悪魔の店   作:執筆使い

73 / 202
※今回の話は最後の方にて所謂メタ発言(と言うべきか微妙だけどそれに近いもの)があります。そして自意識過剰な内容ですのでどうかご容赦を。


第71話

カランと鳴るはドアの音

コロンと鳴るはベルの音

 

 

 

悪魔の店には何でもあります

お客様の願いや要望を必ず叶えて差し上げます

 

 

はてさて、今日のお客様は?

 

 

 

 

〜ep71 知〜

 

「本日はどういったご用件ですか?お客様」

 

 

「...たい。忘れたいんだ!!」

 

 

「忘れたい...それはまた変わった願いですねぇ」

 

 

「私は...怖いんだ。飽きてしまう、全てのものを退屈に感じてしまうのが」

 

 

「...成る程、そういうことでしたら丁度いいものがあります。少々お待ちを」

 

 

..............................

 

....................

 

..........

 

 

「此方でございます」

 

 

「沢山の小さい棒が入った...瓶?」

 

 

「こちらの瓶からお一つ出して頂いて、一本折ればあら不思議! お客様の忘れたい記憶を消す事が出来ます」

 

 

「買う! 買います!! 幾ら出せば良いんだ!?」

 

 

「お代は結構ですよ。忠告を聞いてさえくれれば」

 

 

「忠告?」

 

 

「決して、使い過ぎない様に」

 

 

 

 

 

 

 

Side C

 

今や医療が発達し、平均寿命が伸びた。多くの人はそれをとても喜んでいたが私はそれが無理だった。

 

 

「どうして...どうしてわからないんだ」

 

 

ある日、私は思った。もし、自分がこの世の全てをわかってしまう、もしくは予測出来てしまう日が来てしまったら...全ての事に対して飽きてしまい、退屈になってしまったらどうなってしまうのか?

 

その瞬間、私はえもいえぬ恐怖に取り憑かれてしまった。死ぬ事なんかよりもっと恐ろしいナニカが私の中で這いずり廻り吐き気と涙を催してしまう日々が始まってしまった。

 

 

「これだ...これさえあれば!!」

 

 

この事は全て忘れて、最初から何も知らなければ良い...一刻も早くこんな気分から脱却したいんだ!!!

 

 

ポキン

 

 

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..................

 

...........

 

 

私は気付いてしまった...もし、自分がこの世の全てをわかってしまう、もしくは予測出来てしまう日が来てしまったら...全ての事に対して飽きてしまい、退屈になってしまったらどうなってしまうのか?

 

そう思った瞬間、喉に食べ物が通らなくなる程の恐怖に駆られてしまった。無理に食べようとすると吐いてしまう。

 

 

「おぐっ...うぅ...怖い...怖い...」

 

 

こんな時私はふと、瓶にある棒の事を思い出した。何故か二本以上使う気にならないが、私は一本取り出しそれをへし折る。

 

 

ポキン

 

 

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....................

 

............

 

...もし、自分がこの世の全てをわかってしまう、もしくは予測出来てしまう日が来てしまったら...全ての事に対して飽きてしまい、退屈になってしまったらどうなってしまうのか?

 

私は夜なのに、真っ暗なのに眠れなくなった。

 

 

「怖い怖い怖い...」

 

 

恐怖に支配された私は無意識に明かりをつけて、瓶に入っている棒を一本取り出した。

 

 

ポキン

 

 

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ある日...

 

 

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....................

 

............

 

 

ある日...

 

 

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ある日...

 

 

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....................

 

............

 

 

「怖い...怖い...」

 

 

私は何故だか怖い気持ちで一杯になった。これ以上は駄目だ...知りたくない...思い出したくない...

 

 

「怖い...怖い....」

 

 

怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖いこわいこわいこわいこわいこわいこわいコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイ

 

 

「嫌だ、駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ?! 私は...私は...あ」

 

 

知ってしまった。

 

 

「ああ...あぁ...アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?!???!」

 

 

私は一心不乱に瓶から棒を沢山取り出した。

 

 

「忘れたい思い出したくない二度と知りたくない二本以上じゃないと無理だ!!!」

 

 

ベキ...バキバキボキバキッッッッ!!!

 

 

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....................

 

............

 

 

「おやおや、お客様...忠告を破った様ですねぇ?」

 

 

男は正体を現す

 

 

「あー?」

 

 

男は答える

 

 

「全く...無邪気というのは凄いですねぇ。この姿を見てもちっとも恐怖を抱かないとは...ですが残念。お客様には追加料金が発生しました」

 

 

「うー?」

 

 

悪魔は笑い出す

 

 

「お代は、貴方の魂とさせていただきます」

 

 

「きゃっ♪ きゃっ♪」

 

 

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....................

 

............

 

 

「今回の魂は知ですか...そういえば、」

 

 

悪魔は語り出す

 

 

「店を営んでいて、ちょくちょく作者様がこちらへ来るのですが一度とある質問をしましたねぇ。貴方様が最も恐れるものは何ですか? と。そしたら彼は」

 

 

『...知ってしまう事ですかね。死に対する恐怖...私が思うに死そのものに対して人は恐怖を抱いてないと思うんです。自分自身が自ら、死んでしまった時にどうなってしまうのかを知ってしまう事が怖いんだと思います。恐怖ってのは9割方は...いや、全てにおいて必ずそれを知っているもしくはある程度話を聞いているのが大前提ですから...だって、カモノハシのオスと聞いて真っ先に恐怖を抱く人って少ないでしょ? それと同じですよ』

 

 

「あんまりに神妙な顔で言うものですからもう一つ聞いてみたんです。仮に全ての願いが叶うとして、この店の道具で一番欲しいのは何ですか? と」

 

 

『...永遠の命は一番欲しくないですね。恐怖を知り続けながら独りで生きていくのは嫌ですから。だから敢えて言うなら...恐怖を知らない、知り得ない様な...精神だけでも純粋無垢な赤ん坊になる道具ですかね。死を怖がる赤ん坊はいませんし...........冗談ですよ。私が今一番欲しいのは文才ですし、そんな誰も欲しがらない様なものを望む訳ないじゃないですか(笑)』

 

 

「...正直、彼は色んな意味で変人の部類に入るかもしれませんねぇ。私が言うのも難ですが」

 

 

今日も彼は店を営む

ありとあらゆる商品が並ぶ悪魔の店を営む...

 

 


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