と、まぁ話を逸らしてしまいましたが、どうぞご覧下さい!
荒廃した町。至る所では町の住民がクマの様な被り物を被り、武器を取り、銃声や爆発音が鳴り響かせる。町は火の海と化し、空を見上げて見れば血の色の様に真っ赤に染まっている。この地獄とした光景はまるで人類が起こしてきた戦争–––––いや、これは最早戦争というレベルの話ではない。これを言葉で表現するならば、そう絶望。
そんな絶望と化した町のビルの屋上に二人の男性が互いを睨む様に立ち合う。
「結局こうなるのか」
「そうさ。俺達はこうなる運命だった––––それだけの話だ」
「・・・どこで俺達の道を違えてしまったんだ」
男は拳を握り締めながら歯を強く噛みしめる。
「お喋りはもう終わりにしよう」
もう一人の男はそう告げると構えを取る。
「ちくしょう」
男は後悔を感じながらも構えを取る。
「これで俺とお前の決着がつく」
男は地面を蹴り上げ走り出す。
「ちくしょぉおおおおッ!」
内に秘める悲しみを抱えながら走り出す。そして二人は町中に聞こえるんじゃないかと思わせるほどの雄叫びを上げる。
「創ぇえええええええッ!」
「一馬ぁああああああッ!」
––––世界が絶望の渦に渦巻く原因となった二人。なぜ世界は絶望に染まったのか、なぜ二人は闘い合うことになったのか。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
午前4時。朝日が昇る前の時間、一人の青年が波打つ海に浮かぶ船の船上を綺麗に掃除していた。
「よしっ!これで大丈夫だな」
掃除を終え、船に異常がないか見落としがない様に確認する。
「船も問題はない事だし、家に戻って今日の準備でもするか」
青年は船から降りてもう一度船の異常がない事を確認し、そのまま自宅に帰宅する。
「ただいまーっ!」
「おかえりなさい創」
玄関の鍵を開け入ると、玄関に一人の女性が青年の帰りを待っていた。
「母さん。船の方は大丈夫だったよ」
「もう。今日は仕事はお休みにしてるんだから、船の事はやらなくていいって昨日も言ったのに」
手を顎につけながら小さな溜息を吐く。
「汗掻いたでしょうからお風呂に入って来なさい。今日は大事な日なんだから」
「わかってるよ。今日は俺にとって特別な日なんだから」
そう呟くと、青年は玄関に貼り付けてあるカレンダーを見る。今日の日付を見るとそこには希望ヶ峰学園の入学式と書き記していた。
希望ヶ峰学園。学業、スポーツ、芸術、芸能、中には素行や出生など各分野に秀でている『才能』の持ち主が集まめられる高校。そこは他の高校とは違い、この高校では超一流の高校生を集め、育て上げる様に設立された政府公認の超特権的な学園。
––––そんな高校に今日俺は胸に希望を抱きながら入学する。
「ちょっと早く来ちゃったな。まだ入学式まで2時間もあるな」
腕時計を覗き、失敗したなとぼやく。
「仕方ない。時間はまだあることだし、ちょっとそこら辺でぶらぶらと時間を潰してるか」
青年は学園の門から出て、近くにある商店街を1時間弱と歩き回る。
「だいぶ時間も潰せたし、そろそろ学園に戻るとするか。母さんも家から出てると思うし」
だが商店街を出ようとした時。
「ねぇねぇ君〜俺達と遊ぼうぜ」
三人の男達が一人の女性を囲みながらナンパしている所を目撃する。
(うわ、ナンパかよ。しかも柄の悪そうな奴だし)
こういう時は決まって変に巻き込まれると内心呟く。
「しかしあの子。全然話聞いてないなぁ」
取り囲まれているにも関わらず、女性は只ひたすらゲーム機に顔を向け、男達を無視しながらゲームをやり続けていたのだ。
「無視してんじゃねえよっ!」
話を聞かない女性にイラついたのか、男は女性が持つゲーム機を取り上げる。
「ヤバイな」
このままでは女性に手を出すかも知れないと思った青年は、大きく深呼吸し覚悟を決める。
「こんなゲームよりも俺達が気持ち良い事させてやるからさ」
他の二人はゲラゲラと笑うと、男は女性の手を掴もうとする。だが、手を掴もうとした男は背後から『二人』にぶつかり突き飛ばされる。
「「えっ?」」
男を突き飛ばした二人は互いにきょとんとした顔で見合う。
