機動戦士ガンダムSEED〜日本国自衛隊〜   作:名無之助

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戦闘描写が……。


第二話・始まりの業火、後編

CE70年 7月12日 午後17時35分

 

この日、この時間、日本国航宙自衛隊 宇宙要塞[彦星]は、緊張感に包まれていた。

 

理由は、30分前に現れ、突然寄港許可を求めてきた連合軍艦隊である。

 

そして現在、その連合軍艦隊と、彦星防衛警備艦隊及び彦星に駐留していた航宙自衛隊 第3航宙艦隊 は、宇宙要塞[彦星]の防空識別圏内において睨み合いの状態となり、基地司令官の山南宙将補と連合軍艦隊の指揮官との間で交渉が進められていた。

 

「ですから、我々は貴方方の寄港は許可できません、食料や医薬品は提供できますが、武装した艦船を我が要塞内に寄港させる事は有りません、我が国は中立国だと先程からお伝えしている筈です‼︎」

 

『……人類の敵と戦っている我等を受け入れないとは…やはり日本はザフトと手を結び連合と戦う気では無いのか?』

 

「その様な事は有りません!我が国がプラントへ現在行っている制裁措置は貴方とて知っている筈だ!貴方が何を言っても、我が国政府の方針により、我が要塞は貴官らの寄港は許可しない、これは決定事項です。」

 

『話にならんな、我等の技術を盗んで作った要塞を使っているくせに…やはり日本は再構築戦争で偉大なる我が祖国に制圧されるべきだった。

寄港許可がない場合、我が艦隊は貴要塞を武力で接収するつもりだが?』

 

 

相手の指揮官の発言に、彦星の司令部にいた山南司令を始めとする自衛隊員達は憮然とし、次いで表情には出さず、怒りに拳を握る者や、相手の指揮官が映るモニターを睨みつける者までいた。

 

しかし、彼らの怒りは、それ以上の怒気によって霧散する。

 

誰しもが、寒気を感じ、ソレを見た、普段怒らない司令官の冷め切った視線が相手の指揮官を射抜く。

 

「貴方方は何を言って居られるのか、中立国の主権を無視した今回の要求に関して、当方は応じる気はない、キム准将、もし武力でくるのなら、来るがいい、貴方の祖国とやらが我が国より高い技術を持っているなら、我々を簡単に制圧できる筈ですよね?」

 

その山南の言葉と、刃物の様に冷め切った視線に相手の指揮官はたじろぐ、

 

『ぐ、こ、後悔しない事だな。』

 

そこまで言って相手は通信を一方的に切った。

 

山南は直ぐに全部隊に要塞とコロニーを守るために指示を飛ばす…その時の事を彼は後に自身の著書でこう書いている。

[初めて、戦闘になる覚悟をした時、真っ先に思ったのは、自衛官として、責務を果たすこと、何かを守るためには戦う事も必要な時がある事を分かっていたつもりで分かっていなかった、そう感じた事です。]

 

 

地球連合軍艦隊旗艦 アガネムノン級の艦橋で、指揮官のキムは吠えていた。

 

彼は新星防衛の為派遣された艦隊の戦隊指揮官であり、東アジア共和国の韓国自治区出身、金の力で成り上がったと言う噂があり、あまり人望は無く、ブルーコスモスの構成員でもある。

 

「あの劣等種が!いい気に成り上がってぇ‼︎」

 

「あの、司令、やはり中立国を攻撃するの…っグア!」

 

指揮官は意見しようとした艦長を殴り飛ばし、怒鳴る。

 

「黙れ!貴様は其れでも艦長か!?お前は黙って俺の指示に従えばいいんだ!」

 

アガネムノン級を含む18隻もの艦隊を指揮するほどの人物にはまるで見えない彼の行動に、オペレーター達は白い目を向け、艦長へと同情の視線が向けられる。

 

その光景を、彼らと行動していた、ムウ・ラ・フラガ大尉は冷めた目で眺める以外なかった。

 

(やれやれ、もう少しマトモな艦に拾って貰えば良かったかねぇ)

 

彼は内心はこう思いながら、自身の不幸を呪った。

 

彼は新星防衛戦に派遣され、敵エースと交戦、被弾したため、近くの友軍艦に緊急着艦した…その艦がこれである。

 

 

そんな事は知らず、航宙自衛隊の艦隊は戦闘態勢に入る。

 

