東方紫藍談  ~紫と藍の幻想談~   作:カテサミン

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 三日目、最終日になります…しんみりしてくるのは仕方の無いことです。


 華扇たちはどのように最終日を過ごすのか、会話中心ではありますが楽しんでいただければと思います。


 それでは始まります♪




ーー 儚い線香花火 ーー Last day

 

 

 

 【ゆかりんハウス 華扇の寝室 朝7:00】

 

 

茨木華扇「スー…スー…」zzZ

 

 

華扇「スー……んぅ~…」パチッ

 

 

華扇「……んぁ…」

 

 

華扇「……」モゾモゾ

 

 

華扇(……朝…)

 

 

華扇「……ふぅー…」

 

 

華扇「…ふわぁ~……あふぅ…」

 

 

 華扇はベッドから起き上がり、壁に立てかけられている時計に目をやり、時間を確認する。

 

 

 華扇は朝の7時に起きる様に習慣づけているため、この時間に目が覚めると安心するとともに『私はベッドの魔力にこの三日間打ち勝ったのだ』とちょっぴり優越感に浸る。

 

 

華扇「…ふふっ…♪」

 

 

華扇(しかしチルノと一緒に寝ていたら…いえ、考えないようにしましょう)

 

 

華扇(……はぁ暑い…汗で体がベトベトです…着替えて朝の準備をしなければ)

 

 

 華扇は部屋のカーテンに手を伸ばす

 

 

華扇(ふぅ、今日も日差しが照りつけて…蒸し暑い一日が続いて嫌にな)シャッ

 

 

 

 ザァァァァァァ……!

 

 

華扇「……」

 

 

華扇「へ?」

 

 

華扇「えっ…!? えぇっ!?」

 

 

 ザァァァァァァ……!

 

 

華扇「なっ…!? なんですかこの大雨は!?」

 

 

華扇「昨日の夜寝る前は雲一つ無かったと言うのにいったいどういう…」

 

 

 ゴロゴロゴロ……!

 

 

華扇「か、雷まで…!」

 

 

華扇「山じゃあるまいし天気いきなり変わりすぎでしょう! どうなっているんですかこの空間は…!」

 

 

華扇「……まさか、八雲紫が何か」

 

 

 

 バァン! と部屋の外で音が鳴った

 

 

 

華扇「!?」

 

 

 マズイマズイマズーイ!! スーさん急いでー!

 

 

華扇「…?」スッ

 

 

 

 

 【ゆかりんハウス、二階、寝室扉前】

 

 

華扇「部屋の扉は静かに開けなければいけませ」

 

 

メディスン・メランコリー「あっ! 華扇!」

 

 

華扇「メディ? まさか先程の扉の音はあなたが? 扉は静かに開けなければ」

 

 

メディ「そ、そんなことより外! そとぉー!!」

 

 

スーさん「!!」ワタワタ

 

 

華扇「外? あぁ大雨の事ですね、突然の事で狼狽えてしまう気持ちも分かりますがここは冷静になって」

 

 

メディ「ピンチなのっ! 外のガーデニング! 花壇っ!」スッ

 

 

華扇「……!」ハッ

 

 

華扇「あぁっ!!」スッ

 

 

 

 

 

 ドタバタドタバタ…!

 

 

 【ゆかりんハウス、一階、庭】

 

 

 ザァァァァァァ…!!

 

 

メディ「うわっ…! ひ、酷い雨…!」

 

 

華扇「風も強いですね、とりあえず鉢植えを家の中に運びましょう!」

 

 

メディ「う、うん!」

 

 

スーさん「…!」ブァッ

 

 

メディ「! スーさん!」

 

 

華扇「っ…!」スッ

 

 

 強風で飛ばされそうになったスーさんを、華扇は優しく抱き留める

 

 

華扇「あなたは家の中に…飛ばされてしまいますよ」

 

 

スーさん「!」コクコク

 

 

メディ「あ、ありがと華扇! スーさん大丈夫!?」

 

 

スーさん「…!」コクコク

 

 

華扇「無事で何よりです、それよりも急ぎましょう」

 

 

メディ「うん!」

 

 

 華扇とメディは雨に打たれ、ずぶ濡れになりながらも鉢植えを部屋の中に移した

 

 

メディ「鉢植えは全部終わったけど、花壇が…!」

 

 

華扇「移すのは無理ですね、こういう場合は何かを被せてあげたり花壇自体を何かで覆ったりするのが得策ではあるのですが」

 

 

メディ「何かあったっけ…!」オドオド

 

 

華扇「……」

 

 

華扇「…!」

 

 

華扇「メディ、少し待っていてください!」ダッ

 

 

メディ「えっ!? 華扇どこ行くの!?」

 

 

メディ「待つって…ああんどうしたらいいんだろう…!」

 

 

メディ「私の毒で…! ってそれじゃダメよ! 他に方法があるはずよ…!」ワタワタ

 

 

メディ「……って思い付かない~! ゆ、幽香ならこういうときはどうするのかしら…!」ワタワタ

 

 

 

 

 【二階、寝室扉前】

 

 

黒谷ヤマメ「ふぁ~……ふぅ…いやいや、チルノと一緒に寝てないとこんなに汗かくんだねぇ、参った参った♪」

 

 

ヤマメ「…? ありゃ? 華扇とメディ起きてるのかな? 扉開けっ放しだけど…」

 

 

 タッタッタッ!

 

 

華扇「! ヤマメ、おはようございます」

 

 

ヤマメ「お! おはようさん華扇…っておおぅ!? どうしたんだい!? びっしょりじゃないか!」

 

 

華扇「私の事は気にせず…! それよりも一階でメディを手伝ってあげてください!」

 

 

ヤマメ「め、メディ? メディがどうかしたのかい?」

 

 

華扇「チルノが起きるまでの時間を稼いでください、頼みましたよ!」スッ

 

 

ヤマメ「ちょっ…!? 華扇!?」

 

 

 

 華扇はチルノの寝室へ入っていった

 

 

ヤマメ「どういう、ことなんだい…?」

 

 

 ガチャッ

 

 

紅美鈴「? ヤマメさん?」

 

 

ヤマメ「! 美鈴、おはようさん」

 

 

美鈴「おはようございます、今の声は…華扇さん?」

 

 

ヤマメ「あぁ、今下から急に来てさ、チルノの部屋に入っていったのさ…全身びっしょりで」

 

 

美鈴「びっしょり…? ってどうしてです?」

 

 

ヤマメ「そりゃ私も聞きたいねぇ、何であんなにずぶ濡れなんだか…それにメディを手伝ってってのは」

 

 

美鈴「? メディさん? 手伝う?」

 

 

稗田阿求「あの」

 

 

ヤマメ、美鈴「うわぁっ!? びっくりしたぁ!」ビクッ

 

 

阿求「!?」ビクッ

 

 

ヤマメ「い、居たのかい阿求…!」

 

 

阿求「えぇ…私さっきからここにいましたよ? 美鈴さんと同じ時に出てきたのに…」

 

 

美鈴「き、気付かなかったです…」

 

 

阿求「ヤマメさんはともかく、美鈴さんが気付けないのは能力的にどうなのでしょうか」

 

 

美鈴「うっ…!」グサッ

 

 

阿求「それよりもお二人とも外を見てないんですか?」

 

 

ヤマメ、美鈴「外?」

 

 

阿求「大雨が降ってるんです、雷まで鳴ってます」

 

 

ヤマメ、美鈴「えぇ!?」

 

 

阿求「気付いてなかったんですか?」

 

 

ヤマメ「…! メディ…?」

 

 

美鈴「手伝う…」

 

 

ヤマメ、美鈴「……」

 

 

ヤマメ、美鈴「…」

 

 

阿求「ガーデニング」

 

 

ヤマメ、美鈴「あぁっ!! そういう事かぁ!」

 

 

美鈴「い、急ぎましょう!」

 

 

ヤマメ「あ、あぁ! …ってか阿求! あんた何でそんなに冷静なんだい!?」

 

 

阿求「朝は弱いからです、雨の音を聞いて『この大雨だとメディさん困るだろうなぁ、力になれたら良いなぁ』という思いで体を動かしてます、正直今も半分寝ぼけてます」ポケー

 

 

ヤマメ「なんかつっこまなきゃならないぐらい凄い器用な事してる気がするけどそんなことは後だよ!」

 

 

美鈴「一階へ! 早く行きましょう!」

 

 

阿求「あぁヤマメさん、昨日のコーヒーの事なんですが」ポケー

 

 

ヤマメ「そんなのは後だよ! ほら、阿求もおいで!」

 

 

 

 

 

 【チルノの寝室】

 

 

チルノ「くぁ~…」zzZ

 

 

華扇「チルノ! 起きてくださいチルノ!」

 

 

チルノ「んむぅ…?」ポケー

 

 

華扇「チルノ! 朝早くに申し訳ないのですがあなたに頼みがあるのです!」

 

 

チルノ「なん……なんだぁ…? か、せん…?」

 

 

華扇「花壇を救えるのはあなたしかいないのです! 力を貸してください!」

 

 

チルノ「……? …かせん…すくう…? かせん…はなんともなってないぞぉ…」ポケー

 

 

華扇「私ではありません! 『華扇』ではなく『花壇』です!」

 

 

チルノ「……」

 

 

華扇「…?」

 

 

チルノ「くぁ~…♪」zzZ

 

 

華扇「!? チルノ、お願いですから起きてください! あなたの最強の力を見せるときですよ!」

 

 

チルノ「! そうだ! あたいは最強なんだぁ!」ガバッ 

 

 

華扇「そうですあなたは最強なのです、さぁチルノ、一階に降りて外に」

 

 

チルノ「さいきょー…なんだぞぉ…」フラフラ

 

 

チルノ「…」

 

 

華扇「…? チル」

 

 

チルノ「かぁ~…♪」zzZ

 

 

華扇「!? 起き…! 起きなさいチルノぉ!!」

 

 

チルノ「はわっ!?」ビクッ

 

 

 

 

 

 【マヨヒガ、副音声のお二人】

 

 

八雲紫『あ~め雨♪ ふ~れ振れ♪ ゆっかりんが~♪』

 

 

紫『つれぇと一言泣いたのよ~♪』

 

 

八雲藍『…』ヒクヒク

 

 

紫『ふふふふっ…! 私のこの涙が大雨となってゆかりんハウスに降り注いでいる…! これも全部この辛辣九尾が悪いんだぁ!』

 

 

藍『一滴も涙を流してないじゃないですかぁ!!』

 

 

紫『うっさいこのバカちんがぁ!』

 

 

藍『…!?』イラァ

 

 

藍『雨をっ…! 雨を止めなさいよぉ!』

 

 

紫『いやだぁ!』

 

 

 

 

 

 

 華扇に叩き起こされたチルノによって大雨の影響による花壇への被害は最小限に抑えられた。

 

 華扇が考えた花壇への対策は『雨でも溶けないチルノの氷で花壇を覆う』事だった、かまくら状に作られた氷は大雨から花壇を守るのに最適だったのだ。

 

 

 大雨で全身びっしょりになってしまった六人は、朝食の前に朝風呂へ入る事になった。

 

 

 

 

 【ゆかりんハウス、風呂場】

 

 

 

六人「ふぅ~…♪」

 

 

ヤマメ「いや参ったよねぇ、まさか雨が降ってくるとはねぇ」

 

 

メディ「ホントよね、あんな大雨が降って来るなんて聞いてないわよ」

 

