機動戦士ガンダムSEED〜日本国自衛隊〜   作:名無之助

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第三十三話・鉄槌

エーデルハルト中将は、報告を受けてから直ぐに行動に出た。

 

まずは基地に居る直轄部隊の現状把握、更に基地の他の部隊の掌握を迅速に行ったのだ。

 

実は、彼の乗ってきた輸送機にはもう一つの部隊が乗っていた。

 

その部隊は、ユーラシア連邦軍憲兵隊隷下の独立行動部隊であり、この部隊は主に軍内の不穏分子、内通者、スパイの捜索等を任務とする部隊であり、他の憲兵隊と違う部分として、対外的に表沙汰に出来ない不祥事等、政治的に重要な任務に専門的に処理する部隊である。

 

尚、部隊名は憲兵ゼロ部隊コードネーム《ゴースト》である。

 

 

この部隊の一個小隊が彼に同伴して来ていた。

 

そして、彼らゼロ部隊の一個小隊は、早かった。

 

中将が基地内の部隊を掌握する間に基地内に潜入していた工作員、内通者、更には不穏分子であるブルーコスモス派の佐官をはじめとする士官十数名を拘束し、更に不審な動きをした部隊を丸ごと監視下に置いたのである。

 

残った部隊は信頼しても大丈夫だとのゼロ部隊の小隊長の言葉を持って、エーデルハルト中将は命令を出した。

 

『基地内に居る、第1独立混成大隊並びに、第1121独立戦車小隊及び第31独立戦闘ヘリ中隊、第103独立歩兵大隊第二、第三中隊は直ちに出動準備を整え、メインゲート前へ集結せよ、他の部隊は基地周辺の警戒強化、並びに防衛態勢を整え基地防衛に努めよ!尚、今回の出動に関しては緊急性が高く、出動部隊への説明は移動中に行うものである!出動には、任務の性質上私と憲兵数名が同行する、以上だ』

 

その十数分後、基地より、部隊が出動した。

 

ーー

 

部隊出動から5時間後、ディアッカ達のいた村は、家屋は崩れ、辺りは炎に包まれていた。

 

そして、ディアッカの機体がある場所では、その機体を盾にし、ユーラシア連邦の兵士同士での銃撃戦が繰り広げられていた。

 

機体…バスターを盾にして居る兵士達の顔には、焦燥と焦り、そして何より疲れの色が見えている。

彼らの弾薬はヘリに積んで来た物も合わせても後わずか…後数十分…いや、十数分もしたら無くなるであろう…その状態で彼らは戦っていた。

 

だが、それは彼らだけでは無い、彼らと戦っている相手もまた、同じように焦り、憔悴していた。

 

ただ一つ違う点は、彼らは未だに士気が高かったが、相手は著しく士気が低下していたということである。

 

そして、彼らは相手部隊の士気の低下の理由もすぐに察することができた。

 

何故なら、相手部隊の後方には、明らかにユーラシア連邦とは違う装備の一団がおり、その一団のから銃口を突きつけられ無理やり戦わされている様子すら見られていたからだ。

 

しかも、その部隊の指揮官であるラズホア大佐は、その一団の更に後方に陣取り、前線で戦う兵士達に対し、

 

「何故あの程度の部隊をさっさと制圧出来ないのか!」

 

などと罵声を浴びせ掛けるような有様である。

 

機体を盾にする兵士達は、疲れや焦り、焦燥はあったが、諦めというものは無く、意志があった。

 

彼らの後ろには、一人の少女と、傷つき横たわる少年…ディアッカの姿があった…。

 

彼らから見たら、ディアッカは村人の服を着ており、民間人にしか見えず…更に言えば、相手部隊に対する怒りも合わさり、士気の維持に繋がっていた。

 

彼らは怒っていた…同じユーラシアの軍人が民間人に武器を向けた事に…そして何より、情けなかった……訳のわから無い集団にいいように利用される相手部隊が……。

 

そして、この状況…この戦闘の始まりは、基地から部隊が出動する数分前に遡る必要がある。

 

ちょうどその頃、既に村に展開していた歩兵一個分隊10名は、既に村人を近くの街へ全員避難させ、村にトラップを仕掛けた上で撤収の準備に取り掛かっていた。

 

そして、その時である…村に少年と少女が現れたのである。

 

少年…ディアッカは自身の機体であるバスターの整備に出かけており、そして少女…ミラはその付き添いで村を離れていた。

 

村人達は、分隊の兵士達が村に避難を要請した際、二人のことを子供達がまだ帰っていないと伝えていたが、分隊の兵士達は、村の近くで遊んでいた村の少年たちの事だと誤解し、それ故にこの事態に焦った。

 

そして、そうこうしている間に、ラズホア率いる部隊が村へ侵入して着たのである。

 

ただし、村の正面には対戦車地雷が仕掛けてあり、ラズホアの部隊の先頭にいた車両が吹き飛び、部隊は一時停止、その隙に分隊の兵士達はディアッカ達を抱え急いで村の外へ脱出、ヘリでの離脱を試みたが、そのヘリがラズホアが連れて着ていた対空車両のミサイルにより損傷。不時着してしまったので有る。

 

不幸中の幸いとして、パイロットと、乗っていた分隊員達は無事で、ヘリも損傷したとはいえ軟着陸のような形での不時着し爆発の危険もなく、積んでいた弾薬を使うことができるということが有る。

