悪魔の店   作:執筆使い

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第76話

 

カランと鳴るはドアの音

コロンと鳴るはベルの音

 

 

 

悪魔の店には何でもあります

お客様の願いや要望を必ず叶えて差し上げます

 

 

 

 

はてさて、今日のお客様は?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜ep76 王~

 

 

「本日はどういったご用件ですか? お客様」

 

 

「いつも僕はビクビクビクビク...もうウンザリなんだ。奴隷みたいな毎日は...」

 

 

「成程、そういうことですか...少々お待ちを」

 

 

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「こちらでございます」

 

 

「古びた...冠?」

 

 

「こちらをつければあら不思議! どこの誰であろうとお客様を王として崇め、どんな言う事だろうと相手は聞きます」

 

 

「す...凄い!! お代は一体いくら出せば...」

 

 

「お代は結構ですよ。忠告を聞いてさえくれれば」

 

 

「忠...告...?」

 

 

「決して、付け過ぎないように」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side C

 

「例のものはちゃんと持ってきたか?」

 

 

「はっ! 〇〇様の仰せのとおりスプライトをコンビニから買ってきました!!」

 

 

「...馬鹿者!!」

 

 

「!?」

 

 

「週刊少年〇ャンプと少年〇ガジンないではないか! やり直し!!」

 

 

「し、失礼しました!?」

 

 

 

 

 

 

 

「...ふぅ、あっははははっはっはっははははっははっは!!」

 

 

あれから、クラスのみんな...いや、学校のみんなは僕の思い通りとなった。先生だろうと、理事長だろうと...いつも僕にグチグチ指図するいじめっ子や...親でさえも!!

 

 

「まさに今この場で...僕は王だ!!」

 

 

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その日から、僕は勉強をやめた。仮に問題に直面しても、命令すれば答えがわかる。

 

 

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その日から、僕は部活をやめた。青春も、出会いも、恋も、僕が望めば思いのままだ。

 

 

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その日から、僕は歩くことをやめた。足は命令すればすぐに赴き動いてくれる。

 

 

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その日から、僕はあらゆる無駄なことをやめた。どうして面倒なことをしなければならない? 支配者になれたのに。

 

 

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その日から

 

その日から

 

その日から

 

その日から...

 

 

 

 

僕は普通の人であることをやめた

 

 

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「イラッシャイマセ...あらあら、お客様。ずいぶんと変わり果てた姿に...どういったご用件でしょうか?」

 

 

「た、助けてくれ!? 僕は...あいつらに...王であるはずの僕が襲われて...」

 

 

「どれ...ふむふむ、あれからあまり王冠を外さず、あまつさえ自分の手下に人とは思えないような命令ですか...忠告を無視しましたね?」

 

 

男は正体を現す

 

 

「残念ながら忠告を無視した場合...追加料金が発生します」

 

 

「な、何が悪い! 僕は王様だ...王様が命令して何が悪い!!」

 

 

男は答える

 

 

「ええ、確かにお客様は王様...いや、神様です。ですがねぇ...忠告を破ればたとえ神であろうと私は一切容赦しないんですよ。こう見えて」

 

 

悪魔は笑い出す

 

 

「お代は、貴方の魂とさせていただきます」

 

 

「い、いやだ...僕は王様なんだ...死にたくない!? 死にたく...」

 

 

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「人は誰でも王になれます...資格は必要ありません。例えば、世界を見渡してください...絵にかいたような名君主が一体何人居るのでしょうか? この世に」

 

 

今日も彼は店を営む

ありとあらゆる商品が並ぶ悪魔の店を営む...

 

 

 

 

 

 

 


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