第五十四話・親父達の大脱出 前編
地上での戦いがひと段落した後、地上にあるカーペンタリア基地とジブラルタル基地は、日本国自衛隊、ユーラシア連邦軍、赤道連合軍を主力とした連合軍に完全な包囲下に置かれた。
その時には、プラントと同盟関係だった大洋州連合は、連合軍の戦力が接近してきた段階で即堕t……即座に勇気ある降伏(大洋州連合政府談)を決断し、包囲下に置かれたザフト軍の両基地は程なく降伏している。
そんな情勢下に置いて、あの決戦から数週間が経過していた。
CE 71年 7月3日 プラント アプリリウス市 クライン邸
二人の男性が庭にあるテラスで茶を飲みながら談笑していた。
「シーゲル、この紅茶は中々良い味だが、私はやはりコーヒーの方が好きだな」
「ふむ、君の好みではなかったか……次の機会に良いコーヒーが手に入れば良いが、今のプラントの状況ではな……この紅茶も、昔の知り合いから貰ったものの残りでね、もうそれも少ないんだ」
「なるほど…ところで、今日はあなたの娘のラクス嬢は?」
その質問に、シーゲルは一瞬考え込むがすぐに答えた。
「実は…婚約者に会いに行っている。今のプラントの状況もだが…今の議長であるパトリックの暴走は目に余るからな。娘の婚約者でパトリックの息子であるアスラン君からパトリックを説得して、暴走を止めて欲しいと頼みに行くという事だ」
それを聞いた男性は難しい表情で考え込む、そして段々と顔色が悪くなる。
「まずいな…今の議長が正常な判断ができる精神状態ならまだ良いが、そうじゃなかったら…危険だ。全く、お宅のお嬢さんも私の娘と同じで少々アグレッシブに動きすぎる」
「…それは耳が痛いな…では、少し予定と違うが、そろそろ動くとするかね、ジョージ」
苦笑しながら立ち上がる二人は、次の瞬間にはテラスのテーブルを勢いよく倒し、即座に隠し持っていた拳銃を抜き走り出す。
直後に先ほどまで二人がいた場所に銃弾の雨が降り注いだ。
「ち、パトリックはここまで狂ったのか!」
「くそ!悪態をつく暇があるなら、早く建物から逃げるんだシーゲル!」
悪態を吐きながら、姿を現した十人前後の刺客達を拳銃で一人一人走りながら撃ち倒していく二人の親父。二人は刺客から逃れ、建物から脱出し、クライン派の兵らと合流。その後、ラクスとアスランを救うために動き出した。
ーー
同時刻、プラント近宙域にて待機していた戦闘艦がいた。
特務艦ガーティー・ルー。ブライト・ノア大佐が艦長兼司令を務める特務隊の母艦である。
つい2ヶ月ほど前に秘密裏に編成され、ジョージ・アルスターの生存を報告されたワイアット中将からの密命を受け、その救出と、可能であればザフト軍の新鋭戦艦の奪取という任務を帯びていた。
そのガーティー・ルーの艦橋
「その連絡は確かなのか?」
「間違いありません!二回確認しました。アルスター外務次官と、協力者であるクライン氏親娘の身が危険にさらされているという事です!」
司令のブライト・ノア大佐は少し考るそぶりを見せ、直ぐに命令を発した。
「救出プランを変更プランBだ!即座にプラント国内に居る工作員に救出対象の確保を依頼しろ!!同時にミラージュコロイドを一時解除!特務陸戦隊を直ちに発進させ突入させろ!」
命令は即座に実施され、ジョージ・アルスター外務次官とシーゲル・クラインを救出するための作戦が開始されるのだった…。
…因みに、この時プラント国内では、ラクスを助けに行く途中に置いて、何故か親父二人によるどちらの娘が可愛いか、愛らしいかというどうでも良い言い争いが発生していたが、本編には関係がない。
後編に続く
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