L4宙域に近い宙域に日本の所有するコロニーの集合体であるコロニー群[織姫]が存在する。そのコロニー群は6つのコロニーで構成され、内3つが農業コロニー、2つが資源開発コロニー、最後にコロニー群の防衛と警備のために存在する航宙自衛隊の宇宙要塞である[彦星]である。
ここに彼、
「第三航宙艦隊、第302空間機動中隊、徳田 新 2等宙尉入ります」
司令官室と書かれた表札のある部屋をノックし、申告した後に入室したのは元は日本の上空、静止衛星軌道にある宇宙要塞白星の防衛艦隊に所属していた青年で、あのザフトのNJ無差別投下事件の際に両親を喪い、15歳の妹が未だに意識が戻らない状態となっている人物であった。
そう、墓前でザフトを許せないと語っていた青年である。
彼が部屋に入ると、体格の良い、しかし穏やかな目をした壮年の男性が司令官の席に座っていた。
肩には、黒地に錨のマークとそれに交錯するように描かれた三日月、その下に満月を象ったマークと2つの星が描かれた階級章が付いている。
これは航宙自衛隊では宙将補の階級である、ちなみに宙将には宙将補を含め3つの階級があり、星が3つで宙将、4つで幕僚長である。
「来たか、基地司令官の山南だ。なぜ呼ばれたかはわかるかい?」
「いえ、休暇より戻ってすぐ呼ばれたもので…」
新は少し困惑した様に答えるが、司令官の山南は顔色を変えることなく、真っ直ぐに新を見つめながら説明を始めた。
「君は、確か試作MSのテストパイロットの選考試験で最終選考まで行ったそうだね?」
「はい、確かに行きましたが、落選しました」
新は山南が何を言いたいのかいまいち分からないながらも返答する。
「実はね徳田二尉、それについてなんだが……」
そこまで司令が言いかけたところで要塞内に警報が鳴り響いた。
「どうした!何かあったか⁉︎」
司令は急ぎ要塞の司令部に連絡し問い合わせる。
すると、衝撃的な返答が返って来た。
『司令官!緊急事態です!連合の東アジア共和国の資源衛生、新星が放棄され、そこから撤退してきた連合の一部の艦隊が当方に寄港許可を求めてきました!また、拒否した場合武力を行使すると…』
その言葉を聞いた山南と新は絶句したが、すぐに気を取り直し行動に移った。
「徳田二尉、済まないが話は後だ。部隊に戻れ!」
「了解です!」
新は即座に敬礼し退室した。
そして山南は司令部に再度連絡を取り、指示を出す。
「司令部、取り敢えず連合軍には少し待つ様に伝え、本国にもこの事態を報告、警戒中の部隊には指示あるまで発砲禁止だ。私が司令部へ行き直に連合艦隊の指揮官と話す」
『分かりました!できるだけ早くお願いします、だいぶ気が立っている様ですので』
「分かった、急いでいく」
そう言うと山南は受話器を置き、司令官室を後にし、司令部へと急いだ。
彦星から連絡を受けた日本政府は直ぐに国家安全保障会議を開き、協議を開始した。
「ここは受け入れるのも手では?我が国の隣が彼らの本国なわけですし…」
外務大臣が発言し、その発言に防衛大臣が反論する。
「いや、其れでは武力を背景にした圧力に屈した形になってしまう。まして政府を通じて正式に要請してきたわけでもない。其れに彼らのやってる事は海賊の其れと大差ないではないか、そんな奴らに何かしてやる義理はない」
続いて法務大臣が口を開く。
「いやしかし、其れだと武力衝突に成るのでは?」
「では、武装を解除した上で受け入れると言うのは?」
と総務大臣
「いや、其れでもダメだろ、中立国が其れをしたらザフトに口実を与えかねない、ここは中立国の立場を伝えて寄港は認めずに医薬品と食料を渡してお帰り願おう、総理もよろしいですか?」
「ああ、構わない、ただし不測の事態に備え、その場合の対応は現地司令官に一任、攻撃を受けた場合には武力行使を認めると伝えてくれ」
「分かりました、では決を取ります、これに反対の方は挙手を…ない様なので、対応はこの様にいたします」
官房長官の言葉で国家安全保障会議は終わり、総理以下閣僚たちはそのまま一応ということで、内閣危機管理室に詰めることにしたのだった。
日本政府の決定がどの様な影響を生むのか誰もわからない。
感想お待ちしております。
完結も見えてきたので、今後についてアンケートを実施します。
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destinyルートへ行く
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宇宙戦艦ルートへ行く
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連載停止中のほかの作品を続き書けや
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新連載しつつゆっくり続きでOK
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徳田くんのR18