悪魔の店   作:執筆使い

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第86話

カランと鳴るはドアの音

コロンと鳴るはベルの音

 

 

 

悪魔の店には何でもあります

お客様の願いや要望を必ず叶えて差し上げます

 

 

 

 

はてさて、今日のお客様は?

 

 

 

 

 

 

 

~ep86 仮病~

 

 

「本日はどういったご用件でしょうか? お客様」

 

 

「休みたい...もう嫌だなんだ。学校ではいつも面倒ばかり...家でも最近休ませてくれない...」

 

 

「成程、そういうことですか。少々お待ちを」

 

 

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「こちらでございます」

 

 

「箱...?」

 

 

「こちらの中にある、人形を持っていればあら不思議! 仮病で休むことが可能でございます。因みに元に戻りたいときは人形を箱の中に戻せば」

 

 

「買う! 買います!! いくらですか?!」

 

 

「お代は結構ですよ、忠告を聞いてさえくれれば」

 

 

「忠告...?」

 

 

「使い過ぎにご用心を」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side C

 

学校行けばあれやれこれやれ。家に帰ればあれやれこれやれ。もうがまんの限界だ。休みたい。

 

 

「これを使えば...」

 

 

さっそく使ってみよう...テストがいやだから。

 

 

「これが人形...ぅ!? うぐぇ?!」

 

 

急に気分が...げぶっ...

 

 

「ど、どうしたの〇〇?! 急にそんな青ざめて...」

 

 

「ママ...ぼく、急に気分が...」

 

 

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「...すごいや! こうやってズル休みが出来るなんて!!」

 

 

あの後、人形を元に戻したら気分が悪いのも全部元通りだし、なぜか病院でも仮病とわからなかったみたいだし...

 

 

「うさんくさかったけど、本当だったみたいだ...あのうわさは」

 

 

どんな願いもかなえる店...しかも無料でかなえてくれる...

 

 

「そういえば明後日は体力測定があったな...」

 

 

...ちょっとだけ、休んでも大丈夫だよね。

 

 

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「これから抜き打ちテストを始めるぞ~」

 

 

「「「「えーーーっ!!」」」」

 

 

「うぅ...テストはいやだなぁ...」

 

 

...そういえば持ってきたんだよね...

 

 

「...ちょっとだけなら」

 

 

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今日はまた、めんどくさい。

 

 

「...ちょっとだけなら」

 

 

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宿題が多くて、ママがうるさい...

 

 

「...ちょっと、休むだけ」

 

 

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...ちょっとだけなら

 

 

 

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ちょっとだけなら...

 

 

 

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ちょっとだけ...もういいや。こうすればママは心配してくれる。みんなもぼくが病気だと心配してくれる。だれもが心配してくれる。

 

 

「だから...今日も...ずっと...ぅぐ!? ぐぅえ...げほっ?!」

 

 

今日は...いつもよりきつい...やっぱり戻して...

 

 

「ぇぐ?! どうし...ごぅ?!」

 

 

な...んで、戻したのに...どうして...本当の病気...?

 

 

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「イラッシャイマセ、おやおや...どうしましたか? どうも顔色が悪いようで...」

 

 

「もどし...うっぷ、げぇぇぇぇぇぇぇ...」

 

 

ビチャビシャ ボトポト

 

 

「おっとっと...これは...忠告を破りましたね?」

 

 

男は正体を現す...

 

 

「えげ...えぐ...あく...ま...」

 

 

男は答える...

 

 

「残念ながら、忠告を無視した場合、追加料金が発生します」

 

 

「いやだ...ごぼぉっ?!」

 

 

悪魔は笑い出す

 

 

「お代は、貴方の魂とさせていただきます」

 

 

「びょうきはやだ...しぬのは...や...だ...」

 

 

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..........

 

 

「ノコルタマシイハアトよっつ」

 

 

今日も彼は店を営む

ありとあらゆる商品が並ぶ悪魔の店を営む...

 

 

 




いよいよ、最終回が近くなってきました。

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