 

美鈴「雨とかが降るなら紫さんから連絡が来ると思ってたんですけどね」

 

 

阿求「まだ寝てるんじゃないですか? あの人も朝は弱いですからね」

 

 

チルノ「…? ならババアより早く起きてるあたいはババアより強いって事になるのか?」

 

 

メディ「…そうはならないんじゃないの?」

 

 

チルノ「えっ? そうなのか?」

 

 

メディ「いや、知らないわよ」

 

 

華扇(八雲紫が人為的に雨を降らせた可能性があるのですが…どうなのでしょうか)

 

 

メディ「そんなことよりみんな、ありがと♪ みんなのお陰でお花たちは守られたわ」

 

 

ヤマメ「あはは、良いんだよぉ♪」

 

 

美鈴「本当に良かったですよ、花たちが無事で」

 

 

華扇「えぇ、本当に♪」

 

 

阿求「私は何も出来ませんでしたけどね…この功績を称えるとしたらチルノさんでしょう」

 

 

メディ「! そう…よね…」チラッ

 

 

チルノ「おっ? なんだ?」

 

 

メディ「はぁ、まさかあんたに助けられるとはね…」

 

 

チルノ「な、なんだよぉ~! 悪いかぁっ!?」

 

 

メディ「そんなこと言ってないでしょ! もう…!」

 

 

チルノ「??」

 

 

メディ「……ありがと、チルノ♪」

 

 

チルノ「!」

 

 

メディ「あんたが居なかったら花たちは救えなかったわ、本当にありがと」

 

 

チルノ「にしし! 花を救うのなんて朝飯前さ! なんたってあたいは」

 

 

メディ「最強だから」

 

 

チルノ「…!」

 

 

メディ「…でしょ♪ ふふふっ♪」

 

 

チルノ「おう! にっしし!」ニカッ

 

 

華扇、ヤマメ、美鈴、阿求「…♪」ニコッ

 

 

 

 

 

ヤマメ「それにしても今日はどうしようかねぇ…外はあの大雨だ、これじゃ外に出て遊ぶことは出来ないね」

 

 

チルノ「やまないのかな?」

 

 

メディ「やまないんじゃない?」

 

 

チルノ「む~…雨は嫌いじゃないんだけどなぁ、外に出れないってのがなぁ」

 

 

メディ「あんた雨好きなの?」

 

 

チルノ「カエルがたくさん出てくるからな、凍らせて遊ぶのさ♪」

 

 

メディ「…前も聞いたと思うけど面白いの? それ」

 

 

チルノ「面白いぞ! メディもやってみれば良いじゃないか♪」

 

 

メディ「それも前に言われた気がするわ…」

 

 

阿求(凍らせて解凍させての繰り返し、カエルからしてみれば地獄ですよね)

 

 

華扇「それにしても本当にどうしましょうか、風呂を出た後、美味しい朝御飯を食べて…その後は」

 

 

美鈴「…あっ! 一日家の中でのんびりするっていうのはどうでしょうか」

 

 

阿求「ですね、無理して外に出る必要もないですし」

 

 

ヤマメ「だねぇ♪ よし、賛成の人~♪」

 

 

チルノ、メディ「はーい♪」

 

 

華扇「ふふっ♪ ではそうしましょうか」

 

 

チルノ「んー、でも家の中で何すれば良いんだ?」

 

 

メディ「んぅ…考えても何も思い浮かばないわね」

 

 

阿求「色々あるじゃないですか、例えば冷蔵庫にあるスイーツの食べ比べをしたりとか」

 

 

華扇「!」ピクッ

 

 

阿求「ふふっ、仕放題ですね♪ 華扇さん?」

 

 

華扇「なっ…! 何がですか!?」

 

 

阿求「いいえ~? 別に~?」

 

 

華扇「むっ…!」

 

 

ヤマメ「華扇、まだバレてないって思ってるのかな」ヒソヒソ

 

 

美鈴「別に隠す事じゃないと思うんですけどね…」ヒソヒソ

 

 

チルノ「ん~、それも面白そうだけど、家の中で遊べる物何かないかなぁ」

 

 

メディ「何かあったかしら…まぁでも無かったらババアに電話してみれば良いわよね」

 

 

ヤマメ「だね、あのゆかりんボックスってのもう一回持ってきてもらうのもアリかもねぇ♪」

 

 

阿求「!?」ピクッ

 

 

チルノ「ん? お、アレか! 阿求がにゃんこになったやつか!」

 

 

メディ「くじ引きのやつね♪」

 

 

華扇「ふっふふ…♪ 『阿求にゃん』でしたっけ?」

 

 

阿求「っ!?」

 

 

美鈴「可愛かったですよね、阿求にゃん」

 

 

チルノ、メディ「ね~♪」

 

 

阿求「ちょっ…!」

 

 

ヤマメ「でも…もう存在すらしていないんだよ…悲しいことにね…」

 

 

ヤマメ、メディ、チルノ、美鈴、華扇「…」チラッ

 

 

阿求「…!? えっ、えっ!? な、なんなんですか!?」

 

 

阿求「ど、どんなに悲愴な空気を出そうとも阿求にゃんは現れませんよ! アレは偶然が生んだ幻の生物なんですからね!」

 

 

ヤマメ「はぁ…悲しいねぇ…」

 

 

チルノ、メディ「悲しい~…」

 

 

阿求「悲しむ前にもう二度と阿求にゃんが現れないという事を自覚してください!」

 

 

ヤマメ「……あっ! もしかしたら『阿求わん』なら居るかもしれない!」 

 

 

チルノ、メディ「な、なんだってぇー!?」

 

 

阿求「!?」

 

 

美鈴「紫さん『ワンコの魔法』も使えるんでしょうか」

 

 

華扇「使えると思います『にゃんこの魔法』も使えますからね」

 

 

阿求「な、何をさっきから…! そもそもジャンケンで負けなければ阿求にゃんは…!」

 

 

ヤマメ「『私は稗田阿求だワン! 撫でてワーン♪』」

 

 

メディ「あはははっ! 似てる~♪」

 

 

チルノ「だっははっ! 似てるぞヤマメ~♪」

 

 

阿求「存在も何も無いのに似てるとか無いでしょうが!! やめてください!!」

 

 

華扇、美鈴「ふふっ…♪」

 

 

 

 

 

美鈴「……雨、か」

 

 

ヤマメ「うん? どうしたんだい美鈴」

 

 

美鈴「私、雨好きなんです」

 

 

華扇「そうなのですか?」

 

 

美鈴「はい」

 

 

阿求「門番の仕事で雨の日でも門の前に立っていなければならないのに、ですか?」

 

 

ヤマメ「大変じゃないのかい?」

 

 

美鈴「あはは、大変ではありますね…」

 

 

美鈴「でも雨が降るとお嬢様と妹様が外に出られなくなるんですよ」

 

 

華扇「吸血鬼の弱点である流水ですね、流れている水の上を渡れなくなるという」

 

 

美鈴「それです、お嬢様と妹様は『外に出られないから退屈だ』と仰られているんですけど、それが私にとっては…なんというか、安心するんです」

 

 

ヤマメ「安心?」

 

 

美鈴「お二人は外出するのが好きでお暇があればお嬢様は博麗神社へ、妹様は魔理沙さんの家に遊びに行ってしまうんです」

 

 

美鈴「私はお二人が居ない時に門番をやっていると少し空しくなってしまうんです…あはは、本当はこんなことを思ってはいけないんですけどね、変だなぁ」

 

 

華扇「きっと守るべき者が居ないと門番としての仕事に身が入らないから空しくなってしまうのだと思います」

 

 

美鈴「そう…なんですかね…でももちろんパチュリー様や咲夜さん、こあさんやメイド妖精さんたちも守るべき存在です」

 

 

ヤマメ「そりゃメイドさんたちの事もそうだけどさ『特に』あの二人は特別なんだろう? あんたの中ではさ♪」

 

 

阿求「レミリアさんとフランさんは無邪気で少々危なっかしい所がありますからね、そう思うのは自然な事だと思いますよ」

 

 

美鈴「!」

 

 

華扇「阿求の言う通りです、それを変に思う必要はないと思います」

 

 

ヤマメ「んっふふ♪ 子供が遠くに行っちゃうと大人は心配するもんだろう?」

 

 

阿求「レミリアさん一応五百年…いえ、魔理沙さん曰く精神年齢十歳らしいですからね」

 

 

華扇「それは言い過ぎでは…? ともかく美鈴、あなたがそう思うのは変な事ではないのです、自然な事なのですよ」

 

 

美鈴「…! ふふっ…あぁなんか…気持ちが楽になりました、ありがとうございます」

 

 

ヤマメ「ふふっ、しっかし門番ねぇ…やっぱり守るべきモンが背中にいると安心するって事なのかねぇ」

 

 

阿求「所謂、職業病ってやつかもしれませんね」

 

 

美鈴「職業病…確かに何百年と門を守り続けてますからねぇ」

 

 

華扇(何百年…? …美鈴はいつからあの館の門番をやっているのでしょうか)

 

 

チルノ「でもめーりん、魔理沙は顔パスってやつなんだろ?」

 

 

美鈴「か、顔パス!?」

 

 

チルノ「魔理沙が言ってたんだ『通っていいかって聞いたら何も言わねぇんだよ、でも顔が通って良いですよって顔してるから堂々とお邪魔出来るんだぜ♪』ってさ、特別なんだろ? 顔パスって」

 

 

美鈴「そ、それは…!」

 

 

ヤマメ、華扇「居眠り……」

 

 

美鈴「うっ…!」グサッ

 

 

阿求「まぁ美鈴さんの居眠りは今に始まった事ではないので」

 

 

美鈴「そんなこと言わないでくださいよぉ!」

 

 

メディ「へー、紅魔館に顔パスなんてあるんだ」

 

 

チルノ「あたいも顔パスになってみたいなぁ♪」キラキラ

 

 

メディ「なろうと思ってなれるもんじゃないんじゃないの?」

 

 

チルノ「めーりん、どうやったら顔パスになれるんだ?」

 

 

美鈴「……紅魔館に顔パスなんて無いんですよチルノさん」

 

 

チルノ「えっ? でも魔理沙が」

 

 

美鈴「魔理沙さんが特殊なだけです」

 

 

チルノ「?? その特殊が顔パスなんじゃないのか?」

 

 

メディ「……? えっ? 私に聞いてんの? 私が知るわけないでしょ」

 

 

チルノ「んむぅ?」キョトン

 

 

ヤマメ「下手に魔理沙が嘘ついてるって言えないねこりゃ」ヒソヒソ

 

 

阿求「魔理沙さんの影響を受けすぎなんですよねぇ…チルノさんの足りないところは大妖精さんが補っているので泥棒するほど暴走したりはしないでしょうけど」

 

 

華扇「……」

 

 

阿求「魔理沙さんにお説教は効果無いと思いますよ?」

 

 

華扇「正座して黙って聞きはするのですが、何故こう…大事な部分を受け流して取り入れようとしないのでしょうか」

 

 

阿求(魔理沙さんらしい…)

 

 

 

 

ヤマメ「あ、そうだ…阿求、チルノ、メディ」

 

 

阿求「はい?」

 

 

チルノ、メディ「うん?」

 

 

ヤマメ「昨日はありがとね、疲れて眠くなっちまうまで付きっ切りで私の介抱してくれてさ♪」

 

 

