東方紫藍談  ~紫と藍の幻想談~   作:カテサミン

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 亡霊姫が先に登場するかと思いきや傘のあの子が登場します。


 それでは始まります♪




《第2話》『幽々子の特技』

 

 

 

 【博麗神社、昼】

 

 

 霊夢は神社の縁側で寝転がっていた

 

 

博麗霊夢「ん~♪ 最近涼しくなってきたわねぇ、もう夏も終わりか」

 

 

霊夢「もうすぐこの木も紅葉を迎え、また秋が来るのか」

 

 

霊夢「…」

 

 

霊夢「なんか一人で虚しいわね…何でこんなこと言ってんのかしら」

 

 

霊夢「またあの吹っ切れ秋姉妹は暴走するのかな、紅葉がどうとか実りがどうとかで、一応神様なんだから大人しくしていてほしいもんね」

 

 

霊夢「はぁ~…」

 

 

霊夢「…」

 

 

霊夢(暇…)

 

 

 霊夢は目をつぶる

 

 

霊夢(魔理沙は泥棒か…チルノ達は昨日来たから来ないか…ゆか…ああいいや紫のことは)

 

 

霊夢(たまには修業でもしてみようかしら? …そうするか、よしそうしよう)

 

 

霊夢(しかし…何の修業するかを考えんのってのもめんどくさいわね、華扇から聞いたやつでも試してみ)パチッ

 

 

多々良小傘「おぉぉっどろけ~♪」バッ

 

 

霊夢「…」

 

 

小傘「わはははどうだ! 驚いたか~!」

 

 

霊夢「…」

 

 

小傘「えへへ! 驚きすぎて声も出ないようだね♪ 博麗の巫女ですら驚かす、これが」

 

 

霊夢「お腹」

 

 

小傘「へ?」

 

 

霊夢「お腹は満たされたの?」

 

 

小傘「…あ、あれ? さっきと変わって…ない…?」

 

 

霊夢「じゃあ私は驚いてないわけね」

 

 

小傘「え、えぇ~…そんなぁ…」ガーン

 

 

霊夢「まぁなんにしても」スッ

 

 

 霊夢は立ち上がり、大幣を頭の上に持ち上げた

 

 

霊夢「この私の寝込みを襲うとは、覚悟は出来てんでしょうねぇ! 小傘ぁ!」スッ

 

 

小傘「ひゃぁ!?」ビクッ

 

 

霊夢「…」

 

 

小傘「さ、さでずむさでずむ…」ブルブル 

 

 

霊夢「…」

 

 

霊夢「本気で驚かせるならこのぐらいしなきゃダメなんじゃない?」

 

 

小傘「…う、うえ?」

 

 

霊夢「でも小傘じゃ無理か、こういうのむいてないもんあんた」

 

 

小傘「うっ…!」グサッ

 

 

霊夢「驚かせ方もなってないし…あれよね、古典的ったやつ?」

 

 

霊夢「大体そのドデカイ茄子みたいなの背負ってワンパターンな驚かせ方じゃ皆慣れて誰も驚いてくれないって魔理沙が言ってたしそれに私も」

 

 

小傘「うええぇ! うぅ…! そ、そごまでいわなぐでもっ!!」ドバッ

 

 

霊夢「!?」

 

 

小傘「わちきだって! わぢきだっでがんばっでるのにぃ…! グスッヒグッ」ポロポロ

 

 

霊夢「えぇ!? べ、別に泣くこと…」

 

 

小傘「びえぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

 

霊夢「わ、悪かった! 悪かったわよ! だから泣きやみなさい!」

 

 

小傘「んぐっ…グスッ…」

 

 

霊夢「……お茶、飲む?」

 

 

小傘「…うん」

 

 

 

 

 

 《五分後》

 

 

 

小傘「ズズズッ…ふぅ…」ホッコリ

 

 

霊夢「落ち着いた?」

 

 

小傘「うん」

 

 

霊夢「悪かったわね、さっきは言い過ぎた」

 

 

小傘「ううんいいよ、だってほんとの事だし…」ションボリ

 

 

