本当です。
アークエンジェルから避難民の引き渡しを受けた自衛隊は、その後直ぐに到着した航宙救難艦 電 さらに、比較的近くを航行していた日本コロニー開発局(内閣府管轄)所属の輸送船 まるゆ、あきつ丸も、危険を顧みずに現場宙域に来ており、これらの艦船と合流し、指揮下として捜索、救助活動を始めることとした。
そして、訓練中の自衛隊練習艦隊からも、救助活動への参加のため数隻が進路を変更し、到着後直ぐに救助活動に加わった。
ヘリオポリスに集結した各艦船は、菊池宙将の指示のもと直ぐに救助活動を開始、MSは、漂流している脱出艇の回収、捜索を行い、艦隊は、原型を留めていてなおかつ、空気が残っていそうなヘリオポリスの隔壁ブロックを探索、特殊なセンサーシステムを使用し、生命反応の有無を丁寧に確認して行く。
しかし、艦隊は、予想外に負傷者が多いと言う問題にぶち当たる。
ヘリオポリスの人口は少なくとも数十万人、脱出艇は正常に作動すれば、オーブの宇宙要塞まで自動で向かうように設定されているが、戦闘による衝撃波や、吹き飛ばされてくる破片などは想定しておらず、あくまで、事故によりコロニー居住が困難になった場合を想定していたため、何機かの脱出艇は、動作不良を起こし、漂流する事になってしまっていた。
そして、確認できた脱出艇の数も、アークエンジェルから提供された映像分析の結果、少ないことが分かり、結果、自衛隊は、僅かでも生存者のいる可能性があればと、空気が残っていそうなコロニーの隔壁部や、コロニー崩壊により宇宙に放り出された密閉型の倉庫さえ捜索し、生存者の救助活動に当たった。
航宙救難艦 電 も、その中の一隻である。
「また患者だ!直ぐに第三手術室へ!」
「回収された脱出艇のハッチが熱で変形して開かない!カッターを急げ!」
「誰か!こっちに医官を連れてこい!危険な状態だ!」
「…よせ、そいつはもう死んでる、生きてるものを優先しろ!」
脱出艇を収容している格納庫はまさに戦場であり、脱出艇から運び出される負傷者の数も多い、電の格納庫は既に満杯で、収容できない脱出艇は別の艦に収容させていた。
そして、電の医務官たちも戦場を味わっていた。
「くそ、だめだ!この患者は助からない…」
「諦めるな!とにかく止血…くそ、だめか…」
「こっちはまだ助かる!手術室は空いたか⁉︎第八手術室?直ぐに運ぶんだ!」
「心停止だぞ!除細動器!離れろ、チャージ…1.2.3、ショック…もう一回……」
「心拍戻りました!手術室へ運びます!」
「だめだ!第一から第十まで全て埋まっている!ここで手術する!」
オペ室までが満員となり、格納庫もまでが野戦病院の様相を呈して来た時……電の艦橋に、ある報告が入り、電は、救難艦としての真価を試されることとなる…。
電にもたらされた知らせ、それは、電の自衛官たちを奮起させるものだった。
『こちら駆逐艦 月雲!漂流中の密閉型倉庫内に生命反応を感知!繰り返す!漂流中の密閉型倉庫内に微弱ながら生命反応を感知!救難艦電へ!貴艦しか救助可能な装備を持った艦がいない、救助を頼む!ポイントはーー』
これを受け、電は指定されたポイントへ急行、月雲と合流し、報告された密閉型の倉庫を確認した。
その倉庫は、大型のもので、コロニーの物資などが保管されている倉庫であった。
この倉庫の大きさでは、艦船へは収容できないため、そこで電の出番である。
電には…いや、暁型救難艦にはある機能が装備されている。
それは、本来なら接舷不能な物体に接舷する事もできる機能である。
暁型には二種類のアームが装備されており、一つは、接舷する対象物と、艦を固定するためのロボット状のアームで、両舷に4機ずつ装備されており、もう一つは、両舷に一機ずつ装備されている接舷用アームで、こちらは、チューブ状のアームで、内側には複数の人間が余裕で通れる程の通路となっており、気圧システム内蔵で、普段は折りたたまれるように艦体内部に収納されている…イメージとしてはアコーディオンがいいだろう。
これら装備は、暁型にしかなく、また、作る技術も日本にしかない技術を使っている。
