ハリー・ポッターと半純血の予見者   作:ななじぃ

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はじめまして、ななじぃです。

ずっと書きたかったハリー・ポッターの転生ものです!まずは主人公ちゃんの設定ですね✨↓↓


赤坂 里乃(16)

近所では比較的大きな交差点のすぐ前に住む女子高校生。絶賛夏休み中な上に課題が進まない気の毒な子。
後ろは見ない主義。基本ポジティブで生きてきた。衝動的に行動しちゃう。今回もそのせいで何か巻き込まれそう。


たぶん二度と登場しないのでそこまで設定することもないんですけどね笑
ではでは、プロローグです↓



プロローグ

そこは家の前、この近所では比較的大きな交差点。車通りも多く、日頃から事故が多発する危険な場所だ。

今日もその交差点の電柱には白いユリが供えられ、事故に遭った人が好きだったのであろうオロナミンCドリンクが栓を外されたまま置かれていた。しかし既に蒸発したのか中身は殆ど残っていない。

 

憂鬱だ。

 

こんな日の照りつける真っ昼間に家から出たのが間違いだった。ぬるい汗が頬を伝い、首に落ちる。あまりの暑さにゆらゆらと揺れる地面と、萎びた白いユリ。信号の赤い光が余計に気を滅入らせる。

 

ああ、アイスが食べたいなんて、馬鹿馬鹿しい。

 

唐突にアイスを食べたい衝動に駆られなければ、私はまだエアコンの効いた涼しい我が家で母に勉強でもしろとどやされていただろうに、どうして何も考えずに出てきてしまったのだろう。

 

「お母さん!」

 

唐突に少年の高い声によって現実に引き戻された。

赤い光の灯る交差点に駆けてゆく小さな麦わら帽子。男の子らしい青いリボンが揺れる。横断歩道の先、母親らしき女性が振り返り悲鳴を上げた。全てがスローモーションのように見えた。道路に飛び出した麦わら帽子の少年と彼に迫る鉄塊。絶望的に叫ぶ母親は両手で顔を覆い崩折れる。

 

 

 

気が付けば足が動いていた。右足が地面を強く蹴り、左足を大きく踏み出した。少年に伸ばした右手が彼の細い肩を捉える。

自分の走る勢いに任せ彼の身体を歩道に突き飛ばした。

 

あ、死んだ───

 

彼を助けようとするあまり自分のことを考えていなかった。少年を放り出した勢いのまま、私の身体はトラックの前に躍り出る。

衝撃のその瞬間、私は笑った。いや正確には笑ってはいない。心の中で苦笑した。

 

死ぬ瞬間には走馬灯が走るだなんて、真っ赤な嘘じゃないか。

 

 

現に血濡れで灼熱のアスファルトに伏せる私の眼の前にあるのはトラックのタイヤと、衝撃で変な方向を向いてしまった痛々しい右手だけ。痛みはなかった。否、それでは語弊がある。右腕の痛みを感じることができないくらいに私は全身にダメージを負っていた。

視界が暗転する直前、母の声を聞いた気がした。

 

ああ、最後に、アイスが食べたかったなぁ。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━

 

 

目覚めたのは、壁も天井もないただ真っ白な空間で。目の前に居る白い髪の小さな女の子は無表情なまま私を見つめていた。無表情でさえなければ、文句のつけようのない美少女なのに、と脳天気に思う。やがて彼女は口を開いた。

 

「ようこそ、赤坂里乃。早速だが君は死亡した」

 

「でしょうね」

 

「おお、なんだ、驚かないのか」

 

冷静に返せば彼女は面白そうに微笑んだ。

 

「今更驚かないよ、あんな重傷で生きてるほうが変だし」

 

「まぁ…そうだな。話のわかる奴で助かった。前のやつなんか大騒ぎして強制送還する他なかったからな」

 

そう苦笑して彼女はどっこいしょ、と言って床に座り込み、私にも床に座るように勧めた。

 

「さて、本題だが君は自らの命と引き換えに人類の舵を大きく切った。良い方向にな。そこでだ。私は良いことをした人間には褒美をやるようにしているのだよ。だから君に2度目の人生をやろう、とね」

 

私が座ったのを確認して彼女は話し始めた。

 