霊夢「しょげないの、こっちまで気が滅入るでしょ」

 

 

小傘「うん…」

 

 

霊夢「ねぇあんたってさ、その…食事のために? 怖がらせたいの? それとも驚かせたいの?」

 

 

小傘「驚けばお腹が満たされるから驚いてほしいの、でも怖がらせれば驚きに繋がるから色々やってはいるんだけど」

 

 

霊夢「色々? 傘持って驚けーってやってるだけじゃないの?」

 

 

小傘「うっ…そ、そうなんだけど」

 

 

霊夢「あれ? あんた前ベビーシッターやってるって言ってなかったっけ?」

 

 

小傘「辞めました」

 

 

霊夢「何で」

 

 

小傘「やっては感謝、やっては感謝の雨あられで…はは…からかさお化けが感謝の雨に降られてもお腹は満たされませんよ…はははは…」

 

 

霊夢(何をやっても自分の為にならない、か…辛そうね)

 

 

霊夢「ん~…まぁ辞めるのはあんたの自由、後悔してないなら私は何も言わないけど」

 

 

小傘「うん…ありがと」

 

 

霊夢「そこでお礼はなんか違うような」

 

 

小傘「いいの、なんか気持ちが楽になったから」

 

 

霊夢「そう」

 

 

小傘「うん」

 

 

霊夢「…そういえば小傘、あんたなんでここに来たの?まさか私を驚かせる為だけ?」

 

 

小傘「ううん違う…! あぁそうだ! すっかり忘れてたよ」ゴソゴソ

 

 

霊夢「?」

 

 

小傘「霊夢、はいこれ!」スッ

 

 

霊夢「…! え、針…?」

 

 

小傘「そうだよ♪ 妖怪退治用に使ってる物と同じ様に作ったの♪ 丸ちゃんが霊夢へのプレゼントのために私に拵えてほしいって依頼をしてきたの」

 

 

霊夢「丸ちゃん?」

 

 

小傘「針妙丸だよ」

 

 

霊夢「あぁなるほど、ってその肝心の針妙丸はどこにいんの?」

 

 

小傘「今日はわかさぎちゃん達と釣りの約束が合って来れなくなっちゃったの、せっかく今日出来た新品だから霊夢に届けてほしいって言ってたよ? だから変わりに私が来たの」

 

 

霊夢「そ、そう…! き、気が利くじゃない」

 

 

小傘「明日は行くって言ってたから、明日は来るんじゃないかな?」

 

 

霊夢「そ、そうなんだ…」

 

 

 バッ!

 

 

 霊夢はちゃぶ台に顔を伏せた

 

 

小傘「?」

 

 

霊夢(い、いかん、顔がにやける…!)

 

 

小傘「霊夢?」

 

 

霊夢「今は黙れ…!」ゴゴゴ!

 

 

小傘「うひゃっ!? 霊夢はたまにさでずむだよぉ…」

 

 バッ!

 

霊夢「…ふぅ、てかあんたって中々良い仕事するわよね、そんなんで」

 

 

小傘「! そ、そうかな? 自分でもこれだけは結構自信あるんだよ」

 

 

霊夢「前にもあんたに妖怪退治用の針直してもらったけどあのときも良い仕事振りだったと思ったわね」

 

 

小傘「試し打ちをされましたけど…」

 

 

霊夢「あの後に謝ったでしょ! ってか腕前が前より上がってない? ほんとあんたの鍛治スキルには驚かされるわねぇ」

 

 

小傘「…! !? あ、あれ!?」

 

 

霊夢「どうしたの?」

 

 

小傘「今お腹が満たされた様な…いや、うん満たされてる! 私満たされてるよ!」

 

 

霊夢「…! そうよこれよ!」

 

 

小傘「へ? な、なにが?」

 

 

霊夢「おバカ、少しは考えなさい、鍛治スキルがあるなんて微塵も感じられないあんたがこんなに良いもの作れるって知ったら皆驚くわよ? 幻想郷じゃ珍しい特技だもの」

 

 

小傘「!」

 

 