ヤマメ「ふふっ、嬉しかったよ~♪ 本当にさ」

 

 

メディ「良いのよ♪ ヤマメが元気になってくれればそれで♪」

 

 

チルノ「うん、その通りだな♪」

 

 

阿求「…元はと言えば私が」

 

 

ヤマメ「こ~らっ!」

 

 

阿求「…!」

 

 

ヤマメ「ふふっ…それはもう無しだよ阿求、ほら見なよ、あたしゃもうこんなに元気なんだ♪ あんたたちのお陰でね」

 

 

ヤマメ「昨日も言ったろう? もう自分を責めちゃいけないよ、阿求」ニコッ

 

 

阿求「! …ふふっ、はい…♪」ニコッ

 

 

美鈴、華扇「…♪」ニコッ

 

 

チルノ「…? あれ?」

 

 

メディ「何?」

 

 

チルノ「あたいたちヤマメの介抱? しちゃってるときに寝ちゃったんだよな?」

 

 

阿求「そうですね」

 

 

チルノ「じゃあ何であたいたちは自分の部屋で寝てたんだ?」

 

 

華扇「それは私達があなたたちをそれぞれ部屋まで運んだからですよ」

 

 

メディ「えっ? そうだったの?」

 

 

美鈴「はい、私がメディさんを、華扇さんがチルノさんを、ヤマメさんが阿求さんを抱っこして…」

 

 

阿求(だ、抱っこですって!? は、恥ずかしい…///)

 

 

チルノ「そーだったのかー! …あ、そういえばあたい慧音先生に抱っこされたことあるぞ」

 

 

メディ「……!? いやいや、そんなこと聞いてないわよ!?」

 

 

ヤマメ「阿求ってさぁ♪ んふふ♪ 良い匂いするんだよねぇ♪」

 

 

阿求「へぇっ!?」

 

 

ヤマメ「ここのシャンプー…? いや、あれは違うねぇ♪ 阿求独特の…何て言うのかなぁありゃあ♪」

 

 

阿求「や、やめてくださいよ…///」カアッ

 

 

華扇「あなたが恥ずかしがるとは珍しい」

 

 

阿求「そこはいちいち言わなくていいんですよ!」

 

 

メディ「阿求にゃんの時に恥ずかしがってなかった?」ヒソヒソ

 

 

美鈴「それとはまた別なんじゃないですかね」ヒソヒソ

 

 

 

 

 

 

 お風呂から上がった華扇たち。

 

 華扇と美鈴は朝食を作っていた。

 

 一日目、二日目、そして三日目といつもと同じ朝食メニューだったが、話に花が咲いたお陰で一日一日の朝食の味が少し違うように感じられた華扇たちであった

 

 

 そして午前11:00、一向にやむ気配のない雨にげんなりしつつ、華扇たちは紫に電話をし、暇を潰せる物を持ってきてもらった、どれもパーティーグッズばかりだ 

 

 

 

 

 【ゆかりんハウス、リビング】

 

 

紫「色々持ってきちゃったけど、どうする?」

 

 

チルノ「全部やるっ!」キラキラ

 

 

メディ「…まぁ、全部やれる時間はあるわね」

 

 

美鈴「手軽に遊べる物から深く遊べる物までありますね」

 

 

阿求「トランプ、ジェンガと…これは?」

 

 

紫「すごろくよ♪ 幻想郷す・ご・ろ・く♪」

 

 

華扇「幻想郷双六? 普通の双六では無いのですか?」

 

 

紫「私とにとりと文で作ったオリジナル双六よ、幻想郷流にアレンジされた双六ね♪ はいこれ説明書、あ! 後ね、喋るわよ?」

 

 

ヤマメ、美鈴、阿求、華扇「喋るの!?」

 

 

チルノ「おぉ!! やってみたい!」キラキラ

 

 

メディ(た、楽しそうね…)

 

 

ヤマメ「河童の技術も凄いもんだ、あたしゃ機械にゃ疎いからねぇ」

 

 

阿求「双六に喋る機能いります?」

 

 

紫「いりまくるわよ!! ゆかりんボイスであなたの双六ライフをサポートして」

 

 

六人「それはいらない」

 

 

紫「なんかあなたたちここに住んでから私に辛辣になってない!? ねぇ!」

 

 

美鈴「そんなことは…」

 

 

阿求「いつも通りですよ? 気にしすぎです」

 

 

紫「……そうなの?」

 

 

チルノ「そうだぞババア」

 

 

メディ「気にしないでよババア」

 

 

紫「これは気にしても良いわよねぇ!!」

 

 

阿求、美鈴、華扇「ふふっ…!」

 

 

ヤマメ「あっははは!」

 

 

紫「ぐっ…! ゆ、ゆかりんだけじゃないもん! 他にもボイス入ってるもん!」

 

 

阿求「どうせにとりさんのでしょう?」

 

 

紫「それはやってみてのお楽しみよ♪」

 

 

美鈴「さて、どれからやります?」

 

 

チルノ「トランプからが良い!」

 

 

メディ「そうね、それじゃあ…うん? 華扇、どこ行くの?」

 

 

華扇「お昼ご飯の準備です、あぁ大丈夫ですよ、蒸すだけなので時間は掛かりません」

 

 

チルノ「蒸す?」

 

 

華扇「昨日美鈴と話し合って昼食は私が…皆さんには魚肉まんを食べていただきます」

 

 

チルノ「ぎょ、魚肉まん!?」

 

 

華扇「肉まんの餡を肉から魚にしたのです」

 

 

阿求「美味しそうですね、それ」

 

 

美鈴「でしょう? 私の提案なんですよ♪」

 

 

ヤマメ「おぉ…♪ 漸くまともなお魚料理が食べられそうだねぇ♪」

 

 

華扇「おや…昨日私が作った魚のお粥はお魚料理では無いと?」ニッコリ

 

 

ヤマメ「そ、そんなことは言ってないじゃないかい! 笑顔が怖いよ華扇!?」

 

 

華扇「ふふっ♪ ちょっとした冗談ですよ♪」

 

 

ヤマメ「…私が昨日のお粥の味の感想を言ってないのが悪いのかねぇ…」ヒソヒソ

 

 

阿求「どうだったんですか? 味」ヒソヒソ

 

 

ヤマメ「不味くはなかったけど正直言うと薄味だったねぇ…」ヒソヒソ

 

 

阿求「まぁお粥ですからね…」ヒソヒソ

 

 

 

華扇「~♪」

 

 

 

チルノ「肉まんに魚が入ってたらもっと美味いじゃないか…! また超最強の誕生か…!」

 

 

メディ「あんたの最強の基準がまた分からなくなったわ…超って」

 

 

紫「……」

 

 

紫(ふふっ、良い顔で笑うじゃない、華扇…♪)

 

 

紫「あ、そうそう♪」

 

 

紫「雨は夕方ぐらいにはやむから、それと…ふふっ♪」

 

 

阿求「…? なんです?」

 

 

紫「夜になったら私が素敵な贈り物をしてあげるわ、夏の…ゆかりんハウスの最後の思い出作りにしてね♪」

 

 

六人「…?」

 

 

紫「それじゃあね~♪」スッ

 

 

 

 

 

 紫がスキマの中に消えて行った後、華扇たちはまずトランプで遊ぶことになった

 

 

 

 

 【(ババ)抜き】

 

 

チルノ「ほい、ヤマメ」

 

 

ヤマメ「んー……これっ!」スッ

 

 

チルノ「!」

 

 

ヤマメ「!! っ……!」プルプル

 

 

阿求、華扇、美鈴「…」

 

 

メディ「? ヤマメ?」

 

 

ヤマメ「ふくくっ…! な、なんでも…な、ないよぉ…?」プルプル

 

 

阿求「…引いたんですか? ババ」

 

 

ヤマメ「ふははっ…! あっははは! あぁそうだよ引いたよ! 悪いかい!?」

 

 

華扇「悪いなんて言ってないではないですか」

 

 

ヤマメ「ねぇチルノ、あんたが考えたこのババ抜きあたしゃダメだよ…笑っちまうよこんなもん」

 

 

チルノ「そうかー? でもこれ魔理沙が考えたんだぞ? 面白いだろ♪」

 

 

ヤマメ「面白いけどゲームとして成立するのかい? これ」

 

 

阿求「ただの文字じゃないですか」

 

 

ヤマメ「そうは言うけどね阿求『ババの絵柄の部分に白い小さな紙を貼り付けて大きく(紫)』なんて書いてあるババを引いた時のこの気持ちあんたに分かるかい!?」

 

 

阿求「ぷっ…! ひ、引いた事が無いので何とも言えないです」プルプル

 

 

ヤマメ「阿求今笑ったよね!? こんなん笑うよ! 笑うなって方が無理だもん!」

 

 

阿求「そ、そうなんですか♪」

 

 

ヤマメ「他人事だと思ってるね!?」

 

 

阿求「はい♪ これで私の勝ちは決まりましたから、ヤマメさんの手札から引くのは私ですからね♪ どれがゆか…いえ、ババかはヤマメさんの目を見れば分かります」

 

 

ヤマメ「今紫って言い掛けなかったかい?」

 

 

阿求「い、いいえ…」

 

 

美鈴「なんか紫さんが可哀想な気が…」

 

 

華扇「そうですか? 私はそうは思いませんね」

 

 

美鈴(あれ、なんか紫さんに対して華扇さんが冷たい)

 

 

チルノ「ふぅ、やっとババアがいなくなった♪」

 

 

メディ「ババアを引いたらげんなりするわよね」

 

 

チルノ「! 分かるかい、メディ」

 

 

メディ「そりゃ分かるわよ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫『……』

 

 

藍『…』

 

 

紫『藍』

 

 

藍『は、はい』

 

 

紫『これアレよね、新手のイジメよね』

 

 

藍『クッ…! そ、そうですね…!』

 

 

藍(わ、笑っては駄目だ…!)プルプル

 

 

紫『私さぁ、魔理沙の事訴えたら勝てるんじゃないかしら、ねぇ? 藍』

 

 

藍『そ、そうかもしれないですね、はい…』

 

 

藍(わ、笑うなっ…堪えるんだ八雲藍…! 紫様は結構キレているぞ…!)

 

 

紫『魅魔には悪いけどさぁ、パチュリーと一緒に閻魔様に訴訟を起こしたら私達勝てると思うのよねぇ…』イライラ

 

 

紫『どう思う? 藍』

 

 

藍(何故に私にいちいち聞いてくるんですか…!? やめてください笑っちゃうから…!)プルプル

 

 

紫『……』

 

 

紫『精神がつれぇわ…』

 

 

藍(精神がつれぇって初めて聞いたなぁ…)

 

 

 

 

 

 

 【ジェンガ】

 

 

ヤマメ「…よっと」ストン

 

 

美鈴「ほっ…!」ストン

 

 

華扇「ふっ…!」ストン

 

 

阿求、メディ、チルノ「早いっ!!」

 

 

ヤマメ、美鈴、華扇「え?」

 

 

阿求「『え?』じゃないですよ! なんの躊躇いもなくパーツを抜き取って積み重ねないでください!」

 

 

チルノ「早いなぁ…! すげぇ!」

 

 

メディ「ね、三人とも早いわ、何処をどうすれば崩れないか分かっているみたいね」

 

 

ヤマメ「う~ん、私は建築の要領でやってるからかねぇ」

 

 

阿求「ジェンガと建築…まぁ分かります、工程とか似てますからね」

 

 

美鈴「私は『ここに置けば倒れない』というのが感覚で分かるんですよね」

 

 

華扇「私もです、なんとなくで分かりますね」

 

 

阿求「美鈴さん、ジェンガが気を放っているとでも言うんですか?」

 

 

美鈴「いえ、気というか…感覚なんですよ」

 

 

華扇「そうですね、そうとしか言えないです、しかしジェンガ…中々集中力が鍛えられますね♪」

 

 

阿求「むぅ…」

 

 

ヤマメ「どうしたんだい阿求」

 

 

阿求「公平な勝負にならないじゃないですか…積み重ねられていく毎に難易度が上がっていると言うのに」ブツブツ

 

 

ヤマメ(意外に苦手なんだねぇ、阿求は集中力はあるけど持続はしないタイプなのかな?)

