ハリー・ポッターと半純血の予見者   作:ななじぃ

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サブタイに悩む今日此の頃。
難しいもんですね、こういうのって。

それから毎回毎回、ほんとに感想や誤字報告をありがとうございます。新着コメントのコマンドを見る度にうきうきしてます。それが例え誤字報告でも見てくれていることには変わりはないですし、もっと言えば誤字に気付くほどよく読んでくださっているということなんですから。

そんなこんなで、また誤字報告をいただいてうきうきです←
嬉しいと注意力散漫になって更に誤字が増える可能性((((


第13話 例のあの日

翌日、案の定私は完全な寝不足だった。

 

頭はすっきりしないし、身体は重い。だから夜更しは嫌いなのだ。

 

寝不足であることは他の4人も同じだったが、ハリーとロンはなんだか、とても上機嫌であったし目がキラキラしていた。きっと冒険に目覚めてしまったのだろう。

 

そんな様子を見たハーマイオニーは只でさえ寝不足で不機嫌だったのに更に不機嫌になり、私とさえ口を利かなくなった。折角、シリウスからの贈り物であるニンバス2000で気分がよかったのに、ハーマイオニーに無視されることで少し悲しくなった。

 

「━━━ジーナはグリンゴッツの包みのこと、どう思う?」

 

朝食の席で、ハリーとロンはハーマイオニーがいないことをいい事に昨晩の事から色々と想像を膨らませていた。

 

2人の予想が惜しいところまで来ているということが少し歯痒いが、真相を教えるわけにも行かず、ただ黙ってその会話を聞いていたので、2人は私の意見が欲しくなったらしい。

 

「どう…ね。それが何であれ、ホグワーツに移されたのなら恐らくは何かから守るためね。きっと、危険なものではないわ。生徒が居るもの。とても大切な、誰の手に渡ってもいけないようなものかもね」

 

私の推測(笑)を聞き、2人はますます興奮し、予想に花を咲かせた。

 

 

 

それから特に何事もなく、包みに関しての進展もないまま1週間が経過したある朝、いつものふくろう便の時間に、とんでもないものが運ばれてきた。

 

ハリーの箒だ。

 

3羽のコノハズクが掴んでいる細長い茶色の包みはすぐに広間の生徒の気を引いた。ハリー自身も例外ではなかったが、その包みが自分の目の前にそっと落とされると、目を見開いて私とロンを見た。

 

そしてさらにその包みの上に、もう1羽が手紙を落とした。

 

ハリーはまずその手紙を開けた。そのまま手紙を読み進めるうち、彼の顔は歓喜に溢れていった。喜びを隠し切れないまま、ハリーはロンに手紙を渡した。

 

「ニンバス2000だって!?僕、触ったことさえないよ!」

 

ロンは羨ましそうに小声で呻った。

 

「僕もだよ、ダイアゴン横丁でちょっと見たくらいだ━━━そういえばジーナはもう箒はあるの?」

 

ハリーは私も同じように選ばれていたことを思い出したらしく、残りの朝食を掻き込みながら言った。

 

「もう1週間前に届いたのよ。言おうかと思ったけど、包みの推理があんまり楽しそうだったから、水をさすのも、ね」

 

「そんな!言ってくれればよかったのに!君のは何型なの?」

 

「同じよ、ニンバス2000」

 

2人はまた目を見開いた。

 

「本当!?」

 

ロンの素っ頓狂な声に思わずくすくすと笑った。

 

「本当よ、素晴らしい箒だわ」

 

「うわー、益々今すぐ開けたくなってきちゃった。早く寮に戻って1時間目が始まる前に一度見てみようよ」

 

ハリーは微笑み、大きな包みを抱えて立ち上がって急いで大広間を出たが玄関ホールの途中で、ドラコたちが寮に上がる階段の前に立ち塞がっているが見え、立ち止まった。

 

ドラコはつかつかとハリーに歩み寄りその包みを引ったくり中身を確かめるように触った。あまりに乱暴な触り方だ。

 

「今すぐ、それをハリーに返しなさい。じゃないと呪いをかけるわよ」

 

杖を取り出しながらそう脅すがドラコはにやりと意地悪く笑い、包みを乱暴にハリーに投げ返した。

 

「箒だ」

 

勝ち誇った顔でそう言った。

 

「今度こそおしまいだな、ポッター。1年生は箒を持てない」

 