霊夢「そしたらもうひもじい思いしなくて済むんじゃない? そりゃ大変かもしんないけど私が驚くぐらいだから大丈夫よ、きっとね」

 

 

霊夢「人里とか…あぁ、あんた命蓮寺住まいだったっけ、そこでその腕を披露すればそれはそれはもう」

 

 

小傘「霊夢~!」バッ

 

 

霊夢「うっ!」ダキッ

 

 

小傘「霊夢ありがとうほんっとにありがとう! 私頑張ってみるよ!」

 

 

霊夢「ええい頑張るのはいいけどくっつくなっちゅーのに! ここに来る妖怪共はどいつもこいつもくっつきやがってぇ!」

 

 

小傘「霊夢は私のお腹の恩人だよぉ!」

 

 

霊夢「なにそれ…あ、でもやる前に聖とかにちゃんと言うのよ?」

 

 

小傘「うん! えへへ、霊夢は優しいね!」

 

 

霊夢「はいはい、皆が驚いてくれると良いわね」

 

 

小傘「うん、よーし! やるぞ~!」

 

 

霊夢(でも成功しない可能性もあるのよね、『お前が作ったんじゃないんだろ嘘付け』なんて言われたら…でも聖がいるから平気か)

 

 

霊夢(巫女が妖怪のお悩み解決…確か前もやったっけ)

 

 

霊夢(それにしても針妙丸のやつなんでいきなりプレゼントなんか)

 

 

霊夢(…ん?)

 

 

 ギュオン

 

 

霊夢「げっ…」イラッ

 

 

小傘「? 霊夢、どうしたの?」

 

 

霊夢「あれ見なさい」

 

 

小傘「? うわ、空間にスキマが開いてる…?」

 

 

霊夢「あんた八雲紫って知ってる?」

 

 

小傘「あ、うん名前だけ、幻想郷の管理人さんなんでしょ?」

 

 

霊夢「そ、あいつ今ここに来るわよ」

 

 

小傘「えぇ!?」

 

 

霊夢「ったく、何しに来んだか知らないけどいきなり来るのはほんとにどうにかしてほ」

 

 

 ズイッ

 

 

八雲紫「いやああぁぁぁぁぁ!!!」ズッ

 

 

霊夢、小傘「うわぁああ!!?」

 

 

紫「ああああぁぁぁ!!」

 

 

小傘「いやぁぁああ!!」

 

 

 ゴン!

 

 

 勢い良くスキマから飛び出してきた紫は目の前にいた小傘とぶつかってしまった! 

 

 

紫「怖い怖い怖い怖い怖いぃ!! 怖いよぉ!!」

 

 

小傘「ひぃゃああ!!?」

 

 

霊夢「ちょっ!?」

 

 

 小傘が倒れてる所に紫が覆い被さる形になった

 

 

紫「怖い怖い怖いぃ!! 助けて下さい助けて下さい霊夢ぅぅ!!!」

 

 

小傘「怖いのはわちきだよぉ!!! 怖いよぉ!!」

 

 

霊夢「なん…!? 紫!! 何なのよ!?」

 

 

紫「うわあぁぁ!!」

 

 

小傘「きゃあああ!!」

 

 

霊夢「こん…の!」

 

 

 霊夢は紫の背後に回り込み…

 

 

霊夢「落ち着けスキマ女ぁぁ!!」

 

 

 

 豪快なバックドロップを決めた!

 

 ドゴン!

 

 

 

 

紫「ぐほぉ!!?」

 

 

霊夢「はぁはぁ…! アホか!!? アホかほんとに!!」

 

 

小傘「ひっ…ひぁ…!」

 

 

紫「 」チーン

 

 

霊夢「小傘! あんた大丈夫!?」

 

 

小傘「う…あ…」ビクビク

 

 

霊夢「…! こらぁゆかりぃ!」

 

 

霊夢「驚かせる事が生き甲斐の奴に本当の恐怖を与えてどうすんのよ!? 責任とりなさい!」

 

 

紫「はっ!?」

 

 

霊夢「気が付いたんならさっさとあや」

 

 

紫「いやぁぁ!!?」

 

 

小傘「きゃあああ!!」

 

