ハリー・ポッターと半純血の予見者   作:ななじぃ

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今年もそろそろ終わりですね…何か寂しいです。

ところで、ジーナを誰とくっつけるか2択(3択)で迷っています。あと他にもいくつか迷っている点もあります。どうしましょうかね…





第19話 クリスマス 後編

話がすっ飛んだロンとついて来れなかったハリーに細かく説明すること数分。十分理解を得る頃には2人は唖然としていた。

 

「━━━━とまあ、そういうことなの」

 

「そういうことって……」

 

話し終わるとハリーは少し困ったように眉根を下げた。所謂ショボン顔だ。

 

「まさか、君たちの両親が“初代イタズラ仕掛け人“だとは思わなかったな」

 

「流石に俺たちでもビックリだぜ。でも、たまに女の人が現れてたのは納得だな」

 

2人は揃って肩を竦め、そろそろと退場しようとするパーシーの腕を引っ掴んでソファに引き戻す。

 

恐らく、女の人というのは“忍びの地図“か他の彼らのイタズラ的遺品のどれかにオリヴィエが参戦していたのだろう。

 

どすん、と尻餅をつくように無理矢理ソファに戻らされたパーシーの両脇を再度固め、彼らはにこにこと微笑んだ。

 

「クリスマスは家族と過すものだろ、パーシー」

 

 

 

 

その後、またしてもと言うべきか、幸いにもと言うべきか、空気を読まなかったロンによって親の話題から離れ5人はチェスをすることになった。

 

勉強を諦めたパーシーは専ら観戦及びアドバイス(役立たずだが)にまわり、ハリーの思考を撹乱した。

 

「そのルークはEの5の方が良くないかい?ああ!ジョージ、手加減くらいしてあげないか!」

 

そのゲームはやはりハリーの惨敗に終わった。さらには駒を取ってと言わんばかりの指示しか出さないパーシーに惑わされるハリーの駒はいつもの倍速で破壊され、最速新記録を樹立した。

 

「パーシー、ハリーが困っちゃってるわ。彼はまだ初心者なんだし、自分で考えてみる方が面白いわよ」

 

彼の余計な口出しを止めるべくオブラートに包みに包んだ(私的にはかなり包んだつもりだ)言葉を掛けると、ハリーは救世主でも見るように私を見た。パーシーの背後で双子が馬鹿笑いし過ぎて椅子からずり落ちていた。

 

「ああ、そうだね。確かに、その方がハリーのためになるかも知れないね」

 

床に落ちて尚笑い続ける双子を睨みながら、パーシーは言った。双子の腹筋が崩壊する音が聞こえた気がした。

 

「ねぇ、ジーナ、今度はジーナが相手をしてよ」

 

止まらない笑いと腹筋の痛みに悶え苦しむ赤毛の2人を放置して私とハリーのチェスの対局は進んで結局は私の圧勝で終わったのだが、双子やロン、私との対戦をこなしていくうちに気付けばハリーはそれなりに次の手が読めるようになり、ジョージやフレッドとなら互角の戦いを見せるようになっていた。

 

「1勝2敗、2引き分け。すごいじゃない、ハリー!」

 

ジョージとの5連戦は良い結果とはいかないが、この短時間でこれだけの進歩は素晴らしいことだ。手放しで喜べば、ハリーは満更でもないようで照れ照れと微笑んだ。

 

「そ、そうかな?」

 

獅子を模した装飾が施された立派な柱時計が、ぼーん、ぼーんとくぐもった音で10時を告げる。

 

「…もう10時?道理で眠いわけね…私、もう寝るわ」

 

つい、と杖を振って自分のチェスの駒を片して席を立った。ロンが不思議そうに声を上げる。

 

「え?もう寝るのかい?」

 

「ロン、夜更しはお肌の敵なのよ」

 

魔法で詰められた駒の袋を手に、とんとんと頬を突いて微笑んだ。

 

「それに、私は夜更しは苦手なの。じゃあ、おやすみなさい。いい夢を」

 

「「ジーナこそ。おやすみ」」

 

「「おやすみ、お姫様!」」

 

……余計な一言が聞こえた気がしたが聞かなかったことにしよう。

 

女子寮に続く階段を重い足取りで上り、手前から3つめのドアノブを掴み中へ入る。誰もいない部屋はしんとして、窓の外の縁に積もった白い雪が月を光を反射してきらきらと煌めいていた。ドアを後ろ手に閉めて杖を振って部屋に明かりを灯し、すっと息を吸った。

 

「…オジー」

 

バチン!といつも通りに派手な音を響かせて彼女が姿を現した。

 

「どうかなさいましたか?」

 

深くお辞儀をして彼女はキーキー声でそう尋ねる。

 

