私は一体なぜ……こんな格好をしてザフトの指揮官と対面する羽目になっているのだろうか…?
今現在、私と相棒がどんな服装かというと…何故かミニスカ巫女服なる物を着させられている……と言うか、どこで入手したんだろう…。
ちなみに、この部屋には一緒に来た少年と少女もおり、少女は私達と一緒にシャワーを浴びてから、アイシャさんにドレスに着替えさせられ、化粧までされて…何と言うか、美少女に変身していた。
もちろん、私達もアイシャさんからは逃げられずにミニスカ巫女服なる物を今現在着させられているわけだが…。
「……この服…どこで手に入れた?」
相棒が何の躊躇いもなく質問した。
一軍の指揮官に躊躇いなく質問できるあんたすげーよ。
「……あー…その、何だ…アイシャに一度着てもらおうとして、開戦前に日本から森林とか言う通販サイトで取り寄せたんだが……君らにも中々似合ってるじゃ無いか」
……アイシャさんとはこの人の恋人らしく、今私達の背後に控えている女性がそのアイシャさんらしい。
何となくアイシャさんに視線を向けると困ったように微笑みかけてきた。
「うん、美女と野獣」
「………」
「…フッ!」
「……ッ!」
あれ、何だろう、皆の視線が私に向き、少年と少女は…少女が一瞬吹き出し、少年は必死に何かをこらえている?
え、私何かした?
「……美女と野獣……的確で面白かった」
相棒の一言で私は全てを悟る。
「声に、出てた?」
「…うん」
やはりか……ヤバイ、恥ずかしい。
「はははは、美女と野獣か、中々面白いじゃ無いか!俺が野獣!確かに夜は野獣に…」
「アンディー……?」
「……すまん」
アイシャさんの一言でバルドフェ……おっさんは黙った。
危ない危ない、変態なおっさんを名前でなんて、嫌すぎる。
私の中でバルドフェルドは変態なおっさんとして刻まれているので、名前では呼びたくも無いのだ。
「俺は君の中でどう言う扱いなのか問い詰めたくなったよ…」
あんたも思考を読むのか……
と、それより、少年が何かに気づいたようで、おっさんに話しかけた。
「あの……あれは?」
「ああ、エビデンス01…実物を見たことは?」
「いえ、有りません…」
「お嬢さん方も?」
おっさんの問いに、私と相棒は頷く。
エビデンス01…別名クジラ石…実物を見たことは無い、多分あれも偽物だろう……
そんな事を考えていると、おっさんが話し始めた。
「如何してグジラ石なのかね、これ、クジラに見えるかい?」
「いえ、それは…」
おっさんが、クジラ石の一点を示して言う。
「これはどう見ても羽じゃない?普通はクジラに羽はないだろう?」
「…でも、それは外宇宙から来た地球外生命の存在証明と言う事ですから…」
「俺が言いたいのは、如何してこれがクジラなのかと言う事だよ」
確かに、おっさんの言っていることは正しい、羽があるクジラ何て…もっと別の呼び方は無かったのか……。
「じゃあ何なら良いんですか?」
「うーむ、何ならと言われてもな……ところでコーヒーの味はどうだね?」
おっさん、残念だけど少年には早すぎたみたいだよ、あと、私は美味しいと思ったけど、相棒はさも苦そうな顔をしている。
どうやら相棒の味覚も少年と同じ…
「違う、私は紅茶派なだけ……子供じゃない」
「だから思考読まないでね、ほら大事な話聞きそびれたじゃん」
「私は悪くない…」
と、そんな会話をしていると、今まで空気だった少女が初めて?口を開いた。
「如何してこんなドレスを着せたりする、これもお遊びの一つか?」
「…ドレスを選んだのはアイシャだし…ああ、巫女服は俺だが…それは置いといて、お遊びとは?」
「変装して街に繰り出して見たり、住民だけ追い出して街を焼いだりってことだよ」
「……良い眼だねぇ…真っ直ぐで、実に良い眼だ…」
「巫山戯るな!」
少女がおっさんに飛びかかる勢いで体を突き出す。
私と相棒は咄嗟に動こうとしたが、それより先におっさんが話し始める。
「…君も、死んだ方がマシな口かね?」
おっさん…いや、バルドフェルドは先ほどまでの軽い感じではなく、真剣な表情で、歴戦の軍人たる凄みを出しながら問いかける。
それは、真に戦場を、修羅場を知らないと出せるはずもない凄みで、情けない事に、私も相棒も、一気に重くなった部屋の空気に冷や汗が止まらない。
銃などは取り上げられているので、いざとなれば無手でザフトと一戦交えなければ行けない事に、私と相棒は内心で不安を感じていた。
そして、バルドフェルドは再度口を開いた。
「…そっちの彼、君は如何思う?どうしたらこの戦争は終わるのか……MSのパイロットとしては…」
「お前、如何してそれを!」
……あれ?今変な事が聞こえた気がしたんだけど…少年がMSのパイロット?……少年よ、君は何をしているのかな?