 

霊夢「大幣脳天割り!!」

 

 

 

 ドゴッ

 

 

 

紫「ぴぎゃっ」

 

 

 ドサッ

 

 

 

 

霊夢「はぁ、はぁ」

 

 

紫「 」ビクンビクン

 

 

霊夢「何なんのよ!! 何が…なんなのよ!?」

 

 

小傘「れ、れい…うあ…」ガクガク

 

 

霊夢「…! あぁんもう! ほんとに何なのよ!?」

 

 

 

 三十分後…落ち着いた霊夢と小傘、そして気絶から復活し大人しくなった紫は三人でちゃぶ台を囲んでいた

 

 

 

 

紫「…」

 

 

霊夢「…」

 

 

小傘「…」

 

 

紫「れ、れい」

 

 

霊夢「お黙り」

 

 

紫「う…」

 

 

小傘「れ、霊夢…その、紫さんの事許してあげよう?」

 

 

霊夢「あぁん!?」

 

 

小傘「ひっ!?」

 

 

霊夢「…! ごめん小傘…でもあんた良いの? あんな目にあったばかりなのに」

 

 

小傘「そりゃ私の存在意義って何なんだろうって言うぐらい驚かされたけどこのままじゃ何も解決しないよ…」

 

 

霊夢「…! …紫」

 

 

紫「!」

 

 

霊夢「まず謝れ」

 

 

紫「…! 多々良小傘よね? いつも霊夢が使う針を拵えてくれている…その、悪かったわね…この私とあろうものが取り乱してしまって、怖い思いをさせたわね」

 

 

小傘「い、良いんです! 私は大丈夫ですから」

 

 

霊夢「良くないわよ、ったく…」

 

 

紫「霊夢もごめんなさい…いつものノリで登場できなくて」

 

 

霊夢「私に謝るとこそこかい!」

 

 

小傘(あ、なんかこの人雰囲気が聖とちょっと似てる? オーラってやつかな?)

 

 

霊夢「で? あんたは何をあんなに取り乱していたわけ?」

 

 

紫「!! そ、そうなのよ!! 霊夢! 小傘、あなたも聞いてほしいの!」

 

 

霊夢、小傘「?」

 

 

紫「夏も終わって涼しくなり始めたってのに私は怪談やアイスキャンディーよりも寒く! 身の毛もよだつ物を見て体験してしまったのよ!!」

 

 

小傘「あいすきゃんでぃー?」

 

 

霊夢「そこは良いから…ここに来たときのあんたのあの形相、よっぽどの事なの?」

 

 

紫「えぇ! もう八雲紫と言う存在が食われるんじゃないかってぐらいの物よ!? 死ぬかと思ったんだからね!?」

 

 

小傘「えぇ!?」

 

 

霊夢「食われる…?」

 

 

紫「そうよ! だから命からがら逃げ出して」

 

 

 ユカリィ…

 

 

紫「!?」ビクッ

 

 

小傘、霊夢「…!?」

 

 

 ヒドイジャナイノ キュウニヒメイヲアゲテ ニゲダシテ

 

 

紫「ひっ!?」ビクッ

 

 

 フッ!

 

 

西行寺幽々子「ねぇ…紫~♪」

 

 

紫「ひゃぁぁあ!?」

 

 

霊夢「え、幽々子?」

 

 

小傘(紫さんの後ろにいきなりなんか出た!?)

 

 

紫「ゆ、ゆゆゆゆ幽々子!? さ、さっき振りね!」

 

 

幽々子「ほんとにね、でも酷いわぁ♪ さっきまで藍ちゃんと妖夢とあなたと私とで仲良くご飯を食べていたのにいきなり逃げ出しちゃうんだもん」

 

 

紫「だ、だだだだって! あなあな、あなたがいきなり」

 

 

幽々子「私が何かしたかしらぁ♪」

 

 

紫「したじゃないのよ!! 藍!? 主のピンチよ!? こういう時にこそ」

 

 

幽々子「藍ちゃんは白玉楼でお留守番♪」

 

 

紫「あんにゃろうがぁ!」

 

 