「今どうかしたわけじゃないけど、お願いがあるの。少し危険かも知れないけど、聞いてくれる?」

 

 

━━━━━━━

 

 

 

「━━━承知致しました。では、おやすみなさいませ、お嬢様」

 

バチン!と彼女の消えた辺りをしばらく見つめて、それから、ベッドに移動して枕元の本に手を伸ばした。

 

寝るのは、まだだ。まだ確認しておきたいことがある。その為には階下のハリーたちが寝るのを待たないといけない。

 

手の中の、今までに何度も読み返した“幻の生物とその生息地“の背表紙はよれて、柔らかくなっていた。

 

そういえば前世、これを読んだことがあったのだが、あれは流石に“マグル用“と称されているだけあって何とも薄っぺらかった。だが今手元にあるのはある意味本物。AからZまで全ての生物が記されて、その厚さは図鑑ほどあった。挿絵などほとんどなしにも関わらず、だ。

 

お気に入りのドラゴンのページを開いてぱらぱらと読み、1通り読み終わると適当なページを開いて読み漁る。また読み終われば違うページを、と幾度となく繰り返し、ふと柱時計に目をやると、短針は既に午前0時を指していた。

 

もうハリーたちも寝ている頃だろう。

 

杖先で軽く自分の頭を叩き、目くらまし術を掛ける。どろりとした生暖かい何かが脳天から垂れてくるような感覚に耐え、去年シリウスがくれたなんちゃって透明マントをトランクから取り出して頭からすっぽり被ってポケットを探り、今朝そこに突っ込んだ羊皮紙を取り出した。

 

何も書かれていない羊皮紙を杖で2回叩き、合言葉を思い浮かべた。

 

我、ここに誓う。我、良からぬことを企む者なり。

 

言わなくても言い分、これはかなり使い易い。そんなことを思いながら、溢したインクが広がるようにじわじわとなぞられていく城の地図の完成を待った。

 

真ん中の白紙の部分にシリウスの忠告が浮かびあがった。

 

“これは私が過去に友人たちと作ったものの模造品だ。君がこれを使うとき、もしイタズラのために使うなら気をつけなさい。私たちはかつて、これからの後輩たちのためにその地図をホグワーツに残した。もしかしたらそれを持つ者が居るかもしれない。それから、夜中に歩き回るのは君だけではないことを覚えておきなさい“

 

知ってます。現にハリーも今頃は出歩いてるはずだもの。

 

読み終わると文字は消え、代わりに“忍びの地図“と飾り文字が浮かび上がった。その下には“ ムーニー  パッドフット“そして“ 提供 ワームテール プロングズ “の文字。

 

リーマスも一緒になって作ったのか、とクスリと笑い、その下のワームテールの名を忌々しく思った。

 

シリウスは、まだその名を誇るべきとして見ているのだろう。裏切り、尚も生きている穢らわしいその名前。今すぐにでもとっ捕まえてやりたいが、ヴォルデモートがいる今はダメだ。余計な混乱が生じてしまう。

 

溜息混じりの息を吐いて、地図を開いた。あまりの精巧さと広さから、全体像を摑むには少し時間を要した。

 

やっと見つけたグリフィンドール塔男子寮に、やはりハリーの名前はなかった。

 

次に城の中にいるはずのハリーの点を探した。それはすぐに見つかった。何せ、この時間帯に動いているのはほとんど、ハリーともう3つの点だけだったからだ。

 

1つはフィルチ。廊下にいた。もう1つはスネイプ。フィルチと向かい合っていた。ハリーを探しているのだろう。2つの点はやがてハリーが移動していく方とは逆方向に動き始めた。

 

そして3つ目。ハリーの少し後ろをゆったりと移動するその点の上には“アルバス・パーシバル・ウルフリック・ブライアン・ダンブルドア“の文字。長い名前は3段にもなって書かれていた。

 

本当に、おかしな人だ。何を根拠にこの人は、今晩ハリーがベッドを抜け出すと確信したのだろう。彼が父親の透明マントを手に入れた、ただそれだけなのに。今日である根拠はなかったはずだ。明日でも、明々後日でも、クリスマスの忙しさがなくなってからでも良かったはずなのにハリーは今晩抜け出して、ダンブルドア先生はそれを見抜いていた。レジリメンスかと思ってしまうほどだ。

 

地図上のその2点から目を離さないようにしながら、私は部屋を出て階段を下りて、談話室を出る。今日は月が明るく、杖に明かりを付けなくとも地図くらいなら見える明るさだ。

背後で太った婦人は誰かいるのかと不審がっていたが、2度目だからか、そんなに騒ぐこともなくまた目を閉じた。

 

地図の上のハリーは、数ある教室の1つの真ん中で、動かなくなっていた。

 

 

 

 

 

 

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