「て、テメェ等ッ!なにしやがらる!」
「や、ヤバっ!」
「逃げないとッ!」
一人の青年が女性の手を掴む。
「逃げるぞ!」
青年は女性の手を握り締め、もう一人の青年と共にこの場から逃げ出す。
「はぁ、はぁ、なんとか逃げ切ったな」
「あ〜怖かったぁ」
凄い形相で追い掛けて来る男達に、逃げ切ったと安心しながら息を切らす。
「手」
「ん?ああっ⁉︎ごめん!」
逃げる事で必死になっていた為、彼女の手を握り続けていた事をすっかり忘れてしまっていた。慌てて彼女の手を離す。
「手は痛くなかったか?」
「ううん。痛くなかったよ」
「良かったぁ。ああ、そうだ」
制服の内ポケットからゲーム機を取り出す。取り出したのは先程彼女が柄の悪い男に取り上げられた彼女のゲーム機だ。
「お前それどうしたんだ?」
青年が何故そのゲーム機を持っているのか尋ねる。
「さっきぶつかった時にくすねたんだ」
「お前凄えなぁ。あのチンピラにぶつかりに行っただけでも凄えのに、よくあの一瞬で取り返したな」
「昔友人から少し教えて貰ったから出来たんだよ。それにお前だってあの柄の悪い奴にぶつかりに行って勇気あるよ」
青年に賞賛の言葉を掛けると、ゲーム機を彼女に手渡す。
「ありがとう」
「どう致しまして」
彼女にゲーム機を手渡し、微笑む。
「なぁ、もしかしてお前も俺と同じ希望ヶ峰学園の『予備学科』の生徒か?」
「えっ?そうだけど」
「やっぱりかっ!同じ制服を着てるからもしかしたらと思ったけど、言ってみるもんだな!」
まるで宝くじが当たったかの様に大はしゃぎする。
「俺、剣崎 一馬(けんざき かずま)って言うんだ。お前は?」
「俺の名前は日向 創 (ひなた はじめ)」
「日向 創か。宜しくなっ!」
日向に手を差し伸べる。テンションが高いと思ったが、人当たりの良い人だなと思い浮かべ、差し出された手を掴み握手する。
「二人だけ仲良くなってズルい」
一人だけ仲間外れにされた彼女は頬を膨らませる。
「えっ?ああ悪い!別に仲間外れにした訳じゃないんだ(今の表情、可愛かったな)」
頬を膨らませて拗ねる彼女に可愛いと思った日向は、頬を赤らめながらも弁解する。
「いや〜悪い!悪い!つい同じクラスになる奴かも知れない奴と会ったと思ったらついな!名前はなんて言うんだ?」
「七海 千秋(ななみ ちあき)。私も同じ希望ヶ峰学園の生徒」
自己紹介した彼女に剣崎は疑問に思ったのか、彼女に質問する。
「あれ?でも『予備学科』の女子の制服とは違うけど」
剣崎が言う通り、彼女が着ている制服は予備学科の女子とは異なったデザインをしている。しかし日向はすぐに彼女が予備学科の女子とは違う制服を着ているのか気づいていた。
「それは『本科』の生徒だからさ」
「えっ?マジで⁉︎七海って本科の生徒なのか!」
日向が言った言葉を聞いて剣崎は七海が本科の生徒なんだと、目を見開きらきながら驚きの表情を見せる。
「そもそも予備学科って、なに?」
七海は予備学科とは何なのか聞いてくる。
「予備学科って言うのは『本科』の生徒とは違い『才能』が無くても、多額な入学金を納めれば希望ヶ峰学園に入学できる学科の事だよ。だけどこれは今年出来たばかりの学科だから、七海さんが知らなくても無理はないよ」
「へ〜知らなかった。教えてくれてありがとう日向くん。でもね、さん付けはやだな。それに敬語も」
「そ、そうか?じゃあ・・・・七海」
「うん!日向くん」
(やっぱり可愛い)
七海の微笑む顔に顔を赤くする。さっきの頬を膨らませて拗ねた表情もそうだっだが、微笑む七海の表情は可愛いの一言だ。
「って、そう言えばっ!」
惚けていた日向だったが、あることを思い出しすぐ様腕に巻かれた腕時計の時間を見る。
「ヤバいッ⁉︎入学式まで後15分もないぞ!」
「なっ⁉︎マジで!」
「急いで学校に戻らないと。行こう二人とも!」
「ああっ!」
「うん」
三人は急いで希望ヶ峰学園の入学式会場に向かって駆け出して行った。
––––この三人の出会いが、後々の絶望へと繋がるのはまだ先の話
如何だったでしょう?
日向と剣崎。二人はなぜ闘う運命になってしまったのか。
そして七海はどうゆう立ち位置になるのかっ!