個人的にペティグリューはあまり好きではないのでどうしようか迷ってます。
「僕ハリー、ハリー・ポッター。よろしくね」
ハリーと握手を交わし、次はロンに向き直る。
「僕はロン・ウィーズリー。よろしく」
彼とも同じように握手を交わした。それから、もっと突っ込んだ自己紹介をして、お互いのペットの話題へと移った。
「ロン、あなたのネズミ…結構高齢ね。今どれくらいなの?」
スキャバーズ…もとい、ペティグリューである。ロンの膝の上で寝てしまった彼を睨みつけてしまわないように、私は必死だ。
「11か12歳くらいかなぁ?」
「え?」
わざとそれに驚いて見せる。ハリーが食いついた。
「どうしたの?」
「あ…いえ……ネズミの平均寿命って大体2年くらいなの。命の水でも与えない限り、どんなに頑張っても4歳以上は生きないのよ。……ねぇロン、ちょっとその子、触ってもいい?」
ロンは不安そうな面持ちのまま頷いた。それを確認し、私は彼に手を伸ばす。ペティグリューは気付かない。そのまま、彼の尻尾に触れた。
そっと目を閉じ、彼の未来の糸を探る。
すぐに見つけた。瞼の裏に映し出される、ヴォルデモートと謙り跪く人間体の彼。
目を開けた。
「やっぱり……」
彼は今ここで取り除くべきだろうか。だがこのままここで監視するという手もある。どちらにしろ、シリウスに引き渡すことはしない。折角罪人ではない状態でここまで来たのに、水の泡はごめんだ。
「どうしたの?何かしたの?」
魔法のことを何も知らないハリーが私を覗き込むが、ロンがそれを否定する。
「何もしてないだろう?第一杖も出してないのに…」
「でも僕は杖がなくても魔法を使えたよ?」
「それはまだ僕たちが子どもだから魔法の制御ができないだけだよ」
ロンが正論を言い、ハリーはそうか、と黙りこんだ。
「そうね、ある意味私のはそういう魔法ではないわね。杖を使わないもの」
そう言いつつ、扉に杖を向けた。
「コロポータス、マフリアート」
「…何をしたの?」
ハリーは怪訝そうに私と扉を交互に見るが、どちらにも見た目には変化はない。当たり前だ。私が使ったのは閉鎖呪文と耳塞ぎだ。
「邪魔が入らないように閉鎖呪文と、外に声が漏れないように耳塞ぎよ」
「へぇ…魔法って本当に何でもできるんだね」
感心するハリーとは対照的にロンは不機嫌そうにしていた。
「ねぇ、ところで君は僕のスキャバーズに何をしたんだい?」
完全に不審者を見る目だ。心に痛いのは何故なんだ…。
「予見よ」
「予見って何?」
とりあえずハリーに予見者と予言の話をして聞かせ、理解を確認した。本当に何も知らないことに驚かされたが、まぁ理解してくれたので良しとしよう。
「要するに君は未来が見えるんだね。で、何を見たの?」
ヴォルデモートの復活──とか言えるわけないよね…。とりあえず嘘をつくことにした。
「彼が人間に戻るところよ」
「人間!?」
「スキャバーズが?そんな!」
ハリー、ロンの順番だ。ロンは信じられないと膝の彼を持ち上げた。ペティグリューはそれで起きてしまったらしい。鼻を上げくんくんと匂いを嗅いだ。
「あら起きちゃったわね。…マフリアート」
再び彼にだけ耳塞ぎをして、また話を続ける。
「……ロン、ハリー、あなたたちに言うのは、酷かもしれないわ。それでも、聞く?」
少し脅しをきかせたが、たぶん間違いではないだろう。何故ならこのネズミ…もとい、ペティグリューはハリーの両親の信頼を裏切りヴォルデモートが彼らを殺す手助けをしたのだ。いくら自分の命がかかっていようとも、していいことと悪いことがある。
ハリーはすぐさま頷いた。ロンを見れば、彼もゆっくりと頷いた。
「…じゃあ、話すわ。スキャバーズは本当はペティグリューという魔法使いよ」
「ちょっと待って、ペティグリューって、あの?」
ロンが口を挟んだ。
「あのってどの?」
「君、知らないの?ペティグリューって君の両親の親友で、あの日君の両親と一緒に例のあの人に立ち向かって殺されたんだ。でも死体は残っていない。残ってたのは…」
途切れたロンの言葉は私が引き継いだ。
「焼け焦げた服の切れ端と手の薬指だけ。けど立ち向かっただなんて大嘘よ。ペティグリューはあいつにハリーとハリーのご両親の居場所を教えたあと、すぐに行方をくらませた。それらと、巨大なクレーターをその家に残してね。粗方、そのあとで彼は魔法族であるあなたの家に潜り込みペットになったんでしょうね」
「そんな……」
