ハリー・ポッターと半純血の予見者   作:ななじぃ

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あれから結構時間が経ってます。シリウスは色々と乗り越えた模様。でもハリーを見ちゃうと思い出すので悲しいようです。


第2話 出会いの日

あれから10年と11ヶ月。私は闇払いシリウス・ブラックの一人娘として彼と屋敷妖精2人と、そしてたまに家を訪ねてくるハグリッドやリーマスに見守られながら成長した。

 

我ながら、私は美人の部類だろうと思う。母によく似たらしい顔立ちと茶髪の混ざったくすんだ金髪に、父譲りの薄い灰色の瞳とスッと通った鼻筋。母の生前の写真を見る限りは容姿に苦労はなさそうだった。

シリウスもリーマスもハグリッドも、私を見てオリヴィアそっくりだと笑う。嬉しいことではあるけれど、見たことのない母に似ていると言われるのは存外こそばゆいものだ。

 

さて、閑話休題。もう皆さんもお気付きだろうと思う。魔法界に生まれた私にとって11歳の9月とは、特別な日を示す。

 

そう、入学だ。待ちに待ったホグワーツ魔法魔術学校への入学。既に学用品は全て揃えたし、杖も買った(ちなみに杖材はサクラとドラゴンの心臓の琴線だ)。あとはホグワーツに向かうだけとなったその日の朝。いつもなら7時には家を出ているはずのシリウスがまだ家にいた。

 

「パパ、仕事は?行かないの?」

 

「ん?ああ、休んだ」

 

当たり前だろう、という口調のシリウスは、まぁ、言ってしまえば親バカだ。思わず頭を抱えた。

 

「もう…そんなだとムーディさんに迷惑が……」

 

隻眼のいかついおじさんが脳裏を過り、思わず顔をしかめた。あの人は、怒ると怖い。いつも怒っているような顔をしているけれど、さらに上があるのだ。

 

「いいんだよ。彼も私が休むことに同意してくれた」

 

クリーチャー特製のミンスパイを口に放り込みながらシリウスは言う。

 

「そういう問題じゃ……」

 

いいんだよ、とシリウスは笑ったが、どうも納得がいかなかった。否、来て欲しくないというのが本音だろうか。

 

住み慣れた街、キングズ・クロス駅までは1人で行けるしホームへの入り方も知っている。だからシリウスがわざわざ見送りに来る必要性はないのだ。それに何と言うか、シリウスがハリーを探しに行くことも目に見えているのだから。もし彼らが出会ってしまったら、きっとシリウスは止められなくなる。

かつての親友に瓜ふたつな少年を前に、彼は果たして後見人としての義務というべきことを我慢できるだろうか。ダンブルドアからハリーとは一緒に住めないことは聞いている。理由にも納得している。ただし、ダンブルドアの前では、である。

我慢できなくなるんだろうなと、もうどこか他人事に、そう考えながらヨーグルトを口に放り込む。既に諦め半分だ。こういうシリウスはもう、止められないのは火を見るより明らかである。

 

シリウスは古い柱時計に目をやり、席を立った。

 

「ジーナ、そろそろ準備した方がいい。オジー、ジーナのトランクを持ってきてくれるか」

 

彼の皿を下げに来たオジーにそう言い、彼はバスルームの方に向かった。私自身もそれに倣い席を立つ。

もう、すぐそこにまで迫っていた。現在午前9時46分、ホグワーツ特急出発まで1時間14分だ。

 

 

 

━━━━━━

 

 

「ジーナ、切符は持ったか?」

 

確認するシリウスの声。しかしマグルと魔法族でごった返しガラガラというカートを押す音や井戸端会議、泣き喚く子どもで騒がしいキングズ・クロス駅内ではほとんど聞こえない。

 

「持ってるよ!!」

 

シリウスに聞こえるよう声を張り上げる。ふと、目の前の人混みが裂け、9番、10番ホームが見えた。

 

あれだ。

 

手前から3本目の柱の前には燃えるような赤毛の家族連れ。その母親らしきふくよかな女性に話しかける、見覚えのあるメガネの少年。ハリーだ。

 

「ハリー…」

 

シリウスの低く呟く声が、妙にはっきりと聞こえた。彼のその目には深い悲しみと喜びが混じりあった、不思議な色が浮かんでいる。

 

「パパ?」

 

「ああ…すまない。さぁ、あの人たちに続こう」

 

シリウスは私を見て微笑んだ。無理に笑ったように影が差すその顔は、心の中で何かを殺していた。

 

ああ、私は間違っていたようだ。

 