第3航宙艦隊も例外ではなく、既に航宙戦闘機 隼Ⅱを展開し、艦隊も対空戦闘にも対応出来る様に各戦隊ごとのコンバット・ボックスを展開し、照準を連合軍艦隊へ合わせる。

 

『小野寺宙将補、艦隊は任せた、防衛警備艦隊も一時的に君に預ける、頼んだよ。』

 

 

「了解です山南司令、何としても防いで見せます。」

 

未だ40代くらいの若い指揮官は山南にそう答えると、敬礼し通信を切り、艦隊へと回線を繋ぐ。

 

「諸君、今回の事態は残念に思うが、しかし、この事態に関して向こうに非がある事は明らかだ、我々は自衛官としてなすべき事を成す。総員、奮起せよ‼︎…以上だ。」

 

 

訓示か終わると、各艦載機隊が連合軍艦隊を迎撃するべく向かっていく。

 

連合軍艦隊も航宙自衛隊の艦隊へと艦載機を向かわせ、さらに艦隊本隊も自衛隊の艦隊へと向かい進撃してくる。

 

まず、火ぶたを切ったのは航宙自衛隊第3艦隊の艦載機への援護射撃であった。

 

そして、戦闘は始まった。

 

 

艦載機隊が連合軍MA部隊と戦闘を始めた時、その中には、彼、徳田新二尉の姿もあった。

 

「くそ、数が多い!」

 

連合軍MAの数の多さに唖然とした彼だが、直ぐに頭を切り替え、戦闘に集中する。

 

連合軍のMAメビウスは数は多いが、それ程手強い敵ではなかった。

 

戦闘開始から数分で彼は既に4機ものメビウスを撃墜し、更に僚機の背後に迫った機を撃墜する。

 

更に、其れを隙と見て背後から機銃を撃ってきたメビウスに急上昇からの捻り込みでその背後を取り、そこから機銃を浴びせ撃墜した。

 

その直後である、他とは明らかに違う、オレンジ色の敵機が味方の戦闘機部隊に襲いかかったのは…。

 

『なんだあれは!うわぁー‼︎』

 

『三番機がやられた!あれはガンバレルだ!注意しっ…ガァ‼︎』

 

『隊長⁉︎クソっ背後につかれた!助けて下さっ…‼︎』

 

幾ら練度の高い自衛隊でも、エンデュミオンの鷹と呼ばれる存在に勝つのは難しく、次々と撃破されていく。

 

「あーあ、とうとうやっちまった……それにしても、味方は不甲斐ないねえ、少しは自衛隊を見習いなってね〜っと‼︎」

 

そう呟きながら、彼、エンデュミオンの鷹と呼ばれるエースパイロット、ムウ・ラ・フラガは、背後から自衛隊機が撃ってきたミサイルを躱し、撃ってきた自衛隊機を瞬時に宇宙の塵に変える。

 

オレンジのMAと、そこから分離した小型砲台により次々と味方が撃墜されていく、その光景に、精鋭として知られる第302中隊隊長、加藤 三郎は、オレンジのMAが只者ではないと察し、中隊に告げた。

 

『第302中隊各機、聞こえるか?味方の被害が甚大だ、あのオレンジの奴を抑えるぞ、中隊続け‼︎』

 

「了解‼︎」

 

 

 

艦載機隊が苛烈な戦いを演じている時、艦隊も戦闘を開始していた。

 

 

「駆逐艦 浜月轟沈!瀬戸月がカバーに入ります!敵艦隊の前進止まりません、このままではコロニーまで突破されてしまいます!」

 

その報告がなされた直後、小野寺宙将補はハッとした。

 

敵艦隊が、彦星への進路から、コロニーへと向かおうと動き出していたのである。

 

「クソ、奴らコロニーを狙うつもりか!」

 

小野寺宙将補がそういった瞬間、通信が入る。

 

『こちら雪風艦長、古代三等宙佐です。本艦以下第4戦隊が敵艦隊前方へ移動し、正面から突撃、機動力を生かし近接砲撃戦にて敵艦隊を撹乱したいと思います。許可を』

 

「な……勝算はあるのか?」

 

『はい、撹乱後は即座に離脱、合図を送るので、旗艦の艦首砲に寄り敵艦隊を撃破していただきたいと思います。』

 

その言葉に小野寺宙将補は少し考えると、返答した。

 

「分かった、許可する。頼んだぞ…。」

 

『了解!ありがとうございます!』

 

