CE71年 3月5日 午後12時35分 南シナ海洋上を進む巡視船がいた。
巡視船つしま、再構築戦争において、当時の海上保安庁尖閣方面専従巡視船部隊の唯一の生き残りであり、尖閣諸島沖へ護衛艦隊が集結を完了する時間を稼ぎ、更には軍艦の撃沈記録をも持つ殊勲艦ならぬ殊勲船である。
その殊勲船も、CE71年末を持ち、退役し、博物館となる予定である。
71年前、南シナ海尖閣諸島沖海戦の前に発生した南シナ海巡視船撃沈事件、この事件がなければ、護衛艦隊の集結は間に合わずに、日本は現在の東アジア共和国の一部となっていただろうとまで言われている事件である。
巡視船つしま はこの巡視船撃沈事件のただ一隻の生き残りであり、この日、3月5日 午後12時35分 はその巡視船撃沈事件が発生した日時であった…。
71年前、南シナ海洋上を尖閣諸島に向け航行している国籍不明の艦隊を発見したとの海自哨戒機からの通報を受けた海上保安庁は尖閣諸島方面専従巡視船隊に属し、もっとも現場に近い位置にいた巡視船7隻に対し、急行するように命じると共に、政府、防衛省に対しても情報共有を行なった。
政府は、数日前から隣国に不穏な動きがある事を察知し、全護衛艦隊に対し、秘密裏に尖閣諸島方面への集結を命じていたが、集結を完了するまでにはまだは半日以上かかる見通しであり、集結が間に合わない場合、戦力を欠いた状態で戦闘になり、かなり不利な戦闘を強いられると政府と自衛隊は危機感を募らせていた。
そんな中で、この事態が発生し、政府は緊急に閣議を招集、全自衛隊に対し戦後初の防衛出動準備命令を発令する事となり、海上保安庁に対しては前代未聞の命令が内閣より発せられた。
『当該艦隊が警告を無視し続けた場合、又は、領海への進入を企図していると見られる場合、武装の使用を内閣の責任に置いて許可する。護衛艦隊集結完了まで領海への進入を可能な限り阻止する事』
かなりの危機感を抱いた当時の総理が、独断にて海上保安庁に出したのがこの命令である。
そして、その時が来た。
最初に艦隊を捕捉したのは、巡視船 つしま、さくら の2隻であり、2隻は直ぐに警告を開始した。
『此方は日本国海上保安庁である、貴艦隊は日本国の領海へ接近している、直ちに進路を変更されたし』
英語、中国、韓国語で繰り返し無線や拡声器にて警告を出すが、艦隊はそのまま進み続ける。
「通報された艦隊をレーダーにて確認、此方の呼び掛けに、尖閣諸島は我が領土と繰り返し伝えて来ております」
「……該当艦隊は、日本国領海への進入を企図していると判断する。警告射撃用意、領海への進入は許容できない、もう一度音声での警告をした後、そのまま進むようなら射撃する」
「り、了解!」
『此方は日本国海上保安庁巡視船 つしま である、貴艦隊は日本国領海へ接近している!直ちに進路を変更せよ!我が国は、事前通告無しの武装した艦船の領海への進入は……っ!』
巡視船の警告を遮るように艦隊から音声が発せられる。
『尖閣諸島は我が領土、日本国巡視船は退去せよ、さもなくば撃沈する』
『日本国領海への進入は認められない、貴艦隊は直ちに進路を変更されたし、変更なき場合、警告射撃を実施する』
「巡視船 つかさ以下5隻が合流します」
「当該艦隊に動き、退去する動きに非ず!注意されたし!」
「当該艦隊より飛翔体7体分離!対艦ミサイルと思われる!!!」
「!!!回避運動!CIWS作動!AAWオート!!!迎撃しろ!!!」
直後、巡視船の至近で相次いで爆発音と閃光が走る
「…本船に向けられたミサイル、迎撃に成功!」
「巡視船 ほたる 轟沈!!!ちよさと、にしとみ、迎撃成功、正当防衛射撃実施中!!!されど効果微小!!!」
ちよさと、にしとみ、に搭載されている武装は20ミリCIWSと、20ミリ連装機関砲一基のみ、軍艦に対しては余りに貧弱としか言いようがない。
それでも2隻は最大速度で移動しながら射撃を続け、艦隊を引きつけようと行動する。
その間、巡視船つかさ が、轟沈したほたる乗員の救助に向かい、つしま、さくら、はるまき、が援護に入る。
だが、ちよさと、にしとみの行動に釣られた一部を除き、艦隊はそのまま進む。
「だめだ!艦隊、一部を除き前進してくる!!!」
「本船が引き受ける!機関最大速度!全兵装全力撃ち方!!!先行するフリゲートの喫水線、後部機関部を狙い、攻撃始め!」
つしまの40ミリ連装機関砲が、この時初めて艦船へ向け火を吹いた。
つしまには、40ミリ以外にもいくつか武装が積まれており、斉射を受けたフリゲートは当たりどころが悪かったのもあり、弾薬庫に40ミリ弾が貫通し爆発、沈没した。
