新兵器のテストパイロットを乗せた輸送艦の船室でムウ・ラ・フラガはベッドに横になり、天井を見ながら釈放された日の事を思い出していた。
彼は、昨年の、7月12日に起きた自衛隊との武力衝突で、自衛隊の艦載機部隊により撃破され、拘束、その後は捕虜として扱われていたが、大西洋連邦との外交交渉により、二ヶ月前に多額の賠償金と引き換えに大西洋連邦へ返還された。
その際、東京の拘置所から大西洋連邦へと向かう航空機に乗るために空港へ向かう途中、彼はある会館の前を通った時に、その会館に大勢の人間が集まっているのが目に入り、運転手に今日は何かイベントがあるのか尋ねた。
すると、運転手は、どこか言い辛そうにしながら答えた。
『今日は如何やらお葬式があるみたいですね、ニュースでやってましたが、あの会館でやっていたのは、自衛隊の隊員の葬儀らしいですね、その、言い辛いのですが…彦星での殉職者らしいです。何でも、数日前に漂流しているのを発見されたと言う事で…』
その言葉に、彼は何処か遣る瀬無い気持ちになる。
空港へ着き、搭乗口へ向かう際、彼に更に衝撃を与える事態が起きた。
何処から聞きつけたのか、一人の老人が彼に掴みかかってきたのだ。
その老人は直ぐに、彼に同行していた大西洋連邦の職員や、空港警備員に彼から引き剥がされたが、その老人が叫んだ一言が、彼の心に突き刺さる。
『私の孫を返せ‼︎このテロリスト‼︎…テロリストがぁ‼︎孫を帰せぇぇ‼︎』
テロリスト……その言葉、そして、孫を帰せと言う言葉、彼らからしたら自分たちがそう見えているのか、と言う想いが、連れて行かれる老人の怒りのこもる視線が…彼に突き刺さる。
彼は遣る瀬無い気持ちのまま、大西洋連邦へ帰国し、暫く暗い気持ちで過ごす事になる。
この出来事が、彼にどの様な影響を与えるのか、知るものは居ない。
どの位そうしていたのか、気がつくと目的地に到着した事を知らせるアナウンスが流れていた。
彼はブリッジへと向かうのだった…。
其れと時を同じくして、日本の貨客船、星の海丸がヘリオポリスに向かっていた。
「船長、後3〜40分でヘリオポリスに到着しますね」
航海長が船長に話しかける。
「ああ、でもなぁ…なーんか最近キナ臭いと言うか、嫌な予感がするんだよなぁ」
「まあ、確かにヘリオポリスは最近変な噂がありますね、政府もなんか警戒してるみたいだし…」
二人は、最近ヘリオポリスに流れている噂…日本やその他の中立国からなる
彼らがそんな話をしている時、日本政府はある情報を掴み、慌ただしく動いていた。
総理官邸の会議室で、緊急の国家安全保障会議が開かれるほどに…。
「その情報は確かなのかね?ヘリオポリスで連合のMSが開発されていると言うのは」
防衛大臣の質問に、直ぐに情報局の職員が返答する。
「はい、それだけでは無く、我が国がオーブへ技術提供した光学迷彩技術、対ビーム装甲の技術までも連合に流されていた事が判明しております」
「な…何と…外務省の対応は?」
「外務省としましては、事を荒立てない様注意しながら対応したいと考え、大使を呼び遺憾の意を伝えたところであります」
その外務大臣の言葉に総理や、他の閣僚の外務大臣への視線が冷たいものへと変わるが、外務大臣は其れに気が着いていない。
「もういい。外務次官、今直ぐにオーブに対し説明の要求、更に一時的に技術交流の停止と…技術情報を流した者を直ぐに引き渡す様に伝えろ。後、この事は他国には知られるな…要らぬ軋轢を生むかもしれんからな」
「分かりました」
外務次官が答え、直ぐにオーブへと連絡のため退室するのを見た後、外務大臣が口を開く。
「あの、総理?なぜ私に言わずに外務次官に…」
「……君は一体何をしているのかな?国際的な常識であの対応は無いだろう…君を現時点で罷免する。出て行きたまえ」
「な⁉︎」
外務大臣が再度何かを言おうとするが、総理に睨まれ、肩を落としながら退室した。
その直後、職員が慌てた様子で駆け込んできた。
「た、大変です‼︎オーブのコロニーが!ヘリオポリスがザフトの攻撃を受けてます‼︎我が国の貨客船が戦闘に巻き込まれた模様‼︎」
「な、何だと⁉︎」
その日、新たな衝撃が日本政府を襲った…。
日本はこの日を境に、より混迷した時代の波に翻弄される事となる。
外務省は害務省と偶に呼ばれてるけど、外務大臣に原因があるんじゃ無い?
と言う事で、外…害務大臣はサヨナラ
因みに深い意味は無いです↑
感想お待ちしてます。
完結も見えてきたので、今後についてアンケートを実施します。
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destinyルートへ行く
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宇宙戦艦ルートへ行く
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連載停止中のほかの作品を続き書けや
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新連載しつつゆっくり続きでOK
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徳田くんのR18