機動戦士ガンダムSEED〜日本国自衛隊〜   作:名無之助

81 / 94
第五十一話・誇り〜ジョン・ガーフィールドの48時間の戦い〜 前編

 時は大西洋連邦でのクーデター勃発時まで遡る、ジョン・ガーフィールド中将以下、中将に賛同した大西洋連邦陸軍第三軍団の士官らを中心とするクーデター軍…軍と行っても数百人にも満たないが、これはガーフィールド中将が事前に計画を知らせていた者以外のついてこようとした兵に対し、自らのクーデターに参加することを厳に禁じたからである。

 

 それでも、なおついて来た兵を合わせて数百人。この人数でなぜミサイル基地を占拠できたのか……何も基地の全域を占拠する必要はない。

 

 ミサイル基地のミサイルサイロと、隣接するコントロールルームを占拠し、ミサイルのコントロールを奪えればそれでよかったのだ。

 

 ミサイルサイロとコントロールルームへ続く通路等にはバリケードが作られ、更にトラップや監視のためのセンサー、見張り等も配置されていた。

 

 しかも、下手に突入しよう物なら、ミサイルが即座に発射されてワシントンに被害が出てしまうとの懸念もあり、迂闊に手を出すことが出来ない状況となっていた。

 

 そんな中、政府は国防省にてクーデター軍に対する対応を話し合っていた。

 

 

 この国防省の会議室には、陸軍総参謀長、国防長官、CIAとFBI両長官、連邦軍需産業理事会理事長及び理事数名、空軍参謀部大佐、海軍情報部中佐、大統領補佐官、大統領軍事顧問等が集まって、対策を協議していた。

 

 まずこの場を仕切る国防長官が疑問を口にする。

 

 「まず聞きたいのだが、なぜ彼…ガーフィールド中将は法廷ではなく、武力を用いたこのような方法で政府を糾弾しようとしたのだ?そこの動機が分かるものはいるかね?あとはなぜ部外者の筈の軍需産業理事会の人間がここにいる?」

 

 

 「軍需産業理事会の方々に関しては、大統領府からの要望もあり参加されているとのことです。また、ガーフィールド中将のことに関しては、例え法廷に訴えようとしても握り潰されるのが分かり切っている中で、選択肢がなかったと考えるのが妥当です」

 

 と、空軍参謀部の大佐が、軍需産業理事会の面々を冷たい目で鋭く睨みつけながら発言する。

 

 大佐の発言に国防長官も他の面々もそんなはずは無いだろうと、握り潰されるなどあるはずが無いと口々に反論するが、空軍参謀部大佐は、幾つかの具体例や、そもそも件のガーフィールド中将が言っていたアラスカの件も、連邦政府は嘘しか付いていないと、大佐は真っ向から上層部をこの場で批判、特に、軍需産業理事会が、ブルーコスモスと組んで軍内部を引っ掻き回しているとまで発言してしまい、会議室を追い出されそうになるなどのトラブルにもなってしまう。

 

 そんな中で、大統領補佐官がガーフィールド中将の経歴について質問して来たことで、話が脱線していた会議は本題に戻ることが出来た。

 

 補佐官の問いに答えたのは、陸軍総参謀長である。

 

 「彼、ガーフィールド中将の経歴については資料を見れば分かるだろう…まずは、20歳で中東でのテロ組織撲滅作戦に参加。更にその後特殊部隊に入り、30歳までに対テロ作戦や人質救出作戦など複数の作戦に参加。最近では、南アメリカ合衆国併合作戦などの指揮をとり、対ザフト戦に関しては、一時アフリカに派遣され、撤退戦を指揮して見事に成功させている。パープルハート勲章4つ、シルバースター勲章3つ、大西洋連邦議会名誉勲章をも叙勲されている、まさに英雄だ」

 

 「…なるほど。ならその輝かしい経歴に、反逆者の薄汚いテロリストというのが追加されるわけですか…ハ」

 

 大統領補佐官の鼻で笑ったこの発言に、陸軍総参謀長が厳しい口調で叱責する。

 

 「彼は正真正銘我が軍の英雄で人格者だ!お前みたいな戦場も知らんボンクラが、鼻で笑って良い人物では無い!!!口を慎め!」

 

 その叱責に補佐官はバツが悪そうに咳払いをしたあと、失礼しましたと言って先程の発言に謝罪し、総参謀長からの視線から逃れるように目を逸らした。

 

 「しかし、彼らのミサイルがワシントンを狙っているのは事実としてあるわけですが……彼らの要求は、アラスカの真実の公開との事でしたね、これについては…軍需産業理事会、更にはブルーコスモスも関連していると彼らは指摘してます。私は、アラスカはザフトの攻撃の影響で、サイクロプスが誤作動したと聞いてますが…これは事実では無いという事ですか?」

