ハリー・ポッターと半純血の予見者   作:ななじぃ

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生まれて3ヶ月後のお話です。どうやらシリウスは後見人にはなりましたが自身も娘が生まれたためジェームズたちには会いに行けなかった模様(補填的な)。

和訳とは少し違う点が出てくるかも知れませんが、温かい目でお願いします。
主にはシリウスが〈名付け親〉ではなく〈後見人〉だったり(外国ではシリウスのような後見人が新生児の名前をつけることはありませんので)、屋敷しもべ妖精や屋敷妖精だったり(英語の方では〈House elf〉という表記なので)、他にもたまにそういうことがありますがお気になさらず笑

スタートです!↓↓↓





始まり
第1話 半純血の予見者


 

生まれたあの日からずっと、私は寝ては起きて起きては空腹で泣いて、泣き終われば疲れて眠りについてを繰り返した。

 

そうして3ヶ月ほどが経過しようとしているとき、その報せは舞い込んで来た。

 

いつものように私は眠りから覚めてシリウスを見た。彼は疲れているのか私のベッドの脇で腕を組んだまま、目を瞑ってこくり、こくりと船を漕いでいる。その目の下には濃い隈。私の夜泣きのせいだ。

だがシリウスもシリウスだ。私のことなどオジーやクリーチャーに任せてしまえばそれで自分は休めるはずなのに、彼は片時も私のそばを離れなかった。まるで私が消えてしまうのを恐れるかのように、彼は時折苦しそうな顔をして私の顔に触れる。

 

私は母の顔も、自分の顔もまだ見たことがないのでわからないのだが、オジーが言うには私は母にそっくりなのだそうだ。だからシリウスは私から離れないのだろうと勝手に納得しているがやはり、彼の様子はなんだかおかしかった。

 

そんな時だ。

 

突然部屋の灯りが消え、青白い光に包まれた。大きな鳥の形をした守護霊が降りてくる。だが居眠りをするシリウスは気付かない。

守護霊はシリウスを見、そして私を見る。家のどこかの時計が午後7時を告げた。

恐らくこの鳥は不死鳥だ。何かの伝言を伝えに来たらしい不死鳥は寝ているシリウスに困惑していた。

 

起こさないと。

 

どんな伝言であれ、ふくろうではなく守護霊を使うのだ。良い予感がしなかった。

私は出来うる限りに暴れた。結果、暴れた拍子にベッドの柵に手をぶつけてあまりの痛みに泣くことになったのだが、おかげでシリウスの目が覚めたのでまぁ結果オーライだろう。

 

「どうしたジー……ダンブルドア先生?」

 

彼はまだ眠そうだったが、部屋に溢れる青白い光に気が付いた途端、勢い良く立ち上がった。

不死鳥は口を開く。そこから聞こえたのは、美しいその姿とは不釣り合いな真剣な老人の声だった。

 

『シリウス、誰かが裏切った。リリーとジェームズがあやつの手にかかってしもうた。今はハグリッドが生き残ったハリーの救出に向かっておる。詳細はわしから直接話す。そこを動くでないぞ』

 

その伝言のあと、不死鳥は白い霧となって消えてしまった。呆然と立ち尽くすシリウス。その手は震えながらも、テーブルの上に置かれた杖に向かって伸びていた。

 

復讐に行く気だ。

 

咄嗟にそう思った。私を置いて、彼はペティグリューに復讐に行ってしまう。そうすれば恐らくペティグリューが図り彼はアズカバンに送られてしまうだろう。ダメだ、そんなの許さない。

でもたった生後3ヶ月の私には何もできない。

 

シリウスは杖を手に、乱暴にドアノブに取っ付いた。だがその刹那、彼はドアごと部屋の中に吹き飛ばされた。

 

「ダンブルドア校長先生様!お止めくださいませ!」

 

オジーのキーキー声とともに白い髭を長く伸ばした彼がつかつかと部屋に踏み込んで来た。

その顔は怒りに歪んでいる。

 

「どこへ行くつもりじゃ、シリウス」

 

