いつもより短いです。
海上自衛隊の潜水艦隊が、ザフト潜水艦隊を撃破したのと丁度同じ頃、アフリカの砂漠地帯のある村の民家で一人の青年が眼を覚ます。
「…ココは……?知らない天井だ……」
青年…ディアッカがそう呟くのとタイミングを同じくして、一人の少女が部屋へと入ってくる。
「あ……起きてる」
部屋に入って来た褐色肌の少女の第一声はそれであった。
「……」
「……」
しばらく無言で見つめ合う二人だったが、ディアッカが、少女が抱える果物に目を向けると、急激な空腹感が彼を襲い、結果として盛大に腹の虫が鳴ることとなる。
「……っマジか…」
「……フプッ」
「……」
少女がつい吹き出しそうになるのをディアッカはジト目で見やるが、ふと、ディアッカは少女の露出度が少々高い事に気が付き、今度は別の意味で黙り込んでしまう。
「あ、いまリンゴ剥くから待ってね…とその前に、私の名前はミラ、貴方は?」
「…ディアッカ…ディアッカ・エルスマンだ。ところで何で俺は此処に?」
「あー、それはね、貴方MSの側で行き倒れてたんだよ、あ、MSは動かせないからそのままだけど、貴方食料も持たずに砂漠に来るなんていくらコーディネーターでも無謀だよ?」
少女がリンゴを剥きながら話した内容に、ディアッカは、あの戦闘の後、何とか離脱するも、バスターのエネルギーが尽きてしまい、更に携帯糧食もすぐに無くなってしまった上に、炎天下の中で意識を失ったことまで何とか思い出す。
「…!バレてたわけね、てことは俺がザフトだって言うのも…」
「そりゃーあの服装だからね。まあ、でも地球軍に引き渡す気もないし、此処でゆっくりしていきな…と、はい、剥けた……置いとくからゆっくり食べな」
そう言って少女は剥いたリンゴを皿に入れ、ベッドの横にある台に置くと、部屋から去って行った。
ディアッカは、それを静かに見送ると、再度腹の虫が鳴り、リンゴに目をやると、そこには、どおやらリンゴをウサちゃんにしようとしたのか、ウサちゃんの残骸とかしたリンゴが乗せられていた。
「……」
少し呆然としていると、今度は10歳くらいの少年が部屋へ入って来るなりディアッカに絡んで来た。
「あー、姉ちゃん昔からリンゴとか皮むくのダメなんだよなー、本人自覚無いけど、兄ちゃんザフトだろ?なんか妙な事したら許さないかんな!姉ちゃんが連れて来たから仕方なく居させてるだけなんだから、分かった…か!?」
「…お前は何してんの?」
「…ね、姉ちゃん?」
「さあ、向こうでオハナシしようね?」
「あ、ちょっ耳、耳千切れる!助けろザフトの奴!」
「…無理」
「薄情ものー‼︎」
しかし、ディアッカに絡んだ少年はすぐに部屋へ戻ってきた先程の少女に耳をつまみ上げられながら連行されて行った…。
「…なんだったんだいったい…」
部屋の外から聞こえる少年の悲鳴を聞き流しながら、ディアッカは呟くと皿にあるリンゴ(ウサちゃんの残骸)を手に取り、口へと運ぶのだった…。
この後しばらくの間、この村で過ごす事になるとは、この時のディアッカは思っても居なかった。
感想お待ちしてます。次回はモラシムさんが漏らしむに…いや、真面目にするから石投げないで!
というわけで、次回はモラシム隊との戦闘を書きたいなと思ってます。