「シルフィア、何か異常はないか?」
「特に異常はありません」
輸送護衛についてから早三日がたったが順調な航海だった。
レクトはチームΩの調子を確認したり警護担当の者を見に行ったりしていた。
「まぁ、小さな休息がてらの警護だからな。そこまで気をはる必要はないと思うぞ」
「わかっています。それと隊長。まだ管理局と通信はききませんか?」
現在レクトはブリッジにいたシルフィア・サーフォード二等陸尉に異常がないか確認していた。シルフィア大丈夫と言ってきいてくる。彼女の言う通り管理局とは出発時からずっと連絡が取れなくなっていた。
「ああ、まだ繋がらない。それどころか今日はナカジマ三佐とも通信が繋がらなくなった」
レクトは忌々しげに答えた。昨日までは通信が繋がっていたのに今日は繋げることができなかったのである。最も調査はこれからなのであそこから動くことはないだろうし、今は次空間が不安定な状態なので通信が繋がらないことに特に気にすることはなかった。
「俺としてはさっさと戻りたいんだがな」
「それで事故にでもあったらそっちの方が大変ですよ」
レクトの言葉にシルフィアは苦笑して答えた。
その時であった。
ドゴォォォォォォォォォォォン!!!
「なっ!?」
「今のは!?」
爆発音に気づきレクトとシルフィアはほぼ同時に声をあげた。
「…シルフィア、お前は動力室に向かえ!休憩中の奴は俺が叩き起こしておくから気にせずに行け!俺は保管室に向かう!」
「了解!」
シルフィアは敬礼して走っていった。レクトも保管室の道を走りながら通信を開く。
「マサムネ!アズサ!ラグナ!聞こえるか!」
『こちらマサムネ!聞こえています!』
『同じく!』
『隊長!いったい何が!?』
「分からない!だがもしもの時を考えてマサムネとアズサは動力室に向かえ!シルフィアも向かってくれている!合流するように!」
『『了解!』』
「ラグナは操縦室に向かえ!何かあったら直ぐに動けるようにしておけ!」
『了解!』
伝えることを伝えたレクトは更にスピードをあげるために魔力を足に通していく。
レクトは訳あってデバイスは使わないようにしている。リンカーコアに異常は無かったがレクトはデバイスを使わないで魔力を使えるように練習を繰り返して行ってきた。そのためある程度の魔法は使えるようになっている。
「バルト!聞こえるか!バルト!」
スピードをあげたレクトは再び通信を開き現在保管室を警護中のバルト・ザックに呼びかれる。
『---』
しかし、返答はなくただノイズが写るのみだった。
「クソッ!」
レクトは悪い予感を感じつつ更にスピードをあげていく。
やがて保管室の扉が見えてきた。ここまで来る間数分ほどであったがレクトには何十分にも感じる時間であった。
「バルト!大丈夫…!」
自動ドアをくぐり声をかけようとしたレクトは目を見開いて硬直した。
目の前には
ユーノが発掘した物が入ったケースをもったフードを被ったものたちと
その下で血の池を作ってうつ伏せに倒れるバルトの姿であった。
「…何やってんだテメェラ」
レクトはそう言って魔力で作った剣を手に持つ。
「ふざけんな…。…ふざけんじゃねぇよ!」
レクトは怒りに身を任せて魔力剣を振るう。それをフードの者達は簡単に避けた。
「おいおい、部下一人を殺したくらいでいちいちカッカしてんなよ」
フードの者の一人がそう言ってフードを脱いだ。
「これは貰っていくぜ」
男はそう言ってケースを少しあげる。レクトは一旦深呼吸して心を落ち着かせる。
「…一応聞くが返す気は?」
「ない」
レクトの問いに即答する男。
「だろうな。行け!マシンガンシュート!」
その言葉と共に現れた魔力スフィアは高速で打ち出されていく。打ち出されたぶんは直ぐに補充され男たちに雨あられと襲いかかる。
「無駄だ!百鬼夜行!」
そう言うと共に男は刀を抜き高速で向かってくる魔力スフィアをひとつ残らず切り伏せていった。
「ちっ!パンツァーキャノン!」
レクトは魔力スフィアを消して砲弾の形にした一メートル近くある魔力スフィアを男に向けて発射した。
「へぇ、でも無駄だ!切り裂け!夜光!」
男がそう言うと刀は光り向かってくる砲弾を縦に切り裂いた。切り裂かれた砲弾は後ろの壁にぶつかり外への大穴を開けた。
「うお!?」
次空間へ逃げていく空気の力に驚いた男は左手に持っていたケースを離してしまった。ケースは途中で壁とぶつかりケースが開きながら落ちていく。
「しまった!」
レクトは慌てて拾おうとするが残りの男たちに防がれてしまう。
「悪いがここを通すわけには行かねぇな」
男はそう言って向かってくる。向かってきた男はレクトよりも体躯が大きく威圧感があった。
「クッ!」
レクトは魔力剣を展開して男の攻撃をいなそうとする。
「あめぇ!」
しかし、男はいなされた勢いで回転して再びレクトに繰り出そうとした。
しかし、
「なっ!?」
男の顔は驚愕で満ちた。男の繰り出した拳は蒼い鎖で動けないように縛られていた。
「なっ!?いつの間に!?」
「詰めが甘いのはそっちのようだな」
レクトはそう言って砲撃魔法の準備を整える。
「なっ!?やば…!」
「行け!光龍破!」
男は光りに包まれた。