こうして、雪風率いる第4戦隊が、敵艦隊正面へ移動を開始した。

 

敵のとった進路⬇︎

【挿絵表示】

 

そんな中、オレンジのMAメビウス・ゼロは次々と自衛隊の艦載機を血祭りに上げていた。

 

「…あまり気は進まないけど…命令なんで、成仏してくれよ⁉︎」

 

ムウはそう言いながらまた一機を撃墜し、その直後に現れた部隊に他の部隊とは違う物を感じた。

 

そして、弾薬が既に心許ない彼は、その状況に心が折れそうだった。

 

「へえ、精鋭部隊のお出ましってか⁉︎勘弁してくれよぉ‼︎」

 

彼の嘆きは誰にも聞こえるはずはなく、無情にも戦いは続く。

 

 

「隊長!あの敵機の動きは早い!注意してください!」

 

『誰に物を言ってる、徳田ぁ‼︎』

 

「す、すいません、けど他とは明らかに動きが違います!」

 

『分かってる、奴は恐らく、エンデュミオンの鷹だ!お前も気を付けろ、下手に気を抜くと喰われるぞ!』

 

『山本より徳田二尉、背後に敵機、撃墜します!』

 

不意に入った通信に慌てて背後を見ると背後に迫っていた敵機が僚機に撃墜されるところだった。

 

それを見た直後、彼は疲労で自分の周囲への注意が散漫になっているのを感じ、気を引き締める。

 

 

 

疲労を感じているのはエンデュミオンの鷹、ムウも同じであった。

 

既に302中隊と戦闘に入ってから数十分が経過し、とうとう弾薬を使い果たしたのである。

 

それでも、302中隊はそんな事は知らずに攻撃の手を緩めはしなかった。

 

「中々にやるじゃないの…。少しは手加減してくれよ全く!弾ももうないってーの‼︎」

 

彼はガンバレルも遂に最後の一機が破壊されてしまい、それでも何とか302中隊の攻撃をしのいでいく。

 

しかし、彼が嘆きながら、302中隊の巧みな連携攻撃を何とか躱し続けていると、エンジンが突如発火しヤバイと感じた彼は即座に脱出に成功、だが、それを見逃すほど自衛隊は甘くなかった…。

 

 

「加藤隊長、こちら山本、敵MAが爆発しました!」

 

『は?俺の攻撃当たってねえぞ⁉︎エンジンの不調か?』

 

「パイロットは脱出したようなので回収します。」

 

『分かった、念のため徳田、お前は山本のカバーに入れ』

 

『了解、カバーに入ります。』

 

 

こうしてエンデュミオンの鷹は日本に一時的に確保される。

 

なお、フラガ大尉は、自衛隊機に収容された際、パイロットが女性で、尚且つ美人であったが為に口説こうとしたらしいが、その女性パイロットの鋭い視線に断念したらしい。

 

フラガ大尉が自衛隊に確保されていたころ、艦隊戦も決しようとしていた。

 

連合軍艦隊は、自衛隊の駆逐艦隊と、本隊の連携した攻撃の前に翻弄されていたのだ。

 

「くそ!忌々しい駆逐艦どもが!さっさと蹴ちらさんか!」

 

連合軍艦隊は自衛隊の駆逐艦隊に撹乱され混乱の極みにあった、艦隊司令がろくな指示を出さない事も原因だが……。

 

「司令、艦隊が混乱してます、立て直さなければ!」

 

「煩い!この無能が!さっさと敵を蹴散らせ!」

 

最早、艦隊指揮とは程遠い命令であり、艦長は半ば諦めに近い感情に支配され始めている事に気がついた。

 

その時である。

 

「敵駆逐艦離脱‼︎」

 

「何⁉︎」

 

オペレーターが報告した時、司令と艦長の反応は対照的であり、司令はホッとしたような、艦長は青ざめた表情に成り、叫んだ。

 

「いかん!直ぐに駆逐艦を追うんだ‼︎」

 

艦長は直感に従い命令を出すが、時既に遅し。

 

「高エネルギー反応接近!」

 

「回避!」

 

「間に合いません‼︎」.

