機動戦士ガンダムSEED〜日本国自衛隊〜   作:名無之助

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ちょっとおかしいところがあるかもしれないです。

とりあえず、最新話どうぞ


第二十五話・軍団前へ(後編)

第15軍団司令部壊滅の報せは、作戦参加中のユーラシア連邦軍の全部隊に衝撃を与え、特に独断専行していた第15軍団の主力部隊を形成する第15軍団戦車連隊は、指揮官のゲオルグ・ダモン大佐の指揮で主力部隊から更に突出した結果、包囲された挙句に部隊の8割が壊滅し、大隊長の判断でダモン大佐の指揮を無視し、一点突破を図った部隊が辛うじて後方の主力部隊である歩兵師団に合流に成功するも、その部隊も実質一個中隊程度しか再度の戦闘可能な戦車が残っていないという現状であった。

 

軍団第151機械化歩兵師団は、司令部壊滅の報せに一時進軍を停止、情報収集に努めていたが、師団長が責任を参謀のせいにした挙句に何ら指示を出さずに師団司令部を形成するテントを出て行ってしまう。

 

また、第152機械化歩兵師団の師団長は、撃墜した敵戦闘機の部品が落下してきた際に部下をかばい重体、到底指揮を執る事など出来ない状態であり、現状は最悪であった。

 

現在、第15軍団の残存する部隊はここにいる歩兵師団及び砲兵旅団と、壊滅した司令部へ偵察に向かい、敵MS部隊に包囲され今現在も孤軍奮闘中の偵察連隊位で、他は衛生部隊位しか生き残っていない現状があった。

 

そんな状況の中、第151機械化歩兵師団の参謀長は、師団長から指揮権を剥奪し、師団の掌握に成功した。

「……完全に私の落ち度だな。師団長を止められなかった結果がこれだ」

 

「参謀長……そんなことは……」

 

「慰めは要らないよ、軍曹」

 

「…は、しかし…と、参謀長、偵察連隊から連絡です」

 

参謀長は、軍曹から通信機を受け取ると、偵察連隊からの報告に耳を傾け、通信が終わるとすぐに第15軍団の全残存部隊に命令を出した。

 

そう、現在、指揮権を剥奪された師団長と、重体で指揮が取れない第152機械化歩兵師団の師団長を除き、第15軍団で最上位の階級である彼は、実質的に現在第15軍団の全部隊を指揮する立場にあったのだ。

 

『第15軍団の残存する全部隊に達する、先ほど、偵察連隊より連絡があり、偵察連隊は、司令部が壊滅した地点にて、アークエンジェルとの合流に成功した。ただし、アークエンジェル、偵察連隊共に敵MS部隊に苦戦している状況にある。これより、全部隊はアークエンジェル、偵察連隊との合流のため現地点を放棄し、全力で第15軍団司令部が壊滅した地点へと向かう!行動を開始せよ!』

 

この命令を受け、第15軍団残存部隊は、行動を開始した。

 

そして、第16軍団も、半壊しながらも敵を撃退し、第15軍団の救援に駆けつけ、結果、ユーラシア連邦は、アークエンジェルとの合流を果たすのだった。

更に、多大な犠牲と共にザラ隊を撃退し、其の一機を捕獲する事にも成功する。

 

それと同時期、作戦参加中のユーラシア連邦爆撃機部隊は、ほぼ壊滅しながらも、ザフト軍陸上艦隊への攻撃を続けていた。

 

『全機、ザフト陸上艦隊へ攻撃の手を緩めるな!!!味方の犠牲を無駄にするな!!!』

 

『そんなことは分かってる!!!誰かあのうるさいMSを何とかしてくれ!!!』

 

『地上からあれだけビームを当ててくるなんて…あれじゃあ近付けない』

 

ザフト軍陸上艦隊の旗艦、レセップスの甲板上にあり、上空に向けビームを撃ち続けている機体がいた。

 

陸上艦隊の直掩として残されたザラ隊の一機、バスターである。

 