 

 

チルノ「…よっ」ストン

 

 

メディ「へぇ、あんたも中々上手じゃない」

 

 

チルノ「ふっふっふ♪ あたいはやったことがあるからな♪」

 

 

阿求「? 紅魔館でですか?」

 

 

チルノ「いんや? 純狐の家でやったの」

 

 

華扇「純狐…? あぁ、あの神霊の…」

 

 

ヤマメ「幻想郷の新入りさんだね♪」

 

 

阿求「純狐さんの家ジェンガあるんだ…」

 

 

美鈴「長い金髪の方ですよね、紅魔館にもお友だちを二人連れて遊びに来てくれましたね」

 

 

メディ「その純狐ってのはあんたの友達なの?」

 

 

チルノ「そうなんだ、あたいのライバルクラウンピースの友人でさ、前の…クリスマスかな? その時に大ちゃんたちと純狐の家に遊びに行ったの、その時にジェンガを一緒にやったんだぁ♪」

 

 

メディ「ふーん」

 

 

チルノ「あ、でもさ、純狐ってジェンガの事嫌いらしいんだよなぁ」

 

 

メディ「嫌い?」

 

 

チルノ「うん、なんかさ」

 

 

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

 

純狐『あら、クラウンピース、お友だちと何をしているの?』

 

 

クラウンピース『友人様、これはジェンガって言う外の世界の玩具で』

 

 

純狐『嫦娥ぁ…!?』ピクピク

 

 

クラウンピース『いぃっ!?』

 

 

チルノ『ん? どうしたんだ純狐』

 

 

クラウンピース『ちょっと黙ってて! 友人様! 嫦娥ではなくジェンガです、ジェンガですよ!』

 

 

純狐『じぇ、ジェン…ガ?』

 

 

クラウンピース『そうです、嫦娥(じょうが)ではなくジェンガですよ』

 

 

純狐『あ……そ、そうなのね…! ご、ごめんなさいね…少し取り乱したわ』

 

 

クラウンピース『ほっ…』

 

 

チルノ『なぁなぁ、純狐も一緒にやらないか?』

 

 

純狐『…ごめんなさい、出来ないわ』

 

 

チルノ『え~…』

 

 

純狐『やるだけなら良いのだけど…ジェン…ガ、という言葉を聞きながらやっていると』

 

 

純狐『あのどうしようもない月の女ガエルの顔が目に浮かんできて怒り、見境なく手当たり次第に純化しそうで怖いのよ…』

 

 

チルノ『月? カエル?』

 

 

クラウンピース『チルノは知らなくても良いことなんだよ…友人様を怒らせんじゃないぞ?』

 

 

チルノ『??』

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

 

チルノ「って事があったんだ」

 

 

メディ「じょうが…? って誰よ」

 

 

チルノ「知らない」

 

 

美鈴「月のカエル…? どういう事でしょうか」

 

 

ヤマメ「聞いた事ないねぇ」

 

 

華扇(月の民の嫦娥ですね、確か彼女は月では罪人の筈)

 

 

阿求(純狐さんは本当に苦労人ですよね、でも幻想郷には馴染んでいるご様子)

 

 

チルノ「でもさ、面白い事が分かったよな」

 

 

メディ「何?」

 

 

チルノ「月にもカエルがいるんだ♪ あたいそのカエル絶対に凍らせてやるんだ♪」

 

 

メディ「月に行く機会あるのかしら…」

 

 

阿求「その言葉、純狐さんが聞いたら喜ぶと思いますよ」

 

 

チルノ「お、そうなのか? じゃあ今度聞かせてやろうっと♪」

 

 

美鈴、ヤマメ、メディ「??」

 

 

華扇(…)

 

 

 

 

 

 

 【幻想郷双六】

 

 

 

チルノ「1、2、3っと!」スッ

 

 

 

 東風谷早苗の奇跡! もう一回サイコロを振れる!

 

 

『これが、私の起こす奇跡です!』

 

 

 

チルノ「おぉ! やった♪ 早苗ありがとな~!」

 

 

阿求「ふっ…この双六は本当になんなんですか」

 

 

ヤマメ「ははっ♪ 楽しいじゃないか、マスに止まると誰かが喋ってくれるからねぇ♪」

 

 

華扇「この声…東風谷早苗は嬉々として喋っていますね」

 

 

美鈴「録音してもらったんですかね」

 

 

チルノ「5! …あれ? このマスはなんにも無いのか」

 

 

メディ「じゃあ次は私ね、ほっ!」スッ

 

 

メディ「2ね…1、2っと」スッ

 

 

 

 アリスの運命の赤い糸! 好きな人と同じマスに飛べます!

 

 『魔理沙ぁーー♪』

 

 

 

華扇、美鈴、阿求「!?」

 

 

メディ「流石アリスね♪ 今一番進んでるのはヤマメだから、ヤマメのマスまで行くわ♪」

 

 

ヤマメ「お♪ いらっしゃーい♪」

 

 

華扇「今のは…?」

 

 

阿求「これ絶対に録音してもらったんじゃないですね」

 

 

美鈴「隠れて録音したのかな…」

 

 

阿求「しかも双六の構造的におかしいじゃないですか、こんなに薄っぺらいのに何処から声が聞こえてくるのか不思議でしょうがないです」

 

 

華扇(河童の技術が進歩している様な…)

 

 

ヤマメ「次は私だね、よっ!」スッ

 

 

ヤマメ「4だね、 1、2、3、4!」スッ

 

 

 

 「咲夜の世界」の双六スペルカードを手に入れた! 使うと指定した人を1回休みに出来ます!

 

 『あなたの時間は…もう私だけの時間』

 

 

 

 

ヤマメ「おっ♪ 双六スペルカードゲット♪」

 

 

美鈴(あれ? なんか咲夜さんノリノリで喋ってないかな…)

 

 

阿求「このスペルカードゲットのルールはにとりさんが作ったんでしょうね、遊び心があります」

 

 

華扇「説明書によると…双六スペルカードはランダムでゲット出来る様ですね」

 

 

美鈴「じゃあさっき私が手に入れたカードもランダムだったんですね」

 

 

ヤマメ「早速使っちゃおうかなぁ♪ メディかな? チルノかな?」ニヤニヤ

 

 

チルノ、メディ「や、やめて! やめてよヤマメぇ!」

 

 

ヤマメ「んふふふ♪ ここはやっぱり身内の美鈴に使うべきかねぇ♪ 居眠りの罰としてさ」

 

 

美鈴「い、いやぁ、私の場合時を止められるよりも先にナイフが飛んで来るので…」

 

 

阿求「それ現実での話ですよね」

 

 

華扇「使うのですか?」

 

 

ヤマメ「う~ん…いんや、まだ使わずに持っておくよ、でも後々使うけどねぇ♪」

 

 

阿求「誰かがゴール手前まで行ったら使うんですね、分かりますよ♪」

 

 

ヤマメ「んふふっ、そうしようかなぁ♪」

 

 

華扇(意地悪ですね…)

 

 

美鈴「次は私です、はいっ!」スッ

 

 

美鈴「3…1、2、3…と」スッ

 

 

 

 西行寺幽々子のお食事件!

 

 ミスティア・ローレライ、わかさぎ姫のスペルカードを所持している場合、そのカードはむしゃむしゃされてしまいます!

 

 『いただきま~す♪』

 

 

 

美鈴「えっ? うわっ…!」

 

 

 ブゥン…

 

 

ヤマメ「あ、わかさぎ姫のカードが消えちまったねぇ」

 

 

華扇「このマス、西行寺幽々子に対して悪意があるように思えるのですが…」

 

 

阿求「本人公認だと思いますよ? ミスティアさんの事を味見したことがあるらしいので」

 

 

ヤマメ「味見って…」

 

 

阿求「耳を甘噛みしたと聞きました、鶏肉の味がしたらしいです」

 

 

ヤマメ「えぇ…マジなんだ」

 

 

メディ「てかむしゃむしゃって何なのかしら」

 

 

チルノ「むしゃむしゃはむしゃむしゃだろ?」

 

 

メディ「いや、全く分からないから」

 

 

美鈴「あぁ、わかさぎ姫さんのカードが…」

 

 

華扇「『水路マスに止まっているとき、使用する事で他の水路マスに移動出来る』でしたね」

 

 

美鈴「近道出来ると思ってたんですけど…」

 

 

華扇「ゴールまでの道程は険しいモノです、楽ばかりしていてはいけないということですね」

 

 

阿求「えぇ…双六ぐらい楽して勝ちたいじゃないですか」

 

 

華扇「どんな勝負でも困難を乗り越えてこそです、困難を積み重ねて漸く頂点に立てるのですよ、双六でも同じ事です」

 

 

阿求「でも華扇さんに言われても説得力無いです、だって今ビリじゃないですか」

 

 

華扇「うっ…!」グサッ

 

 

ヤマメ「ふははっ!」

 

 

美鈴「くふふっ…!」

 

 

華扇「い、今は今です! これから逆転するのです!」

 

 

阿求「逆転するには楽するしかないんじゃないですかねぇ?」ニヤニヤ

 

 

華扇「くっ…み、見ていなさい阿求! えいっ!」スッ

 

 

華扇「…! い、1…」

 

 

阿求「サイコロも無慈悲ですねぇ、ゴールは遠いですね♪」ニッコリ

 

 

華扇「な、何か移動するイベントを…」スッ

 

 

 

 八雲紫のスキマに落っこちた! 振り出しに戻されてしまった!

 

 『ゆかりんうっかりてへぺろりん♪ キャッ♪』

 

 

 

華扇「えぇっ!?」

 

 

ヤマメ「ぶははっ! あっははははっ!」ゲラゲラ

 

 

美鈴「あふふふははっ…!」プルプル

 

 

阿求「くふふっ…! んふふはははっ!」ゲラゲラ

 

 

華扇「な、なん…!? う、うっかり!? うっかりで私はスタート地点に戻されたのですか!?」

 

 

ヤマメ「ねっ…! ぷははっ…! 狙ったかの様にイベントが…! あはははっ!」ゲラゲラ

 

 

美鈴「こ、こんな偶然が…! くふっ、くふふっ…!」

 

 

阿求「あはははっ…! いや、良いですねぇ♪ 持ってますねぇ華扇さん」

 

 

華扇「三人とも笑いすぎです! それとこんな運持っていたくないです!」

 

 

メディ「華扇…ドンマイ…」

 

 

チルノ「ババアのせいだな、うん」

 

 

華扇「…今は慰めないでください」

 

 

阿求「自ら困難に飛び込んで行くとは…サイコロの振り直しですね♪」ニッコリ

 

 

華扇「その笑顔を辞めなさい!」

 

 

阿求「ふふふっ♪ さて次は私、ですっ!」スッ

 

 

阿求「おっ、6♪ 良いですねぇ」スッ

 

 

ヤマメ「イベントはあるかな?」

 

 

阿求「あったらあったで嫌ですね、妨害イベントなら尚更です…5、6っと」スッ

 

 

 

 華扇と一緒に修行した! もう一度サイコロを振りましょう! サイコロの目1、3、5で修行成功! 2、4、6で修行失敗!