「褒美は何となくわかったけど……私が舵を切った…?男の子を一人突き飛ばして、その子はバスにぺしゃんこにされずに済んだってだけでしょ?」

 

疑問に思い、深く考えずに質問をぶつければ彼女はにやりと口角を釣り上げる。

 

「それこそが〈良いこと〉なのだよ。彼は君に救われたことによりヒーローになりたいと考えた。君のような、ね。そうして彼はいつかヒーローになる。核完全廃絶の中心人物だよ」

 

彼女は両手を広げて見せ、その上に球体を創りだした。

 

「こっちが彼のいる世界。未来だ」

 

右手の球体を掲げた。今とさして変わらない町の様子が映っている。タイヤのない車らしき乗り物が少し浮いているくらいだ。

 

「こっちが彼の死んだ世界。もしもの世界だ」

 

今度は左手の球体を掲げた。鬱蒼と不気味な植物が生い茂り、少し向こうは黒い砂漠と化している。とても人類が生存しているとは思えない。

 

「君と、彼の命。たったそれだけでこれほどまでに未来は変わる。だからこそこの未来のために犠牲になった君には褒美をやりたいんだよ」

 

彼女は球体を握りつぶし、微笑んだ。

 

「次の人生さ。だが生憎、良いことをし過ぎた君は既に輪廻の輪を外れてしまっている。ヒンドゥー教徒が求めているものを君は得たわけだが…まぁ、正直言って私は面倒くさい。何故なら君のために新しい世界を作らなきゃならんからな。そういうことで君の記憶によく残っている物語を元に創り上げた世界に生まれてもらおうと思う。それでいいな?」

 

一気に彼女は捲し立て、どうだ?と首を傾げた。

よく理解は追いつかなかったが、要するに私が見たことのある何かしらの2次元の世界に行けということだ。

 

「それは…どの世界で?」

 

よくぞ聞いた、と言わんばかりに彼女は口角を釣り上げて悪そうな笑顔を浮かべた。悪い予感しかしないのは私だけだろうか。

 

「ハリー・ポッターだ。J.K.ローリングが執筆し、多くの人間の間で歴史的なヒットを呼んだ大人気小説。今では誰もがそれを知っていて、君に関してはユニバーサル・スタジオ・ジャパンでいくらかの杖とグリフィンドールのローブセット、時間時計(タイムターナー)のネックレスを揃えてしまうほどにファンだ。さあ、もう世界を創ってしまったからね、君に拒否権はないよ。君の来世を説明してもいいかな」

 

パン、と軽く両手を打ち合わせて彼女は微笑みを浮かべた。すると目の前にA4ほどの白い紙が現れた。いや、私の方が白いだけだ。彼女の方には何やら細かい字がびっしりと書き込まれていた。それはもう寒気がするほどにびっしりと。

 

「さて、君の来世の名前はレジーナ。レジーナ・アイリーン・ブラックだ。お察しの通り父親はシリウス・ブラック。彼には君を生まれされるためにオリヴィア・ディアナ・ローレンスというマグル生まれの女性と結婚してもらった」

 

「君はまさしく眉目秀麗、魔法薬のセンスも飛行のセンスも1流。ずば抜けた魔法力もある。ああ、それから君をあの予言にでも登場させよう。面白そうだ」

 

「あの、それって死亡フラグじゃ…」

 

彼女はまた笑う。

 

「まぁ、そうだな、予言には登場させるが死なない仕様にしてやろう。それなら問題ないだろう?」

 

そう言って首を傾げて片眉を釣り上げた。

 

「そういうことではないんだけど…でも、ヴォルデモート卿の手にかかることはないんならまだ許容範囲かな…?」

 

彼女は頷き、また手元の紙に視線を落とした。長く白い髪がさらりと垂れる。

 

「ふむ…そうだな、さらに君には未来を知っていても怪しまれないように多少の予言能力もやろう。的中率は……いや、面白くなるように少し変えてやろう。そうそう、君の母親はレギュラスとホークラックスの破壊に携わりあの薬を飲んだために君を生んだ後で死ぬことになっている。申し訳ないが仕方のないことだ。あまり関係のない人間を増やすのは今後問題が多く出てくるのでな。納得してくれとは言わんが、受け入れてくれるか」

 

「そっ…か。仕方がないなら……」

 