信じられないとロンは頭を振るが、これは事実だ。あの10月の夜のシリウスとダンブルドアとの会話とそれから私が1歳になるまでに枕元で交わされた会話や、それ以外のハリー関連の本や情報誌などからの情報を繋ぎ合わせた覆しようのない事実。
「こいつが…?」
ハリーは今や完全にペティグリューを睨みつけていた。もし彼が3年生や4年生であったなら即座に杖を向けていただろうが、今のハリーはマグル界抜けたての1年生。杖のことなど頭の片隅にもないようだった。
「ええ。でもハリー、復讐しようだなんて馬鹿なことはしちゃダメよ。今は…そうね、指示を仰ぎましょう」
「「誰の?」」
2人は同時に疑問をぶつけてきたが、そんなのは簡単だ。前回ヴォルデモートと戦い、今向かっているホグワーツと関わりがあり尚且つより正しい判断が出来、この判断を仰ぐに相応しい人。
「ダンブルドア先生よ。彼ならきっと私たちより正しい判断ができるもの」
小さい方のトランクを開け、羽ペンとインク、羊皮紙を取り出し彼に短い手紙を書いた。
『はじめまして、突然で申し訳ありませんが大切なお話があります。ピーター・ペティグリューについてです。1年生歓迎会のあとお時間よろしいでしょうか』
たったそれだけの文章に書名し、寝ているコレットの籠を開けた。
「ほらコレット起きて、お仕事よ。ホグワーツのダンブルドア校長先生に、お願いね」
鋭い橙色の目を瞬き彼女は束の間ぼんやりしたあと、籠から出てきて私の持つ羊皮紙を嘴に咥えた。
彼女が飛び立てるよう、窓を開ける。途端に冷たい風が吹き込んでくるが彼女はそれをものともせず、窓から飛び出していった。
窓を閉め、席に戻ってひと息ついたとき、ハリーが我慢できなくなったように口を開いた。
「…なんて、書いたの?」
「ああ、あとでお話がありますって。詳しいことは書かなかったわ。コレットに何かあったとき、誰かに読まれたりしたら大変なことなるもの」
「どうして?」
「わからない?ハリーと同じように英雄視されていた彼が実は殺人に加担していて、さらにそいつがホグワーツの生徒のペットだったなんて、予言者新聞の一面ものだわ。──誰も信じないでしょうけど、それでも今は表沙汰にするべきではないことよ」
トランクの中身を片し荷物棚に上げながらそう言った。ハリーは眉間にシワを寄せた。
「でも僕…僕、そいつは許せないよ」
「ええ、知ってるわ。けどね、ハリー。今私たちが独断で彼に手を出すわけにはいかないわ」
口を開きかけたハリーよりも先にロンが尋ねる。
「どうして?ペティグリューはハリーの両親の仇だろう?」
ハリーとロンの向かい側に座り、私は首を横に振った。
「私たちだけでは彼を逃してしまう確率のほうが高いのよ。今はこんな姿と言えど、彼はホグワーツを卒業した大人よ。まだ入学すらしていない私たちから杖を奪うことなんて簡単にできるだろうし、そもそも、私たちがどうこうできる問題ではないのよ」
あ、そっか、と納得するハリーと、まだ腑に落ちない様子のロン。改めてロンに向き直る。
「それで…ロン、貴方にお願いがあるの」
この話の流れで良い話題になるわけもなく、ロンは肩に力が入ったまま私を見た。
「何?」
「ダンブルドア先生からの指示があるまでこのペティリューを今まで通り、スキャバーズとして可愛がっていてくれないかしら」
「え!?」
そんな、無理だよ、と首を振る。
当たり前だろう。ホグワーツでの友だち第一号であるハリーの両親の仇を仇と知りながら可愛がることなど、普通のことではない。
「お願いよ、彼を逃さないためにも貴方の協力は必要なの」
そう押せば、しばらく彼の視点は定まらなかったが、少しの沈黙のあと彼は決心したように頷いた。
「…わかったよ。今まで通り、だよね」
「ええ。ありがとう、ロン」
そのあとドアに掛けた閉鎖呪文と耳塞ぎを解除し、ついでにペティグリューの耳塞ぎも解除した直後、原作より少し早くネビルがコンパートメントの扉をノックした。
どうやらウィーズリーの双子イベントはどこかで消えたようだ。
「ごめんね。誰か僕のヒキガエルを見なかった?」
ネビル好きです。可愛い。これからどうなるのか私にもわかりませんがネビルには頑張ってもらおうかなーとか思ってます。どうなるかわかりませんが(大事なことなので2回言いました)。
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