霊夢「こらこら、コントはおしまいよ」

 

 

幽々子「あら霊夢、お久しぶりねぇ…あら?」

 

 

小傘「!」

 

 

幽々子「…美味しそうな茄子ねぇ」ジュルリ

 

 

小傘「こ、これは私の傘ですよぉ!」

 

 

幽々子「あら残念♪」

 

 

霊夢「私の話を聞きなさいよ!」

 

 

幽々子「ん~?」

 

 

霊夢「幽々子、さっき物凄い形相で紫がここに…まあ、すっ飛んで来たのよ、その原因はあんたにあるんだろうって私はにらんでるんだけど」

 

 

幽々子「私は何にもしてないわぁ~♪」

 

 

紫「したじゃないのよ!」

 

 

霊夢「あんたは黙ってなさい!」

 

 

小傘(な、なんか私場違いな気がするよ~…)

 

 

幽々子「本当に何もしてないわ…むしろ私が紫に聞きに来たのよ? 何故逃げたのか」

 

 

紫「あんなもの見せられてやられて! 逃げない方がどうかしてるわよ!」

 

 

霊夢、小傘「?」

 

 

幽々子「そこまで言わなくてもいいじゃない、酷いわぁ…♪ それにその言い方だと妖夢と藍ちゃんがどうかしてると言ってる様に聞こえるわ」

 

 

紫「そう言ってるのよ! 千年の時の中で一番の恐怖を感じたのよ!?」

 

 

小傘「千年?」

 

 

霊夢「二人は千年以上親友やってるんだって、まぁそんなことより」

 

 

霊夢「話が進まないわ!」

 

 

霊夢「ここからは私が仕切る! あんた達二人は黙る!」

 

 

紫、幽々子「えー…」

 

 

霊夢「そこだけ息を合わせるんじゃない! 喧嘩中なんでしょ!?」

 

 

紫「喧嘩なんかしてないわよ?」

 

 

幽々子「私紫と喧嘩なんかしたら生きていけないわぁ」

 

 

霊夢「何でもいい! 二人とも正座! とにかく整理させなさい!」

 

 

紫、幽々子「は~い♪」

 

 

小傘(霊夢しっかりしてるなぁ)

 

 

霊夢「紫、あんたは幽々子の何を見て驚き、ここに逃げて来たの?」

 

 

紫「!? そ、それは…」

 

 

小傘「?」

 

 

霊夢「言いなさい」

 

 

紫「ゆ、幽々子の特技よ! さっきの食事のくだりは聞いたわね? その時にいきなり幽々子がやったのよ!」

 

 

霊夢、小傘「特技?」

 

 

幽々子「出来るのかなぁって思ってやってみたら出来たの♪ 最近覚えたのよ」

 

 

霊夢「…見せてもらえる?」

 

 

紫「霊夢! 後悔するわよ!? 怖いもの見たさが身を滅ぼすのよ!?」

 

 

霊夢「うるっさい! 幽々子、見せてもらえる?」

 

 

幽々子「良いわよぉ♪ 紫、あれ…なんだったかしらあのパン」

 

 

紫「フ…フランスパン」

 

 

幽々子「そうそう♪ あの美味しくて細長いパンね、あれが一番やり易いの」

 

 

紫「…」スッ

 

 

 ギュオン ゴソゴソ

 

 

 紫はスキマに手を突っ込んでフランスパンを取り出し、幽々子に手渡した、長さ50cmぐらいの物だ

 

 

小傘「わ、何か美味しそう」

 

 

霊夢「何が始まるのかしら」

 

 

紫「…」ザッ

 

 

霊夢「なんで手を後ろに回してんの?」

 

 

紫「…」

 

 

幽々子「♪」ニコニコ

 

 

 幽々子は笑顔を崩さぬまま、フランスパンを口元に持っていき、手を止めた

 

 

霊夢「…?」

 

 

紫「…」

 

 

小傘「?」

 

 

幽々子「♪」ニコニコ

 

 

 幽々子はフランスパンが口元にあるのにも関わらず食べようとしない、普段の幽々子ならもうかぶりついている筈

 

