CE71年 1月8日
この日、私達はあの地獄の様な場所から解放された…。
あの日も、研究所に連れてこられてから毎日の様に行われる人体実験に立ち会わされ、データ収集をする様に強要された。
彼らは、私が日本で開発していた新型の脳波制御が可能な兵装を装備するためのOSを此処でも作らせようとしている様だったが、彼らの様な者たちにそのOSを渡してはならないと思った私は、開発するためのデータが足りないから此処では作れないとそれを拒否したのを覚えている。
最初の時、私はガラス越しに、実験室が見える部屋で、そのOSを開発する様に迫られたが、ガラス越しには椅子に拘束されている少女が見え、明らかな人体実験をする彼らに更に嫌悪感を抱いた。
しかし、彼らはこう言い放ったのだ。
『データが無いなら取れば良い、幸いにして素材は幾らか
実験に使われている人達を完全に物扱いする彼らの言葉には虫酸が走る。
そして、あの男は、更に、椅子に拘束され、実験の被験者にされている少女を指し、追い打ちをかける様に言った。
『まあ、無理強いはせんがの、じゃが、そうなると余分な素材は
下卑た笑みを浮かべ、あの男はそう言い放ったのだ。
私は、ガラス越しに拘束されている少女を見た。
その表情は苦悶に満ちている様に見えた。
私は、いくら他人でも、私が原因で死なれるのは嫌だった。
我ながら嫌な女だと思う。
其れでも、彼女達にはできる限り負担を減らせる様にした。
投与される薬品の濃度を薄め、効力を下げたり、無害な薬品とすり替えたりもした。
そして、そうやって何日か過ごすうち、あの事件が起きた。
私の眼の前で、警備兵が清掃員を射殺したのだ。
私は急いで駆け寄り、何があったのか問いただそうとしたが、警備兵は私に対して答える義務は無いと言い、無線で何やら話し始める。
すると、撃たれた清掃員が、私の袖を引っ張り、私の名前を小声で呟いたのが聞こえたのだ。
私は驚き、清掃員を見たが、彼の眼は真っ直ぐに私を見ていた。
彼は何かを伝えようとしている、そう悟った私は、直ぐに頷く。
すると彼は私にメモリースティックを渡してきた、そしてこう言い残した。
『……これを、このデータを…日本に……送って、欲しい』
彼は言い切った所で目を瞑り、それきり目を開けることはなかった。
私は警備兵に気づかれないように素早くメモリーを懐へと隠し、研究所で唯一インターネットが使える所長室へと向かう、私に着いていた監視は、私が所長室に行くと告げると、着いてきたが、幸いこの時間は所長室には人はいない、所長室に着くと、監視は所長室の入り口に待機し、私は所長室へと入った。
所長室に入ると、私は手早くPCを起動させ、日本にあのデータを送信する事に成功する。
幸いな事に所長室の監視カメラが故障していたため、運良く気づかれずに済み、私は監視の人間と自室へと戻った。
あの事件から数日、早朝なのに騒がしい事に気付き、目がさめる。
何が起きているのかわからなかったが、確認しようにも部屋には鍵が掛けられていて、中からは扉を開ける事が出来ない様になっているため、部屋の外を確認する事もできない。
1時間位過ぎただろうか、と言う頃合いで扉の前から銃声の様な音が聞こえ、次の瞬間、ヘルメットと、黒い目出し帽で顔を隠した完全武装の複数の兵士達が部屋へと入ってきた。
『伊達 雪子さんですね、安心してください、我々は自衛隊です、助けに来ました』
一瞬、彼の言葉を理解するのに時間がかかった、そして、理解した瞬間、私は泣き崩れた。
自衛隊と言う言葉、助けに来たと言う言葉に安心感、嬉しさが溢れ、涙が止まらなかったのだ。
私は自衛隊員と共に研究所を脱出する事が出来た。
輸送機の中で、私と同じ様に救われた少年、少女達が抱き合う姿を見て、また、涙が流れるのを感じた……。
私はあの地獄から救われた、あの日の事を忘れることは無いだろう。
綺麗に纏めれてるか心配です。
体調が思わしく無いため、次回は遅れそうです。
数日前から、せきが止まらない…。
感想お待ちしてます。
完結も見えてきたので、今後についてアンケートを実施します。
-
destinyルートへ行く
-
宇宙戦艦ルートへ行く
-
連載停止中のほかの作品を続き書けや
-
新連載しつつゆっくり続きでOK
-
徳田くんのR18