 

 『何事も修行です、修行が必要なのです!』

 

 

 

華扇「ほぉ! 中々良いイベントではないですか」

 

 

阿求「はぁ~…」

 

 

華扇「むっ…何ですかため息なんて吐いて」

 

 

阿求「ゲームの中の華扇さんも修行の斡旋ばかりしているんだなぁと思いましてね」

 

 

華扇「良いことではないですか」

 

 

阿求「…もう何も言いません」

 

 

華扇「?」

 

 

メディ「修行失敗するとどうなるのかしら」

 

 

阿求「1回休みとかだと思いますよ」

 

 

華扇「いいですか阿求、私と修行をしているつもりでサイコロを」

 

 

阿求「はいはい」スッ

 

 

華扇「はいは一回でって、あっ!」

 

 

 コロコロ…ことん…

 

 

阿求「…! うわっ…6ですか…」

 

 

ヤマメ「ありゃりゃ、修行失敗だねぇ」

 

 

華扇「『うわっ』とはなんですか! ほら見なさい! 私との修行をイメージしながら振らないからそういうこ」

 

 

阿求「双六の華扇さーん、罰ゲームはなんですかー?」

 

 

華扇「話を聞きなさい阿求ぅ!」

 

 

 

 『この怠け者! 愚か者! 恥を知りなさい! 修行のし直しです!』

 

 三回休み!

 

 

 

阿求「はぁ!? 三!?」

 

 

ヤマメ「あっははははっ!」ゲラゲラ

 

 

阿求「さっ、さんっ…! 三回ですって!? 双六で三回休みなんて聞いた事ないですよ!? しかもなんか華扇さんめちゃくちゃに言って来てますし!」

 

 

美鈴「うわぁ…キツいですね」

 

 

メディ「三回かぁ、これ私たち先にゴール出来そうね、ヤマメ」

 

 

ヤマメ「そうだねぇ、先にゴールしちゃおうかねぇ♪」

 

 

ヤマメ「あれ? 今メイドさんのスペルカードを阿求に使ったら…4回休みになるんじゃないのかい?」ニヤニヤ

 

 

阿求「!? や、やめてくださいよヤマメさん!」

 

 

ヤマメ「おや? やってほしいってフリかい?」

 

 

阿求「フリじゃないです!」

 

 

華扇「ふふっ♪ 阿求?」ニコニコ

 

 

阿求「!」

 

 

華扇「修行が…足りませんね♪」ニッコリ

 

 

阿求「ぐぬあぁぁぁぁ……!」orz

 

 

ヤマメ「ぐぬあぁって…何処からそんな声出してんだい」

 

 

美鈴「だ、大丈夫ですか? 阿求さん」

 

 

 

 

チルノ「三回休みかぁ…」

 

 

メディ「何?」

 

 

チルノ「あのさぁ、寺子屋ってさ、たまに三日休みの時があるんだ」

 

 

メディ「そうなの?」

 

 

チルノ「うん」

 

 

メディ「…」

 

 

チルノ「…」

 

 

メディ「えっ」

 

 

チルノ「うん?」

 

 

メディ「だからなに?」

 

 

チルノ「別に?」

 

 

メディ「えっ」

 

 

チルノ「えっ?」

 

 

メディ「…」

 

 

チルノ「…?」

 

 

メディ「いや待ちなさい、何で今あんた寺子屋の話したの?」

 

 

チルノ「……分かんない」

 

 

メディ「分かんないの!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

藍『いつの間に作ったんですか? 幻想郷双六なんて』

 

 

紫『にとりが作ってみたいって言うから協力してあげたのよ、文も協力してくれたわね♪ ボイスは協力してくれた人と勝手に録音させてもらった人がいるわ』

 

 

紫『華扇たちがやっているのは非売品のベータ版だけど、そのうち完成させて人里で売るんじゃないかしら、それか河童のバザーで売り出すかもしれないわねぇ』

 

 

藍『にとりお金目的なんじゃ、でも』

 

 

藍(なんか欲しいなぁ、幻想郷双六)

 

 

紫『…♪』

 

 

紫(さて、そろそろ雨を上げますか♪)

 

 

 

 

 

 双六勝負では阿求がビリとなった、三回休みが響いたせいで振り出しに戻された華扇にも追い抜かされてしまい、完敗してしまった

 

 その後、華扇の作った魚肉まんで昼食を済ませた。 華扇曰く魚肉まんは会心の出来だったらしく、チルノたちはその美味しさに大満足だった。

 

 

 

 先程の双六勝負に納得がいかなかった阿求は二回目の勝負を要求、華扇たちはそれを受諾する

 

 『華扇さんのイベントが起きなければ負ける事はなかった』勝負の前にそう言い放った阿求だったが

 

 

 

阿求「うわぁぁぁ…また負けたぁ…!」orz

 

 

チルノ「勝ったぞ~♪」

 

 

メディ「やったー♪」

 

 

美鈴「阿求さん、その…双六は運が絡んでますから」

 

 

ヤマメ「阿求…あんたは頑張ったよ、でも運が悪かったんだよ」

 

 

阿求「運!? 私が負けた理由は全部この双六スペルカードのせいですよ!」スッ

 

 

 

 鬼人正邪の双六スペルカード『リバースヒエラルキー』持っているだけで効果あり、サイコロの出た目がひっくり返る、6なら1、5なら2、4なら3になる、1、2、3でもひっくり返る。

 

 

 射命丸文の双六スペルカード『天狗のマクロバースト』持っているだけで効果あり、サイコロの目が4、5、6しか出なくなる

 

 

 

 

阿求「最悪の一言に尽きます! なんですかこの悪質な組み合わせは! どんなに頑張っても最高三マスしか進めないんですよ!?」

 

 

ヤマメ「悪いね阿求、本当に御愁傷様としか言えないよ…双六スペルカードを捨てる事ってルール上、出来ないみたいだからね」

 

 

美鈴「カードを破壊したり取り換えたりする手ならあるみたいなんですけどね…妹様と慧音さん、紫さんと純狐さんと藍さんのカードなら出来る様です」

 

 

ヤマメ「誰もそのカード引かなかったからね」

 

 

華扇「そのカードを手に入れた事も運…進めるイベントが起きなかったのも運なのです」

 

 

阿求「さっきは『困難を積み重ねて漸く頂点に立てるのです』って言っていたのは何処の誰なんですかねぇ!!」

 

 

華扇「困難と実力は違います、運も実力の内と言う言葉は知っているでしょう?」ニッコリ

 

 

阿求「くぅぅ…! く、悔しいっ…!」ギリギリ

 

 

ヤマメ「ははっ…阿求も子供っぽいところがあるじゃないか♪」

 

 

美鈴「あの負け方では納得出来ないですよねぇ…悔しい気持ちは分かります」

 

 

阿求「あぁ…稗田の家に泥を塗ってしまいそう…」

 

 

ヤマメ、美鈴、華扇「そこまで…」

 

 

 

 

チルノ「? あれ?」

 

 

メディ「どうしたのよ」

 

 

 チルノはリビングから庭に出る窓に近付く

 

 

チルノ「…! おぉ! やっぱり!」

 

 

メディ「?」

 

 

チルノ「みんな見て見て! 雨やんでるよ!」

 

 

華扇、美鈴、ヤマメ、メディ、阿求「!」

 

 

 ドタバタドタバタ!

 

 

ヤマメ「おっ! おぉ、本当だ!」

 

 

メディ「はぁ~、やっとやんだのね、これで鉢植えを外に出せるわ♪」

 

 

美鈴「…? 雲が消えるのが早いような…」

 

 

阿求「雲一つ無いじゃないですか、紫さんのこの空間の管理はどうなっているんですかね」

 

 

華扇「…」

 

 

華扇(八雲紫はどんな理由で雨を降らせたのでしょうか…)

 

 

チルノ「めーりん、今何時だ?」

 

 

美鈴「えっと…今17:30ですね」

 

 

ヤマメ「おや、もうそんな時間なのかい?」

 

 

メディ「日も沈みかけてるもんね」

 

 

阿求「まぁ、何だかんだで双六とジェンガとトランプで楽しく遊んでましたからね」

 

 

華扇「楽しい時間ほど直ぐに過ぎてしまうモノです」

 

 

チルノ「…そっかぁ、今日はみんなで外で遊べなかったなぁ…今日が最後の日なのに…」

 

 

華扇、美鈴、ヤマメ、阿求(! 最後の日…)

 

 

メディ「……」

 

 

チルノ「…」

 

 

メディ「良いじゃない別に、その分家の中でたくさん遊んだじゃない」

 

 

チルノ「そうだけどさ…」

 

 

メディ「…何よ、楽しくなかったの?」

 

 

チルノ「そ、そんなわけないだろう! とっても楽しかったさ!」

 

 

メディ「じゃあそんなしんみりした顔するんじゃな」

 

 

 ギュオン!

 

 

六人「!!」

 

 

紫「はいはい♪ 喧嘩しないの♪」

 

 

チルノ、メディ「ぬぁっ!? ババ…!」スッ

 

 

紫「やめろぉ! と言うわけでスキマ口封じの術~♪」

 

 

チルノ、メディ「っ…! っ!!」モガモガ

 

 

紫「全く…ババア呼びは直さなくて良いけど喧嘩するのはやめなさいって、最後の日に喧嘩してお別れなんて最悪でしょう?」

 

 

チルノ、メディ「! ……」

 

 

美鈴「…紫さん、あの…」

 

 

紫「ふふっ♪ ここに来た理由かしら? はい、これ♪」スッ

 

 

阿求「…? ! これは…!」

 

 

紫「夜になったら素敵なプレゼントしてあげるって言ったじゃない? まぁまだ夜じゃないけど…これは私からの贈り物よ♪」スッ

 

 

華扇「! 花火ですか」

 

 

阿求「……」

 

 

紫「そ、雨もやんだしこれなら遠出しなくても庭で出来るでしょう? 小さな打ち上げ花火から火吹き花火、手持ち花火まであるわよぉ♪ ふふっ♪ 火の不始末だけは注意してね、あ、後これもね、ボタン一つで火が点く優れものよ♪」

 

 

ヤマメ「ははっ、花火か、夏の最後には相応しいじゃないか♪ 素敵な贈り物だよ、紫♪」

 

 

紫「あぁそう言ってくれるのはあなただけよ、ヤマメ」

 

 

美鈴「私もそう思っていますよ?」

 

 

紫「あなたは顔に書いてあるからねぇ♪」

 

 

美鈴(そ、そんなに分かりやすいかな、私って…)

 

 

阿求「…人里の花火には負けますが、中々良いプレゼント…ですね」

 

 

紫「そりゃ花火師には負けるわよ、外の世界の市販のやつなんだからね」

 

 

華扇「あなたはまた勝手に…」

 

 

紫「でもそのお陰で得られる思い出もあるのよ華扇、それに童心に返って遊ぶ事は悪いことでは無いわよ? あっ、双六で楽しく遊んでいたからもうあなた童心に返ってたかしら? ふふっ♪」