 

幽々子「♪」ニコニコ

 

 

霊夢「…?」

 

 

小傘「食べないの?」

 

 

紫「…」ブルブル

 

 

 五秒…十秒…十五秒……動かない

 

 

幽々子「♪」ニコニコ

 

 

霊夢、小傘「…?」

 

 

 二十秒…二十五秒…三十秒……動かない

 

 

幽々子「♪」ニコニコ

 

 

 三十五秒…四十秒…

 

 

幽々子「♪」ニコニコ

 

 

 四十四秒…

 

 

幽々子「 」フッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     ムッシャア……

 

 

霊夢「は!?」

 

 

小傘「え!?」

 

 

紫「あ、あぁ…うぁ…」

 

 

幽々子「♪」ゴクン

 

 

 

 

 フランスパンが

 

 

 

 

幽々子「ふぅ…ん~♪ この食感♪ 美味しいわぁ♪」

 

 

 

 

 

 四十四秒足った瞬間、幽々子は微動だにしていない筈なのに

 

 

 

 

紫「い、いぃ…」ガタガタ

 

 

霊夢、小傘「!!?」

 

 

幽々子「うふふ♪ 見てくれた? これが」

 

 

 

 

 

 50CMから10CMになっていた

 

 

 

 

紫「いぃやあぁぁあ!!!」スッ

 

 

 ギュオン

 

 紫はスキマの中に逃げ出した!

 

 

 

幽々子「あん♪ 紫、また逃げるの? こうなったらとことん付き合ってあげるわぁ♪ …ん?」

 

 

霊夢、小傘「 」ポカーン

 

 

幽々子「ねぇねぇどうだった? 私の特技♪ すごいでしょ?」

 

 

小傘「す、すごい…です、その、こういう驚き方もあるんですね…言葉がでない…は、初めて知りました」 

 

 

幽々子「お化けちゃんにそう言ってもらえると特技として誇れるわねぇ♪ 霊夢は?」

 

 

小傘(お化けちゃん…)

 

 

霊夢「いや…ちょっと驚いたけど何か…あんたらしい特技よね、今度宴会でやってみたら?」

 

 

幽々子「霊夢のお墨付きね♪ 素直に嬉しいわぁ」

 

 

霊夢「私の評価は置いといて、どうも腑に落ちないんだけど」

 

 

幽々子「何が?」

 

 

霊夢「あのお馬鹿がそれにビクビクしてる理由」

 

 

幽々子「それはこっちが聞きたいわぁ、ただ特技を披露しただけなのに何故私から逃げるのかをね」

 

 

霊夢「確かあんたらさっきまでお昼食べてたんでしょ?その時の話をして」

 

 

幽々子「え~めんどくさいわぁ♪」

 

 

霊夢「話しなさいよ! 消化不良なのよ!」

 

 

幽々子「こら霊夢、食生活はちゃんとなさいな、紫が悲しむわよ?」

 

 

霊夢「そっちの消化不良じゃないわよ!! あんたもほんとにめんどくさいわね!?」

 

 

小傘「れ、霊夢、落ち着いて?」

 

 

霊夢「…話してくれたらこの前アリスが作ってくれた洋菓子を」

 

 スッ

 

幽々子「座りなさい二人とも、話してあげるわ」キリッ

 

 

小傘「えっ!?」

 

 

霊夢(こういうのにはちょろいのよね)

 

 

幽々子「白玉楼で紫にこの特技を披露した直後からでいい?」

 

 

霊夢「えぇ」

 

 

小傘(さっきと別人みたいだなぁ、かっこいい)

 

 

 

 

 

 

 

 ホワンホワン…

 

 

 《四十分前、白玉楼》

 

 

 

   ムッシャア……

 

 

幽々子『ふぅ…♪』

 

 

八雲藍『えぇ!?』

 

 

紫『…!』

 

 

魂魄妖夢『あの、幽々子様…それどうやってるんですか?』

 

 

幽々子『精神を集中させて食べ物と真剣に向き合えば誰だって出来るわよぉ♪』

 

 

妖夢『出来ませんよ…』

 

 