このバスターの攻撃により、ユーラシア連邦軍の爆撃機部隊は壊滅的被害を受けていたのだが、爆撃機部隊がその性能に驚愕しているのと同じに、バスターのパイロットもユーラシア連邦軍の爆撃機部隊に驚愕していた。

 

「…マジかよ…あんだけ落としてもまだ来るって……いい加減しつこいんだよ!」

 

と、喚きながら撃ち続けていたが、ある二機の機体が戦場に乱入して来ると、そんな余裕もなくなってしまう。

 

その戦闘機は、バスターの攻撃や、他のMS部隊、艦艇からの弾幕を擦り抜け、瞬く間に二隻の陸上艦の艦橋を破壊。更に、艦隊に随伴していたバクゥ部隊と、ザウート部隊を半壊させてしまう。

 

「な、何だよあれ…」

 

バスターのパイロットが呟くが、そんなことは知らないその戦闘機は、今度はレセップスに狙いを定めるが、バスターが半ばやけくそに迎撃した結果、二機は攻撃を諦め、撤退していった。

 

だが、実際にはミサイルが欠乏したため補給に戻っただけなのは、彼は知る由もない。

 

爆撃機部隊は、二機の乱入での混乱の隙をつき、爆撃を敢行、ザフト陸上艦隊はそれにより、レセップス以外は戦闘不能に陥ってしまい、レセップスも、航行速度が半減してしまう。

 

そして、その状況下に置いて、戦場では異変が起きていた。

 

 

 

その戦場では、戦車部隊とMS部隊が激しい戦闘を繰り広げ、まさに激戦と呼ぶにふさわしい戦いとなっていた。

 

『第3小隊、側面より回り込み敵MS部隊を追い込め!第2、第4小隊は敵MS部隊を第3小隊の射線上まで誘引し、第3小隊と連携し、第3小隊が側面を突くと同時に反転し攻勢に出ろ!第1小隊は背後に回り退路を断つ!』

 

『『了解!』』

 

第12機甲軍団 第12戦車師団第3連隊に所属する彼等は、既に8機のMS部隊を撃破していた。

 

しかし、それでも損害は大きく、無視出来ない物となってきていた。

 

「…敵MS部隊…沈黙、第2小隊、壊滅、第4も残り二両、第3は三両が残ってますが、弾薬が…」

 

『敵襲!!!新型だ!!!』

 

『全車後退!!!後退だ!!!第1小隊は敵機に対し牽制射撃!!!他は後退しろ!!』

 

彼等は知らなかった。その新型に乗る者の正体を…

 

『ほう、中々判断が早いな…だが…逃がさんよ!!!』

 

バルドフェルドが自ら新型に乗り込み、直轄部隊と共に突貫してきた時、最初に餌食になったのは、第12機甲軍団第12戦車師団第三連隊であり、ユーラシア連邦軍は更に苦しい戦闘を強いられるかに思われた。

 

 

しかし、そうはならなかった。

 

バルドフェルドが更にいくつかのユーラシア部隊を葬った時、ユーラシア連邦軍第12機甲軍団司令、ランドルフ・ベルグランド上級大将は、第12機甲軍団の切り札的存在である最精鋭戦車部隊を投入することを決めたのでる。

 

第12戦車師団第1連隊。ユーラシア連邦軍内部に置いて、第1機甲軍団戦車連隊とも互角に渡り合い、更には、開戦から現在に至るまでの戦闘での何回かの出撃でのMS撃破数が14を数える彼等は、艦隊直掩として残されていたが、バルドフェルドの出撃により、ベルグランドは投入を決断したのだった。

 

そして、バルドフェルド率いるMS部隊が第12機甲軍団歩兵連隊を蹴散らしている時に、バルドフェルドはいち早く異変に気付く。

 

「…音楽?」

 

「………」

 

バルドフェルドは、前席にいる恋人の言葉に答えることはなく、その顔を険しくした。

 

バルドフェルドにも聞こえていた。その音楽が…

 

ユーラシア連邦機甲軍団最強の所以、全力を持っての戦車部隊による突撃である。

 