 

「何とかし……っ!」

 

司令が言いかけたところで艦橋は光に包まれ、その直後、旗艦は光球となり、宇宙の藻屑となった。

 

 

 

時間を少し遡る

 

「敵艦隊への突入成功!」

 

駆逐艦雪風率いる第4戦隊は機動力を生かし、敵艦隊への突入に成功し、作戦を開始した。

 

「護衛艦に構うな!指揮を執る中型、大型艦を集中的に攻撃しろ!」

 

「了解!」

 

古代三等宙佐の命令に従い、戦隊の各艦はそれぞれ目標を定め攻撃を開始する。

 

「葉月被弾!戦闘に支障なし!」

 

「目標をネルソン級に集中、艦首対艦ミサイル全門発射‼︎」

 

「撃てぇー!」

 

艦首から放たれたミサイルは4機、内3機は撃破されるが残りの一発が命中、ネルソン級は運悪くミサイル発射管に直撃を受け轟沈、その後更に一隻のネルソン級を撃破、連合軍艦隊は混乱した。

 

また、日本の駆逐艦隊の機動力と速力に護衛艦が対応出来ていない事や、余りにも違う実力差に怖気付き、逃げ出そうとして味方と衝突する艦船が出た事も、より混乱に拍車を掛けた。

 

「よし、うまい具合に混乱してるな、全艦に離脱命令を出せ、艦隊旗艦に作戦成功、直ちに攻撃されたしと伝達」

 

「了解です!」

 

そうして雪風率いる駆逐艦隊は更に数隻の護衛艦を排除し、敵艦隊からの離脱に成功した。

 

駆逐艦雪風から電文を受け取った黒銀は直ぐに行動に入った。

 

「第4戦隊の離脱を確認、敵艦隊、当方に気づいた素振りなしです」

 

「艦首 高出力(スーパー)メガ粒子砲発射用意、対閃光、衝撃用意!」

 

「エネルギー100%、発射準備よし、」

 

「射角問題なし、照準固定、射線上からの友軍離脱確認!」

 

「発射カウント、5.4.3.2.1.発射‼︎」

 

「撃てぇーー‼︎」

 

黒銀の艦首に集約されたエネルギーの束が連合軍艦隊に向かう、日本が開発したこの兵器は、無慈悲に連合軍艦隊へと襲いかかる。そして連合軍艦隊はなすすべなく、その光に飲み込まれ、僅かに残った残存艦はやむなく降伏した。

 

「敵艦隊残存艦寄り降伏の申し入れです、司令」

 

「降伏を受け入れる。各艦は救助作業にあたらせろ、原型をとどめている艦は生存者がいないかをきちんと調べるように、敵味方関係なくだ」

 

「了解です司令、お疲れ様でした。」

 

 

その後、エンデュミオンの鷹を確保した知らせを聞いて艦隊司令は微妙な顔になったが、基地司令に丸投げした。

 

ここに、彦星防衛戦は終結した。

 

この数日後政府は、連合軍に厳重な抗議、謝罪及び賠償を要求し、更に追加の独自制裁を行う旨を発表した。

 

 

 

戦闘結果

 

艦載機

 

連合軍艦隊 280機

 

戦闘後128機 (戦闘が再度可能な機体はこの半分)

 

戦艦

 

旗艦 アガネムノン級、世宗大王…撃沈

ネルソン級 三隻…撃沈

 

ドレイク級 12隻…9隻撃沈 大破2 小破1

 

輸送艦 2隻 …逃走を図り衝突、大破

 

 

自衛隊

 

艦載機 200機(近代化改修中で半数近く使用不能だった)

 

戦闘後 170機 (うち12機はフラガ大尉の戦果)

 

第3航宙艦隊

 

旗艦 黒銀…健在

 

長門型 4隻…中破1、小破2(中破した艦船は運悪く艦橋へ被弾したため)

 

鳳翔型 2隻…健在

 

金剛型…8隻…大破1中破2

 

吹雪型…16隻…撃沈2、大破2、中破2、小破4 (大半がMAによる損害、ただし、雪風率いる駆逐艦隊は艦隊戦で全艦小破)

 

防衛警備艦隊

 

旗艦 鳳翔型…1隻…健在

 

金剛型…4隻…大破2中破1小破1

 

吹雪型…11隻…撃沈1、大破3

 




感想お待ちしてます。

挿絵は下手ですいません、東アジア共和国の韓国人の多い部隊の暴走ですが、うまく描写出来てるかな…。

完結も見えてきたので、今後についてアンケートを実施します。

  • destinyルートへ行く
  • 宇宙戦艦ルートへ行く
  • 連載停止中のほかの作品を続き書けや
  • 新連載しつつゆっくり続きでOK
  • 徳田くんのR18

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