機動戦士ガンダムSEED〜日本国自衛隊〜   作:名無之助

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第四十話・第四次日本海海戦 中編

日本国 総理官邸 危機管理室

 

「現在の状況はどうなっている?」

 

「は、現在第三、第四護衛艦群の24隻と基地防備艦隊からなる混成艦隊8隻、潜水艦隊16隻が東アジア共和国海軍艦隊86隻と対峙しており、また東アジア共和国の潜水艦12隻も現場海域にいることが確認されております」

 

「…そうか…大臣たちはまだ来ないか?」

 

「……それが総理、何名かの大臣と連絡が取れません。防衛大臣と外務大臣はトラブルで遅れたものの、習志野からヘリを出したので、間も無く到着すると思われます」

 

「連絡が取れないのは誰だ?」

 

「七瀬内務大臣です。車両が故障したとの連絡を最後に連絡が取れなくなりました。護衛のSPとも連絡ができません」

 

危機管理室で報告を受けた本田総理は、表情を険しくしながら現場海域を映し出すモニターを睨みつける。

 

官房長官はその総理の傍で、官僚から受け取った必要な情報を総理に伝えていく。

 

「総理、総理の秘書の奈良君が……発見されたよ」

 

その言葉に本田総理もモニターから視線を外し、官房長官に振り返る。

 

総理の秘書官は昨日より消息不明となっており、行方を捜索中だったのだ。

 

そして、官房長官がその秘書の代わりに総理に情報を伝えていたのだ。

 

「どこでですか?彼は……」

 

「先程、死亡が確認された……拷問された形跡もあったそうだ。彼は機密情報も知っていた……総理、この事態…そして今回の奈良君の死……日本国内の工作員が何らかの行動を起こしている可能性が高い…用心するべきだ」

 

総理の言葉を遮り、官房長官が話した内容に総理は黙って頷き、口を開いた。

 

「官房長官、それは分かった。だが私はこれでビビるような男ではない。この事態を招いたあのクソ共もだが、工作員連中にもツケは払わせるつもりだよ…それはそうと、そろそろ状況も動きそうだ…幕僚長、作戦通りに頼む…武器使用制限は、敵艦隊の行動開始を持って解除し全力で叩き潰せ…」

 

「は、了解しました。陸海空の全部隊へ連絡。武器制限は敵の行動開始を持って解除、事前の作戦事項に沿って各員行動開始!第二護衛艦群はそのまま対馬海峡にて第五護衛艦群との合流まで待機、以後作戦通りとする。以後、特別な事態以外は自衛艦隊司令部が指揮をとる」

 

 

ーー

 

同時刻、東京 民心党本部前

 

其処には現在、検察庁の車両と警察車両数台が停車し、物々しい雰囲気に包まれていた。

 

ここと同様の光景が共鳴党、民社党本部前でも見られた。

 

さらに言うと、議員宿舎にも検察、警察が乗り込んでいる。

 

『えー、現在ですが、野党第一党の民心党本部を始め、共鳴党、民社党本部に対し東京地検特捜部と警視庁の共同での家宅捜索が入っており、また、野党議員の住む議員宿舎にも、同様に捜査が入っている模様です。検察庁によりますと、現在の尖閣諸島沖での緊張状態に関連した……え?……(外患誘致罪?何それ…)あ!すいません…失礼しました!外患誘致罪という罪状での捜査ということだそうです。新たな動きや詳しいことが分かり次第またお伝えします。……え、(有罪だと極刑?マジ?)……』

 

なお、テレビリポーターの小声はバッチリ音声に拾われており、ネットでネタにされるが、それはさておき、動きはすぐにあった。

 

テレビではスタジオで話題を引き継ぎ、外患誘致罪について話されていた。

 

『外患誘致罪とは何ですか?』

 

スタジオにいる専門家が解説する。

 

 

『いやー外患誘致罪ですか…外患誘致罪とは、いわば国家反逆罪のような物で、簡単に言えば外国が攻めてくるのを手助けしたり、攻めてくるように誘導したりすると適応される物です』

 

『なるほど、そんなのがあるなんて知りませんでした。この国にそんな法律があるなんて意外ですね。あ、議員宿舎の方の現場で動きがあったようです。現場の青葉さん?』

 

そして場面が変わり、議員宿舎の映像が流れる

 

『はい!青葉です!いい情報ありますよ!?さっきですが何と、民心党や民社、共鳴党の党首と幹部議員含め野党議員数十名に外患誘致罪での逮捕状が出されたとのことです!あ、民心党党首の福島さんが捜査員に連れられてきました!福島党首!今の気持ち一言お願いしまーす‼︎』

 

そして、リポーターは捜査員に制止される

 

ーー何だあんた!離れなさい!ーー近づかないで!ーーひと言だけでも!ーーダメに決まってんでしょう!?ーーケチ!ーーハゲだと!?ーーんなこと言ってないから!あ、ちょっと!待って!一言ちょうだーい!ーーおい誰がハゲだ!ーーだから言ってないよぅーー

 

すぐにそんな音声がテレビから聞こえてくるのだった。

 

ーー

尖閣諸島沖でも動きがあった。

 

現在、自衛隊の尖閣諸島に展開する艦隊の指揮は、第三護衛艦群司令がとっている。次席として第四護衛艦群司令が次席指揮官とされ、対応している。

 

第三護衛艦群旗艦 航空母艦飛鷹CIC

 

「敵艦隊の前進を確認しました!艦載機も発進開始した模様です。敵艦載機本艦隊へ向かってきます!また、敵艦隊より多数の飛翔体分離を確認、数は…300!?ミサイル攻撃と思われる!」

 

即座に艦隊司令が命令を出し、艦長が操艦指示を出す。

 

「了解した、全艦戦闘配置!対艦、対空戦闘用意!!!」

 

「迎撃は護衛艦艇に任せ、艦載機の発艦を開始したいと思いますが…よろしいですね?」

 

「ああ、第四護衛艦群にも打電、艦載機発艦開始!護衛艦艇は、全力でミサイルを迎撃せよ!目標割り当て、第三護衛艦群は左舷及び中央左側のミサイル群に対応!第四及び混成艦隊は右舷並びに中央右側のミサイル群とする!また、迎撃終了後各自の判断で敵艦隊に対しミサイル攻撃を開始せよ!」

 

 

ーー

 

第三護衛艦群 最上型防空巡洋艦 熊野 CIC

 

「艦隊旗艦より、迎撃指示…対空戦闘用意!」

 

「対空システムの起動完了!本艦隊担当の目標をこれよりα〜η群と呼称する、本艦と割り当て、α群20!イージス艦は各二群づつ対応!三隈はζ群を迎撃する。他の艦はη群の迎撃及び近接防御に回る!行動開始!」

 

「了解!対空ぅー戦闘ぉー用ぉーい!」

 

「VLS解放!ミサイル群の目標データ入力完了!」

 

 

70式艦対空誘導弾(シースパロー)発射用意よし!!」

 

全ての準備が整い、発射の号令を出す隊員は一度息を吐き、そしてまた息を吸い、号令を出す。

 

発射用ぉーい!撃てぇー!!!

 

同時に、他の友軍艦艇からも迎撃ミサイルが発射され、空母からは艦載機の発艦が開始された。

 

 

ここに第四次日本海海戦の幕が切って落とされたのである。

 

 

 

 


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