ただひたすら進むべし、省みるな、ただ眼前の敵を屠るべし。

 

それを体現するのが、いままさに迫ってくる第12機甲軍団第12戦車師団第1戦車連隊(バーサーカー)であることを、バルドフェルドは、察する。

 

 

『来るぞ!警戒しろ!!!』

 

バルドフェルドは部隊へ警戒を命じる、そして、前方から迫る砂塵を確認する。

 

 

『第1戦車連隊全車突撃!!!音楽をならせ!!!ウラァァァ!!!』

 

『『ウラァァァァァァァァァァァァァ』』

 

ラースツヴィターリ ヤーブラニ イ グルーシ

パプルィーリ トゥマヌイ ナドリェコーイ

ヴィハジーラ ナビェリェーグ カチューシャ

ナー ヴィソーキー ベリェク ナクルトーイ

 

ヴィハジーラ ピェースニュ ザヴァジーラ

プラスチェノーヴァ シーザヴァ アルラー

プラタヴォー カターローヴァ リュビーラー

プラタヴォー チイ ピシマ ビリェグラー

 

オイ トゥィ ピェースニャ ピェーセンカ ジェヴィーチャ

トゥィ リェチー ザヤスヌィム ソンツェム フスリェー

イ バイツー ナ ダーリシェム パグラニーチェ

アッ カチューシ ピリェーダイ プリヴェート

 

彼等は戦車連隊は、ロシア民謡…カチューシャを歌いながら前進してきた。

 

その歌はやがて、ユーラシア連邦軍のすべての部隊に通信機を介して伝染し、士気が下がり始めていたユーラシア連邦軍はそれによって士気を取り戻し、劣勢だった部隊も攻勢に出始めた。

 

そして、バルドフェルド隊は、ユーラシア最強の部隊と死闘を演じることとなる。

 

戦闘開始からどれほど時間が経ったのか…既にバルドフェルド隊は、隊長機以外残っていなかった。

 

そして、戦車連隊長は、バルドフェルドに対し降伏を呼びかけたが、バルドフェルドは拒否していた。

 

そして、こう答えた。

 

『…あのお嬢さんの答えとは違うし、怒られるだろうが……戦うしかなかろう、互いに敵である限り…何方かが滅びるまでな!!!』

 

『それが、貴官の答えであるならば致し方なし!全力でお相手するまで!!!戦車前へ!!!』

 

 

数十分に渡る死闘の末に第1戦車連隊は遂に、バルドフェルド機を撃破する。

 

 

そして、第1戦車連隊が、バルドフェルドに敬意を表し、遺体を回収しようとするが、彼と、もう一人はなんとまだ息があり、捕虜として治療される事になる。

 

各所で戦闘が終結したのは、バルドフェルド機撃破から更に数時間後であり、最後まで抵抗していたザフト軍陸上艦隊旗艦レセップスも、爆装して戻った二機の戦闘機により戦闘能力を奪われ、降伏。

 

戦闘が終わると、アフリカのザフト軍航空戦力は姿を消し、アフリカの親プラント国家も、其の戦力を大きく減らすこととなっていた。

 

戦闘が終わった時、ユーラシア連邦軍の残存戦力が、其の戦闘がいかに激しかったかを物語る。

 

ユーラシア連邦軍アフリカ派遣軍は、全体としての損耗率6割と言う損害を負って勝利はしたものの実質的に壊滅。

 

だが、それ以上にMS戦力の過半を喪ったザフト軍アフリカ方面軍は、止む無くユーラシア連邦軍に対し降伏するに至る。

 

こうして、アフリカでの激闘は幕を閉じた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




変な所とか、指摘あれば教えてください。

感想などお待ちしてます。

第1戦車連隊は、すべての戦車が、デフォで変態機動します。

完結も見えてきたので、今後についてアンケートを実施します。

  • destinyルートへ行く
  • 宇宙戦艦ルートへ行く
  • 連載停止中のほかの作品を続き書けや
  • 新連載しつつゆっくり続きでOK
  • 徳田くんのR18

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