 

 

華扇「…余計な事は言わなくて良いんです」

 

 

紫「ふふっ♪ さて…」

 

 

チルノ、メディ「っ!!」モガモガ

 

 

紫「喧嘩しない?」

 

 

チルノ、メディ「!」コクコク

 

 

紫「よろしい、はい解除♪」

 

 

チルノ、メディ「ぷはっ…! ば、ババア!」

 

 

紫「うっわ…! 解除した早々ババアでつれ」

 

 

チルノ「花火、ありがとな!」ニコッ

 

 

メディ「まぁ…お礼は言っておくわ! あ、ありがと、ババア」

 

 

紫「…! …♪」ニコッ

 

 

紫「花火、楽しんでね♪ それじゃ…」スッ

 

 

 ギュオン…

 

 

六人「…」

 

 

ヤマメ「……花火かぁ、ははっ♪ ほらほら、最後に思いっきり楽しもうじゃないかい♪ ね♪」

 

 

メディ「! えぇそうね♪ 私やるの初めてだわ」

 

 

チルノ「おう! よーし! 花火だ花火だー!」

 

 

華扇「ふふっ…♪ 楽しむのは結構ですが、八雲紫が言っていた様に、火の不始末だけは充分に注意するのですよ?」

 

 

チルノ、メディ「はーい♪」

 

 

美鈴「ふふっ…♪ あっ、そうだ、もうこんな時間ですし、先に夕飯を食べてからにしませんか?」

 

 

阿求「そうですね、その方が良いでしょう、お風呂に入る時間もありますからね」

 

 

チルノ「むむ…」ウズウズ

 

 

メディ「花火は逃げないんだから、夕飯食べてからでも遅くはないでしょ?」

 

 

チルノ「そうだな…うん、分かった」

 

 

メディ「あら、素直じゃない」

 

 

チルノ「その方がみんなで遊べるからな! それに今日はもうあたい喧嘩はしたくないんだ」

 

 

メディ「! あっそ♪」ニコッ

 

 

チルノ「そうだよ♪ にしし♪」ニコッ

 

 

華扇、美鈴、ヤマメ、阿求「…♪」

 

 

 

 

 

 

 夏のゆかりんハウスでの最後の思い出作りの為、華扇と美鈴は夕飯の準備を。

 

 阿求、ヤマメ、メディ、チルノは花火で遊ぶための準備をすることになった、紫から渡された河童の技術で作られたであろう銃の形に似た火を点ける機械、そして風呂場に有った桶に水を張った物を庭に用意した。

 

 

 

 そして午後18:30、華扇たちにとってはゆかりんハウスでの最後の夕食になる…だが、華扇たちは特に寂しくなったり悲しくなったりすることはなかった。 

 

 二日目はヤマメがダウンしていたので仕方がなかったが、一日目と同様の食卓風景となった。

 

 華扇が料理の美味しさに目を輝かせ、チルノとメディと阿求が作られた料理一品ずつに感想を言ったり、ヤマメと美鈴がアルコール度数弱めの酒を酌み交わしたりしていた。

 

 そして夜19:00、華扇たち六人、ゆかりんハウスでの最後の思い出

 

 

 

 【稗田阿求と線香花火】

 

 

 

 

チルノ「うん? ネズミ花火?」

 

 

メディ「ネズミ? えっ?」

 

 

阿求「ナズー…いえ、何でもないです」

 

 

美鈴「点火した後地面に置く…点けてみますね」スッ

 

 

 シュボッ…! シュー…!

 

 グルグルグル!

 

 

チルノ、メディ「わぁっ!?」

 

 

ヤマメ「ほほぉ~♪ 回る回る♪」

 

 

華扇「えっちょっ…!? な、何故こっちに来るのですか!? 熱い! あつつっ!」

 

 

阿求「華扇さんは動物大好きですからね♪」ニッコリ

 

 

華扇「これは花火ではないですか! 熱いっ!」

 

 

 グルグルグル! パァンッ!

 

 

チルノ、メディ「わぁっ!?」

 

 

ヤマメ「へぇ、最後爆発しちゃうんだねぇ♪」

 

 

美鈴「なんかこの花火危ないですね、綺麗でしたけど…」

 

 

チルノ「ね、ネズミが爆発しちまった…!」

 

 

メディ「粉々に砕け散ってしまったわ…!」

 

 

阿求「こんなになってしまったのも全部華扇さんが悪いんです…!」

 

 

華扇「……!? はい!?」

 

 

阿求「あなたがネズミを受け入れてあげていればこんなことには…!」

 

 

チルノ「可哀想じゃないかぁ…!」

 

 

メディ「本当に可哀想ね…!」

 

 

華扇「その連携はなんなのですか!? これはただの花火ではないですか!」

 

 

ヤマメ「んははははっ!」

 

 

美鈴「ふふっ…! しかし、ネズミをモチーフにしているとは言えこんなにグルグル回転しますかね?」

 

 

ヤマメ「外の世界の花火も面白いもんだねぇ」

 

 

華扇「私はあまり好きではありませんね、危ないですし、ネズミですし!」

 

 

美鈴、ヤマメ「ネズミですしって…」

 

 

 

 

 

 

チルノ「こうもり花火だって」

 

 

メディ「飛ぶのかしら? あ、打ち上げって書いてあるわね」

 

 

美鈴「こうもり…」

 

 

ヤマメ「美鈴、これ火薬じゃなくてカリスマが詰まっているのかもしれないねぇ♪」

 

 

阿求「レミリアさんが好きそうな花火ですね『私みたいに気高さが感じられるわね♪』とか言いそうです」

 

 

美鈴「お嬢様なら…はい、言いそうですね…」

 

 

阿求「ふふっ…♪」

 

 

ヤマメ「んっふははははっ!」

 

 

チルノ「レミリアみたいな花火なのか! なら綺麗な花火なんだろうなぁ」

 

 

メディ「ね、赤い花火なのかもしれないわね」

 

 

美鈴(メディさんとチルノさんは悪気があって言っている訳じゃない…そう聞こえてしまうのはお嬢様がよくいじられているところを見てしまっているからだ…特に魔理沙さんと紫さんに)

 

 

華扇「では、点火しますよ」スッ

 

 

 シュボッ…! ヒュゥ~~~…! 

 

 

チルノ「おぉ~♪ 打ち上がっ」

 

 

 

 パン…!

 

 

 

チルノ「えっ」

 

 

メディ「え」

 

 

華扇、ヤマメ、阿求、美鈴「……」

 

 

六人「……」

 

 

メディ「地味ね」

 

 

華扇「打ち上がったので綺麗な火の花が咲くと思っていたのですが」

 

 

美鈴「ふ、不発しちゃったんじゃ…」

 

 

チルノ「なんだよお嬢! もうちょっと頑張れよー!」

 

 

阿求「ふふっ…! ふふふふっ…!」プルプル

 

 

ヤマメ「ははははっ…!」

 

 

美鈴「チルノさん、それはお嬢様ではなくて」

 

 

チルノ「カリスマって良く分からないけどすげぇんだろう!? お嬢ー!」

 

 

美鈴「やめてあげてくださいチルノさーん!」

 

 

 

 

 

メディ「ドラゴン花火?」

 

 

チルノ「どっ…! ドラゴン…♪」キラキラ

 

 

美鈴(ドラゴン、か…ふふっ♪)

 

 

華扇「これも置いて点火するのですね、では」スッ

 

 

 シュッ! ジュワー…!

 

 

チルノ「おっ! おぉ~♪」キラキラ

 

 

メディ「ふふっ、綺麗ね♪」

 

 

華扇「噴水の様ですね、綺麗…」

 

 

ヤマメ「へぇ…♪ 中々綺麗じゃないかい♪」

 

 

美鈴「ドラゴン、やはり名前からして外れでは無かったですね♪」

 

 

チルノ「レミリアは外れだったけどな…」ゲンナリ

 

 

美鈴「それは言わないでくださーい!」

 

 

阿求「……」

 

 

阿求(綺麗ね…)

 

 

 

 

 

華扇「ロケット花火ですか、人里の花火師が使う物を小型化したような花火ですね」

 

 

美鈴(ロケットかぁ…前にパチュリー様がお嬢様たちを月に行かせる為に作ってましたねぇ、懐かしい)

 

 

チルノ「これが飛ぶのか?」

 

 

メディ「違うでしょ、中に入ってる花火が飛んでいくのよ」

 

 

チルノ「あたいの知ってるロケットとは違う気がする」

 

 

ヤマメ「まぁロケット『花火』だからねぇ♪」

 

 

華扇「では、点火!」スッ

 

 

 シュボッ…! ヒュゥ~~…!!

 

 

 パァン…! パチパチパチパチ…!

 

 

チルノ、ヤマメ、華扇、美鈴「おぉ~…!」

 

 

メディ「綺麗ね! これはちゃんとしてるじゃない♪」

 

 

チルノ「だな! お嬢花火とは全然違うぞ!」

 

 

メディ「お嬢花火って…」

 

 

ヤマメ「ふふふふっ…!」

 

 

美鈴(お、お嬢様の耳にこうもり花火の名前を入れるのだけはなんとしても阻止しなければ…!)

 

 

阿求「…」

 

 

阿求(綺麗ね、本当に…)

 

 

 

 

 

 

 シューー…!! シュボッ…!

 

 

美鈴「花火と言ったらこの手持ち花火ですよね♪」

 

 

ヤマメ「王道だけど良いもんだよねぇ♪」

 

 

阿求「……」

 

 

チルノ「な! これ人里にも売ってるぞ」

 

 

メディ「そうなの?」

 

 

チルノ「うん、寺子屋のみんなで花火大会するときはこれで遊ぶんだ♪」

 

 

メディ「ふーん…」

 

 

華扇「おや? そういえばメディは人里の寺子屋には通っていないのですか?」

 

 

メディ「うん、通う必要が無いんだもん、私には幽香とスーさんが居るしお花たちもいるからね」

 

 

華扇「通いたいとは?」

 

 

メディ「う~ん…思わないわね」

 

 

チルノ「でも楽しいぞ? みんなで色んな事して遊ぶんだ、メディも一緒にどう?」

 

 

メディ「! ……まぁ、その…」

 

 

メディ「機会があったら…人里に行く機会があれば…見に行こうかなとは思うわね」

 

 

チルノ「!」

 

 

メディ「あんたの友達にも…ちょっと興味あるし」

 

 

チルノ「そっかそっか♪ じゃあ来たくなったらいつでも来てくれよ? 大ちゃんとルーミアたちみんなメディの事を歓迎してくれるからな♪」

 

 

ヤマメ「だったら、チルノがメディの事を皆に話しておかないとね♪ 新しい友達が出来たってさ」

 

 

チルノ「うん、そうするよ」

 

 

メディ「…♪」ニコッ

 

 

メディ「誘ってくれてありがと、チルノ」

 

 

チルノ「! おう!」

 

 

メディ「♪」

 

 

スーさん「…♪」ニコッ

 

 

 

 

 

 

 

ヤマメ「やっぱこいつが最後になっちまうんだねぇ」

 

 

美鈴「線香花火、ですね」

 

 

チルノ「これは最後にやるのが定番、って慧音が言ってた」

 

 

メディ「定番って、誰が決めたのかしら」

 

 

ヤマメ「でもさ、花火とかやってると不思議とこいつが最後まで残っちまうんだよね」

 

 

美鈴「あぁ分かります、何故か残ってしまうんですよね」

 

 

メディ「小さいからかしら」

 

 

チルノ「パチパチしてるからじゃないか?」

 

 

メディ「他の花火だってパチパチしてるものあるじゃない」

 

 

チルノ「…あれ?」

 

 

メディ「…結局分からないのね」

 

 

チルノ「分からなくてもあたいはバカじゃないよ?」

 

 

メディ「分かってるわよ!」

 

 

ヤマメ「ふふっ、じゃあやろうかい?」

 

 

美鈴「はい♪ では、皆さん一本ずつ持ってくださいね」

 

 

阿求「……」

 

 

華扇「…? 阿求?」

 

 

阿求「…! は、はい?」

 

 

華扇「大丈夫ですか? 先程から難しい顔をしていたようですが」

 

 

阿求「……花火に、見とれていただけです」

 

 

華扇「…」

 

 

ヤマメ「ほい、阿求と華扇の分だよ」スッ

 

 

阿求「どうも…」

 

 

華扇「…ありがとうございます」

 

 

 

 

美鈴「それでは、全員一緒に点火しましょう」

 

 

チルノ「うん! ! なぁ、誰が一番火の玉を落とさないでいられるか勝負しないか?」

 

 

メディ「何それ」

 

 

ヤマメ「これもね? 定番の線香花火の遊びなのさ」

 

 

メディ「そんな遊びがあるのね♪ 良いわ、やってみる♪」

 

 

阿求「……」

 

 

華扇「…」

 

 

チルノ「よ~し…! 点火ぁ!」スッ

 

 

 

 シュウゥ… パチパチパチ…!

