悪魔の店   作:執筆使い

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色んな意味で殺されそうな気がするので最初に言っておきます。
ジョースターさん、ホワイト・ラムさん、すいません!! (前話、前々話、前々々話の話に加え、今回の話がダメダメどころか怒られそうな内容になってしまった事と、名作を汚した事に対して)
もしも今回の話が気に入らなければすぐさま変えます。謝ってばかりで説得力無いとは思いますが、本当すいませんでした!!




hero of burnout

 

 

魔術に生まれた少年は生き続けた

──唯一の家族の為に

 

 

科学で育った青年は殺し続けた

──自らの正義を胸に抱き

 

 

幻想に至った男は■■だ

──故に、忘れ去られた者と彼を呼ぶ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜 Egoist 〜

 

両者の接近戦は苛烈さを増した。神主が足元向けて斬ろうとすれば、森羅は飛び上がりそのまま彼の脳天目掛けて振り下ろす。それをもう片方の刀で受け止め、いなしながら胴へ下段斬りを行った方の刀で刺そうとする。だが、それすらも見切っていたのか、森羅は氷刀に木刀を当てた瞬間、敢えて手放して両手で掴み取ったかと思えば投げ飛ばした。だが、神主は冷静に空中で体制を整え着地し、追撃の為にこちらへ踏み込み斬を行おうとしている森羅の足元を凍らせる。

 

 

「ぬっ!?」

 

 

摩擦の少ない氷の面と急激になった事により、一瞬ではあるが体勢を崩す。その隙を神主が逃す筈もなく、一瞬で間合いを詰め、鎧の隙間──首の辺りを直突きする。脆くとも氷でできた刃は、鈍い音と共に首に食い込み半分程切れ目を入れた。そこまでいった神主は、能力を刀に込め、刺さっている氷刀を変形させる。

 

 

【氷刀 針鼠】

 

 

「がっ!?」

 

 

変形させた形は、無数の剣山。内側から、変形した無数の剣が刺さり、鍛えようのない場所を傷付けながら外へ露出する。血は流さないが、その痛みは尋常ではなかった。故に森羅は思わず声を上げてしまう。幾ら再生できるとはいえ、痛みを全く感じないというわけではない。風穴を空けられるだけとは訳が違う。前者は一瞬で再生すれば良いが、これは体内に氷刀があるせいで、取り除かない限りこのままである。

 

 

「こ...の」

 

 

瞬間、外道、と言う前に吹き飛ばされる森羅。吹き飛ばされた方へ向けて追撃として熱線を何発も、何発も、凶悪な笑みを浮かべながら放つ。

 

 

 

──大切な人を守る。ヒーローになる。強くなりたい。ガキだなおい、ニチアサをリアルタイムで見る小学生かテメェは。どーせあれだろ、大人になったら黒歴史として忘れ去るんだろ。そのまま適当に日々を生きてくんだろ? 悔しかったらずっと忘れないまま生きてみろ、半人前。俺みたいなダメ人間になりたい訳じゃねぇんだろ。

 

英雄に憧れる半仙半人でもなければ

 

 

 

 

──もう2度とあんな風になりたくない? そうならない為に抑え込んでる? だけど不安だ? あっそ、くっだらね。一々くだらねぇ事考える前に、そんな暇がない程無我夢中の人助けをしてみろや。そもそも自分の事をまず心配する人助けが何処にある? 助ける奴を先に考えろってんだ。そんなんだから出番すくねぇんだよ主人公なのに。

 

闇を抱えながら、気高き黄金の精神を持った星の一族の末裔でもなければ

 

 

 

 

 

──力? あって何の役に立つんだそれ。精々楽に敵を倒せるぐらいだろうが。そんなもんがあっても、目を離せば助けられないもんはあるし、だったらずっと側に居て、どんな時でも守れることの方がテメェにとっては良いだろ。誰かを殺す事で誰かを守れる? ステイナイトの見過ぎだバーカ。後悔しか残らねぇんだよ。そんな偽善は。

 

正義の味方(ロリコン)でもない

 

 

 

「もう終わりじゃねぇだろうな? テメェは相当な武士道精神持ってるみてーだし。クソ面倒臭い程に」

 

 

「ああ、まだ拙者は終わりではない。奥の手を使うとしようかの...森の守護者である拙者が、この技を使うのは気が引けるのだが」

 

 

ボロボロの森羅がそう言うと、神主の周囲の木々の枝が先端を鋭利な形状にする。守るものを攻撃の手段に使うというのは、彼にとっては忌むべき事なのだろう。だが、彼は自らの主の為に、そしてもう一つの願いの為に実行する。全ては目の前の強者に全てをもって戦う為に。

星全ての緑がたった一人の男に殺到する。

 

 

そして、串刺しにせんと次々と襲いかかった。さしもの彼も、この量全てを吹き飛ばすのは面倒だと判断した。特性上、ほんの一欠片でも残っていれば、これらは再生するだろうし。そこまで考えた彼はその場で棒立ちして居た。

 

 

「これで...終わりだ!! 拙者か、お主、どちらの望み通りになるか、これで決まる!!」

 

 

「...だから嫌いなんだよ。テメェみたいな、真っ直ぐな悪役はよ...」

 

 

 

 

 

どんなに熱で吹き飛ばそうが、木片が微かに残るだろう。全て燃やしたところで、灰が残る。じゃあどうすればこの戦いを終わらせる事が出来るのだろうか?

一瞬だった。今までの互角の攻防が嘘だったかの様に、終わった。不死身とか、再生能力とか、まるで関係なし。それもその筈だ。

想像して欲しい。南極大陸に、植物は生えているだろうか? 答えは否だ。どんな植物だろうと、熱には抗えない。

 

 

「こうなるってのはわかってんだ。だから長引かせてやった...折角の最期の戦いだってのに」

 

 

辺り一帯、星そのものを一瞬で凍らせた。彼が行ったのはそれだけの事。科学的に不可能だとか、じゃあ何で最初からそれをしなかったとか、恐らくこの光景を見た者がいればそう答えるだろう。だが、彼はそれが出来て、どのつくほど面倒くさがり屋だったので最初からしなかった。その結果がこれである。

 

 

「悔いなし...これで良い...戦い方は好かんが、その力はたしかに本物だった。欲を言えば...」

 

 

お主に、一矢報いてでも勝ちたかったのぅ──森羅は、そう言いながらボロボロに崩れ落ちていった。その顔には、まぁ目の前の男に対する苛つきみたいなものはあったが、それに反して心残りは余り無かった。駄神主は何もせず、崩れ始める氷の塊をただ眺めていた。

 

 

「...安心しな。俺はテメェのボスのとこには行きゃしねーよ。面倒くせぇし、テメェが粘ったせいで疲れたし、出すつもりのなかった本気を出しちまったし」

 

 

そう言って神主は歩き出す。

 

 

「テメェは、一番面倒くせぇ野郎だったよ。勿体ねぇ程にな」

 

 

そして、最初から誰も居なかったかのように、陽炎は消えた。本来の地へ還ったのだろう。血一つ吐き出さず、遠慮なく力を発揮できたのはそういう事だったのだろう。だから、彼はさいごに選んだのだ。別に出る必要はなかったが、面倒ながらも彼は応じた。

正義にも、英雄にも、正義の味方にも、世界がどうなろうと一切興味はない。そんな外道であるが、彼は戦った。そして、終わらせた。

 

 

 

誰も動く事のない、誰も見向きのしない星の上で、ボロボロの氷塊は獲物を握り締めたままだった。

 

 

 

崩れ落ちて尚、彼は武士であった。

 

 

 

 

To be continued...

 

 

 


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