「先生が規則を曲げたかも知れないわよ。ドラコ、余計なことはしないことね。いつか痛い目を見るわよ」

 

階段の上から小さなフリットウィック先生が下りてくるのが見え、杖をしまいながらそう言った。

 

ドラコが腰巾着と共に応戦しようとしたとき、彼の肘あたりにフリットウィック先生がひょっこりと顔を出した。

 

「君たち、喧嘩じゃないだろうね?」

 

「先生、ポッターのところに箒が送られて来たんですよ」

 

ドラコは早速言いつけ、にやりと嗤ったが先生は怒ることも驚くこともなく、ハリーに笑いかけた

 

「いやー、そうらしいね。マクゴナガル先生が特別措置について話してくれたよ。ところでポッター、箒は何型かね?」

 

「最新型のニンバス2000です、先生」

 

ドラコの引き攣った顔を尻目に、ハリーは笑顔で答えた。

 

「実は、マルフォイのおかげで買っていただきました」

 

そんな彼の晴々とした様子に、ドラコは怒りを剥き出しにしてドカドカと立ち去っていった。

 

ハリーと共に私も先生に、おめでとうと祝いの言葉を貰い、階段を上りきる頃にはロンもハリーも、笑いを堪えるのに必死だった。目には涙さえ浮かんでいる。

 

玄関ホールから見えないところに来た途端、2人は思う存分笑った。

 

「だって本当だもの。もしマルフォイがネビルの『思い出し玉』を盗っていなかったら、僕はチームに入れなかったし━━━」

 

「それじゃ、校則を破ってご褒美を貰ったと思ってるのね」

 

後ろから、ハーマイオニーの怒った声が飛んだ。

 

ハリーが抱えている包みを睨みつけながら、彼女は階段を1段1段踏み鳴らし上ってくる。

 

そんな彼女を見てハリーは意地悪く言った。

 

「あれっ?僕たちとは口を利かないんじゃなかったの?」

 

ロンもそれに続く。

 

「そうだよ、今更変えないでよ。僕らにとっちゃありがたいことなんだから」

 

「2人とも、言い過ぎよ!」

 

窘めても2人はニヤニヤと笑ったまま。なんだかイヤな奴だ。

 

ハーマイオニーはふん、と鼻を鳴らしそっぽを向いて行ってしまった。咄嗟に後を追おうとしたがハリーに腕を掴まれて、ハーマイオニーは曲がり角の向こうに消えてしまった。

 

「僕らより、知ったかぶりの彼女の方に行くのかい?」

 

ロンが言った。

 

 

 

━━━━━━━━━━━

 

 

箒や今夜のクィディッチの練習、ハーマイオニーのこと、それぞれに授業に集中できないまま、1日は飛ぶように過ぎ去って、気が付けば時計の針はもう夕方の6時を指していた。

 

談話室で宿題をやる手を止め、ハリーに目配せしてから女子寮の部屋に急いで戻り、ベッドの下に隠したままだったニンバス2000を手に、もう一度談話室へと戻った。

 

「わお、もしかしてそれが」

 

「噂のニンバス2000かい?」

 

談話室には、いつの間にか帰って来ていたらしい双子が何やら頭を付きあわせて議論していた。彼らは私の手に収まっているそれを見ると目を輝かせた。

 

「ええ、今からハリーとクィディッチの説明を聞いて、少し練習するの」

 

「「へぇ!そりゃいいね!」」

 

双子がシンクロして見せ、それが引き金になって他のグリフィンドール生たちがニンバス2000に気が付きわらわらと集まって来る。

 

「俺たちも行きたいとこだけど生憎今からは予定があるんだ」

 

ジョージが悔しそうに言った。練習に参加したかったらしい。

 

「仕方ないさ。今日は諦めて来週からの練習、楽しみにするしかない。じゃ、僕らもう行くよ、また後でな!━━━おい、道を開けろよ、我らが姫が練習に行けないじゃないか」

 

道を開けてくれながらも2人はふざけるのを忘れなかった。

 

「あ、ジーナ!待って!僕も一緒に行くよ!」

 

背後、男子寮の方からハリーの声がした。ハリーもニンバス2000だと知ると、グリフィンドール塔は更にざわめき、彼に道を開けた。

 

フレッドが指笛を吹き、ジョージが冷やかした。

 

「もう、止めてよ2人とも、そんなじゃないわ」

 

笑いながら軽くいなし、ハリーと共に談話室を出た。

 

「━━なんだか、まるで英雄みたいだね、僕ら」

 