 

 

 

ヤマメ「この小さな火の玉が良いんだよねぇ♪」

 

 

メディ「! へぇ…♪ なんかお花みたいで可愛いわね」

 

 

チルノ「可愛さに油断するなメディ…! 落ちちゃうぞ…!」

 

 

メディ「こんなの揺らさなきゃ平気でしょ」

 

 

美鈴「どうでしょう、気を抜くと…」

 

 

阿求「…!」スッ

 

 

 ポトッ…

 

 

チルノ、メディ、ヤマメ、美鈴「あ」

 

 

華扇「…」

 

 

メディ「阿求の落ちちゃったわね」

 

 

阿求「……」

 

 

阿求(いつもそうだ…)

 

 

阿求「……ふふっ…私の負けですね」

 

 

チルノ「おぉ…ドンマイ、阿求」

 

 

阿求「良いんです、気にしてないですよ」ニコッ

 

 

華扇「…」

 

 

 

 線香花火勝負は気を使う事でバランスを保てていたのか美鈴の勝利に終わった。

 

 チルノは悔しがっていたが花火をするのが初めてのメディには勝敗よりも、線香花火に火が灯っているのをずっと見ていたいと思う程、線香花火が好きになっていた。

 

 ゆかりんハウスでの花火大会はこうして幕を閉じた。

 

 

 

 

ヤマメ「終わったねぇ…♪」

 

 

メディ「うん、花火とっても楽しかったわ」

 

 

美鈴「そうですね、こんなに楽しめたのは偏に、皆さんで花火をやったことに尽きるのではないでしょうか」

 

 

メディ「! そうなのかもね、花火って一人でやるものじゃなさそうだものね」

 

 

ヤマメ「そう言う事、みんなでやったから楽しいんだ、花火ってのはそんなもんさね♪」

 

 

チルノ「うん、そうだな♪ そうなんだよな♪」

 

 

メディ「ふっ、何で二回も言うのよ」

 

 

チルノ「大切な事だからだよメディ、幻想郷に帰って今度やるときは寺子屋のみんなでやろうな♪」

 

 

チルノ「約束だぞ♪ メディ」スッ

 

 

メディ「! ふふんっ…! しょうがないわねぇ…♪」

 

 

メディ「約束よ、チルノ」スッ

 

 

 チルノとメディは互いの小指を合わせた

 

 

チルノ「にしし♪」ニカッ

 

 

メディ「ふふっ♪」ニコッ

 

 

ヤマメ、美鈴「…♪」ニコッ

 

 

阿求「……」

 

 

華扇「…」

 

 

ヤマメ「よーし♪ そんじゃあ片付けたら風呂入りに行こうかぁ♪」

 

 

チルノ、メディ「おー!」

 

 

美鈴「それでは片付けは私たちがやります、チルノさんとメディさんは全員分の着替えを取りに行ってもらえますか?」

 

 

チルノ「おう、良いぞ♪」

 

 

メディ「任しといて♪」

 

 

 ドタバタドタバタ…!

 

 

美鈴「それじゃあ私たちも行きましょうか」

 

 

ヤマメ「はいよ~♪」

 

 

阿求「……」

 

 

華扇「待ってください」

 

 

美鈴、ヤマメ「?」

 

 

阿求「…?」

 

 

華扇「美鈴、ヤマメ…阿求と二人だけで話しがしたいので先に戻っていただけますか?」

 

 

阿求「…!」

 

 

美鈴「えっ? あぁはい…構いませんけど」

 

 

ヤマメ「遅くならないようにね」

 

 

華扇「えぇ、直ぐに戻りますので」

 

 

 

 

 

美鈴「華扇さん、どうしたんでしょうね」

 

 

ヤマメ「思う所があったんじゃないのかい?」

 

 

美鈴「…阿求さん、ですか?」

 

 

ヤマメ「おや、気付いてたのかい?」

 

 

美鈴「はい、一緒に花火をしたことは楽しんでいた…これは間違いないと思います」

 

 

美鈴「でも阿求さん、時折悲しい表情をしていましたので」

 

 

ヤマメ「…花火に嫌な思い出でもあるのかねぇ」

 

 

美鈴「それは、分かりません…」

 

 

ヤマメ「…華扇が何とかしてくれそうだね」

 

 

美鈴「…そうですね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

阿求「話ってなんですか? 華扇さん」

 

 

華扇「…」

 

 

阿求「はぁ、なんですか? お説教なら幻想郷に帰ってか…!」

 

 

華扇「…」スッ

 

 

 華扇は懐から二本、線香花火を取り出す

 

 

阿求「……何で持ってるんですか」

 

 

華扇「私は仙人ですからね、何でも出来るんです」

 

 

阿求「それで?」

 

 

華扇「今から私と先程やった線香花火勝負をしましょう」

 

 

阿求「…! 何故です?」

 

 

華扇「良いからやりますよ」

 

 

阿求「……良いですけど、私が負け」

 

 

華扇「いいえ」

 

 

阿求「…?」

 

 

華扇「あなたが勝ちます」

 

 

阿求「……」

 

 

 

 華扇は弾幕を出すのと同じ要領で手のひらに小さな火を灯す

 

 

阿求「…」スッ

 

 

華扇「…」スッ

 

 

 二人は線香花火に火を点けた

 

 

 パチパチパチ…!

 

 

阿求、華扇「…」

 

 

阿求「華扇さん」

 

 

華扇「はい?」

 

 

阿求「私、線香花火が好きじゃないんですよ」

 

 

華扇「…」

 

 

阿求「……」

 

 

阿求「昔から線香花火を点けて遊んでも直ぐに消えちゃうんです、私のだけ直ぐに…小鈴や霊夢さんたちと花火で遊んで線香花火をやると私だけ最初に落ちるんです、何度やっても…何度やってもです」

 

 

阿求「そういう線香花火を見ていると思うんですよね『あぁ、なんか私と線香花火って似ているな』って、線香花火をしたことは覚えていても何回やって誰が勝ったのかなんて事細かく覚えないじゃないですか」

 

 

阿求「直ぐに記憶からも消えるどうでもいい火の玉、命の灯火…儚い時間と命…どうしても自分と重ねてしまうんです、稗田の者は転生の影響から皆短命ですからね」

 

 

阿求「……本当は線香花火勝負なんてしたくなかった、でも楽しそうなチルノさんたちの顔を見ていたら断れなかったんです、そんな残酷な事は出来なかった」

 

 

阿求「線香花火は一瞬で消える…こんな一瞬の出来事を例え線香花火をしたことは覚えていても何時、何処で、誰となんて百年、二百年先、覚えていると言えますか?」

 

 

阿求「華扇さん、こうして勝負しているのも本当は」

 

 

華扇「あなたは」

 

 

阿求「!」

 

 

華扇「線香花火の事を知らなさすぎます」スッ

 

 

阿求「…? 何を…」

 

 

 

 華扇は線香花火を持っていない自分の左手を、阿求の線香花火を持っている右手を握って少し傾けさせた

 

 

 

華扇「そして自分自身、あなた自身の事も」

 

 

阿求「…!」

 

 

華扇「線香花火はこの様に傾けると、こよりと火の玉の接着面積が大きくなって落ちにくくなります」

 

 

華扇「そして、あなたが持っている線香花火の火薬の上の部分をねじって硬くしておきました、これだけやればかなり落ちにくくなります」

 

 

阿求「そ、そんなことをしても」

 

 

華扇「無いと思いますか? なら勝負を見届けましょう」

 

 

阿求「…! …」

 

 

華扇「…」

 

 

阿求「…」

 

 

華扇「…」

 

 

 

 

 

 ポトッ……!

 

 

阿求「!」

 

 

華扇「……ほら」

 

 

 

 シュウゥ…

 

 

華扇「あなたの勝ちですよ、阿求」

 

 

阿求「…!」

 

 

阿求「私が…勝った…?」

 

 

 

 ポトッ……! と小さな音を立てて阿求の線香花火の火の玉も落ちた

 

 

 

華扇「こうやって手を添えて、支えてあげれば儚い命も少しは長く生き永らえる事が出来るのです」

 

 

阿求「!」

 

 

華扇「短い命だからと他者と距離を起き、一人で孤立すればするほど寿命はより短くなります」

 

 

華扇「あなたが転生の件で短命だということは知っています、あなたの先祖であり、あなた自身でもある稗田阿礼から続く秘術…死んだ後は次の転生が成るまで百年程閻魔の元で働く事、そして」

 

 

華扇「転生してこの世に戻って来たときに受け継ぐ記憶は余り鮮明ではないことも」

 

 

阿求「…!」

 

 

華扇「だからあなたは無意識に人を遠ざける癖がある、転生してしまうと今まで築き上げてきた人間関係がリセットされてしまうから、それがどんなに辛い事か…孤独と恐怖がいつも付いて回る」

 

 

阿求「そ、それはいつもの事でもう慣れています! 私は…!」

 

 

阿求「私は……」

 

 

阿求「…」

 

 

華扇「大丈夫ですよ」

 

 

阿求「!」

 

 

華扇「あなたはここで過ごした三日間をとても楽しかったと思っている、それはあなたに忘れたくない思い出の一つとして蓄積されている」

 

 

華扇「あなたが本当に恐れているのは自分が覚えている大切な思い出を転生後に他人と共有出来ない事ではないのですか?」

 

 

阿求「!!」

 

 

華扇「阿求、良く聞きなさい」

 

 

華扇「私たちはずっと覚えている、ここで作った思い出を私たちはずっと忘れない」

 

 

華扇「私は仙人、美鈴とヤマメは妖怪、メディは付喪神、チルノは妖精ですが友情を何より大切にする子です、楽しかった思い出を忘れる等といった事はしない、私たちは何百何千年と幻想郷があり続ける限り生きて行くでしょう」

 

 

