機動戦士ガンダムSEED〜日本国自衛隊〜   作:名無之助

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第四十三話・オーブ防衛戦

CE71 5月15日 オーブの領海に、大西洋連邦の艦隊を主力とした地球連合軍艦隊が姿を現していた。

 

その数、大西洋連邦軍第四、第五洋上艦隊と第六潜水艦隊。合わせて空母4隻、強襲揚陸艦8隻、揚陸艦10隻、イージス巡洋艦40隻、イージス駆逐艦60隻、フリゲート艦50隻、潜水艦20隻、その他艦艇8隻から成る200近い数の艦隊であった。

 

 

対するオーブ側の防衛戦力は、オーブ国防海軍を主力とし展開した。

 

オーブ国防海軍第一から第五護衛隊群。イージス巡洋艦15隻、イージス駆逐艦20隻、凡用駆逐艦40隻と潜水艦隊全艦16隻。その他、アラスカから脱出してきた元大西洋連邦第三洋上艦隊の生き残りである空母1隻、イージス巡洋艦1隻、イージス駆逐艦2隻とユーラシア連邦遠征艦隊の生き残りのイージス巡洋艦1隻と駆逐艦2隻。そして、アークエンジェルの約100隻ほどの艦隊が、大西洋連邦率いる地球連合軍と対峙していた。

 

更にこれに、アラスカを脱出した陸上戦力も防衛戦力として組み込まれているが、地球軍の上陸戦力は、その防衛戦力の倍の戦闘力を有していた。

 

そして戦闘が始まった。

 

戦闘が始まると、地球連合軍は大量の戦闘機とMS部隊を進行させてきた。

 

これに、アラスカの生き残りの部隊は苦戦を強いられる。

 

また、連合が投入した3機の新型MSの威力に、防衛線に早々に穴を開けられてしまい、連合軍MS部隊の上陸を許すまで、そう時間はかからなかった。

 

しかし、そこから、オーブ軍側は粘りを見せる。

 

第三洋上艦隊の旗艦である空母ケストレルから飛び立った、漆黒に染められた機体を駆る戦闘機隊が、連合の新型3機を相手に互角の戦いに持ち込んだのである。

 

その戦い振りに勇気付けられたオーブ軍は、奮戦した。

 

地球連合軍の艦隊旗艦の艦橋で、その戦闘を観察していた男は、粘りを見せるオーブに対し、若干の苛立ちを覚えていた。

 

「…なかなか粘りますねぇ……さっさと諦めて降伏すれば良いのに…」

 

「彼らも引くに引けないのでしょう…」

 

「…そんなものですかねぇ…それにしても、もっと押し込めないものですかね」

 

「それだと我が軍の犠牲も増えますが…」

 

「何言ってるんです、僕らは戦争をしているんですよ?犠牲なんてつきものじゃないですか。ほら、コラテラルダメージでしたっけ?それですよソレ」

 

傍に座る艦隊司令の言葉に、男は困ったというような戯けたジェスチャーをしながらおどけて見せる。

 

男にとって、兵士はどこまで行っても使い捨ての道具でしかなかったのである。

 

その会話のあと、正午を過ぎた頃、漆黒の戦闘機に翻弄された上にパイロットの薬剤の効力も切れたため、3機の新型は帰投せざるを得なくなり、それに苛立った男が喚いた。

「ちっ!あーもう今日はやめやめ、また明日にしましょう!」

 

という鶴の一声により、その日の最初の戦闘は幕を下ろした。

 

その日の戦闘で、オーブ側は艦隊戦力の半数が壊滅したが、対して連合は、1割程度の損害でしか無かった。

 

ただし、その日の日没後、連合は悪夢を見ることとなるのを知る者はいなかった。

 

オーブでの戦闘が一時停止したのと同時刻、大西洋連邦首都、ワシントンにて事件が起こる。

 

大西洋連邦陸軍、ジョン・ガーフィールド中将以下、陸軍第3軍団の一部将校が反逆し、軍のミサイル基地を占拠。十数発の巡航ミサイルの照準をホワイトハウスに向け、アラスカ戦の本当の真相を公表する事と、軍産複合体やブルーコスモス派閥の軍人の不正を糾弾し、また、中立国への侵攻の即時中止を政府に要求したのである。

 

後に映画化されるこの事件での有名なシーンがある。

 

ガーフィールド中将が、彼に付き従う将兵に対し語る場面である。

 

『諸君、覚悟は出来てるか?今なら引き返せるぞ……引き返さないなら、覚悟を決めろ…我らは国賊となる…死刑に値する国家反逆罪だ。かつての、アメリカ合衆国の独立戦争時、彼のワシントン・ジェファーソン・アダムスはイギリスから反逆罪の烙印を押されたが、今は英雄とされている。我々もそうなるだろう。諸君、我々は兵士だ、戦い、死ぬことに対しどうこう言うつもりはない…しかしだ!!!だからと言って、最初から死ぬことが決まっている作戦に何も知らされずに偽りの言葉でもって赴かされ、一部の人間の利権の為だけにその命を散らされる謂れはないはずだ!!!アラスカを見よ!!メディアでは嘘八百を吹聴し、生き残った兵らに国はどんな仕打ちをしている!?そんな事が許されるはずは無い!!国家の、そしてその裏にいる連中の傲慢をこれ以上許すことはできない。我らはこの基地のミサイルを武器に48時間以内に要求を突きつけ、真実を公表する。成功してもしなくても、我々には死が待っているだろう。だが、やらねばならん……正義は我らにある。全員配置につけ…』

 

 

 

この事件の数時間前、大西洋連邦空軍長官 ビンセント・ハーリング宛に電話があった。

 

電話がなり、ハーリングが受話器をとる。

 

「私だ」

 

「ハーリング空軍長官か?」

 

「そうだが…そちらは?」

 

「陸軍第3軍団、ガーフィールド中将です。空軍長官…頼みがある。この国の、後のことを頼みたい…」

 

「…?ガーフィールド中将、どう言うことだ?…ガーフィールド中将!?もしもし!」

 

電話は切られており、その数時間後に事件が起こるのであった…。

 

 

 

 




アラスカの作戦て、まともな軍人ならまず反発しそうな気がします。

という訳で、ガーフィールド中将の動機とかは詳しくは次回以降のオーブ戦終結後にやる予定です。

今回はオーブ戦にも関わるので、こんな感じの書き方になりました。

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