機動戦士ガンダムSEED〜日本国自衛隊〜   作:名無之助

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やっと書けました。


第十四話・圧倒せしは日の丸の巨人(後編)

ヴェサリウスの艦橋にて、状況を観察していたクルーゼは、自衛隊の主力とも言える部隊が来援した事、更にその部隊がMS部隊であった事に表情には出さずとも驚愕し、そして自らの計画にとっての最大の脅威を前に、内心で歯噛みした…。

 

「……ほう、日本のMSか…」

 

「隊長、日本のMSはかなりの手練れの様ですが、どうしますか?」

 

アデス艦長の言葉にクルーゼは少し考え、決断する。

 

「これまでだな。アデス、撤退するぞ。これ以上は損害が増えるだけだからな……」

 

「…しかし」

 

「分からないか?ここで日本の主力部隊と戦ったとして勝ち目などないのだよ。データは取っているのだろう?なら、ここでこれ以上損害が出るのは得策ではないのだよ。わかるかね?」

 

「分かりました。……撤退信号を上げよ!」

 

かくして、ザフトは撤退を選択した。

 

 

そして、ヴェサリウスから撤退信号が上がる。

 

 

「撤退信号⁉︎……ザフトは撤退すると言うの?」

 

「まあ、妥当っちゃ妥当だろうな。あのクルーゼが引き時を見逃すはずはないし、自衛隊相手にこれ以上戦うのは不利と悟ったんだろうさ」

 

アークエンジェルの艦橋で、ザフトの動きを見ていたアークエンジェル艦長、マリュー・ラミアスとムウ・ラ・フラガは、自衛隊の介入で生じた変化を敏感に感じていた。

 

そしてこちらも撤退信号を上げる。

 

 

 

ヴェサリウス、アークエンジェル、双方から撤退信号が上がるのは、自衛隊側も観測した。

 

そして、それは丁度第一航宙打撃艦隊の本隊が到着するのとほぼ同じタイミングであった。

 

「撤退信号か……撤退するならば追撃は行わないが………MS部隊の状況はどうか?」

 

「未だに撤退しようとしない敵機と交戦中です。ただ、敵機も少しづつ撤退を始めている様ですので、心配はいらないかと…」

 

「そうか……では、残りの艦載機全てを発進させ、周辺の捜索、救助を始めよう」

 

「は、了解しました!」

 

戦闘の終わりが見えた事で、第一航宙打撃艦隊は救助活動に移行、捜索を開始した。

 

 

 

ーー

 

 

自衛隊のMSの威力は、ザフトMS部隊を壊乱に近い形で追い詰めるのになんら不足はなかった。

 

 

第一航宙打撃艦隊から来援した扶桑所属の扶桑第一MS中隊は、来援後すぐ戦闘を開始、瞬く間に4機のジンを撃墜し、ザフトを驚愕させる。

 

そして、ザフトは敗走ともとれる撤退にプライドはズタズタにされ、中でも赤服のアスランが、最新鋭MSで日本のMSに損害を与えられたことは彼を驚かせた。

 

アスランは帰艦中に、イージスのコクピットの中で戦闘中のことを考えていた。

 

彼は戦場で、嘗ての親友と戦っていた。

 

『アスラン!なんで君がザフトなんかに⁉︎』

「それは此方のセリフだキラ!お前がなんで地球軍にいる⁉︎やつらが何をしたか、お前も知っているはずだ‼︎」

 

『僕は地球軍じゃ無い!それに、どうして中立のここを攻撃した⁉︎君だって、戦争は嫌だって言っていたじゃないか‼︎』

 

会話の間にも、彼らは激しくビームサーベルで斬り合い、鍔迫り合い、ビームを撃ち合っている。

 

「状況も分から無いナチュラルどもがこんなものを作るから!…っ!」

 

アスランがそれを言った直後、アスランに悪寒が走り、直感に従い機体を咄嗟に後ろへと回避させる、キラも同じ様に機体をイージスから離すように動かす。

 

瞬間、アスランがいた場所をビームが通り過ぎていく。

 

