機動戦士ガンダムSEED〜日本国自衛隊〜   作:名無之助

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元旦から今年初投稿

あけましておめでとうございます!


第九話(前)・救出作戦前

CE 71年 1月4日 東アジア共和国 某所 そこにある研究機関が存在する。

 

この研究機関は軍が管轄しており、東アジア共和国軍の歩兵二個中隊、戦車一個小隊、ヘリ一個小隊が厳重に警備する半ば軍事基地となっていた。

 

そして、その研究機関の一室からはいつも苦痛に満ちた叫び声が響いていた…。

 

 

「ああぁァァ“!グワァァァ!………はあ…はあ…はぁ」

 

 

「フェフェフェ……まだしぶとく粘るか……大人しくワシのゲイムシステムに身を委ねた方が楽になれるぞ?」

 

奇妙な笑い方をする顔にY字の金具のような者をつけた老人が、電気椅子の様な物に拘束され、特殊なヘルメットを被せられ、叫び声を上げている青年へ声をかける。

 

青年は、その老人の声に口を結び、抵抗の意思を示すが、老人が手元のスイッチを押すと、強力なナニカの作用による再びの苦痛に叫び声を上げ、悶絶する。

 

彼は拉致されてから数ヶ月に及びこの様な拷問染みた実験の被害者にされていたのだ。

 

そしてここには彼と同様に実験材料にされている者たちが存在する。

 

さらに、ここで半ば無理やり働かされている女性研究員(・・・・・)はその光景を見て、余りの辛さに目を背け、拳を握りしめていた。

 

そう、ここで彼女に自由はなく、定時には兵士により個室へと監禁され、それ以外では、脳波により兵器に干渉、または兵器の能力に作用するシステムの開発を強制されていたのだ。

 

そして、彼女は、ここに拉致されてきてからまともに眠ることもできていない。

 

なぜか、それは彼女が拉致された際、彼女が保護を求めた交番の警察官の最期の顔が目を瞑ると頭に浮かんできて彼女の罪悪感を煽り、彼女は〈自分が保護を求めたせいでその警察官が死んだ〉と思い込み、そのため彼女は休めていないのだ。

 

そんな彼女が今心の支えにしているのは、実験材料にされている少年少女達だ、彼ら彼女らはこの施設の研究員らにより記憶を消されてしまった者が殆どであったが、彼女はささやかな抵抗として、彼ら彼女らへ投与される薬に細工を施し、効き目を薄め、彼ら彼女らがこれ以上壊されない様に手を尽くしていた。

 

しかし、今目の前で苦しむ青年は、研究機関の所長自ら実験しているため、薬などへの細工をする事が難しかった。

 

彼女は彼に心の中で謝り続けていた……。

 

 

ーー

 

同日 日本国 総理大臣官邸

 

そこで、総理大臣の本田 元一は、防衛大臣、内閣情報調査局局長、警視庁長官、自衛隊統合幕僚長らとTV電話(盗聴への対策済み)で話し合いをしていた。

 

「拉致被害者の所在が判明した?」

 

『はい、場所は東アジア共和国の内陸部で人口の少ない地域です。現在調査局の調査官数名が施設内へ潜入し、対象への接触を図っているところですが…報告では、数ヶ月前に消息を絶った自衛隊の隊員も此方に監禁されている可能性が有ると…』

 

総理は、調査局局長からの報告に、東アジア共和国に対する怒りの感情を更に増幅させる…。

 

続いて、警視庁長官が報告する

 

『警察としましては既に国内の実行犯の拠点を突き止めております、実行犯グループは武装している可能性がありますが、明日にでも強襲し、摘発する計画です。

また、東アジア共和国諜報部へ情報局と共同し送り込んだ潜入捜査官からの報告では、この事件は東アジア共和国軍の上層部が深く関わっている可能性が高いそうです』

 

「やはりか……それで、自衛隊はどう対応する?救出作戦はできているのだろう?詳細は任せるが、準備は出来ているのか?」

 

総理は防衛大臣、そして統合幕僚長へと視線を向ける。

 

『防衛省としては、総理の許可があればいつでも自衛隊に行動開始を伝える用意はあります』

 

『自衛隊は現在、習志野の特殊作戦群一個中隊規模が作戦に備え待機しており、ステルス輸送機が配備されている特殊輸送飛行隊も準備を終えており、更に作戦部隊の回収のため、空自の試製62式改ステルス輸送機が待機しております。またその際、他に被害者がいれば救出する予定です』

 

準備はできているか。

 

「作戦は早い方が良いか………重いな。」

 

人が死ぬかもしれない、自衛隊に死者が出るかも知れない。

 

『総理、既に作戦は準備を完了してます、後は対象への接触が出来れば直ぐにでも決行出来ます。総理、命令を』

 

偶発的戦闘ではなく、正式に私の命令として人が死ぬ……だが、決断しなければならない。

 

命を背負う事、責任を持つこと、信念に従うこと、それこそが私の総理としての義務…。

 

ならば何を迷う…国民を救うために迷う事などない、先生の言葉を思い出す……自衛隊は何のためにあるのか…か、

 

ならば決めよう、私の総理としての義務、そして責任を持つ人間として……。

 

「作戦は……できる限り早く閣僚会議を開き、私の責任で許可する様にする。決定次第命令を伝えるから奴らに自分がした事を分からせてやれ」

 

『了解です!』

 

話し合いが終わると、総理は椅子に深く腰掛け、深いため息を吐いた…これからが本当の戦いである。

 

 

 

 

ーー

 

2日後、情報局より、対象への接触に成功したと報告が上がり、作戦が発動される事となる。

 

彼らは、自らの行為が何を招くのか、その身で知る事となる……。

 




長くなりそうなんで分けました。

感想まってます。

完結も見えてきたので、今後についてアンケートを実施します。

  • destinyルートへ行く
  • 宇宙戦艦ルートへ行く
  • 連載停止中のほかの作品を続き書けや
  • 新連載しつつゆっくり続きでOK
  • 徳田くんのR18

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