そして、いよいよ救助が開始された。
まず、電はその倉庫へと可能な限り近づき、内部をスキャンして生存者の位置を探ることから始めた。
「生存者の位置、確認完了、データ転送します」
「よし、データが来た、生存者の位置、倉庫の右側に固まっている、生存者の数は12名、反応は微弱、危険な状態だ…倉庫内温度推定…マイナス2〜3度…救助を急ぐ!」
「アームシステム起動、固定アーム展開!艦体固定完了まで後5秒!4、3、2、1…今…固定完了!」
少しの衝撃があり、電と漂流中の倉庫が完全に固定された。
「続いて、接舷アーム起動…アーム正常に作動中…接続まで10秒…接続用接着ジェル展開…接続あと4、3、2、1、今!接舷アーム対象物への接続完了!接着ジェル固形化完了…アーム内密閉成功しました」
「よし、続いてアーム内気圧システム作動、レスキューチームは待機」
「気圧システム作動中…気圧完了、レスキューチーム準備よし」
「アーム内ハッチ開放、レスキューチームは救助にかかれ!」
「了解、アーム内ハッチ開放します!レスキューチームは救助を開始、アーム内にレスキューチーム入ります!」
接続されたアーム内に入ったレスキューチームは、アームが接続している倉庫の外郭部まで来ると、直ぐに作業を開始した。
「高分子カッターを使い穴を開ける!穴が開いたら直ぐに中に入り、要救助者を確保できる様にして置け!」
「「了解!」」
高分子カッターを使って外郭部に穴を開ける作業は直ぐに終わり、隊員たちは直ぐに倉庫内へと入り救助を開始した。
「生存者の数は12名、右側に固まっている!倉庫内の捜索は右側に集中しろ!」
隊長の指示のもと、隊員たちは生存者の捜索を行い、救助開始から2分で最初の生存者が見つかった。
「いた、生存者だ! こちらレスキューチーム第二班、要救助者発見、収容する…年齢8〜12歳程度の女児…凍傷と低体温の疑いあり、危険な状態だが、意識あり、急ぎ処置の準備頼む!…よく頑張ったな…もうちょい頑張ってな?」
「…………」
最初の生存者は隊長の呼びかけに、答えようとするが、上手く口が動かない様子で、辛うじて頷くことで、意思表示した。
結果、レスキューチームは倉庫内の全ての生存者の救助に成功したが、重度の低体温症のため、内3名が亡くなるという結果となった。
最初に救助された女児は辛うじて一命を取り留めることに成功する。
自衛官たちは、さらに救助活動を行い、最終的には9千人あまりの民間人を救助したが、それでも、自衛隊が確認しただけでも、死者、行方不明者はその倍以上に登った。
この事態を受け、中立国家連合条約機構は、地球連合、プラント、両陣営に対し、全面的な経済制裁を加えるとともに、プラントに対して宣戦布告するに至るのだった。
そして、救助活動に集中する自衛隊は、アークエンジェルが…いや、アークエンジェルの搭載MSである、ストライクが、アークエンジェルが自衛隊と別れ宙域を離れていく際に、あろうことか脱出艇を一機回収していってしまったことに、気付けなかったのである。
この際、アークエンジェル艦長のマリューは、その報告を受けた際、叫んだという。
某艦娘とは本当に関係ないです。
ただ、そのうち、電に似た少女は出る予定。
完結も見えてきたので、今後についてアンケートを実施します。
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destinyルートへ行く
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宇宙戦艦ルートへ行く
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連載停止中のほかの作品を続き書けや
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新連載しつつゆっくり続きでOK
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徳田くんのR18