 

 海軍情報部中佐の発言に、軍需産業理事会の理事長ロード・ジブリールは、いやいやと手を左右に振る仕草をし、肩を窄めながら返答する。

 

 「そんなわけないじゃ無いですか、我々は今人類の敵であり、根絶すべき存在であるコーディネーターと、世界の命運を掛けて戦っているわけですが…そのための貴重な戦力を、コーディネーター諸共爆破して減らす様なことはしませんよ…全て彼の勘違いでしょう…彼が何を知っているのかは知りませんが、証拠もなしにこんなことしでかしたから、後戻り出来なくなったのでは?」

 

 ジブリールの発言に陸軍総参謀長が何かを言おうとしたとき、会議室の内線が鳴る。

 

 ガーフィールド中将から通信が入ったとの連絡であった。

 

 すぐに会議室に通信が繋がれる。

 

 画面にガーフィールド中将が映し出されると、それを見た大統領軍事顧問が真っ先に口を開く。

 

 「あなたがガーフィールド中将か?なぜクーデターなんぞ引き起こした?」

 

 その軍事顧問は上から目線の様な態度でガーフィールド中将へ問い掛けるが、ガーフィールド中将はこの問い掛けを無視する。

 

 『まず先に官制名を名乗らんか!話はそれからだ』

 

 「失礼、私は大統領軍事顧問、ムノー・ナルシースです」

 

 そこから、この会議室にいる全員が官制名を名乗り、ガーフィールド中将が要求を話し始める。

 

 『私が要求するのは、アラスカでの真実だ。アラスカにて上層部が軍需産業理事会やブルーコスモスらと組んで、潜水艦からの遠隔操作でアラスカ基地の地下に設置されていたサイクロプスを起動し、未だ戦い続けていた友軍兵士もろとも殲滅した。そう、戦っている部隊には何ら説明もなくな。生還した兵らは敵前逃亡などと言う罪をでっち上げて口封じされた。この事実を全て公表しろ。更に、敵前逃亡などと謂れのない罪で投獄されている兵らの即時解放と名誉回復、並びに政府によるブルーコスモスとの決別と…軍需産業理事会…軍需産業による、非人道的人体実験などの違法行為を公にする事…これらが48時間以内に認められ無ければ……ワシントンに数十発の巡航ミサイルを撃ち込むことになる。巡航ミサイルには…軍需産業のとある施設から頂戴した細菌兵器を搭載する用意もある。よく考える事だ』

 

 中将が要求を話し終えると、軍事顧問が問い掛ける。

 

 「あー、中将?中将が言っているような事実はないし、アラスカ戦では有軍兵士に()()()()()()()と聞いているが、何かの間違いでは?」

 

 『生存者はいない?バカな…では…オーブにいる第三洋上艦隊はなんなのだ?更に、生存者はいないなら、何故軍刑務所にアラスカ戦に参加していた兵士が収監されている?お前は無知だな、話にならん…口を開くな』

 

 次に、FBI長官が中将に問う

 

 「中将…FBI長官のケイネス・エルメロイだ。中将の言っていた非人道的人体実験とやらは、証拠はあるのかね?また、どこの企業だ?」

 

 『いいだろう、映像を見せてやる。どこの企業か?さあ、何処だろうな。映像の研究所は東海岸の、表向きは医薬品研究をしていると言う、ジブリール財団医療研究開発機構…裏では違法な人体実験をしている。そこにジブリールがいるだろう?本人に聞いてみろ』

 

 その後映像が流されるが、ジブリールはそんなもの幾らでも捏造できると突っぱねた。

 

 『ああ、あと一つ要求しておく。アラスカで死んだ兵らに対し、一人につき1万ドル、合わせて3800万ドルを、西海岸のセルリッチ産業の口座を通して遺族へ配分しろ。公平にな。セルリッチは、国防省が兵器を密売するためのペーパーカンパニーだ』

 

 「ジョン!!!?それは国家機密だぞ!!!」

 

 『もう知った事では無い』

 

 そういって通信は切られた。

 

 

 その後も会議は続き、ある発言が飛び出す。

 

 ジブリールが言ってしまったのだ。

 

 「収監された生存者など、()()存在しないのにバカな事だ」

 

 この発言を陸軍総参謀長は聞き逃さなかった。

 

 直ぐに信頼できる数少ない部下らに命じ、調査が開始されたが、陸軍は半分以上…七割以上がブルーコスモスシンパに侵されており、それは難航することとなる。

 

 

続編開始までの繋ぎとして短編ssを考案中、どれ読みたいですか?

  • BLEACHオリ主
  • 学園黙示録オリ主
  • 青つなぎの伝説のホモが色んな原作を破壊

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。