はにかみながらハリーは言った。

 

「そうね、期待の新星だもの。頑張らなきゃね」

 

その言葉でハリーは緊張からか、少し気分が下がってしまったようだ。

 

「うん、そうだね━━━ねぇ、ジーナはクィディッチのこと、何か知ってる?」

 

ハリーは余程不安らしい。箒を大切そうに抱えつつも、憂鬱そうな浮かない顔をしていた。

 

皆もうそれぞれの寮に戻っているのか、城の中ははしんとしていた。決闘の夜を彷彿とさせるほどだ。

 

「ええ、もちろん。ルールなら周りの人から少し聞いてるわ」

 

「うわー…僕きっと、覚えることがいっぱいだよ、覚えられなかったらどうしよう」

 

ハリーは思いっきり弱気になっていた。

 

「大丈夫よ、すぐ覚えられるわ。簡単だもの」

 

夕暮れの薄明かりの中、ハリーと私は城を出てクィディッチ競技場へと急いだ。スタジアムに入るのは、2人とも初めてだった。柔らかな芝生が少し風に揺れていた。

 

競技場の周りには、それぞれの寮の応援席が高々とせり上げられていて、観客が高いところから観戦できるようになっている。

 

ハリーは応援席やゴールを見上げ、感嘆の声を漏らした。

 

「すごい…」

 

「なんだか、思ってたよりずっと壮大ね。…ねぇ、ウッドが来るまでに肩慣らししておかない?折角同じ箒で性能も同じなんだし、鬼ごっこでもしましょうよ」

 

そう言って、有無も言わさず駆け出しながら箒に飛び乗った。やはり、この箒は凄い。ほんの少し動かすだけで私の思い通りに動いた。ハリーは明るく頷き、笑顔で私に続く。

 

「じゃあ私が鬼ね!範囲は競技場内!!行くわよ、よーい…スタート!」

 

ハリーはビュンっと飛び出し、競技場の端っこに向って行く。その様子を見ながら心の中で10秒数え、その背を追った。

 

彼は本当に自由に動き回った。まるで自分の身体の一部のように箒を操るのだ。右へ左へ、急降下してみたり反対に急上昇してみたり。しかし同じ箒。私も負けてはいなかった。開始2分ほどで私の手はハリーの背を捉えた。

 

「タッチ!交代ね!10秒数えたらよ!」

 

「うわ!もう捕まっちゃった!」

 

ハリーの悔しそうな声を聞きながら、私は空高く舞い上がった。地面が遥か下に揺らめいている。

 

10秒後、ハリーは私目掛けて飛んできた。

 

もうすぐ手が届く━━━━その刹那、私はぐらりと傾いて、まるで落ちるように急降下を始めた。ハリーも後に続く。

 

地面が迫る。風が唸りマントがバタバタと音を立てた。

 

衝突の寸前で全身全霊の力を込めて箒の柄を引き上げる。爪先がグラウンドの芝を掠った。

 

後ろから悲鳴やうめき声は聞こえない。ハリーは早々に離脱したのかと後ろを振り返って見ればなんと、彼は完璧にくっついて来ていた。

 

「あら、やっぱりハリーってすごいわね!」

 

地上20mほどまで上昇して体勢を立て直し、ハリーと向い合って微笑んだ。互いがジリジリと牽制し合っていた。

 

「ジーナもだろう?ほんとに落ちたかと思ったよ!」

 

ハリーは興奮していて、目を輝かせて言った。

 

「おーい!ポッター!ブラック!降りて来い!」

 

遥か眼下、グラウンドの真ん中辺りでウッドがこちらに手を振っていた。彼の隣にはアンジェリーナの姿があった。

 

「もう終わりみたいね。今回は私の勝ちでいいかしら?」

 

「いや、引き分けだよ」

 

ハリーはいつの間にか隣にいて、私の肩をタッチした。

 

「あら、気付かなかったわ。これじゃ引き分けね」

 

2人でくすくすと笑いながら、手招きするウッドの前にふわりと降り立った。

 

「お見事」

 

ウッドはハリーに負けず劣らず目を輝かせていた。

 

「マクゴナガル先生の仰っていた意味がわかったよ……君たちにはまさに生まれつきの才能がある。今夜はルールを教えよう。それから週3回のチーム練習に参加だ」

 

そう言うと彼は足元に置いていた大きな箱を開け、思い出したように言った。

 