 

ただ、ディアッカが、不時着の衝撃で負傷、動けなくなってしまったので有る。

 

それから現在まで、彼らはディアッカ達を守りつつ戦い続けていた。

 

それにいよいよ焦って着たのはラズホアである。

 

ラズホアは未だにエーデルハルトが既に着任していることに気づいていなかったが、時間の問題とは認識しており、更に、追跡の部隊を返り討ちにしてしまったがために引くに引けなくなっていたのだ。(引く気もなかったが…)

 

ただ、そのラズホアを冷ややかに見ている男は、ラズホアを切り捨てる算段を整えていた。

 

ユーラシア連邦に汚名を着せ、自国の影を隠蔽する算段である。

 

男が自分の配下に何かを命じようとした時、バタバタバタと頭上からヘリの音が聞こえ、更に地鳴りのような独特な戦車の音まで聞こえてきて、思わず背後を振り返る。

 

「ま…まさか……早すぎる、いや、我らが遅すぎたのか…こうなれば致し方なし…」

 

男は呟くと配下にスーツケースのような物を持って来させ、それを開く…開くと、そこには何やら機械とモニターがあり、男はそれを操作すると、モニターにベレー帽をかぶった男が映し出される。

 

『こんな時間に何用かのブロンゾ21…計画に滞りなどは無いだろうの?』

 

「は……その事についてなのですが…」

 

男は計画が失敗したことを伝えるが、相手はさして気にした様子は見られない。

 

『まあ、仕方がないの…貴様は証拠を残すでないぞ、それと……貴様ももう帰る必要はない…分かるな?』

 

「は、了解しました。申し訳有りませんでしたアードラー様…」

 

男がいい終わる前に通信は切れていた。

 

そして、男は目の前で呆然とするラズホアの頭部を拳銃で撃ち抜き、自身は首に埋め込んだ自爆装置を作動させ、死亡した。

 

だが、それは戦っている兵士達には関係なく、戦闘は続く。

 

「くそ、弾がもう無い……援軍はまだかよ…」

 

「…白兵戦しか無い……?…あれは!」

 

そう、弾薬が尽き、挫けかけた分隊員達が見たのは、夕焼けを背に向かってくるヘリ部隊、そして、目を移せば、遠くから砂塵が舞い、地上部隊が今まさに相手部隊へ後ろから総攻撃を仕掛るところであった。

 

その光景に隊員達は歓声をあげ、今まさに自分たちに銃弾を浴びせていた連中が逃げ惑う姿に歓喜の声をあげた。

 

歓声をあげる分隊員達は、自分達の後ろでひたすら負傷した仲間を手当てしてくれていたミラに対し対しても感謝した。

 

エーデルハルトの部隊が到着してから、武装勢力、及びラズホアの反乱部隊(という扱い)の制圧にそれほど時間はかかることなく、エーデルハルト中将自ら制圧戦の指揮を執ったこともあり、相手側は死ぬか、拘束されるかし、逃亡できた者は一人もおらず、そして、拘束された者達の中でもラズホアの側近などは憲兵隊(ゼロ部隊)に引き渡され、死んだ方がマシな悪名高い旧ソ連式並びに新しいユーラシア式尋問術の末に洗いざらいぶちまける事になるが、そこは割愛する。

 

エーデルハルト中将は戦闘の後、娘と始めて面会した。

 

そこで、エーデルハルト中将は初めて娘と会話するのだが…その内容は当人達だけの秘密である。

 

ちなみにディアッカとミラは二人ともエーデルハルト中将にお持ち帰りされた。(村人も一緒)

 

一連の事態における最終被害状況

 

第一独立偵察バイク小隊 20名戦死 4名行方不明

 

歩兵部隊 第四独立機械化歩兵小隊 40名 全員戦死

 

他の部隊と合計65名戦死(その内、村にいた分隊員3名)

 

行方不明 4名

 

負傷 19名 (村いた分隊員4名含む)

 

戦車 二両損傷(1121独立戦車小隊、原因、操縦ミスによる衝突事故)

 

負傷1名(隊長のフィリシア・ハイネマン中尉)

 

装甲車 (兵員輸送車含む)

 

4両大破(第四独立機械化歩兵小隊)

 

1両中破(制圧戦の際ロケット弾の至近弾を受ける)

 

ヘリ部隊 輸送ヘリ 一機損傷 不時着

 

戦闘ヘリ 撃墜1 (対空車両のミサイル ローターに直撃)

 

ーーーー

武装勢力・反乱部隊

 

歩兵 218名戦死

 

92名負傷

 

車両 対空車両 二両破壊

 

装甲車 8両大破

 

ーーー

 

村人の被害(心理的、財産的なもの)

 

家屋全喪失(ユーラシア連邦が保障する予定)

 

村のアイドル(ミラ)のPTSD(ユーラシア連邦が(中将が怖いから)責任持って全力で治療)

 

その他の財産などもユーラシア連邦が保障

 

 

 

 

 

 

 




なんか、あっさり終わらせすぎた気がしますが…それは作者の力量が足りないので、大目に見てください。

次回は息抜きに日常回に、そのあとは、いよいよ自衛隊とか活躍するアラスカ編(アラスカで戦うとは言っていない)

作者的にアラスカ編はオーブ戦まで含んでます。
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