つしまの40ミリ連装機関砲には、数少ない新型弾である3式40ミリ貫通弾が100発ほど搭載されており、100発は撃ち尽くしたが、最後の貫通弾が弾薬庫を貫いたのである。
これが、つしまの軍艦撃沈記録の最初である。
この時点で、すでに1時間、通報から3時間が経っていた。
そして、予想外にフリゲートが撃沈された事で、艦隊は巡視船を脅威と判断し、後顧の憂いをなくすため殲滅しようと動き始める。
これが明暗を分ける事となる。
「フリゲート撃沈!!!やった!!!」
「巡視船ちよさと、集中攻撃を受けつつあり!!!にしとみ、弾薬欠乏!敵艦に接触!!!」
「なっ!巡視船つかさ、敵砲弾船橋貫通、あ!爆発!?」
「海上保安本部より状況説明を求めて来ております!!!」
「そんな暇はない!面舵いっぱい!敵駆逐艦に対し全武装斉射!!!機関は最大を維持!蛇行運動しながら接近しろ!さくらに本船に続くよう伝えろ!!!」
つしまの攻撃を受けた駆逐艦は、巡視船にしとみに接触され行き脚が遅れていおり、さらに、機関部に集中攻撃を受け、スクリュー破損により航行不可となり、自沈、つしまの軍艦撃破2隻目である。
巡視船にしとみ は接触時に致命傷となる損傷を受け沈没、さくらは、つしまが攻撃を仕掛けた駆逐艦の放った砲弾が船首直撃、撃沈、つしまは止む無く、離脱を決断、敵艦隊に射撃を続けながら離脱を図り、砲弾の一発が甲板に直撃し、損傷を受けるが、かろうじて離脱に成功する。
この時で通報から5時間が経っていた。
巡視船を追いかけ回し、隊列の乱れた艦隊は、再編成、損傷を受けた艦の入れ替えなどで時間を取られ、更には、何隻もの鑑が、スクリューやエンジンに損傷を出しており航行速度が低下、弾薬の補給などにも時間を取られ、結果、集結を急いだ自衛隊が予定より早く集結を完了したことも合わさり、自衛隊は万全の体制で中韓連合を迎え撃つ事が出来たのである。
もし、海上保安庁巡視船部隊の奮闘がなければ、護衛艦隊は各個撃破され、日本は敗北していただろうと、後の専門家は口を揃えて証言している。
中韓連合は、この巡視船部隊との戦闘で2隻沈没、12隻中破、30隻以上が損傷を受けていた…。
71年が経ったCE71年、3月5日 午後12時35分 巡視船撃沈事件と呼ばれる戦闘のあった海域で、巡視船 つしま の甲板には、つしま乗員123名が海に向かい整列し、現在のつしまの船長 水野 相太 が、文章を読み上げている。
「71年前の今日、この海で、大きな脅威に対し勇敢に戦った海上保安庁巡視船つかさ、はるまき、にしとみ、さくら、ちよさと、ほたる乗組員であったこの海に眠る先輩諸氏のみなさん、今の日本は先輩諸氏が命を賭して戦った結果、困難を幾度と乗り越え、今日を迎えることができました。
我等今代の海上保安官は、様々に移り変わる情勢の中、日本の海の治安を守る者として、先輩諸氏の奮闘に敬意を表すと共に、先輩諸氏の意思を継ぎ、日本の海の治安を守る者としてその責務を果たしていくことを誓います」
文を読み終わると、船長はそれを仕舞い、静かに息を吸うと、声を上げた。
「 総員、勇敢に戦い責務を全うした先輩諸氏に対し、敬意と哀悼の意を表し、敬礼!!!」
123名の保安官たちが海に向かい敬礼をする。
そして、追悼のため、汽笛が数度にわたり鳴らされ、弔意を示す。
心なしか、その汽笛は寂しげに、そして何かを誇るような、そんな感じに聞こえたと言う…。
少し時間できたので、半分くらい出来ていた外伝を仕上げたので上げます。
本編はまだ待って下さい。
お待たせしてすいません。
完結も見えてきたので、今後についてアンケートを実施します。
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destinyルートへ行く
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宇宙戦艦ルートへ行く
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連載停止中のほかの作品を続き書けや
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新連載しつつゆっくり続きでOK
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徳田くんのR18