機動戦士ガンダムSEED〜日本国自衛隊〜   作:名無之助

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時間が少し取れたので、今できている分を短いですが投稿します。

今回、後半は総理の回想?がメインになります。


第四十四話・総理の決断

オーブでの戦いが終わる少し前、先の東京での動乱を受け、陸自の一個連隊が警備に投入され、普段の警備では考えられないほどの厳戒態勢を取る日本の防衛省、その地下の中央作戦室と呼ばれる部屋に日本の閣僚が揃い、スクリーン画面にリアルタイムで表示されるオーブでの作戦の推移、状況を自衛隊の統合幕僚長からの説明を受けつつ見守っていた。

 

そんな中、大西洋連邦にて、陸軍の一部が起こした反乱が収束するどころか、政変が起きて政府機能が麻痺したとの緊急の報告が内閣情報調査局及び外務省からもたらされた。

 

更に悪い報告は続き、同盟国であるリクセント公国へ侵攻中の東アジア共和国軍がリクセント公国と凡ムスリム会議の国境線において、リクセント公国防衛隊、凡ムスリム会議国防軍の連合部隊から成る防衛線を突破、リクセント公国防衛隊は、防衛隊東部方面司令部まで撤退し、そこを基点とし最終防衛ラインを構築、死守の構えとの報告や、東アジア共和国の動員兵力についても、当初確認された侵攻軍兵力は陸上戦力38万。航空機1250機、内戦闘機840機。海軍戦力は空母2隻、強襲揚陸艦8隻、巡洋艦30、駆逐艦、フリゲート艦40隻であったが、リクセント公国国境線到着時に確認された数はそれを上回っていたのだ。

 

最終的に確認された数は 陸上戦力80万 航空機1420機 内戦闘機 1千機、海軍も増援が出港したとの報告もあり、こちらは日本との戦闘での損害から空母などはなく、潜水艦が主体の部隊との報告である。

 

そして、最も日本政府を震撼させたのは、リクセント公国から情報提供された戦闘の映像に未確認の大型人型機動兵器が確認されたことだ。

 

既にリクセントへは、日本政府がユーラシア連邦と協議し、ユーラシア連邦から陸路、海路、そして宇宙空間を利用しリクセント公国へ大規模救援部隊を派遣してもらうことになっていたが、到着までは少なくとも最短の部隊であと1日、陸路の部隊は東アジア共和国への逆侵攻がメインのため更に遅く成る事が予想されていた。

 

総理はその報告を聞くと、官房長官に一言言ってからフラフラとしながら一度部屋を出て、少し離れたところに設置されている喫煙スペースのベンチに腰掛けて天を仰いだ。

 

リクセントが倒れれば、そこに向けられていた戦力はユーラシア連邦の迎撃に動くだろう…ユーラシア連邦と言えども東アジア共和国の物量で逆襲されては負ける危険性の方が高い。

 

そして次に狙われるのは……日本

 

今、日本に再度東アジア共和国軍の侵攻を防ぎ切ることが出来るかと言われれば、不可能ではないが、前回のようには行かないであろうということ、そして、たとえ勝ったとしても、それ以降の地上における行動に重大な支障をきたす事が想像できる。

 

市民にも前回より多くの被害が出るかも知れない。

 

総理はふとつい持って来ていた日本刀に視線をおとし、語りかけるようにつぶやく。

「………念のため…だったんだがなぁ………………昔、爺さんも言ってたっけ…大きな決断をする時にはそれだけ責任が伴う…て、俺はその重しに耐えれなくなったんだって……爺さん……俺はあんたより多くの人間を死に追いやるかもな……この日本っていう国を守るなんていいながら。まあ、あんたと俺じゃ状況もなんもかんも違うか、俺には前例がある分まだマシかもな、あんた前例どころか、周りみんな反対する中頭下げて時には恫喝して、色んな無茶やって成し遂げたんだもんなぁ…すげえよ爺さん、あんたの武勇伝、親父が録画しててさ、政治目指すなら見とけって親父からあんたに内緒で見させられたあの国会での演説さ、かっこよかったなぁ……俺も、爺さんみたいに、覚悟をするべき時が来たみたいだ……これから下す俺の命令で、どれだけ多くの人間が命を落とすのか見当もつかねぇや、民間人も巻き込んでしまうかもな、けど、あんた流に言えば、日本国民が死ぬよりマシだ。俺はやる事に決めた」

 

 

 

本田総理は、覚悟を決めたように息を吐くと、ベンチから立ち上がり、先ほどまでいた中央作戦室へとしっかりとした足取りで戻っていくのだった。

 

 

かつての祖父の姿を追うように……

 

『…日本という国と、そこに住む日本国民の為に、私は敵対する国の国民に死を振りまく事になろうとも、断じて、決断を議員諸氏に求めたい、今日本は危機に瀕している、日本という国が消えかけている、諸君はそれでもまだ夢を見ているのか、国民という我が子が敵対国という危険な隣人に殺されてもなお、その敵対国を擁護し、我が子を生ゴミのごとく捨てるのか…私はそれが許せない、ならば私は鬼と成る。普通の親なら我が子を守るべく我が子を殺そうと襲う者を排除しようとするだろう…国にとって、国民とは子である。子を守る為に私は手段を選ばない、私は命を賭ける。諸君にもそれを求めたい』

 

 

再構築戦争開戦一年前における日本国憲法改正発議の際の当時の内閣総理大臣の発言より…一部抜粋

 

 

 




こんな総理が欲しい

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