機動戦士ガンダムSEED〜日本国自衛隊〜   作:名無之助

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少し鬱っぽいかな?

本編でちらっと触れた殉職した警察官にスポットを当てました。



第四話・ある巡査の悲劇

鈴木 利正巡査 24歳 東京都 世田谷区在住

 

物語は、事件の当日の朝から始まる……。

 

その日も、彼はいつもと変わらない朝を迎え、結婚1年目の妻が作った朝食を食べ、仕事に向かった。

 

同僚からも信頼をされていた彼は、その期待に応えようと努力し、それが周りの評価を上げていたのだが、その日は、それが災いしたとしか思えない。

 

彼はその日、何時ものように交番で勤務をしていた…。

 

ーー

 

俺が、何時ものように交番で勤務していると、この辺では見ない若い男性が、道を尋ねてきた。

 

普段は近所の人や、お年寄りが話し相手が欲しくて来るくらいなので、珍しいと思いながらも対応した。

 

「すいません、この場所はどう行けばいいですか?」

 

「ああ、ここなら近いですよ、あそこの標識を左に行って、二番目の信号を右へ真っ直ぐ行くと、2、300m位で右側に看板が有るので、その看板の建物がそうですね」

 

「そうですか、ありがとうございます」

 

「いえ、気をつけて行ってください」

 

道を聞いてきた若い男性は、道を教えると礼を言って去って行った。

 

その後、近所のオバさんの世間話を数十分ほど聴かされたり、パトロールへ出ていた同僚が戻ってきて、一緒に書類を片付けたり、交番によく話し相手が欲しくて訪れるお年寄りの相手をするなどし過ごしていた。

 

PM15時

 

同僚が提出した書類に不備があり、署から連絡があった。

同僚はその書類を取りに行き、一時間程で戻ってきたが、如何しても外せない用事があり早退するらしく、代わりに書類を処理してほしいと言われ、自分の分の書類を処理した後でやろうとその同僚の書類を机にしまった。

 

PM18時

 

署から連絡があり、交通事故の対応の為パトカーで現場に向かった。

交通事故は飲酒運転が原因の車同士の接触事故で、怪我人はいなかったが、少し処理に時間がかかってしまった。

 

PM20時30分

 

事故処理が終わり、交番へ帰ってきた。

 

当直の警官2名が来てすぐに別の事故の対応に出てしまい、留守番をする羽目になる。

 

いつもと同じ筈なのに、同僚が居ないと寂しいものだ、俺の他に一人回してくれる筈が、その一人は別の案件に対応の為回せなくなったらしい。

 

何が、[君なら平気だろ、何かあれば連絡してくれ]だ、あの課長、まだ課長が自分のミスを部下の所為にしたのを俺が皆の前で指摘したのを根に持ってるな。

 

PM23時

 

少し眠くなってきたな…。

 

交代に来たはずの警官2名はまだ戻らない。

 

そんな時だ。

 

「助けてください‼︎」

 

若い女性が交番へ駆け込んできた、見た目は20代前半から中頃位だろうか、髪はセミロングの美人と言っても良い女性だ。

 

ただ、その時はただならぬ様子だったため、俺も緊張する。

 

「如何しました⁉︎とにかく落ち着いて下さい!」

 

女性を落ち着かせようとするが、そこで女性の発した言葉に、俺はヤバイと直感する。

 

「変な男に追われてるんです!逃げる途中で鞄を相手に投げつけたけど、その時何か手に黒いの持っていた気がします!」

 

「黒いの?……っ!隠れて‼︎」

 

彼女の向こう側に複数の人影が見え、それが明らかに一般人とは違う風貌に感じられ、俺は咄嗟に叫び、銃を抜こうとしたが、視界に何かノイズが走るような感覚がし、身体から力が抜けていくのを感じた。

 

俺が最期、倒れる瞬間に見たのは、男に捕まり、袋のようなものに入れられ連れて行かれる彼女の姿だった。

 

 

俺は……だ…れも…守…()……()…………(優奈)

 

 

薄れ行く意識の中、彼が最期に思い浮かべたのは、妻の名前と、誰も守れなかった後悔だった……。

 

結局、事故の対応に出ていた2名の警官が交番に戻ってこれたのは早朝3時、この時に彼の遺体を発見するのだった。

警官たちが遅くなったのは、レッカー車が到着が遅れた事などで処理に時間がかかってしまったためであった。

 

 

二週間後、彼の葬儀が、警察により執り行われた。

 

葬儀の際、警察署長が最後に壇上に上がり追悼の挨拶を行う。

 

彼は56歳で、殉職した鈴木巡査と面識もあった人物である。

 

「彼を私は彼の高校時代から知っています。

それは、私がまだ警察署長になる前、彼の通っていた高校に防犯講習に講師として行った時でした…講習が終わり、講師として、講習の評価と、幾つかの注意をした後、質問をとった時、唯一質問して来たのが彼でした。

 

彼は、私にこう聞きました…もし、お巡りさんが警察官で無かったとしても、今と同じように行動できますか?…と、私は困りました。

しかし、なんとか応えようと考え、結局、それはわかりません、すでに私は警察官になってしまっているから…そうしか言えませんでした……。

 

結局、彼の質問に私は未だ答えていないのです。

 

そして、その機会も失われました。

 

しかし、今は、答えられる、たとえ警察官でなくても、私は今と同じようにできたか、出来ないでしょう。

 

だからこそ、警察と言う鎧を着た私達警察官がいるのだと…彼は警察官として行動し、殉職しました。

 

彼が守ろうとした女性は拉致され、心ないメディアの一部は彼を無駄死にではないかとさえ言っています。

 

だが、私は言いたい!

 

断じて…断じて彼は…彼は無駄死にではない‼︎

 

無駄死ににさせてたまるか‼︎

 

彼の勇気のおかげで私たちは犯人の手掛かりを掴みました。

 

彼の身体から摘出した弾丸に手がかりはあった。

 

私たちは彼に約束します……必ず、君が守ろうとした女性を救い出し、犯人に法の報いを受けさせることを…」

 

そうして彼はゆっくり息を吸うと、再び、決然とした口調ではっきりと、宣言した。

 

「私たちは必ず、君の死を無駄にしない‼︎‼︎

 

鈴木 利正 警部補に……敬礼‼︎‼︎」

 

署長の号令で、参列していた警察官達が一斉に棺に向かい敬礼した。

 

それは、警察官達の犯人への怒り、そして、殉職した警察官に対する敬意と、必ず犯人を捕まえる決意とがにじみ出ているようであった。

 

 

 

 

式が終わりると、一人の女性が、まるで抜け殻のようにうなだれ、家族に支えられ退席して行った。

 

それを偶然見た署長は、犯人への怒りをさらにますのだった。

 

そう、彼女は殉職した鈴木巡査…警部補の妻だったのだ……。

 

 

 

 




本編に関係する外伝的なものと受け取って頂けたら幸いです。

鬱展開は難しい。

一応、警察の活躍の場も作りたいとは考えてます。

完結も見えてきたので、今後についてアンケートを実施します。

  • destinyルートへ行く
  • 宇宙戦艦ルートへ行く
  • 連載停止中のほかの作品を続き書けや
  • 新連載しつつゆっくり続きでOK
  • 徳田くんのR18

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