神でさえ仕方がないというのだ。私がどうと言っても何も変わらない。まだ見ぬ母に申し訳なく思いながら頷いた。

 

「話が早くて助かる。では最後に1つ」

 

そう言って彼女は手元の紙を巻き、後ろにぽい、と放り投げた。丸められた書類は弧を描き、下降を始めるとともにどこかへ消えた。

 彼女に視線を戻せば彼女の右手に握られていたはずのペンも消え、手を組んで彼女は私を見つめていた。またその顔からは表情が消えていた。

 

「君が転生する世界だが、あくまでも【ハリー・ポッターを基盤とした世界】だ。【そのものの世界】ではない。だから転生してある程度の成長をしたあとなら、君の好きなように世界を動かしてもらって構わない。それだけの力が君にはあるからな」

 

まぁ、そういうことだ、と彼女はひらひらと手を振った。

 

「えぇ…」

 

「では早速、転生してもらっていいかな?そのトンネルを通れば、すぐに第二の君の人生だ。誕生の瞬間なんて中々ないからな、よく記憶しておくといい。ああ、そうだ。生まれてしばらくは君の魂と呼ばれる部分と肉体の結びつきが弱い。よって肉体が勝手な行動を取るかもしれないが問題ないから安心しろ。では赤坂里乃よ、しばしの別れだ」

 

彼女は突然現れた巨大なトンネルをゆったりと手で示し、そして私の背中を押した。少し前のめりになりながらも彼女に言われるままトンネルの方に歩き出すが、やはり、と思い直しくるりと彼女を振り返った。そして深々と頭を下げる。

 

「ありがとう、ございます」

 

顔を上げれば彼女は満足そうに微笑んだまま私に手を振った。私はまた軽く会釈をして、トンネルへと踵を返す。

変な気分だ。このトンネルを潜れば私は赤坂里乃を辞めて、レジーナ・ブラックになる。あのシリウス・ブラックの一人娘だ。あの麦わら帽子の少年の命を助けた、ただそれだけで私はこの状況に置かれている。

 

不思議だ。

 

誰も、あんな子どもが将来核完全廃絶に携わるなどと思わないだろう。あの母親でさえそうだ。自分の息子がそんな偉大な人間になるだなんて思ってもいないはずだ。こんな巡り合わせってのは本当にあるものなんだと一人苦笑した。

 

真っ暗なトンネルの中、遥か向こうには出口らしき眩しい点が見えた。あそこは、私の2度目の人生。自然と口元に笑みが綻んだ。

 

昔から、後ろは見ない主義で生きてきてよかったと心からそう思った。でないと私は今頃自分の死と家族との唐突の別れで悲しみに溺れていただろう。この性分とあのおかしな神様のおかげでブルーにならなくて済んだと言える。

 

もう、分岐点だ。

 

いつの間にか目の前に迫ったトンネルの出口。外はあまりに眩しくて、まだ目が慣れず写真の白飛びのように真っ白だった。

一度立ち止まってゆっくりと息を吐き出してからもう一度外を見つめ、慎重に足を踏み出した。

 

途端に真っ白な光に包まれて、晴れて私は転生者になった。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━

 

 

とは言ったものの……流石に自分の産声を聞くことになるとは思わなかったなぁ…。いや、自分の生まれる瞬間を見ることにはなるだろうと思ってはいたけど流石に…ね。

 

喉はビリビリして痛いし、鼻は詰まってなんだかわからない上にずっと泣きっぱなしでもう怠い。耳もなんだが自分の声が反響してぼわんぼわんいってるし。絶対水入ってるよ、これ。

ただ、私を抱いている誰かの手は温かく、限りなく優しい。きっとこの人が、私のお母さんなんだろう。

目は開いていないのか、光を透かして赤い瞼が見えるだけだ。ふと、キーキーとした甲高い声が耳を打ち、ぼわーんと反響した。

 

「奥様、奥様!出血がお止まりになられません!奥様!」

 

「オジー、私なら大丈夫よ……それより静かにしてあげて…レジーナが落ち着けないわ…」

 

オジーと呼ばれた屋敷妖精を宥めるようにオリヴィアは囁いた。だがどうしても、大丈夫なようには聞こえなかった。

 

