さて、この小説もそろそろ終わりが近づいてきました(と言っても、あと20話程ありますが)
読者の皆様、私が日頃の鬱憤を晴らすためだけに書き始めたこの作品をここまで読んでくださりありがとうございます。
「さて...」
「...あなたはだぁれ?」
「...私は願いを叶える商人。貴方の育て親からの【依頼】を承りに来ました」
男は正体を現す
相手は病人...それも何者がどうあがいても、どんな方法を用いても無駄なほど手遅れな状態
それ故に、彼は滅多に使うことのない左手を...
「あなたは...天使さん...?」
「それはとうの昔に捨てた...最早天使でも悪魔でもない...本当の名前を捨てた復讐者ですよ」
男は笑い出す...
カランと鳴るはドアの音
コロンと鳴るはベルの音
悪魔の店には何でもあります
お客様の願いや要望を必ず叶えて差し上げます
はてさて、今日のお客様は?
~ep81 依頼~
「本日はどういったご用件でしょうか?」
「頼む...あの子を助けてくれ! どんなことだってする...たとえ全てを失って...その結果があの子を悲しむ事になろうと...救いたいんだ!!」
「ふむ...了解しました。その前にひとつ聞きたい」
「...」
「...どうもお客様は此処がどういう場所なのかをある程度知っている様だ。さしずめ...あの子というのはお客様の教会で預かっている孤児。何故悪魔である私に頼る?」
「...私はとっくのとうに神父なぞやめている。あの子の親となったその日から...だから例え悪魔に魂を売る結果になろうとも私はあの子を救いたい!! それが神の使いでなく...ただの人間としての私の自己満足だから!!」
「残された者の気持ちがわかりますか? きっと、それは重く圧し掛かるでしょう。永遠に...薄れることなく...そう考えたことはないのですか?」
「...それでも、助けたいんだ...あの子は、一人ぼっちだった。今もまだ幼い...幸せもまだ見つけていない...俺とは違ってあの子は世界を楽しむ権利がある!! もし私が死んでも...あの子は新しい幸せを見つける時間がたっぷりと残されて「知った風な口を聞くな」ッッッ!?」
男は正体を現す
「何が...何が助けたいだ...救いたいだ...わかっているのか...なによりも大切な人が自分の手で別れを迎えてしまう...その気持ちがわかるとでもいうのか?」
男は問う
「俺は...」
男はもう一度、問う
「それを言った上で聞きたい。貴方はどうしたい?」
「俺は...」
男は答えた
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「幸せそうに眠っていますよ...永遠に」
「...」
「さて...次はあなたの番ですね」
「...俺は、向こうであの子と一緒にいられるのだろうか?」
「どうでしょう...神というのは貴方様が思っているほど寛大ではない...器の小さい連中だ。今回の件に私が関与していると知れば問答無用で地獄送りにしてしまうでしょう。だが、それはあの子も同様だ。私が手を下した相手とはいえ貴方様の大切な人物ですから」
「...この世に、救いはあるのか?」
「...少なくとも私が知る限りでは存在しませんよ」
悪魔は左手を振りかざす
「そうでなければ私がこの商売をやっている意味がありませんので」
悪魔は表情一つ変えずに事をこなした
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「.............きっと、私がやろうとしている事も、彼がやろうとしていた事も同じだ。唯一の違いがあるとすれば」
いつものように笑い出す...ただただ無機質で、ココロなど籠っていない表情で...
「誰が何を言おうとやめやしない。私は自分の願いを叶えるだけだという点でしょうか...誰が何を言おうと、絶対に」
今日も彼は店を営む
ありとあらゆる商品が並ぶ悪魔の店を営む...
本編にあまり関係ない裏設定
店員への依頼と道具の売買の違い
基本的に悪魔の店は道具の売買に関しては条件付きの無償で行っている。だが、店員自身がお客様(依頼主)の願いを叶える場合は一部例外を除いて依頼に該当する(例 8話)依頼は道具の売買と違い、内容にもよるが高めの報酬を払わなければならないという決まりがある(殺人等といった他者の命に直接関与するものであれば命が一つ必要)ただし道具の売買と違って悪魔は魂を食らったりしないので、依頼主が命を捧げることになっても普通にあの世へ行ける。あと客によって結果的に願いが叶わない前者と違って、こっちは店員が直接願いを叶えてくれるので確実に成功する。
速い話が、
超ローリスクor超ハイリスク ハイリターンなのが道具の売買
依頼内容にもよるが平均してハイリスク 超ハイリターンなのが店員への依頼である