華扇「阿求、あなたが次に転生し、この世にまた戻って来たときはここでの出来事を一緒に語らいましょう、チルノたちはあなたの事情は知らないけれど、知ればきっと力になってくれるますから」

 

 

華扇「あなたが忘れてしまったとしても、私たちは忘れない…ずっと覚えていますから」

 

 

阿求「…! ……」スッ

 

 

 

 阿求は顔を伏せ、体を小刻みに揺らしている

 

 

 

阿求「……」

 

 

華扇「…」

 

 

阿求「なん…ですか…」

 

 

華扇「…!」

 

 

阿求「うぅ…グスッ…! なんです…か…! もうっ…! グスッ!」ポロポロ

 

 

華扇「阿求…」

 

 

阿求「お説教…かと思ったら…! 線香花火で…! 勝負して…! グスッ…! 私が…初めて勝って…」ポロポロ

 

 

華扇「その思い出は私とあなただけの物になりましたね」ニコッ

 

 

阿求「ふふっ…♪ グスッ…! な、なんですか…? 最後には安心して転生しても大丈夫…グスッ…! って言うんですか…?」

 

 

 阿求は涙を流しながら微笑み、華扇に問い掛ける

 

 

華扇「ふふっ…♪ 平たく言ってしまえばそうかも知れませんね」

 

 

華扇「ですが、私はあなたに少しでも長生きしてほしいと思っていますよ、阿求」

 

 

阿求「…! はぁ…ふふっ…♪ グスッ…!」ポロポロ

 

 

阿求「しょうがない…ですね…本当に…♪」ポロポロ

 

 

阿求「してやりますか…♪ ふふっ、少しでも…! 長生きをね…!」

 

 

阿求、華扇「……」

 

 

阿求、華扇「ふふっ…♪」ニコッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫『…』

 

 

藍『あぁ…グスッ…』

 

 

紫『あらあら、何を泣いてるのかしら♪』

 

 

藍『も、貰い泣きですよ…! はぁっ…んんっ…』

 

 

紫『…』

 

 

紫『阿求…』

 

 

紫『私たちも忘れないわよ、あなたの大切な思い出は私たちが受け継いで次のあなたに伝えて行く…それが』

 

 

紫『私たちが出来る幻想郷の記録係であるあなたへの精一杯の感謝の気持ちなのよ♪』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 華扇と阿求が庭からゆかりんハウスのリビングに戻るとヤマメたち四人が出迎えてくれた。

 

 チルノとメディは二人が喧嘩か何かしているのではないかと心配していたが戻ってきた阿求と華扇の顔を見てホッとした様子、二人が笑顔で戻ってきてくれたからだろう。 

 

 チルノが阿求の目の辺りが赤くなっていることに気付いてしまい阿求は少しあたふたしてしまったが

 

 

 ヤマメと美鈴はチルノとメディ程心配はしていなかった、華扇なら元気の無い阿求をどうにかしてくれると信じていたからだ。

 

 

 

 そして最後のお風呂。

 

 一日中遊んでいたからか、温泉にゆったりと浸かり疲れを癒す華扇たち…温泉の気持ちよさに六人全員がトロンとしたスライム顔になっていた。

 

 一日目はこんなことが、二日目にはあんなことがあった、と話に花が咲いたお風呂タイムとなった

 

 

 

 お風呂から上がり、リビングに集まっていた華扇たち、そこに紫が現れて華扇たちに問い掛ける。

 

 幻想郷に帰る時が来た

 

 

 

 

 【リビング、21:30】

 

 

紫「どうだったかしら? ゆかりんハウスでの三日間は」

 

 

チルノ「あたいはとっても楽しかったぞ! 夏で暑かったけど木のところに行ったり、釣りしたりしてさ、皆と一緒で本当に楽しかった! あたいはここ好きだぞ♪」

 

 

メディ「私は…そうね…初めての経験が多かったわ、一つの家でこんなに大勢で過ごした事なんてなかったし、釣りも花火もしたことなかった、ここに来なかったらずっとやらなかったでしょうね、だから…ここに来れて、皆と遊べて楽しかったわ♪ ね? スーさん♪」

 

 

スーさん「~♪」キャッキャッ

 

 

ヤマメ「普段地底からあんまり出ないからさ、最初は夏の暑さに参っちまってロクに生活なんて出来ないと思ってたけどやっぱり何事も経験だねぇ、住めばどこも都になり得るもんだね♪ それも偏にこの面子だったからかもしれないねぇ♪ それにコーヒーの事は忘れられない思い出になったよ♪ あっはっは♪」

 

 

美鈴「紅魔館の門と館の中しか出入りしないので、ここに来て貴重な体験が出来たと思います、楽しかった思い出が多く出来たことはもちろんなんですが、普段話さない皆さんと会話をすることで色々と考えさせられました…自分の成長にも繋がった夏になりましたね」

 

 

阿求「最初は仕事から解放されて羽を伸ばすつもりでここで生活しようと思ってました、でも思っていた以上に刺激が多くて本当に休める機会が温泉の中だけでしたね……でもその刺激一つ一つが今となっては良い思い出となったのは確かです、そして受けてきた刺激が心地よいとも…忘れられない三日間になりましたよ、ここに来れて本当に良かったと思ってます」

 

 

華扇「皆さんとは知っていたつもりでもお互いに腹を割って話し合える仲になれたと思います、そしてどんなに小さな内容の会話でも、一つ一つが私の思い出に強く残っています…美鈴や阿求と同じ様に、私もこの三日間で良い刺激を受け、その刺激が私を成長させてくれたと思います…ここで三日間生活出来て良かった、と心から言えますね」

 

 

紫「……ふふっ♪ そう…♪」ニコッ

 

 

紫「そう言ってもらえると私も嬉しいわ、このゆかりんハウスの管理人として、何も言うことは無いぐらいにね」

 

 

ヤマメ「ふふっ、管理人さんも安心したろう? この面子でさ」

 

 

紫「本当にね♪ あなたたちなら何も心配いらないものね」

 

 

阿求「本当にランダムで選んだのかと疑うくらいですよ?」

 

 

紫「それは本当に運よ♪ ここに呼ばれたのも、そしてこのメンバーだったのも全ては運…運命の悪戯かもね…♪」

 

 

華扇「では皆運が良かったと言えるのでしょう」

 

 

紫「そうかもねぇ~♪」

 

 

チルノ「きっとそうだと思うぞ♪」

 

 

美鈴「私もそう思いますよ」

 

 

メディ「えぇ、きっとそうよ♪」

 

 

紫「! ふふっ…あなたたちがそう思ってくれているならそれで結構よ♪」

 

 

メディ「…あっ、ねぇ…ババア」

 

 

紫「あら、なぁに?」

 

 

メディ「あのさ、ここのガーデニングの花たちの事なんだけど」

 

 

紫「それは心配いらないわ、あなたとそのお友達が作った大切な物だものね、それにあれはもうこのゆかりんハウスの一部となったのよ? 安心なさいな、あなたが帰ったら私が責任もって育てていくからね」

 

 

メディ「! うん! ありがとババア!」ニコッ

 

 

紫「ふふっ…♪」

 

 

華扇、阿求、ヤマメ、美鈴「…」

 

 

華扇「ババア呼びに反応しないですね」ヒソヒソ

 

 

美鈴「きっと空気を読んでいるのでしょうね」ヒソヒソ

 

 

阿求「紫さんも一応大人ですからね」ヒソヒソ

 

 

ヤマメ「流石、幻想郷とゆかりんハウスの管理人さんだねぇ♪」ヒソヒソ

 

 

チルノ「ババア!」

 

 

紫「うん?」

 

 

チルノ「あたい本当に楽しかったんだからな! 本当だぞ!」

 

 

紫「ん~? そんなの分かってるわよ?」

 

 

チルノ「言葉で言うのは難しいからな! 本当に…本当なんだからな!」

 

 

紫「…♪」ニコッ

 

 

紫「伝わってるわよ、チルノ♪」

 

 

チルノ「! おうそうか! なら良いんだ♪」

 

 

紫「ふふっ♪」

 

 

チルノ「にしし♪」ニカッ

 

 

華扇、ヤマメ、阿求、美鈴「…♪」ニコッ

 

 

メディ、スーさん「~♪」ニコニコ

 

 

 

 

 

 

紫「さて、そろそろ眠りなさいな、明日は三日前に自分が居た場所で目が覚めるわ、何事も無かったかの様にね」

 

 

紫「でもここで過ごした三日間は現実…夢でも幻でもない、全てはあなたたちの心の中に…♪」

 

 

紫「幻想郷に帰ったら自分の身近な者たちにここでの思い出を語らうのも良いでしょう」

 

 

紫「ここではお別れになるけどあなたたちは会おうと思えば直ぐに幻想郷でまた会える」

 

 

 

紫「華扇、ヤマメ、メディスン、チルノ、美鈴、阿求」

 

 

 

紫「三日間、お疲れ様…♪」スッ

 

 

 

 ギュオン…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【マヨヒガ】

 

 

藍「無事に三日間終わりましたね、ふふっ…♪ 遊び疲れて皆グッスリ寝ちゃってますね」

 

 

紫「そうねぇ♪ あ、ねぇ藍はどう思ったの?」

 

 

藍「何をですか?」

 

 

紫「三日間通して見た上で、新たな娯楽にゆかりんハウスが追加された事に関してよ」

 

 

藍「…! そうですね…」

 

 

藍「まぁ…最初はいきなり知らないところで目が覚める訳ですから混乱して戸惑う事の方が多いと思います、けどその戸惑いを打ち消す様にたくさんの思い出があの空間で作られて行く…なので私はこう思います」

 

 

藍「不思議な魅力がある場所だと思いますね、ゆかりんハウスって」

 

 

紫「ふふっ♪ 嬉しい事言ってくれるじゃない♪」

 

 

藍「伊達に紫様が一週間掛けて作って無いですよね」

 

 

紫「それはあなたがゆかりんハウスを最初に見たときに思った事でしょう?」

 

 

藍「改めてそう思ったんです」

 

 

紫「あの八雲紫が一週間…良い響きよねぇ♪」

 

 

藍「自分で言わないでくださいよ、…ふふっ」ニコッ

 

 

紫「ふふっ…♪」ニコッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「人選は本当に運、誰が誰とあの空間で過ごすのかなんて私にも未知数…私の考えも及ばない人選になる事だってあるけど」

 

 

紫「私の愛した住人たちに少しでも楽しい思い出を、そして新しい出会いを…」

 

 

紫「…♪」ニコッ

 

 

紫「次はそうねぇ、冬にやろうかしらねぇ♪ さてさて次は誰が選ばれるのやら」

 

 

紫「……」チラッ

 

 

【茨木 華扇】

【メディスン・メランコリー】

【黒谷 ヤマメ】

【チルノ】

【稗田 阿求】

【紅 美鈴】

 

 

紫「う~んどう言えば良いのかしら…私的に言えばこんな感じかしら?」

 

 

紫「…♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「三日間お疲れ様♪ そしてお帰りなさい、私の愛した幻想郷へ♪」

 

 

 

 

 

 おしまい…!

 

 

 






 お疲れ様でした、読んでいただいて本当にありがとうございました♪



 阿求の転生についての話をし始めると話がどうしても重くなってしまうため、華扇と二人きりにすることで話を作りました、チルノたち他の四人は『阿求が転生する、30歳ぐらいまでしか生きられない』という事を知らないのでこの様な形になりました。


 次回は後日談になります。

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