「ちょっと失礼!」
私達は少年を椅子の後ろ側に引きずり込み、その際、少年が頭を床に打ち付け、悶絶するのは無視して、詰め寄る。
「少年、君は分かってる?君は
「…既に軍人でも無いはず……それに、日本では、日本人が外国で軍に志願することは認められてない……」
「……それは、友達を守りたかったから…」
「君は、守られる側のことは考えた事がないの?」
お、相棒が良いこと言った。
てか、私より相棒のが年近いし、任せよう、私は少年の代わりにバルドフェルドへ向き直る。
「少年がMSパイロットなのは置いといて、話の続きは?」
「……フッ…アハハハハ!!!余り真っ直ぐ過ぎるのも問題だぞ?少年もだが、君たちも…」
バルドフェルドは更に言葉を続ける。
「戦争には明確な終わりのルールはない、制限時間や得点などというスポーツの試合の様なものはね、なら、どこで勝敗を決める?どこで終わりにすれば良い?」
「………どこで……」
「敵である者を全て滅ぼして……かね?」
そう言ってバルドフェルドは私達に銃を向けてきた。
だから、私はあえて言おう
「あんたバカァ!?」
バルドフェルドは面食らった様な顔になるが、構わず続ける
「そんなの、相手を滅ぼしたって意味ないし!そこは相手の戦う意思を挫いて降参させればいいでしょうが!」
と言いながら銃を奪い取る算段を考えていると、
「やめた方が賢明だなあ、少年も、いくら君がバーサーカーでも、そしていくらお嬢さん方が強くても、暴れて此処を無事に出れるものか」
「…バーサーカー?」
「此処にいるのは、皆少年と同じ、コーディネーターなんだからねぇ」
「……え」
「……っ」
少女が驚き、少年が表情を歪めるが、私達はそれを知っているため、驚きはしない。
私と相棒が脱出の手段を考えている間も、バルドフェルドは話し続ける。
どうやら、少年が他のコーディネーターよりも高い能力を有していることも分かった。
「あのパイロットがナチュラルと言われて信じるほど、私は呑気ではない」
……この一言だけちょっと言わせてもらいたい。
ナチュラルにもいるよ、化け物みたいなの…
と、大事な話が終わったのか、いきなり帰りたまえなんて言われた。
少年と少女がアイシャさんと部屋を出て行くので、私達も一緒に行こうとする。
「…ちょーっと君らは待ちたまえ…聞きたい事が有るのでね」
その掛け声を聞いた私達の脳裏に、女スパイ→捕獲→ほにゃららが浮かび上がり、結果
「いや、私らには話したいことないんで!!!サヨナラ!!!」
「……バイバイ」
「あ、ちょ」
バルドフェルドが何かを言いたそうだったが、それを無視して私達も少年達に続き何とか屋敷を脱出する事に成功した。
だが、私達は脱出して思い出した。
…………自分達に土地勘が無いと言う事に……
私達がアジトに戻り通信機を回収できるまで、迷子になったこともあり、半日以上かかり、更にアークエンジェルとの接触にも半日以上かかり、ようやくレジスタンスのアジトにたどり着くまで、大変な道のりであった。
もう、日本に帰りたい
ーー
日本の女情報員が逃走した直後のバルドフェルド邸
「……まさか逃げられるとは…コーヒーの感想を聞いておきたかっただけなんだがね……」
とバルドフェルドが呟いていたのを彼女らが知ることはないであろう。
次回はユーラシア連邦に接触した諜報員
出来れば、アフリカで、バルドフェルドとの戦闘まで行きたいんですが……中々時間なくて…
ご意見、ご感想お待ちしてます。
それと、いつも誤字報告して下さる方々、本当にありがとうございます。
凄く助けられてます。
完結も見えてきたので、今後についてアンケートを実施します。
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destinyルートへ行く
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宇宙戦艦ルートへ行く
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連載停止中のほかの作品を続き書けや
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新連載しつつゆっくり続きでOK
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徳田くんのR18