そんな中、私の身体は私の思いとは裏腹に泣き止み始める。

 

「ですが奥様…」

 

「オジー?」

 

「はい…」

 

しゅん、と落ち込んだ声に続き、私を抱いている女性はくすくす笑った。次の瞬間、バァン!とすごい音を立てて扉が勢い良く開け放たれた(と思う)。そのせいで私はまた泣き出した。どうにも止められない。

 

「リヴィ!」

 

「シリウス!ダメよ、そんな大きな音っ……!ゲホッゲホッ」

 

入ってきたのはシリウスらしい。オリヴィアはシリウスを怒鳴り咳き込んだ。彼女の腕の中、私は彼女が咳をするたびに揺られ、がくんがくんと首が動いた。まだ座っていない首は必要以上に自由に動きまわったため、彼女よりも大きな手によって抱き上げられた。太い、筋張った大きな手。きっとシリウスだ。

 

「すまない。だが無理はするなよ、レジーナだって生まれたんだ…君がいなくなったら私はどうすればいいかわからない」

 

私を宥めようと揺すりながらも、シリウスの低い、悲しそうな声が耳を打った。

 

「シリウス…もう言ったでしょう?ゲホッ…私は死ぬ予言がされたわ。長くない……」

 

時折咳をしながら、彼女は囁いた。その声は痰が絡んだように掠れていた。

 

「君の予言は!…的中率が高くないと言ったのは君だろう?やめてくれ、そんな冗談は…」

 

「冗談じゃないわよ。自分のことくらいわかるわ…それに血が、止まらないもの……あの呪いはオジーたちにもどうにもできないの。もちろん貴方にも、他のどの癒者にもね……。ねぇシリウス…この子、どうやら私に似ちゃったみたいね…」

 

その声とともに、私の頭を細い指が撫でた。驚くほどに冷たくて、思わず死の影を感じた。途端に泣き始める私の身体。この身体も、彼女の異変に気付いたのだろうか。

 

「何を急に…」

 

シリウスの声は震えていた。彼の腕を伝って動揺が私にまで伝わってくる。

 

「私の予言、もう一つ言っておくわね……。この子は、私より強い力を持った予見者になるわ………きっと、歴史を変えるくらいに強く、例のあの人の脅威となる…予見者……警告者に……」

 

「何を言ってるんだ!リヴィ!この子がそんなっ……」

 

「シリウス……ごめんね…でも、これはたぶん…本当だわ……だから貴方が、この子を守って……わた、しの…かわり、に………」

 

彼女は一際大きく息を吸い、そして全てを吐き出すように深く息を吐いた。そしてもう二度と呼吸することはなかった。

 母は死んだ。残された私はシリウスの腕の中で、彼の温かい涙を受けていた。屋敷妖精のオジーでさえ声を抑えて泣いていた。

 

「旦那様」

 

クリーチャーの嗄れ声が下から響いた。

 

「お嬢様をお預かり致します」

 

シリウスは震えたまま私を彼に引き渡し、崩折れた。どさりと重い音と、それに続く嘆きの声がそれを示していた。

私はクリーチャーの骨ばったしわしわの腕に抱かれ、そしてすぐにふわふわのベッドの上に降ろされた。

ぺたぺたと歩き去る足音。そしてまた別の裸足の足音が近付いて来る。

 

「お嬢様…」

 

このキンキン声は確か、オジーだ。

 

「奥様は亡くなられましたがこのオジー、二度とこのような失態は犯しません…お嬢様には例のあの人の危険が及ばぬよう、尽力致します」

 

彼女は私にそう誓い、ぱちん、と指を鳴らせばその刹那、ひどい眠気に襲われた。

 

「今はお休み下さいませ、お嬢様……」

 

黒い、黒い穴に落ちていく。魔法の眠りは不自然なほどにひどくゆっくりと私を深いところに連れて行った。

オジーは、きっと私ではなくシリウスを気遣ったのだ。こんなときの夜泣きほど癪に障ることはないだろう。私は大人しくその魔法の導きに従い、眠りに落ちた。いや、抵抗する術など元々持ち合わせてはいなかった。

強制的な眠りは何も見せず、ただただ暗く温かかった。

 

 

 

 

 

 

 

 




うはぁ、切れ方……初投稿ならこんなもんかなーと思ってます←

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