シリウスは私の思っていた以上に大人だったのだ。原作で見慣れた、どこか子供のような彼とは違う。ちゃんと、自制していた。

シリウスに背を押されるまま、私はカートを押して彼らの後ろにつけた。赤い髪が壁に消えるのを見、そしてシリウスを見上げる。彼は促すようにこくりと頷いた。

ゆっくりと足を踏み出した。隣のシリウスも同じようにゆっくりと歩き出す。ガラガラとカートがうるさく鳴る。カートが壁にぶつかる瞬間、思わず目を閉じた。しかし衝撃はなく代わりに私は歩き続け、そして冷たい水に浸かったような感覚のあと、9番と4分の3番線ホームに足を踏み入れた。

 

少し先には、先程のウィーズリー家とハリー。シリウスはまだハリーを見ていたけれど話しかけることはせず、私の背を押した。

 

「後ろの方のコンパートメントなら空いてるだろう」

 

「うん」

 

悲しげな雰囲気を懸命に隠そうとしながら、彼は早足に歩き出した。足の長い彼の早足について行くには子どもの私ではどうしても走らなければならなかったけど、それを彼に言いはせず、黙って彼の隣を走った。

 

 

 

かなり後ろの車両に来た時、やっと空いているコンパートメントを見つけた。シリウスに手伝ってもらいながら荷物を積み込む。

 

「ねぇ、パパ。パパはグリフィンドールだったんでしょ?」

 

櫛や鏡、羽ペンなどの小物を入れた小さい方のトランクを棚に上げながらシリウスに話しかける。

 

「ああ、そうだよ。ジーナはどこに入るんだろうなぁ。君は母さんに似て賢いからレイブンクローかもな」

 

「そうかな?私はもし選べるならグリフィンドールがいいわ。良い予感がするもの」

 

予見者としての言葉でもあるし、転生者としての言葉でもあるそれを聞き、シリウスは微笑んだ。

 

「そうだな。まぁ、どこに入ってもきっと後悔はないよ」

 

彼の言葉に、思わずくすりと笑った。

 

スリザリンならきっと、彼なら後悔したはずだと想像してしまったのだ。もしスリザリンでスネイプと仲良くしている彼を見てしまったなら私は、恐らく腹を抱えて笑い転げるだろうなと思う。

 

「ああジーナ、そろそろだな」

 

シリウスはホームの時計を見、そう言った。時計の針が示す時刻は10時57分。あと3分に迫っていた。彼は列車から飛び降り、私のいるコンパートメントの窓のところに来た。

 

「どの寮になってもそこが1番だ、ジーナ」

 

諭すようにシリウスは言う。

 

「うん。手紙、書くね」

 

「ああ」

 

もっといっぱい、何かを言いたかったはずだけど、いざこうなると言葉は出てこないものだった。

 

「暴れ柳とビーブスには気を付けろよ」

 

「うん。パパも、ちゃんと仕事行ってね?それに規則正しい生活も」

 

「ああ、気を付けるよ」

 

シリウスがそう言った途端、汽笛の音が鼓膜を震わせた。もう11時になっていた。彼は数歩身を引いた。

 

「いってらっしゃい」

 

ゆっくりと走り出す紅色の汽車と、ずれていく地面。口元に笑みを浮かべ、シリウスは手を振った。私もそれに手を振り返せば、自然と笑みが溢れる

 

「行ってきます!」

 

 

 

━━━━━━━━━

 

 

駅を出て数分、落ち着いてきた車内にはいくつかのコンパートメントから自己紹介の声や談笑する声が漏れている。

 

対して、私のいるコンパートメントには誰もいない。正確には私と、私のふくろうであるユーラシアワシミミズクの雌のコレット以外には、他の誰もいない。というかコレットすら寝ているため実質一人だ。

 

「ねーコレット…私友達できなかったらどうしよう…」

 

言葉の通じるはずのない眠ったままの彼女に話しかける。正直とっても虚しい。うん。

 

とか思ってると突然コンパートメントのドアがノックされ引かれた。

 

「ねぇ、ここ、座ってもいい?他に座れそうなところがなくて」

 

申し訳なさそうなメガネの少年と、その背後には燃えるような赤毛で鼻の横に泥汚れを付けたままの少年。

 

ハリーとロンだ。

 

「ええ、どうぞ。私はレジーナ・ブラック。ジーナって呼んで。よろしくね。あなたたちは?」

 

にっこりと微笑んで、彼らに右手を差し出せば、ハリーも同じように右手を差し出し握手を交わす。

 

「僕ハリー。ハリー・ポッター。よろしくね」

 

 

 

 

 

 





ジーナはちゃんと空気読めます。精神年齢だけは20歳過ぎてますから(18歳+11歳です笑)。たまに読まない時もありますが基本は読みます。

あと自覚してる系美人です。
ジーナの瞳の色はブルーにしても良かったんですが、どこかで青い瞳は劣性遺伝っていうのを聞いた覚えがあるので止めました。たぶんあとでスネイプに何か言われます



閲覧ありがとうございます!!


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