who are you?～
「本日はどういったご用件ですか？お客様？」
「えと...その...僕は...」
「ああ、そういうことですか。少々お待ちを」
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「こちらでございます」
「かっ、鏡？...」
「こちらに映ってらっしゃる貴方様に、君は誰だ？と言えばあら不思議！お客様は気弱ではなくなるでしょう」
「か、買います！お、おいくら「お代は結構ですよ。忠告を聞いてさえくれれば」ちゅ、忠告ですか？」
「使いすぎて...引きずり込まれないように」
Side C
僕は昔からどもりだった。
吃音症という訳ではない、過去に精神的なショックを受けたわけでもない。
だけど僕は昔からうまく言葉を発せずにいた。
「きっ、君は...」
クラスメイトからはそれが原因で虐められている
「君は...」
だけど、それも今日で終わりにしたい
「君は誰だ？」
終わりにしたいんだ
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「おい、どもり！！試しに何か喋ってみろよ！！」
「と言っても、どうせしゃべれないんだろ？ギャハハハハハハ」
バゴン！！
「「「「！？」」」」
「...前々から思ってたけどしつけぇんだよ」
「お、お前...」
「あ？俺は唯机を蹴っ飛ばしただけだろ？お前らがいつもやってる事じゃねぇか、毎日毎日よぉ！！」
バゴンッッッッッッ！！！
「「「「ひっぃ！？」」」」
あの鏡...本当に効果があったらしい。お蔭で俺はこうやっていじめっ子を逆にビビらせることが出来るようになった。いい気分だ。今までどもってたのがこんなに損な事とは、！？
「ゼェ...ゼェ...ぼ、僕は...？！」
どうやらあれには時間が制限されているらしい...また僕に戻ってしまった...
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「はぁ...」
これじゃあ駄目だ。僕の願いは自分を変えること。確かにアレは良いけど、一時的なのは...ん？
【使用法について】
「何々...こちらの商品は何と！一度に多く「君は誰だ？」と言えば効果がより強く、より長続きするようになります...！？」
あった！長続きする方法...だけど、店員は駄目だって...
いイノか？そのままおマえハ、イっショうナニヒトツかわるコトがナクテ
「！？...そ、そうだ。僕は変わりたいんだ。こんな所で踏みとどまっていたら...一生変われない。どもりのままだ！！」
君は誰だ？その言葉を一晩中言い続けた。
鏡の向こうが笑ってた気がするけど気のせいだろう
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「おい、テメェら。さっさとしろよ！飲み物一つまともに買いに行けないのか？」
「で、ですが売り切れでして...」
ドカッ！！
「つべこべ言うんじゃねぇ！俺を怒らせたいのか、あぁ？」
「す、すみません？！」
どもりが治り、いじめっ子たちは俺に服従し、最早俺に怖いものなんてなくなった。教師、親、警察でさえ......あれ？
そもそも怖いってなんだっけ？
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「その後彼がどうなったか？ですか。それはご想像にお任せしましょう」
悪魔はこちらを見やる
「...そういえば貴方がたは私の商品を欲しがっていましたねぇ。流石に全員分は用意できませんがご安心を！今回の道具は家にある鏡でも可能なのです」
悪魔は笑い出す
「映る自身に対し、『お前は誰だ？』 と何度も、何度も、毎日、毎日言ってみれば...自分を変えたい時にオススメでございます♪」
今日も彼は店を営む
ありとあらゆる商品が並ぶ悪魔の店を営む...
※店員が言ってる方法は絶対にやらないでください。最悪死にます。怖いもの見たさでやってどんな結果になっても、私は一切の責任を負いません。