低く、冷え切った声には静かな怒りが滲んでここにいるほとんど全員に恐怖を覚えさせたがシリウスはそれさえもわからないほどに怒り狂ってる。

自身に覆いかぶさったドアの残骸を彼は乱暴に押し退け、ダンブルドアを睨みつけた。

 

「ペティグリューを殺してやる!秘密の守人はあいつだ!私があいつをっ……!!」

 

「レジーナを残してか」

 

怒り狂う彼の言葉を遮ってダンブルドアは静かに言った。その声には先程までの激しい怒りは見られなかったがやはり怒っている。

シリウスは息を詰まらせて狼狽え、そして力なく頭を垂れた。

 

「今日あやつは密告を受け、ポッター夫妻を襲った。じゃがどうしてかハリーは生き残りあやつは力を失った。シリウス、君はレジーナを守らねばならんのじゃ」

 

「どうしてです!やつが倒れたなら…!」

 

シリウスが怒鳴る。あまりの声の大きさに私はまた泣き出した。廊下からオジーが慌てて駆け寄ってくるがそれよりも先に、ダンブルドアは私に杖を向ける。ほわん、と白い光の玉が飛んできた。温かい優しい光を放つそれは私をあやすようにふわふわと飛んだ。

 

だんだん落ち着いて泣き止み、思わずそれに手を伸ばす。ダンブルドアは微笑み、そしてシリウスに視線を戻した。

 

「あやつは力を失っただけじゃ。死んではおらん…いつか必ず復活するじゃろう。その時のためにもレジーナは必要なのじゃよ」

 

そう言ってダンブルドアは私を指した。

 

「あの予言にある半純血の予見者は恐らくこの子じゃ。オリヴィエの予言もある。例えそうでなかったとしても君が今最優先にするべきはこの子であるはずじゃ」

 

半純血の予見者?

 

疑問に思ったが今の私ではその疑問をぶつけることもできずにただ、ダンブルドアが出してくれた光の玉に手を伸ばすだけだ。

シリウスはゆっくりと息を吐き出し、そしてふらふらと私のいるベッドに歩み寄って、その脇のイスに座り込み彼は絶望的に両手で顔を覆う。その頬には涙が伝っていた。

 

「シリウス、ここに居てくれるか」

 

諭すようにダンブルドアは静かに聞いた。その声にはもう怒りは感じられなかった。

シリウスはこくりと頷く。ダンブルドアはそれを見届け頷くと踵を返し、壊れたドアに杖を向けた。途端に蝶番の外れたそれはふわりと浮き上がり、元通りにあるべき場所に収まった。

 

「では、わしはハリーを彼の親戚の家に預けて来よう」

 

そう言った途端、シリウスは顔を上げた。

 

「ハリーをあの家に?まさか…私が預かることはできないのですか?」

 

ダンブルドアは首を横に振る。

 

「それではリリーの護りが受けられぬのじゃ。ハリーが成人するまで、彼は年に数日はあの家に帰らねばならん。それに今は…ハリーのためにも魔法に触れぬほうが良いじゃろう」

 

そのまま彼は軽く会釈し、部屋から立ち去った。彼の姿が見えなくなると同時に私の指先からは白い光の玉が小さくなって消えていく。ダンブルドアの細長い背中を見送り、シリウスはまた溜息混じりに顔を覆った。

 

「どうして……私ばかり…」

 

シリウスの声は疲れきり、掠れていた。

もっと私が大きければ、彼の支えになれたかも知れないのに…今の私では泣くことしかできない。

今まで部屋の隅にいたオジーがおどおどと進み出てきた。

 

「旦那様、少しお休みになられてはどうでしょうか…?」

 

彼女はシリウスを見上げていた。彼もオジーを見、そして目を瞑って息を吐き出した。少しの沈黙のあと、シリウスは口を開く。

 

「…わかった。ジーナを頼む」

 

その声のあと、シリウスは立ち上がり頼りない足取りのまま部屋を後にした。その背中はあまりにやつれて見えた。

 

「お休みなさいませ、旦那様」

 

オジーはシリウスに深々とお辞儀をし、そしてその背中が見えなくなると私に向き直った。鳶色の大きな瞳は潤んでいた。

 

「旦那様はお疲れにございます。奥様に続きご親友様方もお亡くなりになられて……」

 