「ところでブラック、君はルールは把握しているのかい?」

 

「ええ」

 

「なら話が早い。君は向こうでアンジェリーナと一緒にパス練だ」

 

ウッドはサッカーボールほどの大きさの赤い革製のボールを取り出し、ハリーに軽く説明してから私にそれを投げて寄越した。

 

「さて、ポッターは僕とルールの確認だ」

 

彼は嬉々としてハリーに続きを説明し始めた。彼にとって、クィディッチはそのルールさえも嗜好のものらしい。

 

「さあ、ブラック、あなたには期待してるのよ」

 

アンジェリーナにボールを渡すと彼女は微笑み、箒に飛び乗って高く舞い上がった。私もそれに続き、15mほどの高さに来た時、彼女は私に向き直った。

 

「━━━じゃあ、軽くパスするところから始めるわ。私が投げるからキャッチして、投げ返してみて━━行くよ」

 

アンジェリーナの声に頷くと、彼女はふんわりと易しい山なりのパスを寄越した。難なくそれをキャッチし、彼女に投げ返す。

 

「いいよ。バランスもばっちりみたいね」

 

そう言いながら彼女は今度は、先程よりほんの少しだけ低く速く投げたがそれも難なくキャッチし、強めに投げ返す。

 

途端に彼女は笑顔になった。

 

そのまま褒められたりアドバイスを貰ったり、アンジェリーナとパスを続けていると、何度目かのボールをキャッチした瞬間、突然視界の端に迫る何かが見えた。

 

「危な━━━━」

 

ハリーが打ったブラッジャーだ。ボールは真っ直ぐに私のこめかみを狙ってくる。咄嗟に箒を掴んでいる左手を支点にぐるりと回転し、その鉄塊を避けた。

 

下から歓声が沸いた。ウッドだ。

 

「それが噂のナマケモノ型グリップロールかい?!」

 

彼は声を張り上げ、Uターンして戻ってきたブラッジャーを地面に抑え込みながら笑い声を上げた。端から見れば狂気でしかない。アンジェリーナは怒鳴った。

 

「ウッド!!ブラッジャーを出すなら前もって言ってって言ったじゃない!この子じゃなかったら確実に当たってたわよ!!」

 

ぶち切れ寸前だった。

 

ブラッジャーを打った本人であるハリーは真っ青だった。本当に当たると思ったらしい。

 

アンジェリーナはカンカンに怒ってウッドに抗議に行ったので私も地上に降りてハリーの様子を見に行った。

 

「ハリー、大丈夫?」

 

ハリーは茫然として、まだバットを持ったままだ。彼はもしかしたら、箒に乗っていると幾分か気が大きくなるのかもしれない。さっき私が落ちるフリをしたときはこんなにも青くはならなかった。寧ろあまりのことに興奮していた程なのに、だ。

 

隣ではアンジェリーナがウッドに怒鳴り散らしていた。何も知らないのにバットを持たせるなとか、出す前に1言言えとか、呑気過ぎるだとか、結構色々言っている。

 

「大丈━━━大丈夫だよ、君こそ大丈夫?ごめんね、咄嗟で……」

 

「いいのよ、怪我もないんだから。それより、ほんとに大丈夫?真っ青よ?」

 

思わず生死を疑ってしまいそうなほどに、彼は真っ青だ。自分の咄嗟の判断で私が死にかけたのだから当たり前だろう。

 

アンジェリーナがウッドを怒鳴るのを止め、戻ってきた。

 

「ごめんね、ポッター。顔が青いけど、大丈夫?」

 

ハリーはまだ血の気はないが、こくりと頷いた。

 

「そう…無理はしないでね。さあ、練習を続けましょう」

 

「ええ」

 

クィディッチのボールが入った箱のところでは、怒られたウッドが少ししょぼくれていた。

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━

 

 

 

翌週から、毎日たっぷり宿題がある上にクィディッチの練習が週に3回も入りとても忙しくなった。宿題の方はわからないなんてことはないので問題なかったが、ハリーはそうはいかなかった。

 

ほぼ毎日遅くまで談話室でロンと共に宿題を進め、私には質問の嵐だった。早くハーマイオニーに来てほしいと思いながらも、おかげで学校生活は充実し、気が付けば入学から2ヶ月が経とうとしていた。

 

 

そう、あの日がやってくるのだ。

私にとっては地獄でしかないあの日が。

 

 

 

 

 

 

 

 




あの日ですね✨地獄です。笑
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