機動戦士ガンダムSEED〜日本国自衛隊〜   作:名無之助

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短いですが、最新話です。因みに、割と重要な回だったりします。


第五十二話・託されたバトン

 ガーフィールド中将が決起した直前に、ハーリング空軍上級大将は、ガーフィールド中将と電話で会話していた。

 

 そして、ガーフィールド中将は、ハーリング空軍上級大将に対してこう言った。

 

 電話での会話の最後である。

 

 《この国の、後のことを頼みたい…》確かに、ガーフィールド中将はハーリング空軍上級大将にそう言っていた。

 

 この事について、ガーフィールド中将の死後、ハーリングはその意図を考え続けていた。

 

 そしてふと、執務室の窓から空を見る。

 

 厚い雲に覆われた空は、晴れ間など全くない。

 

 それは、暗い、沈んだ雰囲気を漂わせる空模様だった。

 

 

 

 

 

 

 

 ガーフィールド中将の決起による一連の騒動で、大西洋連邦内部は大混乱に陥っていた。

 

 例えば、ブルーコスモス…つまり軍産複合体の息のかかった軍人や情報組織が、ガーフィールド中将がばら撒いた一連の軍産複合体による悪行とも言うべき所業に関しての情報に関して、その情報統制やら、隠蔽やらの行動を起こした。

 

 更には、軍産複合体やブルーコスモスに対しての捜査に乗り出したFBIなどの捜査機関については、そのような捜査機関の行う捜査の妨害、妨害ならまだ良い方で、FBIほどの勢力を持たない捜査機関…例えばだが、自分たちの要求に応じずに捜査を強行していた州警察そのものを、場合によっては武力にものを言わせて統制下に置くなどということも行い、徹底して情報を封殺した。

 

 一部ではFBIの部隊とCIAのブルーコスモス派の工作員との間で銃撃戦になったり、軍産複合体の派閥に属する軍の部隊が研究所や軍産複合体の企業に捜査に入った州警察やFBIの捜査官を襲撃してコーディネーターのテロ組織の犯行に見せかけようとするなど、なりふり構わない行動をとっていた。

 

 無論、それに異を唱えた情報関係の部署に属する真っ当な軍人や、他の情報組織の職員も多数いたが、その半数以上が反乱分子として拘束されるか、将官クラスの軍人や政府組織の高官などは“病死“することとなる。

 

 そんな混沌たる状況の中、FBIや陸軍の良識派の生き残りや空軍、そして海軍の一部と海兵隊の一部が結集し、共同での調査と消息を絶っていた大統領の捜索を行なっていた。

 

 そして、とある空軍情報部将校が、ガーフィールド中将がワシントンにばら撒いた資料の内、一枚の書類を手にして、それを見て何かに気付いたのかハッとした表情を一瞬浮かべるとすぐに駆け出し、ハーリング空軍上級大将の元へと向かった。

 

 ハーリング空軍上級大将はその資料を受け取ると、大きく目を見開いた。

 

 資料には、軍産複合体やブルーコスモスのことのほかに、書類の下に小さく、何桁かの英数字が隠棲されていたのである。

 

 書かれていたのは以下の英数字である

 

 【β・332・001・302・GF・P・73977721】

 

 「これは…私に宛てたものだ…」

 

 ハーリングは驚きを隠せずに呟く

 

 「βと332は私の現場での現役だった頃にいた部隊名だ。β332独立戦隊…今は名前が変わり、空軍長官直轄航空戦隊ラーズグリーズとなっているがな…そして、私は一番機だった。次に、これは…302とGF…この符丁は一つしか知らん…建設中の大西洋連邦統合軍防空司令部。未だに建設中で、基地としては使われていない筈だが。そしてこれは…Pの後に来る数字は……確か大統領の選挙の時の得票数…だったか……もしや…」

 

 ハーリング空軍上級大将はそこで何かに気付き、近くの受話器をとって何処かへ何らかの指示を出し、次に別の場所へ電話を繋げた。

 

 「ハーリングです。エルメロイFBI長官…大統領の所在が判明しました…はい、はい…いいえ…少し厄介な場所です。は?…長官それは本当ですか!?外務次官がプラントで!?クライン派?はい、はい、分かりました。大統領の件に関してはこちらでなんとか対処します。長官はCIAのブルーコスモス派を抑えて下さい。その間に良識派が行動を始めるそうです。はい、よろしくお願いします」

 

 そうして受話器を置くと、そばにいた副官にすぐに指示を出す。

 

 「忙しくなるぞ、この基地の防備を固めろ、それと……陸軍第5特殊作戦部隊と、海兵隊第5連隊と合流を図る。護衛戦闘機隊を手配してくれ。あとは……大統領の所在が判明した。航空威力偵察と、両部隊との合流次第、その偵察情報を用いた救助作戦を実施する。関係部署へ準備に取り掛かるよう伝えてくれ」

 

 指示を受けた副官が即座に命令を実行すべく立ち去るのを見送ると、ハーリングは静かに呟いた。

 

 「やっと…この戦争の終着までの道筋見えてきた……ガーフィールド中将、貴方のバトン、確かに受け取った。そして外務次官……私は貴方に掛けますよ」

 

 

 ハーリングが窓から空を見上げると、雲がかかっていた空から、少しだけ日が差し込んできているように見え、目を細めるのだった。

 

続編開始までの繋ぎとして短編ssを考案中、どれ読みたいですか?

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