オジーはそれ以上を口にすることはなく俯いた。

彼女も辛いのだ。私の知る原作より、シリウスの屋敷妖精に対する姿勢は遥かに優しい。きっとそれは母のおかげだと思うけれど、その母を失い、親友を失い、シリウスが神経を擦り減らし疲れきっているのを見るのは彼女にとっては身を削るように辛いだろう。

 

「さぁお嬢様、お食事にしましょうか」

 

無理に明るくそう言って、オジーは目一杯に笑みを浮かべミルクの入った哺乳瓶を差し出した。

正直、こんな重い話のあとにそんなものは飲みたくなかったが私の身体はもう限界で、その瓶を掴もうとぷくぷくの真ん丸い手を伸ばした。

オジーに抱き上げられ、ミルクの瓶を持たされれば私はすぐにそれに口を付けた。前世、小学校の授業で粉ミルクを口にした時は不味いと感じたはずだったが今は、とても美味しく感じる。

 

あの神様の言う通り、まだ魂と身体の結びつきは弱いまま、私の身体は勝手な行動ばかり取る。それこそ赤ちゃんらしい、必要最低限だけな行動だ。泣いて寝て、お腹が空いて起きて食べたら寝て、また泣いて。もう少しどうにかしたかったが、まだどうにもならなかった。

 

オジーは一心不乱に哺乳瓶にむしゃぶりつく私を優しい目で見ていた。母親のような、優しい目だ。

これから、母のいない私にとって彼女は文字通り乳母になるのだろう。

私がミルクを飲み終わればオジーは瓶を取り上げ、ひっくり返して私の背中をトントンと叩いた。途端に私の口からゲップが飛び出し、オジーは微笑んだ。

いつも通りの一連の動作。彼女はいつも通りに私をベッドに戻した。

空腹を満たされた私の身体は重く腕すら上がらないほどに眠気に支配されていた。瞼も重くだんだんと閉まっていく。

 

「お休みなさいませ、お嬢様」

 

オジーの声に後押しされるように、私は自然と眠りに落ちていく。今の私に抗う術などない。暖かいベッドの上、せめて誰かの腕の中でありたいと願ったが、その願いは虚しく私はいつも通りの自然な眠りに落ちた。

 

 

 




オジーとオリヴィアさんのプロフィール置いときます。


オジー(女)

年齢不詳の屋敷妖精。昔はホグワーツで働いていて、学生時代の悪童4人組(+α)によくおやつや食べ物を渡していた。厨房で働く屋敷妖精の中でも一際彼らと仲が良かった。

シリウスとオリヴィアの結婚、妊娠にあたりダンブルドアに直接、ブラック家で働きたいと申し出た変な子。以来、グリモールドプレイスに住み込みで働いている。


オリヴィア・ディアナ・ブラック(没年23歳)

旧姓ローレンス。茶髪の混じったくすんだ金髪に澄んだ青い瞳の持ち主。マグル生まれでありながら予見者でもあったため非常に珍しい例として占い学の本で取り上げられている。

シリウスたちとは同級生でレイブンクロー出身。ホグワーツは主席で卒業した。在学中は常に主席であったがシリウスやジェームズのいたずらにも関心があり、たまに一緒になっていたずらに知恵を絞ったりしたことがあった。彼女が関わると彼らのいたずらの質が数段上がると教師たちに影で恐れられていた。ただ、基本は優しく思いやりのできる優等生。よって希望の意味も込めて監督生に抜擢されたが先生方の希望も虚しくオリヴィア本人によって打ち砕かれた(彼女が監督生になったことにより彼らは余計に調子に乗った)。

卒業後、オリヴィアから告白する形でシリウスと交際開始、見事ゴールインするもレギュラスとともにホークラックスの破壊に向かい、動けなくなったレギュラスの代わりに残っていた薬3分の1程度を飲み干した。満身創痍で帰宅したあと、妊娠が発覚、シリウスに激怒されるが体調が戻らずレジーナを出産後、産褥で死亡した。



オリヴィアさんはこれから登場させようか迷ってます。たぶん先生方の昔話で登場する程度だと思いますけど。

閲覧ありがとうございます!
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