アスランが、ビームの来た方を確認すると、そこには、今まさに此方へと迫る見たこのもないMS、肩に日の丸が描かれているソレは、明らかにアスランを狙い攻撃を加えていた。

 

駆逐艦 空を撃沈したのは、本人には自覚はないが、アスランである、本来、キラを狙い撃ったスキュラは外れ、離れた場所にいた空に直撃してしまったのだ、予期せぬ事態に為すすべなく空は轟沈した。

 

しかし、しっかりと僚艦が弾道を割り出し、援軍に来たMS部隊に伝えたのだ。

 

これが、アスランが日本のMS部隊と戦闘になった要因である。

 

アスランを攻撃したのは、来援したMS部隊の隊長、ディアボル1である。

 

彼はアスランの機体が他とは違う点、動きの鋭さから手練れと判断し、自分と直轄の小隊で攻撃を加えたのである。

 

「外したか!ディアボル1、エンゲージ!」

 

『ディアボル2エンゲージ‼︎』

 

続いて、3番機、4番機がエンゲージ宣言をし、アスランへ攻撃を加える。

 

そして、激しくビームを撃ち合い、ディアボル3が撃ったビームをアスランが躱すと、隙をつきディアボル4がビームを撃ち、イージスの脚部を破壊するが、アスランも反撃し、ディアボル4の腕部が吹き飛ばされてしまう。

 

撃ち合いは続き、アスランも、エネルギーが限界に近づいた所で、業を煮やしたディアボル2が動いてしまった。

 

「もっと接近して近接戦に持ち込みます!」

 

『よせ!ディアボル2‼︎』

 

隊長の制止の声は聴こえなかった。

 

「接近さえすれば、アレの動きを抑えられるさはず!……っえ?」

 

接近を試みた彼はしかし、イージスのカウンターによるビームサーベルの横薙ぎでその命を散らせた。

 

「ディアボル2⁉︎小林ぃーーーーーー‼︎」

 

隊長の悲痛な叫びが、隊長機のコクピットに響く、そして、隊長の、ナニカが弾けた。

 

「小林の……仇だ」

 

隊長機の動きが変わったのにアスランも気づいたが、対処できなかった。

 

隊長機と斬り合い、腕部を切り飛ばされたところで、撤退信号が出たのである。

 

エネルギーも切れかけていたため、アスランは、なりふり構わず、自衛隊を振り切ることに全力を注ぎ、辛くも振り切ることが出来たのである。

 

ただ、この戦闘で、アスランは、自衛隊が恐ろしく強い存在だと認識する様になる。

 

「自衛隊……か」

 

アスランは、静かにコクピットで呟いた。

 

ーー

 

 

ザフト部隊は、クルーゼの命令で撤退し、アークエンジェルも、自衛隊からの経緯説明の要請にある程度答え、現場を後にするのだが、キラがやらかしてしまい、マリューはまた頭を抱えることとなる。

 

そういった経緯で、このヘリオポリスの悲劇、そして、ヘリオポリス沖海戦、L3宙域海戦とも呼ばれる戦いは収束した。

 

戦闘の結果は、次の様になった。

 

ザフト損害

 

ローラシア級 ガモフ 中破

 

マルビーギ 轟沈

 

ナスカ級 ヴェサリウス 艦首損壊

 

MS部隊 10機撃墜 大破ないし中破6

地球軍損害

 

マルセイユ三世級輸送艦 轟沈

 

MA 全滅

 

オーブ軍

 

ヘリオポリス 崩壊

 

警備隊 壊滅

 

自衛隊

 

吹雪型駆逐艦 空 轟沈

月風 大破

 

金剛型巡洋艦 夕凪 中破

 

MS 4機撃墜 大破ないし中破 3

 

MA(戦闘機) 1(生存者捜索中に流れ弾に被弾)

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回はヘリオポリス市民の救助です。

完結も見えてきたので、今後についてアンケートを実施します。

  • destinyルートへ行く
  • 宇宙戦艦ルートへ行く
  • 連載停止中のほかの作品を続き書けや
  • 新連載しつつゆっくり続きでOK
  • 徳田くんのR18

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