ディアッカ編はあと2、3話くらいで終わらせて、日本…アラスカ編をやりたいんですが…ディアッカ編…終わるかな…ちょっと長くなりそう…
エーデルハルト中将がアフリカに着任したその日のことだった。
時間は中将が到着する6時間ほど前に遡る。
中将の着任に先駆けて到着していたエーデルハルト中将直轄の部隊の兵士が、臨時指揮官をしていたラズホア大佐が麾下の部隊を引き連れて基地から出動して行くのを確認した。
その後に上官へ報告、直ぐに追跡のために偵察用のバイク小隊が出発するも、十数分後には通信が途絶えてしまう。
また、この直轄部隊の指揮官は基地の他部隊を信用出来ないと判断して、独自の判断のもとに隷下の機械化歩兵一個小隊をラズホア大佐追跡に当て、残りの機械化歩兵三個小隊と戦車一個小隊、一個ヘリ小隊に出動準備の上待機を命じたのである。
指揮官は同時に現在向かって来ているエーデルハルト中将に連絡を入れようとするが、輸送機がザフト部隊への警戒のため無線封鎖をしている事に思いいたったため、其れを断念すると待機を命じたヘリ小隊からヘリ1機に歩兵一個分隊を搭載し、あるポイントへと向かわせるのだった。
部隊指揮官はラズホア大佐の目標に関してある程度の予想を立てており、ヘリをそのポイントへと向かわせたのである。
そして、程なくして追跡に当たっていた機械化歩兵小隊から所属不明の武装集団の襲撃を受けており、苦戦中との通信が入ったことで指揮官は自身の失策に気づき、唇を血が出るほどに噛み締めるのだった。
ーー
ユーラシア連邦アフリカ派遣軍 第1独立混成大隊 この部隊は、エーデルハルト中将の直轄部隊としてアフリカに派遣された部隊であり、その部隊に属する第4独立機械化歩兵小隊は、ラズホア大佐追跡中に、所属不明部隊の襲撃を受けていた…。
「クソが!撃て!敵を寄せ付けるな!」
「敵が多すぎます‼︎奴ら一体どこから湧いて出やがった⁉︎畜生!」
小隊の隊員たちは車両を盾に武装集団と激しい銃撃戦を繰り広げていた。
ただ、隊員たちは、武装集団に対して共通の違和感を抱いており、その違和感の正体は直ぐに分かる事になる。
「隊長!こいつら変だ‼︎」
「痛みを感じてないのか⁉︎当たってんのに怯まねえぞ⁈」
「各員持ち場を離れるな‼︎奴らの頭を狙うんだ‼︎」
小隊長の指揮に隊員達は従い、敵の頭を集中的に狙い射撃をするが、それでも敵の数は減ったようには感じられない。
多勢に無勢、徐々にだが距離も詰められ部隊は完全に劣勢に立たされていた。
それまで小隊は損害を出していなかったが、遂に犠牲を出してしまう。
「隊長!グレンが……」
「頭を撃たれてる…もう死んでる…くそ」
「倍にして返してや…っぎゃぁ!」
「カリウス⁉︎」
「持ち場を離れるな‼︎…っ!RPGだ!退避ぃぃ‼︎」
武装集団は、小隊が盾にしていた2両の車両に対しロケット弾を発射、気づいた隊長が叫び隊員達も即座に反応、盾にしていた車両から即座に離れようとするが、それでも間に合わず何名かが吹き飛ばされてしまう。
「くそ…車両が……ぐはっ!」
「カイル⁉︎ぎゃっ!」
遮蔽物を無くした小隊の隊員達に容赦なく武装集団が襲いかかる。
そんな中、隊長が気づく…敵が中国語を話している事に…。
隊長は直ぐに基地に対して通信を入れようと通信兵の名を呼ぶが、通信兵は車両の爆発に巻き込まれ、既に絶命していた。
「くそっ!援護しろ‼︎」
隊長は部下に命じると、倒れている通信兵の側に一気に駆け寄り、銃弾が掠める中即座に通信機を起動させて基地に通信を繋ぐ。
「こちらシルバーリーダー(小隊のコールサイン)応答願う!緊急だ!応答願う!」
『こちらHQ、シルバーリーダー状況を報告せよ‼︎』
「HQ!我が部隊既に被害甚大!尚、敵は中国語を話しており、指揮、統率の状況から通常の民兵に非ず‼︎正規軍の可能性あり‼︎注意されたし‼︎繰り返す!敵は通常の民兵に非ず‼︎我が小隊はーーーーっ!」
『どうしたシルバーリーダー!応答せよ!シルバーリーダー‼︎応答しろ‼︎ラトロワ中尉‼︎応答しろぉ‼︎』
通信機からの呼びかけに、隊長は答えることが出来なかった…。
蟀谷から血を流し絶命した隊長の傍で、通信機からの呼びかけが虚しく響く…程なくして、全ての銃声が止み、数十分後。そこには多数の敵の亡骸の他に破壊された車両と、装備、貴重品などの一切を剥ぎ取られ、陵辱の限りを尽くされたユーラシアの兵士達の遺体のみが残されていた…。
そして、アフリカ派遣軍司令としてエーデルハルトが着任すると、この事が報告され、武装集団、そして事態を引き起こした張本人たちは、かつて数多のテロリストや武装組織を血祭りに上げた男の逆鱗に触れ、その怒りを買うこととなる…。
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