機動戦士ガンダムSEED〜日本国自衛隊〜   作:名無之助

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あけましておめでとうございます。


第四十七話・奪還…そして物語は動き出す。

あの動画の配信から数時間後…大阪湾の港から40キロ離れた海上にその船はいた。

 

 

 警察や海保が到着する前に港を出た大型漁船は、そのまま太平洋へ出るルートを取る。

 

 

 太平洋にさえ出てしまえば、そこで積荷(・・)を潜水艦に移し、任務は完了する…そのはずだった。

 

 

 「ち、手間かけさせやがって…ふざけんな!」

 

 そう言って覆面を被った男が老人を船の倉庫へと突き飛ばす様に入れると、扉を閉じて鍵を閉めていく。

 

 

 老人は、暴行を受けたためにボロボロになっていたが、積み込まれていた荷物を杖代わりにして立ち上がり、何か使えそうな物は無いかと物色を始めたが、その直後…再度扉が開く。

 

 

 「おいじじい、新しいお仲間だ…隣の部屋に隠れてやがった…まあせいぜい仲良くやんな……」

 

 そう言って放り込まれてきた女性…その女性に対し、老人はとりあえず、放り込まれた際に、その女性が本来女性が出しちゃいけない様な変な声を出していたのは聞かなかったことにした。

 

 そして直ぐに気を取り直して入り口の方へと目線を向けようとするが、腰から異音が鳴ると共にその場で蹲り、声にならない声を出して悶絶するのだった。

 

 

 そして、また扉が閉められる。

 

 

 少しして痛みの落ち着いた老人は悔やんだ……連中とやり合っていた時も腰さえギックリいかなければ、そのまま連中を突破して行って船のエンジンをぶっ壊していたのに…と…そして、先程のことでも…もうちょっとしゃがんでいれば…放り込まれた女性の角度的に、隙間から桃源郷(ぱんつ)が覗けたのに…と。

 

 老人は…そういったものが大好きだった。

 

 

 因みに、毎回孫娘からそれが原因か蛆虫を見るような眼で見られているのを彼は知らない。

 

 

 彼の孫娘は睡眠薬で眠らされ、縛られた状態で船室に閉じ込められていたが、同時刻に目が覚め、縄抜けをして船室にあった酒を盗んで飲んでいたりするが、こちらも案外神経が図太い様子である。

 

 

 「もうそろそろ、来るかな?」

 

 

 孫娘がそう呟くと、数分後、ヘリの独特なプロペラの音が段々と近づいてくるのが聞こえてきたのであった。

 

 

 ーー

 

 

 数十分前、和歌山県沖 巡視船はるか

 

 「船長、不審な大型漁船が大阪湾を太平洋方面へ航行中なのを捜索ドローンで発見致しました。船名、第12弥勒丸。船籍番号は○□◇□で、現在データ照会中です」

 

 「そうか…例の船かも知れん…SSTの保坂隊長に出動準備と待機、本部へ連絡を頼む」

 

 「了解です」

 

 

 その後すぐにデータ照会が終わり、結果、第十二弥勒丸は数日前に漁に出てすぐに消息不明となり、船長の遺体が浜にて発見されていた…ということが判明、そのため、巡視船はるかの船長は本部へ確認した上で、青葉の動画配信を受けて事態への対処のため本部から移動して、二時間ほど前にこの*1巡視船に配備されていたSSTに対し、出動を指示するのであった。

 

 

 ーー

 

 時間は戻り、出動したSSTは、後数分で対象の船へ降下突入を行う段階で最終確認を行なっていた。

 

 「全隊員、最終確認よし!降下用意よし!」

 

 

 「もう少しで降下だ、みんな落ち着くんだぞ」

 

 隊長が隊員へとそう声をかける。

 

 「隊長、大丈夫です。隊長の奥さんの春香さんが放つアイアンクロー・フロムキッチン対面式…なる必殺技を受ける時よりは緊張してません。そういえばさっきまでいた巡視船と奥さんの名前同じですね」

 

 

 その隊員の言葉に、機内は笑いに包まれる。

 

 隊長は変なスイッチが入り、妄想の世界へと旅立つ一歩手前で、号令で現実へ引き戻される。

 

 

 「降下10秒前!!!9・8・7・6・5・4・3・2・1・降下!!!」

 

 隊長以下十数目の隊員がロープを使い大型漁船へと降下していく。

 

 無論相手も黙って居らずに、反撃に出ようとしてくる。

 

 中にはロケットランチャーでヘリを狙おうとする者もいたが、SSTの隊員により即座に狙撃され阻止される。

 

 船外にいた5名の武装工作員は、最初に3名が狙撃で死亡。更に船内から出てきた工作員4名と残り2名は降下したSSTの隊員が素早く制圧し、内部へと突入。十数分の戦闘ののち、SSTは大型漁船を制圧。負傷者3名を出したが、内部にいた老人らの協力もあり、それ以上の損害もなく任務を完了した。

 

 因みにその後、救出された女性記者の青葉さんは、迎えに来た妹(既婚)の衣笠さんに海上保安官さんやその他衆人環視の中、泣きながら数時間にわたる説教を受けたそうである。

 

 ーー

 

 同じ頃、防衛省…いや、日本を震撼させる事実が巡視船つしまが拿捕した不審船から発覚し、日本政府や各関係省庁、そして日本国民を恐怖させた。

 

 

 不審船から発見されたのは…NJキャンセラーと、それを搭載した遠隔操作可能な小型核弾頭だったのである。

 

 

 東アジア共和国は、工作員による日本の政府機能を麻痺させる計画が失敗した場合、日本の首都を物理的に破壊して、日本政府の機能を麻痺させる為に核弾頭を使おうとしたことが判明。

 

 

 日本政府はこの事態に対し、核弾頭が幸いにも遠隔操作で起爆される前に処理できたことにひとまず安堵した。

 

 

 同時に、対東アジアに対する全面攻勢計画を前倒しにすると共に、核弾頭による東京爆破計画に関係したとして、東アジア共和国の軍や政府上層部、更に、日本人拉致にも関わっていたアードラー・コッホ。並びに計画に協力したとして大西洋連邦の政府、情報部の高官を名指しで、排除又は逮捕する事を宣言するに至る。

 

 

 

 龍は目覚めた。

 

 

 

 

 

*1
配属と配備の違いについて、事に備えて準備を整える事を配備。配属は人を一定の部署に配置して所属させることで、この場合は一時的な配置転換で、事態に備えての準備であるため配備となる




 東アジア共和国「核弾頭使って日本爆破しよ」

 大西洋連邦「賛成、でもうち今ヤバイから、手に入れたこれどうぞ(NJC)」

 東アジア共和国「やべ失敗した。でも日本だし、そんなに怖くない」

 日本「…………ほう?…………(ツブス)」ビキビキ

 

 大西洋連邦&東アジア以外の国々「うわぁ…やりやがったあいつら…終わったな…」

大西洋連邦&東アジア「……あれ?……もしかしてやらかした?」

 老人の見た目はドラゴンボ○ルの亀仙人の髭なしバージョン

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