藍『なんとも…幽々子殿らしい特技ですね』

 

 

幽々子『そう? ねぇ、紫はどう思う?』

 

 

紫『…』

 

 

幽々子『? 紫?』

 

 

妖夢『紫様?』

 

 

藍『紫様、どうかなさいましたか?』

 

 

紫『…』

 

 

 紫こと八雲のゆかりんは普通の妖怪ではありません、ゆかりんは幽々子が披露した特技を見て瞬間的に思ってしまいました、もし

 

 

 もし幽々子が絶対に噛み千切らないものをこの特技でやってみたらどうなるのだろうと

 

 

紫『…』スッ

 

 

藍、妖夢『?』

 

 

幽々子『ん~?』

 

 

 紫は探求心から自分の手を幽々子の口元に持っていきました。

 

 今、幽々子の口元には紫の握りこぶしがあります

 

 

幽々子『…! ♪』

 

 

 幽々子は親友の探求心を察しました

 

 

幽々子『♪』ニコニコ

 

 

紫『…』ドキドキ

 

 

藍、妖夢『?』

 

 

 十秒…二十秒…三十秒…

 

 

紫『…』ドキドキ

 

 

幽々子『♪』ニコニコ

 

 

 四十秒…

 

 

幽々子『♪』ニコニコ

 

 

 

 四十四秒

 

 

 

幽々子『 』フッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    パッックゥ……

 

 

紫『!!?』ゾワゾワ!

 

 

幽々子『ん~♪』

 

 

藍、妖夢『!?』

 

 

 一瞬の出来事でした、紫の手は腕の関節辺りまで幽々子な口の中に入ってしまいました、噛み千切られてはいませんが

 

 

 八雲紫という名の妖怪に得体の知れない恐怖が全身を駆け巡りました、そしてこう思いました

 

 

 『あ、これほっといたら死ぬやつだ』と

 

 

 

紫『いやぁぁあああ!!!』

 

 

幽々子『ガジガジ、ゆふぁひぃ、あなひゃのうへっへ、いはいひおいひいふぉへぇ』モグモグ

 

 

紫『怖い怖い怖い怖いぃ!!? 離して離して幽久子ぉ!!』ジタバタ

 

 

幽々子『ふぉふぉふぁふぁふいひひっひゃおうふぁひふぁ♪ ふぁ~んふぇ』モグモグ

 

 

紫『い、いやあぁぁ!! 食い千切られるのはイヤァ!!』スッ

 

 

 ギュオン

 

 紫はスキマを開き幽々子の口の中、そして自分の境界線を操り、命からがら逃げ出しました

 

 

幽々子『あん♪ 紫…? んもう何処行っちゃったのかしら?』

 

 

藍、妖夢『 』ポカーン

 

 

幽々子『ん~♪ しょうがないわねぇ♪ 二人とも、私紫のこと探してくるわぁ♪ 食後の運動がてらね♪』スッ

 

 ヒューン

 

 

 

 ホワンホワン…

 

 

 

 

 

 

 《現在、博麗神社》

 

 

幽々子「ねぇ酷いと思わない? 私は特技を披露しただけなのに紫ったら急に逃げちゃって」

 

 

小傘「え!? いや、あの」

 

 

霊夢「小傘」

 

 

小傘「え」

 

 

霊夢「たぶんこれ以上は…ってやつよ」

 

 

小傘「ほぇ…?」

 

 

霊夢「まあ、良いわもう…何か疲れたし、暇潰しにもなったし…ツッコミももういいや」

 

 

幽々子「そんなことより霊夢、洋菓子は?」

 

 

霊夢「その棚の上の箱ん中」

 

 

幽々子「♪」スッ

 

 

霊夢、小傘「…」

 

 

小傘「霊夢、人を驚かせるってなんなんだろうね…」

 

 

霊夢「私が知るわけないじゃない…」グッタリ

 

 

幽々子「ん~♪ おいひぃ~♪」モグモグ

 

 

 

 

 

 

   おしまい!

 

 

 






 読んでいただいている皆様に感謝します、ありがとうございます!

 それではまた次回♪


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